新 宿 区 医 師 会

第 54 巻
一般社団法人
11
平 成 2 6 年 11 月
新 宿 区 医 師 会
2014
11 月 号
第 630 号
も
く
じ
1
巻 頭 言
消費税 10%がやってくる!
2
会 務
理事会だより
3
日医 FAX ニュース
11
海の医学
倉田 大輔
14
緑内障健診の重要性
丸尾 敏之
17
随 想
四谷支部旅行 2014
- 京都にて -
曲 惠介
22
囲碁同好会奮闘記
菅谷 修一
24
完全なる人間(3)
本庄 保至
32
大東亜戦争の原因と評価 (16)
原島 三郎
23・36
趣 味
囲 碁
37
11月医師会主要行事予定・編集後記
時 論
編 集 部
旅行医学 ⑪
表 紙 「晩秋の奥入瀬渓流」
石原 文之
月に消費税が %になった。そもそもの発端は、野田内閣が誕生したときに決まっていた。もし、あの時、海江田
8
得ない動きなのかも知れない。
月の消費税アップが議論されはじめている。来年
月には点数
10
%アップになれば、我々はそのままかぶらざるを得ない。前回の中医協でも
実際、医療機関の損税も解消されないまま、来年
2
での優遇措置を訴える以外に方法はない。しかし、税制面での優遇の場合、
改訂時にも優遇は認められなかった。
兆円の税収が減るという理由で
月の
4
ある。来年
月に消費税が
%上がれば、そこで新たに妥結率問題が発生する。しかも、その半年後には、点数改正
医師会以上にダメージが大きいのは薬剤師会である。もし実施となった場合、薬局には妥結率という大きな障壁が
になるのはあきらかである。
今、日本医師会を中心に税制面での優遇措置を真剣に訴えていかないと、我々が保険制度を維持していく事が不可能
3
中医協は見た目と患者負担のアップだけで実質はマイナス改訂。当然、点数改正が無いので、医師会の動きは税制面
医師会は患者負担の増える点数アップを訴えたわけではなく、税制面での優遇を訴えただけに過ぎない。しかし、
改正は行われない。当然、そのまま
10
延長など多岐にわたるようだ。長い目で見れば、余りよいことではないのだが可処分所得が減少しているいま、やむを
医療費のカット手段としては、受診の中止、薬の長期処方で診察・指導料のカット、内服の間引きによる受診間隔の
消費税上昇以降、消費が落ち込み自衛手段として①娯楽のカット、次いで②医療費のカットの動きが著しい。特に
内閣であったなら物品税の復活で消費税がなくなり、民主党政権が続いていたのかも知れない。
4
2
ばわれわれを直撃する問題でもある。
日本の医療保険制度は完全に崩壊する局面を迎えていると言わざるを得ない。
(編 集 部)
で再度、妥結率問題が発生する事を忘れてはならない。今現在、薬局に調剤を依存している状況で薬局の崩壊が続け
10
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
1
巻 頭 言
消費税 10%がやってくる!
木島会長
(於)三階 会議室
平成二十六年十月十日
第十二回理事会
山本理事
⑷ 九月三十日 東京女子医科大学
病院・総合防災訓練について
山本理事
⑸ 十月六日 区西部二次保健医療
圏地域災害医療連携会議について
(資料2)
岩尾理事
担当理事・担当医師連絡会につい
⑹ 十月二日 地区医師会精神保健
て(資料3)
⑺ 十月二日 学術小委員会につい
迫村理事
て(資料4)
小委員会について(資料5)
⑻ 十月二日 在宅ケア・介護保険
藤本理事
医療法人社団博志会
あおぎりクリニック
区、都A、日A①会員
備 考
助川理事
⑼ 十月八日 新宿区アナフィラキ
シー対策PT会議について
科 名
⑽ その他
出身校
高橋理事
生年月日
入 会
氏 名
⑶ 十月一日・二日 第五十八回社
会保険指導者講習会について
⑵ 九月三十日 診療報酬審査研修
高橋理事
会について
⑴ 九月二十九日 予防接種説明会
村橋理事
について
四、報告事項
⑴ 入退会異動承認の件について
(資料1)
星野副会長
三、協議事項
一、成立 議事録署名人
二、会長挨拶
心臓画像クリニック飯
田橋
区、都A、日A①会員
支 部
信州大学 小・ア・
医学部
内
21
⑵ 九月十七日 公開医療政策検討
信川理事
委員会について
⑴ 九月十七日 健康センター委員
会について(資料3) 植松理事
五、報告事項
⑴ 入退会異動承認の件について
星野副会長
(資料2)
四、協議事項
理 事 会 だ よ り
第十一回理事会
平成二十六年九月二十四日
木島会長
(於)三階 会議室
一、成立 議事録署名人
二、会長挨拶
30
備 考
⑶ 九月十八日 トリアージ研修会
について(資料4・5) 山本理事
科 名
⑷ その他
出身校
木島会長
三、地区医師会長協議会報告(資料
1)
入 会
生年月日
5
氏 名
1
支 部
・ ・
消内
神戸大学 循・放
医学部
込 寺 島 正 浩 昭
42
東京女子
医科大学
51
・
・
4
・
・
谷 諸 澤 博 德 昭
5
20
東京慈恵会
いしい内科・外科クリ
内・消内・
医科大学 ニック
外
医学部
区、都A、日A①会員
12
・ ・
橋 石 井 雄 二 昭
23
橋 鈴 木 亜 夢 昭
四
淀
32
牛
淀
医療法人社団榊原厚生
会 新宿三井ビルクリ
ニック
区、都、日 会員
B
( )
2
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
・
・
)
療機関が提供することで実際に医療
れると思う」と述べた。
を考えることが重要。より精緻化さ
【メディファクス】
提供が困難になった事例はない」と
報 告。「 元 に 戻 す と い う こ と で は な
く、どうしたら適切に評価できるか
7対1要件の在宅復帰率、改善求める声
診療報酬での対応も容認することに
するため、療養担当規則の見直し、
同一建物の訪問診療料、問題提起相次ぐ
▼九医連 (H
九州医師会連合会の医療保険対策
協 議 会 が 大 分 市 で9月 日 に 開 か
)
理由については「在宅復帰への道筋
定要件となる対象に加わらなかった
・
大分市で9月 日に開かれた九州
医師会連合会の介護保険・在宅医療
が要件化されていないためという厚
・
対策協議会では、2014年度診療
労省の説明だった」とし、今後有床
▼九医連 (H
い、現在は集計・分析作業に入って
報酬改定で7対1入院基本料の算定
診も含めて「在宅復帰への道筋が要
なった」と説明。一方で、在宅不適
いるとし、
「影響を把握した上で、修
要件に「在宅復帰率」が導入された
件化されるようなものであれば、受
切事例の適正化による影響は、通常
対する問題提起が相次いだ。日本医
正を要する点は迅速に対応したい」
ことについて「医療・介護連携に支
れ、2014年度診療報酬改定で同
師会の松本純一常任理事は、在宅医
と述べた。日医としても、次回改定
障を来す」などの意見が出た。在宅
一建物居住者への訪問診療に関する
療の不適切事例の適正化に関する影
を見据え、診療所を対象に、かかり
同 協 議 会 で は、 い わ ゆ る 患 者 紹
介ビジネスなど不適切事例への対応
対応したい」と理解を求めた。
する不適切事例の対応が話題に上っ
同日の介護保険・在宅医療対策協
議会でも、同一建物の訪問診療に関
●撤退事例報告は9件
見も多く出た。
や有床診療所も加えるべきとする意
帰機能を持つ病棟」に介護療養病床
●地域ケア会議への連携、厚労省に
う」と述べた。
松本常任理事は、この問題につい
て「まずは紹介業者を規制すべきと
なった。
非公式に5件の計9件あったことを
に報告があったのは公式には4件、
から撤退した事例として厚生労働省
年度改定による見直しで、訪問診療
方をしている」と説明。介護療養病
保する必要があるという微妙な言い
介護給付費分科会などで「機能は確
れているものの、社会保障審議会・
度末に介護療養病床の廃止が予定さ
厚労省は日医からの要請を踏ま
え、福岡県庁で 日に開かれた研修
省に要請したことを明らかにした。
を自治体に働き掛けるよう厚生労働
鈴木常任理事は市町村などが設置
する地域ケア会議と医師会との連携
主張したが、不適切事例が急速に拡
明らかにした。その上で「ほかの医
同協議会に出席した鈴木邦彦常任
理事は、介護療養病床に関して 年
17
大する懸念があり、一刻も早く対応
14
要請
策となった同一建物居住者の訪問診
20
た。日医の鈴木邦彦常任理事は、
床や有床診が7対1入院基本料の算
響調査について、中医協でも前倒し
つけ医と在宅医療を中心とした調査
け皿にすることもあり得る話だと思
の検証調査よりも前倒しの8月に行
で実態把握を進めていることを説
復帰率の算出で対象となる「在宅復
報酬が大幅に引き下げられたことに
明。調査の集計と分析結果を踏まえ
月に実施することも報告した。
26
26
を
9
9
「修正を要する点については迅速に
26
26
20
療料の引き下げが議論のテーマと
10
会でも地域ケア会議が医師会と連携
12
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
3
( )
4
ブロックで行われ
することの重要性について説明した
ほか、今後全国
る研修でも同様の説明をすることに
なっているという。
【メディファクス】
(地域内で)合意してもらうことに
が望ましいと説明した。
共通理解を得られるような取り組み
【メディファクス】
なろうかと思う」と述べ、地域包括
ケア病棟を届け出る前に、地域内で
病院ヘルスケアリート、医療界から懸念
)
内で急性期から亜急性期、回復期ま
弊 害 に 触 れ、「 届 け 出 に よ っ て 自 院
地域包括ケア病棟を届け出た場合の
治体病院などの公的な急性期病院が
同協議会の議論では、福岡県医師
会が都市部など病院の過密地域で自
の認識を示した。
ついて理解を得ることが望ましいと
参入する場合は、地域内で届け出に
病院が地域包括ケア病棟(病床)に
このほか、病院が過密な地域で、
自治体をはじめとした公的な急性期
ないようにしたい」と述べた。
分野(の財源)が少なくなることが
版や健康・医療戦略でも普及啓発等
明記されており、日本再興戦略改訂
整備を2014年度内に行うことが
する実行計画」でGL策定等の環境
ヘルスケアリートは、1月に閣議
決定された「産業競争力の強化に関
目指す。
トの後、年度内の最終取りまとめを
りまとめを行い、パブリックコメン
開始した。来年2月にGLの中間取
社)について周知する方策の検討を
医 療 関 係 者 に リ ー ト( 資 産 運 用 会
イドライン(GL)作成や、病院・
事務所弁護士)の初会合を開き、ガ
(座長=田村幸太郎・牛島総合法律
用に係るガイドライン検討委員会」
国 土 交 通 省 は9月 日、「 病 院 等
を対象とするヘルスケアリートの活
点が分からない」―といった懸念が
い か 」「 そ も そ も リ ー ト 活 用 の 留 意
資家に流出することになるのではな
財源に投入された税金が国内外の投
一方で病院・医療関係者には「医
療法の非営利原則になじむか」
「保険
る必要があるとも説明した。
ある中で、資金調達ニーズを満たす
どまっていて今後も耐震化の需要が
また病院の耐震化率が7割以下にと
を求められていない現状を挙げた。
と「運用」の両面を評価できる体制
在しているが、リート側が「不動産」
どをリートが保有している事例が存
動化している事例や、医療モールな
る背景として、既に病院不動産が流
国交省土地・建設産業局不動産市
場整備課は初会合で、GLを策定す
・
で完結することになり、今後進めな
の取り組み強化が盛り込まれてい
あり、また投資家からは「病院の証
・
ければならない医療の地域連携が損
る。高齢者向け住宅などについては
券化は難易度が高い」との指摘もあ
▼国交省・GL検討委 (H
なわれる恐れがあるのではないか」
6月にGLを策定・公表したが、事
)
と指摘した。
業特性が異なり、サービス面が重要
・
これに対し、釜萢常任理事は公的
病院の役割は地域によって異なるた
ためにヘルスケアリート普及を進め
を設けた。
め「一律に論じられない」と前置き
わってくる。介護が入ることで医療
・
療構想(ビジョン)のガイドライン
(GL)に関する検討を始めたこと
を受け、GLの位置付けはあくまで
「参考」であるべきとする日医の認
識を説明した。
釜萢常任理事は大分市で開かれた
九州医師会連合会地域医療対策協議
会で、都道府県が策定するビジョン
をつくる際のGLの役割について
「全て決められるわけではない。地
域の特徴を生かした形でビジョンが
つくられることが一番大事なこと。
それを阻害することにならないよう
に、日医として全力を挙げて取り組
む」と述べた。来年1月をめどに意
見の取りまとめを目指している。
釜萢常任理事は、新たな財政支援
制度(新基金)に関する来年度以降
の医療分野への配分にも言及し「次
30
る。GLでは▽対象施設▽適用時期
9
視される病院については別途委員会
26
した上で「地域の特色を考える中で
9
ビジョンGL「地域性を阻害させない」
▼釜萢常任理事 (H
釜萢敏常任理事は9月 日、厚生
労働省の「地域医療構想策定ガイド
26
年度からは(対象に)介護分野も関
26
12
ライン等に関する検討会」が地域医
20
26
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
院運営者とリートの信頼関係構築―
▽リートが整備すべき組織体制▽病
行政当局のチェックが可能となるよ
域の医療関係者・患者・住民代表・
といった事項を盛り込むことになる。 うな情報開示の徹底▽知事等が医療
4~6月の医療事故報告、 増の763件
)
件 数 が 初 め て3000件 を 突 破 し
・
た昨年の実績をやや上回る水準で推
