焼津中央高校周辺の防災マップの作成についての研究(PDF:19KB)

一般研究
焼津中央高校周辺の防災マップの作成についての研究
県立焼津中央高等学校教諭
井出 博文
本校がある焼津市は、静岡県第三次地震被害想定で震度7、および、震度6強となって
いる地区が多い。この原因を調べると共に、防災上の危険要因を現地調査により確認し、防
災マップにまとめることを目的にこの研究を行った。
焼津市周辺の地形は、大井川扇状地を主体に、その北方に接する瀬戸川低地、さらに
北方の朝比奈川低地に分けられる。
大井川扇状地は島田市付近から広がる大きな扇状地であり、明瞭な同心円状の等高線
を描くことができる。大井川が洪水のたびに砂礫を運搬して堆積させながら、この扇状
地は形成されてきたのである。
一方、瀬戸川流域では、山地から低地への出口付近に小規模な扇状地が形成され、そ
こから下流に低地(氾濫原)が広がっている。瀬戸川低地は典型的なバリアタイプの低
地である。砂礫州が形成され、その内側にはラグーンが形成された。
朝比奈川低地は瀬戸川低地と同様に、海岸部の砂礫州の背後に形成されたラグーンを
朝比奈川が埋積したバリアタイプの低地である。ただし、瀬戸川低地が砂礫堆積物から
なるのに対し、朝比奈川低地では扇状地の発達もなく、自然堤防をのぞく部分はほとん
どが軟弱な泥質堆積物からなっている。とりわけ低地の北縁部などは河川からの距離が
最も遠いためラグーンの埋積が遅れ、最近までは沼沢地であった。こうした地域では地
表から数mに泥炭などの軟弱層がみられ、その下位にはやはり泥・からなるラグーンの
堆積物がみられる。
志太平野の成り立ちを調べることにより、この地区に非常に軟弱な地盤があることが
わかった。
次に、本校生徒が通学時に利用する、本校周辺道路の危険要因について実地調査を行
った。調査項目は、①倒壊の危険のあるブロック塀、②落下したとき危険な道路にせり
出している屋根、③軟弱な地盤である可能性を示す水路や道路のゆがみの3点とした。
① ブロック塀は2箇所で特に危険なひび割れを確認した。道路側に傾いているとこ
ろも1箇所あった。また、高さが低く倒壊の危険はないが、ブロック塀が波打っ
たようになっている場所も3箇所あった。地震のときは、身を守るため安定した
ものにつかまろうとしてブロック塀に近づくことがある。そのときにブロック塀
が崩れてしまうと大変危険である。
② 本校生徒が良く使う通学路に1箇所大変危険な場所があった。道路が狭く、頭上
に屋根がせり出していた。屋根瓦が落下してきた場合、逃げる場所がない。また、
道路上の障害物となる可能性があった。
③ 水路のゆがみは1箇所で確認できた。これは通学路として直ちに危険であるとい
うことではないが、軟弱地盤の可能性があり、周囲に注意する必要がある。
一般研究
調査の結果を「防災マップ」にまとめようと考えていたが、それぞれ個人の住宅であ
り、危険だと特定するような内容は不適当であると考え、この地区以外の住宅の写真を
使った。今後、校内生徒用には、今回調査した通学路の防災上の危険箇所を地図に示す
予定である。
以上の調査研究の成果を、「防災自己診断」としてまとめ、本校周辺の焼津市第10自
治会住民、および、本校生徒に配布する。