ウコンノメイガの防除のめやすと防除対策

ウコンノメイガの防除のめやすと防除対策
ウコンノメイガは幼虫が大豆の葉を巻ながら葉を食害し、葉巻が多くなると子実数が減
少すると共に子実が小粒化して減収します。平成 14 年以降、たびたび多発生して問題とな
っています(図1、2)。
ここではウコンノメイガの防除のめやすおよび防除対策のポイントを紹介します。
小(被害株率1~25%)
多(51~75%)
発生面積(ha)
8,000
中(26~50%)
甚(76%以上)
6,000
4,000
2,000
図1
H26
H25
H24
H23
H22
H21
H20
H19
H18
H17
H16
H15
H14
H13
H12
0
ウコンノメイガ発生面積の年次推移(新潟県病害虫防除所)
図2
ウコンノメイガの加害を受けた大豆
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1
ウコンノメイガの発生消長
ウコンノメイガはアカソ、カラムシなどのイラクサ科植物で幼虫として越冬し、越冬
地で成虫になります。大豆ほ場には、成虫が7月初め頃から飛来し、飛来は8月上旬ま
で続きます。成虫は飛来後間もなく大豆の葉に産卵し、幼虫が7月中旬から発生して幼
虫数は7月下旬~8月上旬に最も多くなります。葉巻は7月中旬から見られて7月下旬
から8月中旬にかけて急増し、8月中下旬に最も多くなります。その後は、葉を巻いて
いた糸が切れたり、食害の激しい葉が落葉するなどして、葉巻の数は減少します(図3)。
葉巻
幼虫
成虫
(越冬世代)
7月
成虫
(第1世代)
8月
9月
図3図4大豆ほ場におけるウコンノメイガおよび葉巻の発生消長(模式図)
大豆ほ場におけるウコンノメイガおよび葉巻の発生消長(模式図)
2 ウコンノメイガの被害
葉巻と葉の食害により葉面積が減少するため、葉巻の発生はダイズの収量・品質に影
響します。平成 15 年の調査事例では、被害葉率 80%以上の株は被害葉率 10%以下の株
に比べ、莢数、子実数が減少し、子実も小粒化して 50%程度の減収になりました。また、
作物研究センターの研究で、葉巻が最も多くなる 8 月中下旬の葉巻数と子実百粒重の間
に負の相関が認められ、葉巻による収量への影響は 8 月中下旬の葉巻数が多いほど大き
くなることが明らかになっています。
3
薬剤防除
ウコンノメイガの被害を減らすには、薬剤防除を行います(表1)。葉巻は7月下旬
の時点では数が少なく目立ちませんが、7 月下旬から8月中旬にかけて急増します。このた
め、気づいた時には防除適期を過ぎていることがあるので、適期を逃さず散布します。薬剤
により散布時期が異なり、特にサイアノックス粉剤とスミチオン乳剤は散布適期が狭い
ので注意が必要です。多発生の場合には、防除効果が特に高く散布適期も他の剤に比べ
て広いプレバソンフロアブル 5 を使用します。
散布適期を過ぎた 8 月中旬以降に防除を実施しても、すでに多くの葉巻が発生しそれ
以降の新たな葉巻の発生が少なく、幼虫は老齢となり数も少ないため薬剤の効果が得ら
れにくいので、防除効果は期待できません。
若齢幼虫は葉の縁がわずかに巻かれただけの軽微な葉巻を、中~老齢幼虫はより重度
の葉巻を作る傾向があります。薬剤の散布適期頃は、葉の半分程度まで巻かれている葉
巻が見え始める頃に相当するので、葉巻の程度も防除時期を判断する参考になります。
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表1
ウコンノメイガの防除薬剤(平成 27 年度
農作物病害虫雑草防除指針より)
薬剤名
散布時期
サイアノックス粉剤
スミチオン乳剤
7 月第 6 半旬(葉巻の発生初期)
トレボン乳剤
カスケード乳剤
プレバソンフロアブル5
4
7 月第 5 半旬~8 月第 1 半旬
防除のめやす
品種「エンレイ」ではウコンノメイガの「防除のめやす」が設定されています(表2)。
ただし、あくまで「防除不要」のめやすであり、この基準を超えたからといって直ちに
防除が必要となるものではないので注意してください。
「防除のめやす」を使うための葉巻発生量の調査は、7 月第 5 半旬または第 6 半旬に、
ほ場の中の枕地や畦畔際を避け、平均的な生育をしている場所を 4 ヶ所選んで行います。
4 ヶ所それぞれで畝 1m の間にある大豆株の葉巻数を調査し、4 ヶ所の葉巻数を平均し、
「めやす」の値と比較します。この時期の葉巻は程度が軽く数も少ないので注意深く調
査し、縁がわずかに巻かれた葉も葉巻として数えます。判断する時期と防除の時期が重
なってしまいますが、7 月第 5 半旬の調査で判断が難しい場合は推定精度が高い7月第
6半旬のめやすを使ってください。
また、山間地で消雪が遅れた場合など、年次や地域によって葉巻の発生時期が最大で
10 日程度遅れる場合があります。葉巻の程度なども参考にして、発生が遅れていると思
われる場合は調査時期を遅らせて判断してください。
表2
ウコンノメイガの防除のめやす(エンレイ)
調査時期
防除のめやす(畝 1m 当たりの平均葉巻数)
7 月第 5 半旬
7 個以下では防除不要
7 月第 6 半旬
22 個以下では防除不要
推定精度は 7 月第 6 半旬のほうが高い。
※本文に記載された農薬は、平成 27 年4月 22 日現在の農薬登録情報を基に作成していま
す。農薬の使用に際しては、必ず最新の登録内容を確認して使用してください。
【経営普及課
農業革新支援担当(病害虫)
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石川
浩司】