・
日 本 医 療 機 能 評 価 機 構 は9月
日、2014年4 ~ 6月 に 報 告 の
移している。一方、同事業に任意で
▼医療機能評価機構 (H
あった医療事故とヒヤリ・ハット事
療事故の発生率は「療養上の世話」
%などが高く、例年
日時点)による
【メディファクス】
133件だった。
機関706施設(同)による報告は
報告は1401件、任意参加の医療
275施設(6月
数 は 伸 び 悩 ん で い る。1534件
数 は1534件 と な り、 年 間 報 告
例などをまとめた「医療事故情報収
法に基づく措置を適切・迅速に行え
また▽大病院や救急医療を行う病
院は耐震化がかなり進んでいる▽低
るように定める―などを求めた。
い公定価格で経営しているので高い
くない」
同日は医療界から3名が参加して
見 解 を 述 べ た。 鈴 木 邦 彦 常 任 理 事
●「ヘルスケアリート自体、好まし
は、「 日 医 は 非 営 利 原 則 を 堅 持 す る
参加している医療機関からの報告件
ことが使命の一つと考えており、ヘ
集等事業」の報告書を公表した。
ルスケアリート自体を好ましいとは
トにとって魅力的な投資先ではない
・ %、「治療・処置」 ・ %、
・
年1~6月 の 医 療 事 故 報 告 総
医療秘書の待遇改善、充実に意欲
)
され、猶予税額は持分放棄後に免除
に就任したことを踏まえ、かねて要
会保障審議会・医療保険部会の委員
院連絡協議会定例総会に出席し、社
松原謙二副会長は9月 日、仙台
市で開かれた全国医師会医療秘書学
中できちんと点数が配分されて、各
その上で医療秘書に対し保険制度の
があってしかるべき」と主張した。
できる業務のサポートに専門の職種
し な い 」 と 述 べ、「 医 師 で な く て も
・
される。
望が強かった医療秘書の待遇改善な
病院にとって使いやすいものになる
・
手引書では、移行計画に盛り込む
必要がある内容を解説。このほか、
どさらなる充実がなされるよう、国
▼松原副会長 (H
公表した。
移行計画は厚労省に直接提出する必
に働き掛けていく姿勢を示した。
に関する手引書や関係書類の様式を
また、釜萢敏常任理事は、4月か
ら新しい教科書による養成が開始さ
よう努めるとした。
今の先生方の大変な過重労働は改善
同制度は、持分ありの医療法人が
持分なし法人へ移行するために取り
要があることや、提出書類の記載方
が
組む内容などをまとめて提出する
法なども示した。
融資で医療法人を支援する。税制優
【メディファクス】
「移行計画」を国が認定し、税制優
と同じ傾向となっている。
「薬剤」
24
化する―などを理由に、「病院はリー
の上でリートと医療機関開設者との
のではないか」との認識も示した。
【メディファクス】
契約に当たっては、▽グループ内会
社を含めて経営介入を認めない▽地
)
医療法人の移行計画認定制度で手引
・
日から3年以内に出資持分を放棄す
・
ることが前提。移行計画期間中に発
▼厚労省 (H
厚生労働省は9月 日、3年間の
期間限定で持分なし医療法人への移
生した相続税や贈与税の納税が猶予
遇措置は、移行計画が認定を受けた
月から始まるのに伴い、同制度
行を促進する「移行計画認定制度」
6
9
30
15
6
40
14
考えていない」とくぎを刺した。そ
収益は出ない▽地域医療ビジョンに
15
よる機能分化で地域での役割が固定
30
の う ち、 報 告 義 務 の あ る 医 療 機 関
9
同期間中の医療事故報告数は前年
同期比 件増の763件だった。医
26
3
30
26
10
9
5
26
26
遇措置や福祉医療機構による低利の
25
松原副会長は「1人の医師に1人
の医療秘書をつける。これなくして
10
27
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
5
応する2種類の試験問題案について
委 員 会 で は「 新 」「 旧 」 教 科 書 に 対
れる一方で、日医医療秘書認定試験
見せた。
についても引き続き努力する姿勢を
べたほか、医療秘書養成の普及拡大
いよう十分配慮していきたい」と述
【メディファクス】
選 定・ 検 討 が 進 ん で い る こ と を 説
明。その上で「今後は混乱が生じな
・
と で な い と( 議 論 で き な い )」 と 一
ういうサポートが必要だ、というこ
自 民 党 I T 戦 略 特 命 委 員 会 は7
月、カードの利便性を高めて制度の
護などを理由に強い懸念を示した。
ことに対し、患者のプライバシー保
した。
るため、多職種がどのように連携し
を中心とする地域包括ケアを実現す
会合後、日本医師会の小森貴常任
理事はメディファクスの取材に「こ
から単純に容認できない」と説明。
「プライバシーの保護や安心の観点
石川常任理事は会見で、個人番号
カードに個人番号を記載することは
)
▼鈴木常任理事 (H
・
)
設された地域包括診療料と地域包括
ため2014年度診療報酬改定で新
会に出席し、主治医機能を評価する
・
主治医の評価「あるべき方向へ議論」
【メディファクス】
に考えるべき」とも述べた。
療をめぐってはマイナンバーと別個
口と出口に使われることは心配。医
険であり、保険証という医療の入り
ドが医療に入ってくること自体が危
定されると見通した。「個人番号カー
装置が必要になるなどの問題点が想
させる場合でも医療機関に読み取り
また、個人番号をICチップに内蔵
実上防ぎようがない」と指摘した。
可 能 性 が あ る。( こ の リ ス ク は ) 事
たり、便利な番号として転記される
禁止されていたとしても、盗難され
した上で「個人番号の目的外利用が
けていることも多いことなどを説明
や、健康保険証は診察中、窓口に預
コピーする行為が広まっていること
国内では商習慣として健康保険証を
・
マイナンバー、健康保険証機能に懸念
▼石川常任理事 (H
石川広己常任理事は 月1日、国
民に番号を割り振るマイナンバー制
度 を め ぐ り、 政 府 な ど が 個 人 番 号
カードに健康保険証の機能を盛り込
厚 生 労 働 省 は9月 日、「 チ ー ム
医療推進方策検討ワーキンググルー
喝する場面もあった。
ドに健康保険証の機能を付与する提
)
プ(WG)」(座長=山口徹・虎の門
同WGとしての検討結果を取りま
とめる期限は明確に定めずに議論す
・
病院顧問)を開き、日本理学療法士
る見通し。
むことに前向きな姿勢を見せている
協会など医療関係職種の各団体が要
定着・促進を図るため、個人番号カー
望している事項のうち、法律改正が
体改革)担当相もこれまで、カード
医師の包括的指示で業務の実施を
可能とするよう求める意見や、業務
合っていくかという建設的な議論
携を
を円滑に実施するには診療報酬上の
だ 」 と 指 摘。「 そ の た め の 検 討 会 の
と健康保険証の一元化に意欲を見せ
評価が必要とする意見なども出た。
在り方を日医としても厚労省に提案
ている。
法改正せずに多職種連携を推進する
【メディファクス】
鈴木邦彦常任理事は9月 日、高
松市で開かれた中国四国医師会連合
26
れから本当に大切なのは、在宅医療
方策の議論からは外れる意見だった
していきたい」と述べた。
取り組みをしていて、そのためにど
療推進のために)各団体がどういう
こ と か ら、 山 口 座 長 が「( チ ー ム 医
自由度を高めるよう求める声が続出
係団体からは、各職種の個別業務の
言をまとめた。甘利明経済再生(一
・
法改正必要ないチーム医療推進策とは
▼厚労省WGが検討開始 (H
26
●包括ケア実現のための多職種連
3
必要のない事項の検討を始めた。関
10
3
3
26
10
10
29
10
総会で医療保険などを議論した分科
28
( )
6
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
さ れ た こ と は 評 価 で き る 」「 日 々 の
以上の処方の減算規定の対象外に
議論では各県医師会が同診療料・
加 算 へ の 評 価 を 持 ち 寄 っ た。「7剤
進めていきたい」と述べた。
あるべき方向に向けて今後も議論を
ドルが高いが、われわれが主張する
財源の問題などで(算定要件の)ハー
能の充実・強化として認められた。
言者の多くが今回の日医執行部の取
界の税制要望」も議論になった。発
会場では控除対象外消費税問題の
解決に向けて日医がまとめた「医療
●消費税問題、執行部の取りまとめ
を示した。
が守られるように議論を進める考え
ない」との認識を示し、日医の主張
来に包括化が持ち込まれるものでは
これに対し、鈴木常任理事は「か
かりつけ医機能の評価であって、外
定と必ず関わってくるという懸念が
なっているが、将来的に診療報酬改
るための体制づくり、ということに
必要な医療機能を過不足なく提供す
明。「 制 度 導 入 の 時 点 で は、 地 域 に
医として十分認識している」と説
が大変ご懸念を持っていることは日
釜萢常任理事は「病床機能報告制
度とビジョンの件について、皆さま
をあらためて強調した。
懸念を払拭するために取り組む姿勢
決まってしまうのではないか」との
ていた。
か検討すべきといった意見などが出
して具体的にどのような準備が必要
場での議論を見据えて医療提供側と
導になることを懸念する声、協議の
問視する声や、ビジョン作成が県主
あった一方、協議の場の実効性を疑
同日の会合では、県庁や地方厚生
局との意見交換を始めたとの報告が
明に生かし、懸念を払拭できるよう
生労働省の)審議会などでの意見表
い た 懸 念 を し っ か り 持 ち 帰 り、( 厚
診療加算について「かかりつけ医機
真剣な医療の取り組みの評価として
あ る 」 と 述 べ た。「 本 日 た く さ ん 頂
▼中川副会長 (H
・
・
)
【メディファクス】
患者申出療養、改良型として評価
針に賛成」
(岡山県医)や「医療機関
に努める」とも述べた。
積極的に算定すべき」などの受け止
り 組 み を 評 価。「 横 倉 義 武 会 長 の 方
の規模や形態によって、いろいろな
を評価
時間対応などの算
定要件が「厳しい」との指摘や、対
意見がある。医療界が一致して行動
めが出た一方、
象疾患を高血圧と糖尿病、脂質異常
す る こ と が 大 事 」( 愛 媛 県 医 ) な ど
ある」と述べ、患者アクセスに言及。
症、認知症に限らず、がんや結核な
ている技術を除けば「1技術当たり
ど「特定疾患療養管理料」の対象疾
中川俊男副会長は 月2日、日医
と厚生労働省が開いた社会保険指導
実施医療機関」が低い点を挙げ、「(対
中川副会長は保険外併用療養の中
の評価療養を高く評価する一方、「ま
は一歩も引いていない」と述べた。
か ら 一 貫 し て い る と し、「 わ れ わ れ
民皆保険堅持に向けた考え方は従来
れることに期待を示した。また、国
ことで保険適用までの期間が短縮さ
クセスの改善に期待を示した。
言える新たな枠組みを通じた患者ア
う点は反省をしなければならない」
のみ先進医療が実施されているとい
実 が あ る 」「 実 際 に は、 一 部 の 患 者
の先進医療を受けられないという事
り、通院している人以外はせっかく
・
10
)
3
域医療構想(ビジョン)策定に向け
と し て、“ 評 価 療 養 の 改 良 型 ” と も
たガイドラインの検討が始まったこ
だまだ改善して、進化させる余地が
10
と に つ い て、「 県 主 導 で ビ ジ ョ ン が
・
開いた会合に出席し、都道府県の地
先進医療A、Bともに最も実施され
する事業税措置や、過去に実施され
者講習会で患者申出療養(仮称)に
象の)医療機関の近くに住んでいた
の意見が出た。また、診療報酬に関
が出た。「患者負担への懸念に加え、
た診療報酬による補填分の“引きは
言及し、患者アクセスの面で効果が
患まで拡大すべきだとする意見など
個別指導の対象にされるのではない
見込めることや、症例が集積される
▼釜萢常任理事 (H
28
釜萢敏常任理事は9月 日、中国
四国医師会連合が地域医療を議題に
26
ビジョン策定へ懸念払拭に努める
ある」と懸念する声もあった。
につながるのではないかとの指摘も
【メディファクス】
7
がし”などに関する発言もあった。
10
かという話も聞く。患者の囲い込み
26
24
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
7
振り返り、今後も▽公的医療給付範
経鼻気管挿管チューブの抜管▽人工
●安全性が合意できたものから始め
同日の会合では、 項目を特定行
為として研修制度を始めるべきだと
るべき
の意見が多数の委員から上がった。
呼吸器モードの設定条件の変更▽橈
抜去▽胸腔ドレーン抜去▽心嚢ド
一方で、日本医師会の釜萢敏常任理
骨動脈ラインの確保▽腹腔ドレーン
レーン抜去▽褥瘡の血流のない壊死
囲の維持▽混合診療は全面解禁しな
させない―という方針を堅持する認
組織のシャープデブリードマン▽褥
い▽株式会社を医療機関経営に参入
【メディファクス】
また、規制改革会議が3月末に「選
択療養」を提案した当初と比較し、
性・有効性の確認や将来的な保険収
識を示した。
6月に示された同会議の答申に安全
載を目指す点が盛り込まれたことを
で今後、必要に応じて特定行為を追
事 は「 こ の 制 度 を 推 進 す る た め に
加していくことは十分あり得る」と
も、安全性が合意できたものに限っ
厚生労働省はこれらの 項目を
「特に検討が必要な行為」として提
瘡・慢性創傷における腐骨除去▽病
また議員立法で提出され継続審議
となっている「女性の健康の包括的
示し、社会保障審議会・医療部会や
も述べた。
態に応じたインスリン投与量の調整
支援に関する法律案」については、
今年の通常国会で出された意見など
日本看護系大学協議会代表理事の
高田早苗委員は「各学会から意見を
)
塩崎恭久厚生労働相は 月3日の
衆院予算委員会で、政府が創設方針
女性の活躍を支える上での必要性も
を踏まえて取りまとめたと説明。特
いただいている。最初から無視する
・
を決めた患者申出療養(仮称)につ
強調。乳がん・子宮頸がんの検診で
定行為候補の各項目について反対を
・
患者申出療養、「迅速審査ができる」
▼塩崎厚労相 (H
いて、来年通常国会への健康保険法
は、2009年度から各市町村が配
表明している各学会や団体に反対意
項目は特定行為にすべきで
改正案提出に向け、具体的な運用の
布しているクーポン券配布や受診の
て始めるべき」と述べ、厚労省が提
検討を進めていることを報告した。
呼び掛け(コール・リコール)を引
なら意見をいただかないほうがいい。
は な い と 主 張。「 制 度 が 浸 透 し た 上
示した
制度の特徴としては、▽患者からの
見の補足説明を求めた結果も公表し
項目。
申し出を基点とする▽現在の先進医
き続き進めていきたいとしている。
正―の
療よりも迅速に審査が行える―の2
桐野部会長は「 項目以外につい
ては(特定行為にすることを)ご承
【メディファクス】
ご意見だったと思う」とも述べた。
特定行為に含めることは妥当という
12
会長への答弁。
項目について、安全性を担保するた
認いただいたという前提で、次回に
説明したこともあり、反対していた
め対象患者を一定範囲に制限すれば
引き続き議論をさせていただきた
)
い 」 と 述 べ た。 た だ、「 ほ と ん ど の
・
問題はないとする意見などに変更し
・
た団体も複数あった。一方で、引き
29
再検討が決まったのは、▽経口・
経鼻気管挿管チューブの位置調節▽
意見も残った。
して位置付けることが妥当か再検討
項目は再検討に
12
委員は現時点において( 項目を)
▼看護師特定行為・研修部会 (H
特定行為候補、
12
続き特定行為にすることを反対する
することを決めた。残りの
項目
月2日、看護師の特定
特定行為とすることで合意した。
7
医道審議会・保健師助産師看護師
分科会の看護師特定行為・研修部会
10
経口・経鼻気管挿管の実施▽経口・
12
26
(部会長=桐野高明・国立病院機構
理事長)は
項目について、特定行為と
12
項目は
12
点を挙げた。自民党の稲田朋美政調
つじつまが合わない」と述べた。
▽脱水の程度の判断と輸液による補
41
極力反映する努力はしていかないと、
7
た。厚労省は補足説明を求める際、
10
あらためて研修制度の枠組みなどを
10
【メディファクス】
26
41
10
行為候補として挙がっていた
のうち
12
( )
8
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
特定行為の研修最小単位は
・
区分
働きやすい環境整備、医療機関の課題は
)
厚生労働省は 月3日の「女性医
師のさらなる活躍を応援する懇談
取り組み例として紹介した。診療体
時間外勤務への配慮などを具体的な
時間正規雇用や交代制勤務、当直や
・
会 」( 座 長 = 山 本 纊 子・ 日 本 医 師 会
制の関連では医師事務補助者の活用
・
理事・日本女医会長)に、年内の報
などを挙げ、育児中の医師を含めた
▼女性医師応援懇談会 (H
●特定行為の手順書の在り方とは
告書の取りまとめに向けてたたき台
医師全体の負担を軽減するととも
)
同日の会合では、特定行為の手順
書に記載する事項についても議論し
を提示した。女性医師が働きやすい
に、職場全体の勤務環境の改善につ
・
た。厚生労働省令で定める必要があ
環境整備の進め方について、方向性
▼医道審・特定行為部会 (H
ることを踏まえ、厚労省は、①手順
などをまとめた。
理事長)は
月2日、特定行為の研
単位にする「特定行為区分」を
うな工夫」などが重要と指摘し、短
書の対象となる患者②特定行為を実
定行為が
確 保 対 策 官 は、「 個 々 の 医 療 現 場 の
医政局看護課の笹子宗一郎看護職員
い」と述べた。これに対し、厚労省
べき事項を精緻に指示する方がよ
が発生した場合の対応など、記載す
日本医師会の釜萢敏常任理事は、
「特定行為の実施後に予期せぬ事態
決に向けて取り組む方向性、取り組
目ごとに、それぞれの課題や課題解
⑤相談窓口等⑥職場の理解―の各項
医療機関などについては①勤務体
制②診療体制③保育環境④復職支援
した。
外における環境整備」に分けて記載
における環境整備」と「医療機関以
し、環境整備について「医療機関等
医が)取り組んでいるということが
組んでいることを指摘。「問題は(日
げられた事項は日医として既に取り
日本医師会の笠井英夫常任理事
は、医療機関以外での環境整備に挙
支援などを挙げた。
援センターを活用するキャリア形成
発、都道府県の医療勤務環境改善支
たキャリア教育の提供とその普及啓
なげることができるとした。医療機
区分と
厚 生 労 働 省 は こ れ ま で 、 類 似 の
特定行為をまとめた 区分を提示し
さまざまな状況のエッセンスを項目
当事者に届いていないこと」と述
がある。
B」を提示。委員からは、より細分
として、省令を定める必要がある」
み例を示した。
区分とする「案
占めた。
する「案A」と、
ていた。同日の会合では、
化する案Aを支持する意見が大勢を
と 説 明 し た 上 で、「 ど の よ う な 書 き
特定行為の研修は、特定行為区分
ごとに厚労省の指定を受けた機関が
【メディファクス】
べ、さらに周知徹底に取り組む考え
ぶりができるのか少し工夫してみた
実施する。区分を細分化することに
い」と述べた。【メディファクス】
わせた研修実施体制を整えることが
や「職場全体の公平感を得られるよ
を示した。
10
勤務体制では「働き続けやすい柔
軟な勤務形態をとれるような工夫」
できるなどの利点がある。
区
修制度で、研修の実施・受講の最小
施するに際しての確認事項③医師ま
関以外については、医学生や若い医
医道審議会・保健師助産師看護師
分科会の看護師特定行為・研修部会
項目となった場合が前提
分とする方向で一致した。ただ、特
たは歯科医師への連絡体制④行為実
師に対するライフイベントも考慮し
(部会長=桐野高明・国立病院機構
のため、特定行為とすることが妥当
たたき台は「女性医師が働き続け
やすい環境整備にかかる基本的な考
7
え 方 及 び 課 題 に つ い て( 案 )」 と 題
10
施後の医師または歯科医師への報告
26
方法―の4つを柱として示した。
7
21
10
項
26
よって、医療現場のニーズなどに合
17
21
14
目の扱い次第で、区分は減る可能性
かどうか再検討することにした
21
12
10
41
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
9
)
・
・
)
介護報酬「国民負担などバランス考慮」
▼塩崎厚労相 (H
塩崎恭久厚生労働相は 月7日の
閣議後会見で、2015年度介護報
介護人材を確保するための処遇改
善については、国民の税負担のほか
・
酬改定は介護サービスの内容や国民
保険料や自己負担も考慮する必要が
・
の収支差となるマイナス6%程度の
負担、要介護者の満足度などのバラ
あるとの認識を示した。
【メディファクス】
いと思っている」と答えた。
も 年度には都道府県が計画を見直す
だ私たちがどうこう言う段階ではな
適正化が必要とした。特に特別養護
ンスを考慮して行わなければならな
基本部分は少なくとも中小企業並み
老 人 ホ ー ム の 経 営 実 態 に 触 れ、
「巨
いと強調した。政府は介護報酬を引
があるとし、 年度、あるいは遅くと
想策定後、速やかに改定される必要」
費適正化計画については「地域医療構
位置付ける必 要 があると指 摘。医療
体制を「目指すべき医療提供体制」に
率など不合理な地域差を解消した提供
を踏まえた医療提供体制、さらに受療
ごとのあるべき病床数や平均在院日数
どに基づいて客観的に求められた地域
影した医療需要だけでなく、データな
インの中で、医療提供体制の現状を投
医療提供体制の改革については、ビ
ジョン策定に向けて国が示すガイドラ
だと求めた。
や在宅サービスの充実を進めるべき
介護職員の「処遇改善加算」の拡充
することが必要」
としている。一方、
額の内部留保の存在が確認されてい
10
る」とした上で「内部留保が蓄積し
10
き下げる方針かという質問には「ま
26
ない水準まで介護報酬水準を適正化
10
介護報酬「基本部分マイナス6%程度」
した「介護事業経営実態調査」など
から「介護サービス全体の平均収支
差率はプラス8%程度と、一般の中
小企業の水準(プラス2~3%弱)
26
よう求めている。【メディファクス】
10
▼財政審・分科会 (H
財務大臣の諮問機関である財政制
度等審議会・財政制度分科会は 月
年度介護報
年度 介 護 報 酬 改 定 へ の 対 応 で
は、厚生労働省がこのほど明らかに
るとし、
それぞれ提言を盛り込んだ。
性ある形で速やかに行う必要」があ
の拡充―の4つの制度改革を「実効
(消費税財源)などによる財政措置
都道府県の権限強化④基金の設置
の移行、地域医療構想実現に向けた
直し③国保の運営主体の都道府県へ
ン)の策定②医療費適正化計画の見
関 し て は ① 地 域 医 療 構 想( ビ ジ ョ
求めている。医療提供体制の改革に
し、介護報酬全体のマイナス改定を
6%程度」の適正化が必要と指摘
分 に つ い て「 少 な く と も マ イ ナ ス
酬改定に関して、介護報酬の基本部
ての提言をまとめた。
る建議に盛り込む医療・介護につい
8日、2015年度予算編成に関す
10
を大きく上回る」とし、介護報酬の
16
15
10
17
15
( )
10
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
旅行医学
年より雑誌『 Perfect Boat
(発
海 の 医 学
私は、
(海
行:東京カレンダー)
』で『
Medicine
of Sea
の医学)
』を定期連載している。
「遊魚船(釣
さくらクリニック(豊島区)
人( 埼
『日本水難救済会』
とは?
、
明治 年設立(名誉総裁:高円宮憲仁
親王妃久子殿下)
。全国 、
ヵ所の
救難所・支所に約
人のボラン
ティア救難所員が所属する。海難救助要
請の情報を入手した場合、昼夜を問わず
出動し、海上保安庁はじめ関係諸団体と
共同で救助活動等にあたる。また、海上
の傷病者を救う『世界唯一の“海の救急
医療:洋上救急”
』や『水難救済思想の普
及活動』
、救難活動の資機材や整備のため
、
倉 田 大 輔 “海上保安庁 ”とは?
「海上保安庁」は定員約
隻、 航 空
領海警備、航路の安全確保、海洋環境保全」
注意したい『酔泳(すいえい)
』
いる。
の『青い羽根募金』など多岐に活動して
玉県警とほぼ同数)
、船艇約
機を擁し「海難救助、海上犯罪対策、
ビング」を含めた「海の事故やケガ・病気対
など、非常に多岐の任務を担う。人命が関わ
機約
策、 法 令 」 を 扱 い、
「海上保安庁」等への取
“ 酔泳 ”
?『 飲 酒 後、 酔 っ た 状 態 で 遊 泳 す る
る「海の事故」は「短時間で強力な救助力の
投入」が欠かせない。昨今「海上保安庁」の
材を行うこともある。
事』
。平成
人のボランティア救難所員を
年 の 夏 シ ー ズ ン「 福 井 ~ 島 根 県
任務は非常に多岐に渡るため、民間救助団体
、
が救助に協力することも多い。なかでも、全
国約
擁する「日本水難救済会」が「海上保安庁」
の海」での飲酒後の遊泳による事故が続発し
た事から名付けられた。
日本での平成 年遊泳中の事故者数は
人。事故内容別では「溺水」が最も多
救助する事もある。海難救助に関する報道で
故者数は
い。その内、飲酒後の遊泳“酔泳”による事
人が死者・行方
「
(たまたま)近くにいた漁師が溺者を救助
不明者( 資料、グラフ①及び②:平成 年版
の
日本で、海の事故「海難」が発生した際、
海上保安庁、消防・警察・自衛隊が救助にあ
し た 」 と さ れ る 事 も あ る。 実 際 に は、
「知ら
45
62
%
28
「海での事故」に限定されてはいるものの、
25
人。うち
た る。 各 機 関 が 連 携 す る 事 も あ る が、
「海や
陰にある。
海難の現況と対策︿海上保安庁﹀より抜粋)
。
心的役割を担っている。
れ ざ る“ ボ ラ ン テ ィ ア 救 難 所 員 の 活 躍 ”
」が
に協力し、所属する漁船やボートを派遣し、
25
り船)
」 や「 磯 遊 び、 水 上 オ ー ト バ イ、 ダ イ
1
2
0
0
0
25
5
4
0
0
0
日本の「海」
万平方㎞となり、世界
1
2
9
8
5
4
0
0
0
22
4
5
0
2
8
4
38
日本の領土(陸地)は約 万平方㎞だが、
海の領土(領海、接続水域、排他的経済水域)
を合わせると、
第 位の面積を持つ。
4
4
7
??
70
11
2
0
0
9
船」が関与する事例では「海上保安庁」が中
6
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
11
なお、
「ほろ酔い」の定義(血液中のアルコー
~
杯」
本、 日 本 酒
「飲酒と遊泳の組合せ」が危険である事は事
~
ル 濃 度 ) は、
「ビール中瓶
合、ウィスキー・シングル
︿個人差あり﹀
。
~
実である。
“ほろ酔い”の『酔泳』が危険
前夜の深酒はどうなる?
~
時間」
体重 ㎏の成人男性で、 単位(ビール中
瓶 本、
日本酒 合、
焼酎 ・ 合)のアルコー
ルが体内から消えるまでに「約
時 間、
単 位: 約
~
ルコールがカラダから抜けるまでには約
例えば、前夜遅くまで飲酒をし、 ~ 単
位のアルコールが体内に残っている場合、ア
~
③ 運動能力の低下
④ 細かい作業力の低下
時間必要で、翌日の午前中はお酒が抜けて
いないことになる。
酒 量 と は 別 に、
「運動能力の低下」を認める
少量のアルコールで最初に現れるのは「判
断力や集中力の低下」
。本人の自覚や実際の
遊 ぶ 際 は、
「自分の身は自分で守る」事を忘
非常に安全な海」と言える。海外のビーチで
日本は各機関が「海の安全」に携わってお
り、マリンレジャーの場としては「世界でも
海外リゾートで気を付けたい事!
時は、
「実はかなり飲んでいる」と言える。
えられない「ほろ酔い」の段階で、既に正常
る」こと自体が「
“酔っている”
」
。自制心を抑
る酒量。
「
“自分自身が酔っていない”と考え
海外リゾートで「ビール」や「カクテル」
を傾ける事は「至福の時間」である。海外ビー
【遊泳~飲んだらゼッタイ泳がない
本語を話せないインストラクターと潜る」事
未経験者が、海外で初めて「体験ダイビン
グ」を行う事もある。
「レンタル機材」で、「日
【スキューバダイビング】
ら気付かれない危険もある。
やライフセーバー」不在もあり、溺れた事す
病気
負傷 8人
26人 3%
9%
チ で は、 日 本 の 海 水 浴 場 と 異 な り、
「監視員
~】
れてはならない。
生存者
17人
38%
遊泳中
飲酒
「社会におけるコミュニケーション手段」と
し て お 酒 は 非 常 に 大 切 な 役 割 を 持 つ。 た だ
し、「アルコール」
は体に様々な作用を及ぼす。
① 判 断 力 の 低 下( 全 能 感、 自 制 心 の 喪
失、自信過剰、幸福感
)
かかる「 単位:約 ~ 時間、 単位 約:
時間」
(目安で
~
7
⑤ 言語力の低下(ろ
れつが回らない)
⑥ 視野が狭くなる
9
グラフ②
飲酒をしての事故者の
死亡率(平成25年)
1
1
0
6
13
あり、体格、体質、性別で異なる)
。
9
4
② 集中力(注意力)の低下(と
っさの対
応が出来ない)
4
3
6
12
死者・
行方不明者
28人
62%
3
2
2
3
1
「アルコールに強い 弱い」など個人差があ
⑦ 平衡感覚の乱れ(千
鳥足)
︿① ⇨ ⑦へ進む﹀
13
溺水
176人
62%
遊泳中
帰還困難
74人
26%
2
60
2
4
3
!
!
グラフ①
事故内容別事故者数の
割合(平成25年)
1
1
10
!?
U
P
な判断力が鈍っている事を覚えておきたい。
or
( )
12
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
上オートバイ」の事故は他の遊泳者を巻き込
「時速数十キロ」の猛スピードで疾走する「水
では無免許で運転する事が出来る。ただし、
「特殊小型船
日 本 で の 運 転( 操 船 ) に は、
舶操縦士免許」が必要。一部の海外リゾート
【水上オートバイ】
びたい。
ター」を擁する「ダイビングショップ」を選
さ」ではなく、レベルの高い「インストラク
も あ る。 自 分 の 身 を 守 る 為 に は、
「料金の安
まない)
」ため、
救助されやすい。海外での「釣
い色)
』を着用する事で、
少なくとも「浮く(沈
イフジャケット(黄色や赤など発見されやす
があっても、
体力が尽きれば沈んでしまう。『ラ
は発見しにくく、見失いやすい。たとえ泳力
る。海での落水はうねりや波の為、船上から
る船の揺れ」により海中転落に繋がる事もあ
ポーツだが、
「作業への集中、急な波や風によ
「カジキ」などを釣る海
船をチャーターし、
外現地ツアーも多い。
「釣り」自体は安全なス
【釣り】
の身を守る」
。
等で「水に慣れる」事は結果的に「海で自分
水」に繋がり得る。日頃から「プールや海」
さの事態に対応出来ない ⇨ パニック状態 溺
浅い場所で、泳力がある人でも「溺れる」
危険はある。ただし、「泳力が無い」事は「とっ
【最低限の「泳力」は必要】
ケット』は必須のアイテムである。
⇒
~法律と危険性は別!~
『船舶職員及び小型船舶操縦者法(小型船舶
日本での“ 飲酒とフネの操縦 ”
む危険もある。
り(船釣り、磯釣り共に)
」でも『ライフジャ
操縦者の遵守事項)
』第二十三条の三十六『小
型船舶操縦者は、飲酒、薬物の影響その他の
理由により正常な操縦ができないおそれがあ
る状態で小型船舶を操縦し、又は当該状態の
者に小型船舶を操縦させてはならない』
。
小型船舶の「酒酔い操縦」の判定基準は、『船
舶がふくそうする地域(港則法及び海上交通
㎎以上』
︿道
安全法上の航路)又は遊 泳者等の付近を航行
する場合は、呼気 ℓ中 ・
0
1
5
しやすいからダメ 」と覚えておきたい。
が あ る か ら ダ メ な の で は な く、
「事故を起こ
実 に「 体 の 機 能 」 は 低 下 し て い る。
「罰則」
「酒気帯び」のアル
飲 酒 量 が ご く 僅 か で、
コール判定基準を下回っていたとしても、確
路交通法における罰則と同様﹀
。
1
!
!
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
13
を伴い、治療が遅れると数日で失
明に至る。古くから知られていた
いからである。視野障害は周辺から
「正常眼圧緑内障」というカテゴ
ことから、1990年ごろからは
緑内障健診の重要性
「緑内障」はこのタイプであり、
「緑内障は眼圧が高くなる病気で
ある」
という認識があった
(図1)
。
始まるため、通常、末期に至るまで
リーが登場した(表1)。
丸 尾 敏 之 緑内障は、何らかの原因で視神経
が障害されることにより、視野が障
視力は保たれる。
しかし、開放隅角でも眼圧が高
くないのに失明するケースが多い
害され、進行すると失明に至る疾患
3.正常眼圧緑内障は
であり、我が国における中途失明原
位である。
また、緑内障の発症と眼圧の高さ
は必ずしも関係ないため、従来から
因の第
どんな病気か?
~
㎜ とされている。し
眼圧は房水の生産と流出のバラ
ンスにより変動するもので、正常
値は
ため、正常値に入る人が圧倒的に
かし日本人はもともと角膜が薄い
どんな病気か?
本人の緑内障に占める正常眼圧緑
%以上であること
の女性に多く、急激な眼圧上昇によ
圧緑内障のことである。
ここでいう「緑内障」は日本人
の緑内障の大部分を占める正常眼
内障の割合は
多いことが分かり、その結果、日
これを説明するには、まず緑内障の
分類について述べなければならない。
が分かったのである。
り視力低下、眼痛、頭痛、嘔吐など
後者の閉塞隅角緑内障は、中年以降
緑内障は大きく分けて「開放隅角
緑内障」
と
「閉塞隅角緑内障」
がある。
2.緑内障とは
たない。
2000 ~ 2002年 に 行 わ れ 行われてきた健診レベルでの眼圧測
た緑内障疫学調査(多治見スタディ) 定は緑内障の発見にはほとんど役立
%であっ
歳以上の日本人における緑
・
されずにいるのはなぜか?
21
では、
内障の有病率は推定
%であったこと
1. %もの患者が発見
いることも明らかとなった。
ていない緑内障患者が多数潜在して
から、我が国では、未だ治療を受け
障の新規発見率は
た。さらに、同調査において、緑内
0
それは、緑内障には自覚症状がな
図1 緑内障の発症機序
Hg
70
5
89
10
1
40
90
( )
14
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
「緑内障は、視神経が障害され視野
4.緑内障はどのように
だ、最近では健診のレベルが向上し、
健診で発見されるケースも増えた。
断を確定する(図
)。
最近では OCT(光干渉断層計:
図₄)
が登場し、眼底検査で不可能な
早期の緑内障発見も可能になった。
6.されど眼圧
5.緑内障診断の実際
緑内障診断の入り口は眼底検査で
ある。視神経乳頭の陥凹拡大(図₂)
「自分は緑内障か
ほとんどの場合、
もしれない」という訴えで受診する
患者はなく、何らかの別の目の異常
緑内障の発見には眼圧はほとんど
図3 緑内障の視野狭窄
発見されているか?
発達緑内障…(生まれつき)
3
がみられた場合、視野検査により診
図2 視神経乳頭陥凹
が狭くなる病気であるが、その発症
閉塞隅角緑内障
で受診した際に偶然発見される。た
表1 緑内障の分類
は眼圧の数値とは無関係に視神経の
緑内障
続発緑内障…
(ほかの病気に併発して起きる)
眼圧に対する抵抗性の弱い人に起こ
る」。
解放隅角緑内障
繊維柱帯が詰まって
眼圧が上がるタイプ
かいほうぐうかく
正常眼圧緑内障
(NTG)
ヘいそくぐうかく
原発緑内障
せんいちゅうたい
緑内障の分類
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
15
も進行する場合は眼圧を下げる手術
存的治療が可能になったが、点眼で
近年ではすぐれた点眼薬が数多く
開 発 さ れ( 図5)
、多くの場合は保
唯一の治療である。
合、その治療は眼圧を下げることが
役立たないが、緑内障が確定した場
ある。
塞隅角緑内障の発作に対するもので
抗コリン作用によるもので、この閉
ムなどに代表される「緑内障」に禁
る。市販の風邪薬、造影剤のバリウ
い、治療が遅れると数日で失明に至
忌とされているのはこれらの薬剤の
を行う場合もある。
ただし、実際に緑内障の診断がつ
いている患者はほとんどが開放隅角
緑内障(正常眼圧緑内障)であるこ
ザー、白内障手術などが施されてお
以上、緑内障について述べたが、
結 論 は、 緑 内 障 は 有 病 率 % と 高
8.緑内障健診の必要性
と言える。
薬剤で発作を起こすことはまずない
る緑内障患者が抗コリン作用をもつ
と、閉塞隅角緑内障でも予防的レー
閉塞隅角緑内障は、中年以降の女
性に多く、急激な眼圧上昇により視
り、実際、眼科にすでに通院してい
図 5 緑内障の点眼薬
力低下、眼痛、頭痛、嘔吐などを伴
7.されど閉塞隅角緑内障
図 4 OCT による視神経乳頭解析
望まれる。
(戸塚地区)
が住民健診として確立されることが
位を占める疾患であり、緑内障健診
く、発見されにくく、失明原因の上
5
( )
16
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
頼するところは医師会担当と同じ部
もう、毎度の事になっていて頼む
のはJ TBお任せ。何を隠そう、依
何でも言える。何といっても会計が
署の同じ人。気心知れているから、
年に
度の支部旅行の年。今
ものすごく楽なのが毎回助かる。今
年は
年は京都と
年も前から確定してお
京都は歩いている。
り、しかも私は四条を中心に何度も
最近は活動範囲を小さく、ゆった
りの旅行にして欲しいという希望が
多かったため、料理に重点を置き、
京都「菊水」と翌日は京都「菊乃井」
本店を軸として決めた。
平成 年 月 日(土)薄曇りの
中、東京駅を : に出発。午前中
出 発は意
中はゆったりとした和室。くつろ
ぐにはもってこいの旅 館。しかも広
リです。
ちなみに冒頭の写真は菊水の緋毛
氈の上で我々を迎えてくれたカマキ
外と余裕がある。
く、庭の造りもきれいだ(写真 )
。
診療をして、東京駅 :
精神的に疲れたので、少し見直し。
ビールを飲んで少し眠って、 :
過ぎに京都着。
に来た感じをしっかりと伝えてくれ
いている。仲居さんの京都弁が京都
南禅寺が近くにある。途中、朝がゆ
たいとおもいました。
やっぱり閑静な老舗旅館はいい。
で有名な「南禅寺・瓢亭」を眺める。
る。なお、この庭園は夏には蛍が飛
京都に着いて、ゆったりとタクシー
で南禅寺の「菊水」という老舗料亭
少し古めの旅館だが手入れは行き届
2
ぶとのことなので、夏に一度 来てみ
17
旅館に到着(写真 )
。敷地千坪で、
00
以前に志摩観光ホテルまで行った
ときは、強行軍過 ぎてちょっと私も
15
食事は、なんと京都だけあって、
鱧を中心とした料理で皆様好評でし
1
写真2
写真3
00
20
00
写真1
1
2
9
15
-
京都にて
-
2
26
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
17
四谷支部旅行2014
曲 惠介
で開始(写真 )
。さすがに料理で宿
さて料理の方はと言うと。土瓶蒸
しの代わりに、鱧と松茸の入った椀
た。
うことで先斗町の案内は総勢
たところお酒が回ってしまったと言
終わったところで、二次 会の話をし
このまま延々と料理の話をするわ
けにも行かないので、皆様お食事が
かも知れない。
眼レフを持って先斗町へ。
と納めきれない旨を伝え、二人で一
応「あの色彩はデジイチ」じゃない
ば面白かったのに。林先生は私に「デ
)
。浴 衣 姿で 大 広 間 に 集
を決めただけのことはあって皆様満
た( 写 真
足のようでした。
られる(写真 )
。
4
才という若さ。天才
行くことになりました。本当は行け
富士の高嶺に降る雪も、京都先斗
町に降る雪も、のフレーズでお馴染
ジカメ 」でいいよねと言 うので、一
「純金では
まさかとは思ったので、
無いですよね?」と聞いたら改修し
3
まると、金箔を貼った屋根瓦に迎え
た際に古くからある物なので金箔を
板前さんは
写真7
2
5
38
名で
貼って保存していますとのことでし
写真6
写真4
写真5
( )
18
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
写真8
写真9
写真10
写真11 ペンギンはなぜか人を恐れない
みお座敷小唄にもでてくる先斗町は
鴨川のほとり京都三条から四条にか
けてある場所で、今回はその基点と
行われていた(写真 )
。これを会誌
なる場所の高瀬川のライトアップが
らせてもらう(写真 )
。
芸子さんが歩いてきたので写真を撮
ぶ雰囲気のある町。チョイと先から
さて、先斗町の中に入ると、もう
道幅は狭いが赤い提灯がずらりと並
ページの方で見てください。
色つきで 見 たい 方 は 医 師 会 ホ ー ム
でみると白黒になってしまうので、
6
のほとりにいわゆるテラスを造り、
今回は食事も終わっていたので鴨川
か)
」とは値段に格段の開きがある。
かも料理は高級割烹なので「床(ゆ
を下に聞きながら涼をとるもの。し
川の上に床をわたし、川のせせらぎ
必要だ。
「とこ」というと貴船にある
二つは天と地くらい違うので注意が
二つの「床」がある。
さて京都には、
「床(とこ)
」と「床(ゆか)
」
。この
大する方針のようだ。
なったらしい。いずれ京都全域に拡
決めたことから、町の雰囲気が良く
以上の大きさの袖看板の撤去条例を
先頃、京都では景観維持のため一定
道幅といい、提灯といい先斗町の
いい雰囲気を出している。
7
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
19
行ったときには是非、なると入りの
ラーメンを探してみて欲しい。
ここで疲れたので、タクシーで宿
へ戻る。
翌朝は、南禅寺の朝がゆも考えた
のですが昼が「菊乃井」と言う事も
分 か れて「 京 都 国 立 博 物 館 」
「京都
あり、静かに朝 食。その後、二手に
水族館」に。
私は、水族館へ出かける。見たかっ
たのはペンギンとクラゲ。
中にはいると、オオサンショウウ
オ に 出 迎 え ら れ る( 写 真 )
。日 本
ショウウオは
割は交雑種になって
とのこと。しかし、京 都のオオサン
ンショウウオや交雑種は含まれない
のオオサンショウウオで中国オオサ
で天然記念物となっているのは純血
10
ない店である。やはり九月の終わり
真 )
。なれないと入り口すら分から
御用達にしている「魯びん」
へ入る
(写
(ゆか)
」の方に行った。いつも私が
ソコにゴザを敷いて鴨川を眺める「床
字がやまいだれになっている事(写
気付かないのが、南座の提灯の座の
り南座の前へ。意外と京都の人でも
このあと、先斗町を抜け、四条の
東華菜館前を抜け、四条大橋をわた
たようです。
さて、京都のラーメンは「なると」
が入っていない。入っているラーメ
のことでした。
」
と言われたそうです。
昔からそうなのでこのままでいいと
て確認したのですが、南座の方でも
ところに問い合わせたら「変だと思っ
ラゲに集中。結構きれいなので写真
(写真
このあと、ペンギンに出迎えられ
るがイワトビペンギンはいなかった
お任せくださいとのことでした。
)
。一緒に行った林先生が大
と言うこともあって、少し肌寒いが、
をとった(写真 )
。
方は手を出さずに捕獲は専門の方に
ウオは歯が鋭くどう猛なため一般の
いるそうです。なおオオサンショウ
捕獲・保護し交雑を防ぐようにして
しまったため、純血は見つけしだい
7
ンはかなり珍しいとのこと。京 都へ
写真12 このゆったりとした泳ぎと、足の美しさに見とれる
真 )
。有る先生が提灯を作っている
写真12 生物図鑑に載せられそうな写真だ。われながら旨いと思う
「床(ゆか)
」には満足していただけ
9
11
王具足虫に集中している頃、私はク
12
8
( )
20
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
を通り抜ける。菊乃井で二回目の宴
途 中、NHK大 河の「 平 清 盛 」で
松田聖子が演じた祇園女御の墓の前
客が結構利用している。
門前には人力車よせばがあり、観光
か、観光名所が多い。八坂神社の山
この周辺は結構名店が並んでいるほ
社の処にある「菊乃井」へ向かう。
そうこうするうちに、お昼の時間
が近づいてくる。タクシーで八坂神
ていて国際色を感じました。
内。なんとフランスの方も修行され
を待つ間、女将が皆さんを板場へ案
生活はやっぱり良い。秋の味覚と色
てみてはどうでしょうか。肉なしの
この店は、京都だけでなく赤坂に
もあるので、時間のある方は行かれ
れたようでした。
など美味しい料理が続き皆様満足さ
がきれいに映っております。
PDFを見てく ださい。カラー写 真
会 誌 で は、 恐 ら く 雰 囲 気 は 伝 わ
ら ないので 医 師 会 ホ ー ム ペー ジの
京都国立博物館、京都水族館。
先斗町 「魯びん」
乃井」
翌日のお昼、京都八坂神社脇の 「菊
)
。この後、鱧しゃぶや、お作り
会を行う。
最後、私は下鴨神社・上賀茂神社
とでかけ新幹線ギリギリで乗ること
ともあって早めのお願い。女将より
真 )
。
月の時点で予
思われる。今回はその手 探りの一環
今後、高齢化が進む中、医師会の
旅行もアクティビテーは低下すると
約を入れました」と言ったら「おお
としてグルメ旅を模索してみたが結
風に編集しながら書いてみました。
(四谷地区)
お土産。四条の「いづう」の鯖寿司
はいつものJTBの新 宿区医 師 会 担
当。日程と宿・切符を準備していた
フタをとると、このよう名料理が
出てくる。栗に銀杏、鱒の魚卵に鮎
なお、今回旅行を手伝ってくれたの
な お、 今 回 の 原 稿 は 普 通 に 書 く
と面白くないので、アド街ック天国
した(写真 )
。
入らなくなって困っているとの事で
すが、実はこの虫かごを作る職人さ
10
んがいなくなってしまい、もう手に
構評判が良かったので、この方向で
きに」を聞くことが出来ました。
進めようと思っている。
良かったので今回は
と聞かれたので「前回、来たときに
「たまたま、こられましたんか?」
彩を楽しみながらお開きに。
タクシー
真
今回は足や膝の悪い方達が多いの
で、最初から掘りごたつの部屋をお
にはなったが楽しかった。
14
15
この虫かご、 月から 月にかけ
て最初の出だしで必ず出てくるので
7
だきありがとうございました。
写真15
6
の白子和え、焼鱧寿司で始まった(写
13
今回、泊まったのは南禅寺の京都・
菊水
部屋は外の眺めが良いからと言うこ
願いしました。当然、掘りごたつの
最後に、京都のお土産として全員
に「いづう」の鯖寿司が配られた(写
写真13
写真14
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
21
菅 谷 修 一 がそろわないようです。又、メンバー
昨年まではAチームは七名でした
が、出場者の高齢化が進み、メンバー
五名になりました。
毎年同じですが、今年は全チーム共
戦って総合順位を決めます。これは
までの順位を決めて、同順位同士で
て、リーグ戦を行い、一位から四位
各クラス共、四チームずつに分かれ
は八チームから構成されています。
各医師会からの参加チームは、A
BCの三クラスに分かれ、各クラス
本棋院会館で開催されました。
残念です。
では四戦全勝者がいませんでした。
チームでした。なお、我々のチーム
区 チ ー ム、 C ク ラ ス 優 勝 は 練 馬 区
チームでした。昨年優勝の目黒区は
各クラスの総合成績は表の如く
で、優勝はAクラスは練馬区医師会
Cクラス陥落を免れました。
順位は七位となり、かろうじて来年
位の北多摩戦では四勝一敗で、総合
で 四 位 と な り、 B-Ⅰ ク ラ ス の 同 順
敗、対調布戦は一勝四敗と三戦三敗
B-Ⅱ ク ラ ス で の 新 宿 区 医 師 会
チームの成績は、表の如く、対葛飾
願いしました。
分は、渋谷区医師会の小池先生にお
囲碁同好会奮闘記
第五十七回東京都医会師囲碁大会
は、平成二十六年九月二十三日の秋
が満たないチームには出場予定のな
分の日に、千代田区五番町にある日
い他の医師会からの補充ができるよ
さて、ここ数年、囲碁人口の減少
と、メンバーの高齢化が進んでいま
阿部伸之、副将菊池俊夫、三将柴田
新 宿 区 医 師 会 チ ー ム は、 B-Ⅱ ク
ラスに出場しました。選手は、大将
月に二回、第二、四土曜日の午後
ます。これは新宿区でも同様です。
す。会場を見渡しても白髪が目立ち
七位でした。Bクラスの優勝は中野
戦 は 一 勝 四 敗、 対 練 馬 戦 は 二 勝 三
うになりました。
仁太郎、二将菅谷修一で、一名不足
に興味のある方は、ぜひ参加して下
て、頑張っています。少しでも囲碁
日本棋院の蘇耀国八段の指導を受け
から神楽坂の菊池医院に集って、又
一同誓いました。
と、志満金でうなぎを食べながら、
現役のうちにAクラスに復帰しよう
(落合地区)
ました。お礼を申し上げます。
なお全体の成績表は中野区医師会
の宮嶋建昭先生から資料をいただき
さい。
今回対局した先生方は、御高齢な
がら、よく熟読し、長考していまし
た。我々も反省せねばなりません。
会場にて 左から菊池、菅谷、阿部、柴田
( )
22
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
23
(第 630 号)
Bクラス成績・勝敗表(医師会省略)
B-Ⅰチーム名
八王子
八王子
中 野
町 田
北多摩
順 位
×1~4
×1~4
○3~2
3位
○4~1
○5~0
1位
○4~1
2位
中 野
○4~1
町 田
○4~1
×1~4
北多摩
×2~3
×0~5
×1~4
B-Ⅱチーム名
葛 飾
練 馬
新 宿
調布市
順 位
○3~2
○4~1
×2~3
2位
○3~2
○3~2
3位
×1~4
4位
葛 飾
練 馬
×2~3
新 宿
×1~4
×2~3
調布市
○3~2
×2~3
4位
○4~1
1位
総合成績(医師会省略)
クラス別
優 勝
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
A
練 馬
千代田
江 東
北多摩
板 橋
足 立
目 黒
北
B
中 野
調布市
町 田
葛 飾
練 馬
八王子
新 宿
北多摩
C
練 馬
品 川
足 立(2)
世田谷
足 立(1)
目 黒
杉 並
江 東
囲碁
頁)
柴 田 仁太郎 (解答
出 題 選 者
問題
難問です。白は星のところのダメ
が空いているのを生かして活き
ます。
36
( )
24
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
完全なる人間(
)
「まったくだ。あわやという時になって、ミ
イラどもが司祭をおさえつけ術が解けた。き
みを処刑しようとする別のミイラの一群もい
たけどね」
「どういうこと?」
「ガラの大きいミイラと小さいミイラがいた
の、わかったかい?」
レてやるよ。オトコはアンタだけじゃないん
「アタシよりいい女がいたら、ノシつけてク
「浮気なんかしようもんなら、ぼこぼこだ」
「アンタねえ、褒める順序が違ってない?」
「お疲れさま。やっぱり女性は強いのが一番
あって軽症だった。
は動くのでほっとした。左の方はテストだけ
る。右の手首をざっくりやられていたが、指
来訪した時に置いたバックバックから携帯
医 薬 品 を 出 し て、 レ イ ミ ア の 傷 を 手 当 て す
「 で も 残 念 な が ら、 き み を 救 っ た の は ぼ く
「やせ我慢屋さんね」
かった」
「まいったなあ、こんなにひどいとは知らな
も一生痕が残りそうだった。
火脹れでひきつれた両手に包帯を巻いても
らう。レイミアの右手の傷もそうだが、これ
「いててて……」
くれなきゃ、アタシは今頃ヒラキだよ」
「バカね。早く見せなさい。アンタが助けて
タらなかった」
「風が吹いてたんで、縄にライターの火がア
バくない?」
二人肩を震わせて笑った。
「なによその手。もしかして、アタシよりヤ
て……」
「 も し や あ の ま ま、 ミ イ ラ が 司 祭 と 合 体 し
「なに?」
「だけど、気にかかることがひとつある」
「似たようなモンじゃない」
国書刊行会の全集は読破した」
「幻想文学愛好家と言ってくれ。少なくとも
「さすがホラー・ヲタクね。カンプクしてあ
した」
きみと合一して『完全なる人間』になろうと
「 ♀ は 男 性 で あ る 司 祭 と、 ♂ は 女 性 で あ る
「ふうん」
きいのは♂なんだ」
「当たり。司祭を処刑した小さいのが♀、大
本 庄 保 至 「アタシ達を襲ってきたのは大きい方じゃな
「オンナはきみだけだよ」
じゃない。ぼくは司祭の術にかかって身動き
「まあさか!」
い?」
「ふん、脱力させてくれるじゃない」
できなかった。司祭はきみを割った後に、ぼ
ばきばきばきぃ!
だから」
だ。その上、美人だと申し分ない」
応接室に落ち着き、ランブに火を入れる。
「だって、モテなかったんだもん」
くが司祭自身を割るよう暗示をかけた。合体
げる」
「 ア タ シ に モ テ た ん だ か ら、 モ ウ ケ モ ン で
して『完全なる人間』として復活するために」
しょ」
「そりゃそうだ」
「イカレてるわ!」
漆喰の壁から腕が二本突き出た。指をにぎ
にぎと開いたり閉じたり。
入り口には鍵がかかっていなかった。
3
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
25
ばご、ばご、ばご、ばごん!
左 は 新 鮮 だ っ た が、 右 は ボ ロ 布 み た い
だった。
落下した額縁で頭を打った。
「見ちゃいられないよ。トーシローはひっこ
どん! 「いってええっ!」
外壁をぶち壊し、異様な物体が現れた。
壇の両側に燭台があり、蝋燭に火をつけると
人類の『最初の独り』を象ったブロンズ像と
『大』
字シンボル中央の棒が浮かびあがった。
苔むした乳房に、ゴシック調のアバラ、摩滅
一方のミイラ♀もゴリラに生皮を被せたご
とく力強く、生気に満ちていた。ひび割れて
袋みたいにがっちりとたくましくなっていた。
キリと折れた。
られて、腰からソファに激突する。座板がバ
のすごい力だった。ぽいと空缶みたいに投げ
ミイラの手がいとも簡単にキャッチした。
ブロック塀を叩き割る脚力が通用しない。も
「え?」
言うが早いがレイミアはジャンプし、右か
らまわし蹴り。
ぞっとするような推測だった。
「あいつは『独り』になるため、人間という
ね。もしかすると……」
の世界を創造するほどの力があるはずだから
りはマシだろう。なにしろ、全知全能で自分
い。だけど、教義にあった『最初の独り』よ
「♂♀に分割される前の『完璧な人間』は不
「なんてバケモノなのよ、あいつ!」
居場所を教えてやるようなものだが、やつ
に暗視ができたら真闇はこっちに不利だ。ず
し た 石 段 み た い な 腹、 腐 肉 を 盛 り つ け た 尻
「こいつ、ハンパでなく強いわ! 一撃でも
食らったら、骨がぐしゃぐぐしゃよ!」
人間を殺すつもりかもしれない。人間が減る
ダレがたれている。中肉中背だったのが、砂
らり並んだ礼拝席の後に隠れ、
ランプを消す。
と、 気 の 触 れ た 造 形 家 が 刻 ん だ 女 の カ リ カ
「ええいっ!」
たびに強大になる。おそらく、墓地にいたミ
んで! アタシがやる!」
チュアみたいだった。
投げつけた。
ぼくは司祭の椅子を持ちあげ、
「できるもんかね、何十億もいる人間を皆殺
こっちから見て左半分が黒い布をぶらさげ
た司祭、右はミイラ♀だった。
ごああああああぐあああああっ!
神父の鉄拳が苦もなく粉砕する。
「ここじゃ狭くて不利だ。
礼拝堂へ行こう!」
一度死んだためか、ミイラと合体したため
か、司祭の目は焦点を欠き、口は半開きでヨ
腹底に響く咆哮をあげ、そいつはつかみか
かってきた。恐るべき偉丈夫だった。合体前
「不死身で寿命も無限大なら、いつかはでき
遠吠えが木霊する真っ暗な屋外への脱出
は、かえって危険だった。
ずん、ばりばりばり!
の人類は別よ」
「冗談じゃないわ。この地方だけでしょ。他
れないぞ。歴史は繰り返される」
界を創造し、新たな人類の祖先になるかもし
べての人類が自滅した後、あいつは新たな世
るさ。その前に人類が滅亡しなければね。す
しにするなんて」
イラどもも皆殺しにされた」
死 身 だ。 い く ら き み で も 仕 留 め る の は 難 し
より二回りは大きい。
ランプを手にして、腰をかばうレイミアの
手を引いた。
「アンタの心配が当たったようね」
「んじゃ、
責任をとってやるぜ! やあっ!」
ばしっ!
「わああっ!」
ここが見せ場と突進し、『聖域』から持っ
てきた短剣で腹部を狙った。
難なく片手で払われ、壁にぶつかった。
ぼくらは曲りくねった廊下を通り抜け、教
室ほど広さのある礼拝堂に逃げこんだ。説教
食器棚が傾き、皿やカップが降ってくる。
( )
26
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
「無謀だよ、それ」
後から作るわ。アンタの短剣、貸して」
「やってみなきゃわかんないでしょ。性器は
いと、♂♀にはならないと思うよ」
じゃないか。それに、性器を作ってからでな
「 混 合 が 進 ん で し ま っ た か ら、 も う 遅 い ん
たブチ割ればよくない?」
ぐごおおおうっ!
ていた。再生したのだ。
まだらの肉が伸びあがった。歪んだピンポ
ン玉みたいな眼球がどんよりとした光を帯び
ごわああああっ!
十五センチも進んだところだろうか。
「くうっ!」
祭壇側の壁が崩壊した。
── 直撃されたのに、棒だけ曲がってい
ない。
「どうせこのままじゃ、みつかるだけだし」
── あれ? ご本尊たる『大』シンボルが殴り倒され、
棒が抜けて転がる。
── 他はひん曲がっているのになぜだろ
う?
「たあっ!」
レイミアは両脚蹴りでかろうじて撃退し、
ふ ら つ き な が ら 体 勢 を 整 え た。 さ っ き の ソ
ラの皮のまだらになり、顔面に至っては新鮮
身に混在していた。人間の肌と変色したミイ
ぐわぎっ!
両眼を一閃した。
レイミアは机の間に潜りこんだ。空振りし
た怪物の腕の外に跳躍し、逆手の剣で怪物の
── まずい! 捕まる!
挑発しながら移動すると、怪物は机や椅子
を壊しながら寄ってきた。
「こっちだよ! バケモノ!」
けた棒だった。扱える重量かどうかわからな
がないぼくには、せめてリーチの長い武器が
素手ではかなわない。力にも敏捷さにも自信
ぼ く も 加 勢 を し な く て は な ら な い。 か と
いって短剣は奪われてしまったし、もちろん
レイミアがやられるのは時間の問題だった。
一方の怪物ときたら、短剣を刺したまま傷
は塞がっている。
なりのダメージを受けていた。
ファといい今といい、さしもの剛腕美女もか
肉と腐肉をミンチにかけてこねまわし、ブロ
濁 液 の 滴 る 顔 面 を 覆 い、 怪 物 の 背 中 が 曲
がった。
抜き身を受け取ると礼拝机に立ち、左手で
短剣を構える。
「ええ!」
一度言いだしたら聞かない性分だった。
「じゃあ、気をつけろよ」
壊れた机の山に降り飛ばされたレイミアに
向き直る。
記憶にひっかかるものがあった。
ぐわごおおおおおおっ!
説教台を蹴倒し、両腕を掲げてまたも咆哮
した。おぞましい巨体を燭台の明りが照らし
だす。
ンドの頭髪をまぶしたようなおどろおどろし
いが、とりあえず、それしかない。ぼくは部
「 う わ っ! な ん じ ゃ こ の 妖 怪 変 化 は? シュール過ぎる!」
さだった。乳房も平坦になり、左右の差異は
「やあっ!」
怪物は変容していた。進化なのかなんなの
か、正中線で分けられていた二体の組織が全
「ますますグロいわ!」
なくなっていた。
鉄や鉛とも違う感触で、ブラック・オニキ
── なんだ、これは?
屋の隅をまわり、大破した壁のそばに転がっ
必要だった。閃いたのは、大シンボルから抜
「ねえ、タケト」
ている棒を拾った。
包帯も痛々しい右手を添え、強引に裂いて
ゆく。
この時とばかり、ブロンド美女は怪物の背
後に切りかかった。
レイミアが耳打ちする。
「うん?」
「♂♀が合体して不死身になったのなら、ま
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
27
── これ、ひょっとして……。
スやアラバスターのような光沢がある。
ぐあごおおおおっ!
がかせげる!」
ところが困ったことに、ものごころついた
時から、ぼくはこの世界に馴染めなかった。
ほどの幸せはまたとなかった。
アの首をつかんだ。
怪物は平坦な頭のまま、巨体からは考えら
れないほどの素早さで上体を起こし、レイミ
世代の子供達はもちろん、一番近い関係にあ
とってそうではないのだった。大人達や同じ
ではなく、ぼくがいいと思ったことは他人に
── でもまさか、この時代にねえ……。
「よおいいっしょ!」
てからも『変人』とみなされた。
た。必死で演じ続けたにもかかわらず、下手
るためには自分の一切を殺し、他人を演じる
他人のいいと思うことがぼくにとってはそう
「くっ!」
るはずの家族でさえ同様だった。上手に生き
断末魔の絶叫ではなかった。
─ ─ 〈 集 落 が 大 き く な っ た の で、 人 々 は
『きらめく棒』に獣皮を貼って『旗』を作り、
「レイミア!」
他ない。そう気づくまで時間はかからなかっ
── 教義にあった『旗』の『きらめく棒』
じゃ?
居住地を分けた〉
ぼくは棒を振りかぶった。
「な?」
な芝居は始終ボロを出し、学校でも社会に出
─ ─ 何 か 、 神 秘 的 な 力 が あ る か も し れ
ない。
肩関節を無視した動きで、もう一方の腕が
ぼくの首を捕らえた。
包帯が滑るので力がいる。火傷の苦痛もこ
らえる。
レイミアへにじりよる怪物の死角にまわ
り、力いっぱいぶん回した。
潰れた頭部がいびつな形に再生してゆく。
斜めにまくれあがった唇からナマコのような
もあったものだ。
首の骨など簡単に砕けるはずなのに、命が
尽きていくのを楽しんでいる。おかしな知性
棒は床に落ち、ぼくはレイミアと並んでつ
りあげられた。
に身につけてきた言動にことごとく駆逐され
レイミアの常軌を逸した強さ、身を守るため
きたが、違う世界の人間とは接点の持ちよう
もいかない頃より絶えず異性から求愛されて
れの肉体を鍛えることにより、それら克服し
こぼれた眼球と目が合い、ものすごい力で
引っぱられる。
ばこん! 舌が伸び、ぼくの鼻を舐めた。猛烈に臭い唾
ていった。
恵まれない境遇に育ったレイミアは、ぼく
以上に孤独と寂寥を感じていた。彼女はおの
「たあああっ!」
液だった。
持てないほどではない。
軽くはなかったが、
空中からの爆撃膝蹴りが頭に決まる。頭蓋
骨が潰れ、頭皮の裂け目から血と脳漿が噴射
ぼくには逆にそれらが、この上ない魅力に
感じられた。レイミアの方でも、ぼくが秘か
虚をつかれた『完全なる人間』は礼拝机を
なぎ倒し、横転した。
ぼくは普通の家庭に生まれ、何一つ不自由
なく育った。不幸の多い世間にあって、これ
── きみと死ねるなら本望だ。
ぼくはレイミアといると、他の誰にも感じ
たことのない安堵に満たされる。レイミアの
に育んで来た世界にひかれたらしい。
がない。あえて拒否するまでもなく、彼らは
ようとした。生まれついての美貌ゆえ、年端
した。
── レイミア。 横腹に命中した。
「ナイス・コンビネーション!」
手で探ると包帯ごしに握り返してきた。
ぼくは手を叩き、レイミアは肩で息をしな
がら額の汗を拭った。
「この間に首を切り落とせば、再生まで時間
( )
28
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
イさん……」
「アンタさあ……、オトコの方だよ……シサ
── さよなら、またきっと逢えるよ、レ
イミア……。
握った手に力をこめようとしたが、できな
かった。すり抜ける。
はずがない。
んな結末になったところで、悔いなんかある
あった。共通の興味から旅に出て、それがこ
が、深いところで繋がっているという了解が
方 で も 同 じ ら し い。 口 喧 嘩 な ど 日 常 茶 飯 だ
恋人の行動の意味をぼくは瞬時に理解した。
「ね、お願い……」
いた。
つの情動が、怪物の中で壮絶な死闘を演じて
んできた生への執着。譲ることのできない二
になりたい男の本能と、数世紀に渡り耐え忍
が葛藤している。みずみずしい女体とひとつ
と、それを許容しまいとする女ミイラの意地
怪物の体表器官、いや、脳を含む、臓器や
骨 格 に ま で 異 変 は 起 こ っ て い た。 男 の 願 望
て、永遠に生きたいのよ……」
タを半分にさせる。コイツはアタシの言うこ
だい。アタシを半分にしたら、コイツにアン
「アタシをもう一度、あの台に乗せてちょう
状態に。
に、浮沈しながら移動する。再び左右分割の
がった。体組織が濁流に弄ばれる瓦礫のよう
悪臭を放つ湯気がおぞましい肉塊からたち
昇 り、 不 死 者 の 葛 藤 は 雄 の 欲 情 に 軍 配 が 上
「どうせ、『完全なニンゲン』になるんなら、
レイミアは何を言っているのか? 死にゆ
く前の幻聴なのか?
怪物が関心を示したのか、足が床につき、
いくらか楽になった。
い……?」
とひとつになった方がトクってモンじゃな
だよ。そんなオンナとは縁を切って、アタシ
デニムベストごとワイシャツを引き破る気
配。おそらく下着も。死ぬ前にもう一度見た
レイミアの嘲笑は雄の劣情を煽りたてる。
「ごらんよ、ほら!」
「ふっ、まだ迷ってるね……」
── やめろ! やめてくれ! ぼくなん
か死んだ方がいい!
首が絞まり、言葉が継げない。
と……!」
「 や め ろ! レ イ ミ ア! そ ん な バ カ な こ
怪物はぼくらをひきずり歩きだした。
ぼくは絶望的な気持ちで奥歯を噛みしめた。
「 わ か っ て も ら え た? な ら、 戻 り ま し ょ
う。アンタ達の墓地へ」
ぼくはレイミアを救えないばかりか、お荷
物になっている。
前と同じだ。
涙が溢れてきた。
とには逆らえないから」
だろうか。
こぼれ落ちた目玉に、淀んだ光が宿った時
のぼくの胸の痛みを、どう表現すればいいの
レイミアの呻き。 レイミアは自分を犠牲にして、ぼくの命を
救おうとしているのだ!
アタシとなった方がいいと思うけど……」
う!
「アンタ、それでマンゾクなの? ひなびた
ミイラと一緒でさあ……。それもエイエンに
ぼやけた視界に変化が起こった。なんと、
取り返しがつかないほど混濁した怪物の皮膚
「こんなキレイなカラダとひとつになりたく
ばりばりばりばり! がちゃんがちゃん!
観念しかけた時だった。
── あの世に行く方がましだ……。
── レイミアの気持ちを裏切ることにな
るけど……。
── いっそ、舌を噛んでしまおう。
── もうだめだ。死ぬよりひどいことに
なった。
が、溶岩みたいに流動しているではないか。
かった美乳を怪物野郎にさらしている。くそ
「アタシね、ババアになって死ぬなんて耐え
ない? それもエイエンに! とってもキモ
チいいわよ。これからずうっと……」
られないの。アンタと『完全なる人間』になっ
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
29
窓枠ごと壁を破り、別の何かが出現した。
むごおおおおおおおおあっ!
たもまだら状にカオスしていく。
先輩の返答には殺気が詰まっていた。分離
した司祭とミイラの体組織が湯気をあげ、ま
ぐおおおおおおおっ!
いな偉容は先のやつと変わらない。
切れをぶらさげた白眼の司祭で、ゴリラみた
変容が進んでいるだけ、まだらに分があっ
た。だが、半ミイラも負けてはいない。四つ
まだらが半ミイラを殴りつけ、腹を破られ
た半ミイラは説教壇を粉々にした。
ばこん。
なることはできない。
止めなければ絶対者である『最初の独り』に
「イッタイじゃないの!」
ぼん。どん。
「うわ!」
いきなり落っことされた。
おおおおおおおおおっ!
「シャレのわかんないオトコだね、
アンタも」
もありがたい!」
「きみといられるのなら、ぼくの命は一瞬で
チが欲しかっただけさ」
「勘違いおしでないよ。アタシは永遠のイノ
「なんてことするんだ! ぼくだけ生き残っ
たって嬉しくなんかない!」
バケモノの方が主役みたいだし」
ね。アンタの書いてる悪趣味な小説なんか、
けど、アンタいつもバケモノの立場になるよ
「アタシらが助かったから正解じゃない。だ
きだった!」
あいつも時間が経つと混ざり合う。最初の
やつが合体した直後に、もう半分を始末すべ
「墓地に残っていた半分同士がくっついた!
る余地がない。
怒鳴り合いをやっている隙に、ぼくらは部
屋の隅に逃れた。こうなってはもう介入でき
ラはまだらの股関節を捻じ曲げ、背骨をへし
ら足を出すと、聖体棚に叩きつけた。半ミイ
まだらは半ミイラを腹から蹴り破って背中か
半ミイラは立ち上がりながら、まだらに頭
突きを食らわせ、肋骨を陥没させた。怒った
うごおおおおおおおっ!
まだらが両拳を叩き降ろすと、半ミイラの
頭がかしいだ。
しゃむしゃ食った。
肉 を ご っ そ り 噛 み ち ぎ る と、 半 ミ イ ラ は む
ぎ離そうと半ミイラを連打するまだら。首の
ん這いになり不揃いな歯を剥くと、獣のよう
── もうなにがどうなってもいい!
激情にかられてまさぐろうとすると、さっ
さと胸元を合わせてしまった。
「疎外された者同士だからだろ」
絶対者を賭けた『完全な人間』達の戦いは
熾烈にして酸鼻を極めた。
折る。
にジャンプしてマダラの首に噛みついた。も
「あああ! おっぱいを揉めるのも生きてい
ぐごごごごごおおおっ!
られればこそだぞ、ケチ! それはいいとし
ふうふう息をつきながら、レイミアを抱き
しめてしゃにむに唇を重ねた。
て、また出やがった!」
「バケモノにも愛されているんじゃない? 相思相愛ってヤツ。だから、バケモノに助け
られるのよ。ミイラの時もさっきも」
れでも動きは止まらず反撃し、再生してはぶ
「そうか、じゃ、きみもバケモノか?」
「あらま! 似たようなのが、もう一匹! それも左右が逆じゃない!」
ち壊す。半分司祭だった怪物もだんだん混沌
ただでさえ目をそむけずにはいられない
両者が、強大無比な力で相手をぶち壊す。そ
がおごおおっ!
と 化 し て、 最 初 の 一 体 と 見 分 け が つ か な く
「どうせアタシは女吸血鬼よ」
ごごぐおおおっ!
「またも『完全なる人間』だ! まだ生まれ
不倶戴天の敵同士だった。相手の息の根を
たばかりらしい!」
こ っ ち か ら 見 て、 左 半 分 は ミ イ ラ ♀ だ っ
た。髑髏に近い頭部、なめし皮をつぎはぎし
た皮膚に、苔の生えた手足。右半分は黒い端
( )
30
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
なった。
火の粉と黒煙が吹きあがる中、きなくさい
煙を吸わないように伏せて、時を待つ。じれっ
貢献と言うと大げさだが。
「今だ! レイミア!」
「オッケー!」
たさに痺れた。
殴る、叩く、噛みつく、蹴飛ばす、投げる、
体当たりする、捻じる。
目を覆うばかりの肉弾戦はいつ果てるとも
なく続き、ガラクタと化した家具や備品で足
の踏み場もない。ぼくとレイミアは夜明けと
肌寒い空気が芝をさざめかせる。
「レイミア?」
特殊メーキャップされたみたいな顔の恋人
は、寝息をたてていた。
くちづけせずにいられようか。
「え? タケト? ぷっ! なんなの、その
怪物どもは上と下になり首を絞めあってい
る。動作が鈍った。ぼくとレイミアは最後の
ぼくらは『教会』に戻ってみることにした。
顔!」
力を振り絞って背中に棒を突き刺し、もう一
共に逃げ出そうと、巻き添えをくわないよう
移動していた。
匹から床まで貫いた。
ほど、怪物は強大になり、さらに甚大な被害
ぼくらが脱出してからも、怪物同士の戦い
は延々続くだろう。人里に戦闘が及んだら、
ぐに動ける状態ではなかった。
出して走った。
い。ぼくらはぶち抜かれた窓跡から外に飛び
炎は勢いよく燃えあがり煙は部屋中に充満
していた。もう一秒たりとも無駄にはできな
十年かは人様に迷惑がかからずにすむだろう。
咳き込みながら、拾っておいた『最初の独
り』のブロンズ像を金槌にして棒の端をぼん
燃え落ちた家屋から、材木や石やレンガを
どけた。
ない。
思 え な い か ら、 再 生 し て い る 途 中 か も し れ
唸り声も肉弾戦の音も聞こえない。永劫に
生きる怪物どもが火事くらいで死滅するとは
こわごわ近寄ってみる。
吹き出してから、キスを返してくる。
ぼくは腰が抜けていた。失禁していたかも
しれない。冷汗と血と埃でジーンズはねとね
居住用の部屋から礼拝堂まで全焼し、瓦礫
の山だった。
をもたらす。このまま放置はできないと考え
石にけつまづこうが、枝をひっかけようが
おかまいなしだった。草原に着くと抱き合っ
怪物どもを串刺しにした場所は、外壁から
遠くなかった。
とだった。レイミアも痣や生傷だらけで、す
たぼくは、例の棒を手元に用意しておいた。
て転がった。血と汗と煤と泥で顔も身体もど
「えええええっ!」
人間の焼死体と黒こげのミイラ。
棒に貫かれていたのは、二体のグロテスク
な怪物ではなかった。
レイミアとぼくは同時に声をあげた。
「なんでえっ?」
燃え残っている所もあったが、礼拝堂は鎮
火していた。
組みあった二体が燭台を倒し、カーテンに
火が燃え移った。舐めあげるように火の手は
ろどろだったが、ぼくらは頬をすり合せキス
まばゆさに目覚めた。太陽の位置からして
早朝だった。
ぼこ叩く。喧嘩するのは勝手だが、これで何
あがり、たちまち天井にまで広がった。
をした。
大勢の死傷者が出る。死者が増えれば増える
「タケト、出よう! 焼け死んじまう!」
「まだやるべきことがある。ぎりぎりまで粘
るつもりだ」
怪物どもは焼かれても死なないが、こっち
は 生 身 の ニ ン ゲ ン だ。 逃 げ 遅 れ た ら 命 が な
い。たとえそうでも最後の最後まで、ぼくは
チャンスを待っていた。人類へのささやかな
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
た人間が誤って自然を損なってしまっても、
を分けた。この『旗』のおかげで、増えてき
く棒』に獣皮を貼って『旗』を作り、居住地
〈集落が大きくなったので、人々は『きらめ
いかと思う。
それからあの棒だ。あれは司祭の話に登場
した『旗』に使われた『きらめく棒』じゃな
いる状態の方が自然だった。
いた時間の方が長かった。だから、分割して
とミイラは昔一人だったとはいえ、分割して
「わからないけど、ぼくはこう考える。司祭
「元に戻ったのね。でも、どうしてだろ?」
ちゃった。これから、どうしよ」
「 ね、 タ ケ ト、 ス マ ホ も な ん に も な く な っ
アだ」
入るとは思えない。とんでもないディストピ
い 人 間 達 が 住 む 楽 園 な ん か、 楽 園 の う ち に
「ほんとだ! アタシの右手も!」
「いずれにせよ、不老不死で永遠に変わらな
レイミアも、血で凝固した包帯を取った。
せいか、すっかり治っている」
「あんなにひどかった火傷が『棒』を握った
「え?」
「やっぱり!」
「少しくらい辛抱しなよ。日本男児だろ、ア
「いてててて!」
幸 せ と 言 え ば 、 こ の 上 な く 幸 せ な の だ
が……。
懲りない恋人者達は、手をつないで廃墟を
後にした。
「ぼくもそう考えてたところだ」
る辺境地!」
サファイアの瞳が輝く。
「思いっきりミステリアスな神話や伝承のあ
する力があるのじゃないだろうか。全知全能
原理はわからないけど、あの棒は未知の物
質でできていて、一度損なわれた状態を修復
くなったからである〉
で作られた『旗』でさえ、人々を守りきれな
だけ人間が増えてしまうと、『きらめく棒』
まう」
を拒む』が戒律なんだから、タタきだされち
紹介しないでくれよ。『外部からの血の流入
るはずだ。間違ってもぼくを婚約者なんぞと
われました』とかなんとかフイてさ。村人も
『親類の家に遊びに来たら、夜中、怪物に襲
しばらく、村にやっかいになればいい。な
にしろ、きみは司祭にそっくりなんだから。
( 完 )
(戸塚地区)
火傷がなくても関係がなかった。
ンタ。
ヒトがせっかく愛情をこめてんのに!」
レイミアの左手が力強く握りしめてくる。
彼女の想いを伝えるように。
人々は食に困ることなく暮らしていくことが
ではないにしろ、
『完全なる人間』には、我々
い』のがホラーの定石さ。
こともなげにレイミア。
「スマホがあっても『結界が敷かれて通じな
できた〉 〈人口増多によって先祖伝来の土地に住みき
現代人には想像もできない能力があった。そ
「それも見物だけどね」
れなくなった人々は移民を強いられた。これ
の棒の力が、不死身であっても知能を持たな
「決まってるじゃない!」
きみを他人とは思えないから歓迎してくれ
い、『完全なる人間』になりきれなかった怪
苦笑する美女にもう一言。
「それはそうと、新婚旅行はどこにする?」
物どもに働いた」
ぼくはよじれた包帯をほどいた。
( )
31
( )
32
新 宿 区 医 師 会 会 誌
市民が無差別に殺傷された。
広島、長崎の原爆投下により多数の
きこまれ、内地でも各都市の空襲、
縄、満州では多数の住民が戦闘に巻
戦争末期になると、サイパン島、沖
者は三百万人に達していた。さらに
された男性に代った工場の女性勤務
たが、一般の女性は銃後の家庭また
第十二章 大東亜戦争の評価
(その ) は職場で活動していた。そして招集
を発表し、十二月十五日に衆議院議
十三日に幣原内閣は婦人参政権付与
の自由化等改革指令を発表し、十月
一九四五年(昭和二十年)十月十
一日に、GHQは婦人の解放、教育
進力となった。
りながら、女性の権利確立政策の推
中尉は日本の女性有識者と連絡をと
CIEの米国女性エセル・ウイード
なった時、GHQの民間情報教育局
戦後の日本が、連合国軍総司令部
GHQによって支配されるように
人選挙権獲得要望書を作成した。
について相談し、九月二十四日に婦
そして、八月十八日までに東京に
居た友人達を訪ね、新しい活動計画
を考えた。
のあとに、私達は何をなすべきか」
に、平和がよみがえった安堵の気持
節団が来て、六三三四制の米国教育
一 九 四 六 年( 昭 和 二 十 一 年 ) 一
月、軍国主義的教育者の公職追放が
を希薄にさせてしまった。
たので、日本人の宗教心、宗教知識
但し、GHQの指令により宗教教
育を公立学校で行うことを禁止され
共学を目指すことになった。
ギャップを平坦化し、㈣大学教育の
設立を認め、㈢中等教育の男女間の
機関を女子に解放し、㈡女子大学の
要綱が閣議了解となり、㈠高等教育
戦後になると、一九四五年(昭和
二十年)十二月四日に女子教育刷新
に女性の入学が認められた。
れ、つづいて北海道と九州帝国大学
東北帝国大学に女性の入学が認めら
への女性の入学は認められていな
少数の女子大学があった。帝国大学
師範学校、東京女子医学専門学校と
五、 戦 後 の 日 本 女 性 社 会 的 地 位
の向上について
戦前戦中の女性の状況
戦前の日本では、男女賃金を比較
すると、女性の方が低かった。教育
一九二〇年(大正九年)に市川房
枝、平塚雷鳥らは、新婦人協会を結
参政権はなかった。
けて記述することにした。
制度では中等学校以上の男女教育の
)
戦 後 の 時 期 区 分 は『 日 本 女 性 政
策』坂東真理子著の四期区分を参考
員選挙法改正案が議会を通過した。
プランを提案し、日本はこれを受容
大東亜戦爭の原因と評価 ( にし、第一期戦後復興期、第二期高
翌 年 の 一 九 四 六 年( 昭 和 二 十 一
年)四月十日の戦後最初の衆議院選
した。但しドイツはこれを拒否し採
成し、一九二四年(大正十三年)に
婦人参政権獲得期成同盟を組織した
第一期 戦後復興期
一九四五年(昭和二十年)八月より
一九六〇年(昭和三十五年)まで
行われた。同年三月米国から教育使
を、東京都四谷区信濃町で聞いた市
一九四五年(昭和二十年)八月十
五日に昭和天皇の終戦の詔勅放送
は少なく、女子師範学校と女子高等
明治時代の日本の中等教育は男女
別学であって、女性の高等教育機関
条に法の下に平等、第二四条に両性
一九四七年(昭和二十二年)五月
三日に、施行された新憲法の第一四
同年四月に東京大学に十八人の女
子学生が入学した。
れた。
川房枝は「戦に敗れたくやしさと共
教育改革
大東亜戦争の緒戦では、日赤の看
護師は戦地の看護勤務にあたってい
が、一九四〇年(昭和十五年)に解
かった。一九一三年(大正二年)に
内容に差があった。結婚は戸主の同
度成長期、第三期安定成長期とバブ
挙 で は、 女 性 の 立 候 補 者 は 全 員 の
用しなかった。
16
原 島 三 郎 意を必要とし、妻は夫権に従い、商
二・九%で、当選者は三十九名八・
2
散させられ、大政翼賛会にくみこま
しではら
売、訴訟は夫の許可が必要で、女性
ル期、第四期グローバル経済期に分
四%を占めた。
(第 630 号)
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
33
第二期 高度経済成長期
述した。
白書は「もはや戦後ではない」と記
一九五六年(昭和三十一年)には、
日本経済は戦前の水準に達し、経済
一九五四年(昭和二十九年)には
厚生年金法が成立した。
一九四八年(昭和二十三年)に健
康保険法の改正整備が行われた。
保険法、労災保険法も制定された。
育児時間の確保が規定された。失業
労働基準法では男女同一労働同一
賃金が規定され、産前産後の休暇、
続権利が確定された。
続いて民法が改正されて、戸主制
度、家督相続が廃止され、男女平等
の平等が規定された。
結婚するのが当り前は二五%であっ
けではないが結婚したいが三六%、
結婚したいが三二%、是非というわ
一九七二年(昭和四十七年)の十
八歳以上の女性二万人の調査では、
二位の規模に拡大した。
一九六八年(昭和四十三年)に、
日本の国民総生産は米国に次ぐ世界
望まれている。
在も未だ十分でなく、更なる増加が
を作り、定員増加をはかったが、現
年)より保育所緊急整備五ヵ年計画
厚 生 省 は 一 九 六 七 年( 昭 和 四 十 三
年)には一一七一万人に増加した。
万人より、一九七〇年(昭和四十五
九五〇年(昭和二十五年)の三六五
女子教育水準は上昇し、高校短大
進学率は上昇した。女性の就業は一
が普及していった。
備えられ既製服やインスタント食品
各家庭に洗濯機、掃除機、冷蔵庫が
ら、日本経済はバブルに突入し、土
行総裁は実行し、内需拡大を行った
ラザ合意を日本の大蔵大臣と日本銀
進五ヶ国蔵相会議で合意された、プ
准された。一九八五年に行われた先
一九八五年(昭和六十年)に女子
採用昇進の差別撤廃条約が国会で批
貿易赤字が増加していた。
一九七五年より一九八五年までの
日本の対米輸出額は増加し、米国の
分の一に改正された。
一九七五年(昭和五十年)に法定
の遺産相続分が妻二分の一、子供二
一九九三年(平成五年)まで
一九七五年(昭和五十年)から
発生と破綻期
第三期 安定成長期とバブルの
が失われていった。
なり、価格面にて日本経済の優位性
をつづけたが、円がドルに対し高く
れらを乗り越えて、日本経済は成長
法のジェンダー
年)六月二十五日に公布された。同
会基本法が、一九九九年(平成十一
れた。これをうけて男女共同参画社
的参加をうたった北京宣言が採択さ
一九九五年(平成七年)に第四回
女性会議が北京で行われ、男女平等
成二十五年)よりアベノミクスが始
バブルがはじけたあと長いデフレ
経済が続いている。二〇一三年(平
現在まで
一九九三年(平成五年)より
第四期 グローバル経済期
本の内閣に女性問題担当大臣が置か
た。一九九二年(平成四年)より日
人問題推進有識者会議で討議され
共同参画型社会システムの形成が婦
和三十三年)の岩戸景気を受けて、
十年)の神武景気、一九五八年(昭
を修復した後、一九五五年(昭和三
一九五〇年(昭和二十五年)の朝
鮮戦争特需景気により、デフレ景気
日本経済へ一九七三年(昭和四十
八年)に第一次オイルショック、一
害と考えている人もみられた。
割分担は女性の能力発揮を妨げる障
が五三%と多数を占め、男女性の役
くなったら再就職を考えている女性
就職は厳しい状態となった。
後日本経済は低迷し、女子大学生の
しかし、一九九〇年(平成二年)
一月五日にバブルが崩壊すると、以
なった。
不足し、大卒女子採用の門戸が広く
地価格、株価が急上昇し、労働力は
を と る、 と は
ン Affirmative Action
「積極的是正措置」をとると訳され
とし、アファーマティブ・アクショ
については
Gender
「社会的文化的に形成された性差」
推進とあらゆる分野への女性の全面
動した。
れるようになった。
一九六十年(昭和三十五年)より
た。出産で一旦退職し、子供が大き
一 九 六 〇 年( 昭 和 三 十 五 年 ) 池 田
九八〇年(昭和五十五年)に第二次
諸子均等相続が定められた。妻の相
一九七五年(昭和五〇年)まで
勇 人 首 相 は、「 所 得 倍 増 計 画 」 を 発
一九九一年(平成三年)より男女
一九六〇年(平成三十五年)まで
日本の人口は過大であるとみなされ
少子化対策について
ている様である。
表した。この計画により日本経済は
オイルショックが襲って来たが、こ
はやと
年率一〇%以上の経済成長をとげ、
ていたが、一九七四年(昭和四十九
年)に合計特殊出生率が一・五七と
低下し、二〇〇五年(平成十七年)
戦後の平均寿命の延長と疾患の
粉と脱脂粉乳の大量の輸入があり、
餓死多数の惨事は免れることがで
三、生命の大切さと家庭の役割等に
庭 の 両 立 支 援 と 働 き 方 を 見 直 し、
子供の育成をはかり、二、仕事と家
して、一、若者の自立とたくましい
策基本法が制定され、四つの課題と
〇三年(平成十五年)には少子化対
い少子化社会対策が企画され、二〇
し、その後もエンゼルプラン、新し
この様な傾向に対して、一九九一
年(平成三年)に育児休業法が成立
( エ ) 其 の 他 の 自 殺、( オ ) 正 常 な
異 常 性 格 に 基 づ く も の が 二 七 例、
基 づ く も の が 一 五 例、( ウ ) 広 義 の
づ く も の が 五 四 例、( イ ) 変 質 症 に
例 の 考 察 で は、( ア ) 精 神 異 常 に 基
と神経症の報告があり、自殺一二三
神科医の桜井図南男少尉による自殺
によると『軍医団雑誌』の中に、精
おける自殺、戦時神経症について』
三号一九九七年の野沢浩の『軍隊に
にて行われた。労働の科学五十二巻
戦争中の日本陸軍軍人の精神疾患
の治療は、千葉県の国府台陸軍病院
ある。
八〇・〇歳、五番日本七九・九歳で
イス八〇・六歳、四番イスラエル
男性では一番アイスランド八〇・
八歳、二番香港八〇・三歳、三番ス
七歳である。
ランス八四・八歳、五番スイス八四・
三番、スペイン八四・九歳、四番フ
している。二番は香港八六・三歳、
性八六・四一歳の世界一長寿を維持
〇一三年(平成二十四年)には、女
戦後の平均寿命は年毎に延長し、二
日本の戦前の平均寿命は五十歳
で、人生五十年といわれていたが、
あったのが、一九八七年(昭和六十
五十年)に一人当たり一三・五gで
る。食塩摂取量は一九七五年(昭和
物は二八二gと一一七g減少してい
七九・七gと一〇g増え、脂肪は五
九九四年(平成六年)には、蛋白質
炭水化物三九九gであったのが、一
量は六九・七g、脂肪二四・七g、
日本の栄養調 査によると、一九六
〇年(昭和三十五年)の蛋白質摂取
傾いていった。
その代りに従来の日本食より蛋白
質、脂肪の多い、欧米風の食事へと
きた。
ついての理解を深めること、四、子
変遷
育ての新たな支え合いと連帯を強め
る自殺等があり、死への逃避と思わ
身長も戦前に比して一〇㎝高く
なっている。
六、 戦 争 中 の 精 神 疾 患 と 戦 後 の
日本の平均寿命の延長と疾
患の変遷
ること等を少子化をくいとめる政策
れるものもあった。
(昭和二十五年)頃より肺結核死亡
に一・二六と更に低水準となり、超
とした。
(イ)に属する例の官等級をみる
正常なる自殺とは、個人の責任感 戦時中に日本の食糧は欠乏状態と
から自殺を決行した例をあげている。 なった。
と、曹長1、軍曹1、一等兵4、二
少子化国となった。
以上の如く、戦中、戦後の女性の
地位は大東亜戦争の影響をうけ、特
管支炎の死亡率が減少し、肺癌の死
更に職業と出産、育児の両立を可能
等兵 、工員1で下位者に多かった。 日本人によると、ドイツが食糧不足
(ウ)に属する例の中、約六〇%は
糧が不足していたとの証言が残って
で敗戦になったと同じ位に日本も食
腸癌の増加傾向が認められ、男性の
一九五五年(昭和三十年)頃より、
肺癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、大
亡率が少しづつ増加してきた。
率が減少傾向を示し始め、肺炎、気
この様な食事の変化に伴って、年
齢調整死亡率でみると、一九五〇年
二年)に一一・七gに減少している。
八・〇gと二倍以上に増え、炭水化
に戦後は著明な改善の方向に進み、
そして、第一次大戦のときドイツ
で過し、第二次大戦を日本で過した
にする様な制度と経済的配慮の必要
性が、
国、
社会、
男性に望まれている。
いる。
一九七〇年(昭和四十五年)頃よ
り、脳血管障害による死亡率が減少
白血病が軽度増加を示した。
関 東 軍 所 属 で あ っ た、 と 記 さ れ て
ると心配されたが、米国よりの小麦
さらに終戦直後の食糧不足は深刻
で、餓死者が数百万人でる恐れがあ
いた。
毎日新聞社を参考にした。
運動史』吉武輝子、『昭和史全記録』
この項目については『日本の女性
政 策 』 坂 東 真 理 子、『 お ん な た ち の
8
( )
34
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
取量が胃癌発生に関係ありとされて
率は本土の二分の一と低く、食塩摂
取量の少ない沖縄では、胃癌の死亡
下と相関していた。以前より食塩摂
二・九〇と低下し、食塩摂取量の低
一 九 八 七 年( 昭 和 六 十 二 年 ) に は
胃 癌 死 亡 率 は 一 九 七 五 年( 昭 和
五十年)に四・八三であったのが、
してきている。
い、ルソーは「社会契約論」で人民
イ十四世は太陽王として権力をふる
対専制主義がフランスで発展し、ル
ら十八世紀になると、重商主義と絶
求が行われた。つづいて十七世紀か
ム)があり、人間らしい生き方の追
の 中 心 に 人 間 主 義( ヒ ュ ー マ ニ ズ
パ各地にひろがった。ルネッサンス
ンス(文芸復興)が始り、ヨーロッ
世紀にかけてイタリアからルネッサ
ヤ人の群衆であった。
ための日本通過ビザ発給を願うユダ
を経由して以遠の第三国へ移住する
れ、リトアニアに入り、ソ連、日本
ス・ドイツ軍の逮捕虐殺の難をのが
隣国ポーランドの西部都市よりナチ
事館の前に群衆が押し寄せてきた。
アニアの首都カウナスにある日本領
十七日バルト三国の一番南の国リト
を受章し、エルサレム及びリトアニ
一九八五年(昭和六十年)イスラエ
ルより「諸国民の中の正義の人賞」
を受けたキリスト教徒であった。
死去された。彼はロシア正教の洗礼
年(昭和六十一年)七月三十一日に
杉原千畝領事代理は戦後帰国でき、
外務省より辞職させられ、一九八六
に語ったと記述してある。
アに顕彰碑が建立され、一九九二年
いる。
日 本 史 で は、 安 土 桃 山 時 代 を ル
ネッサンス時代と比定する歴史学者
で啓蒙主義が発展した。
主義的経済学を確立し、英独仏蘭等
きの列車が発車するまで「日本通過
月三十一日から九月一日ベルリン行
断して一九四〇年(昭和十五年)七
きは昇進停止か馘首があるのに、決
保証はなく、本省の命令にそむくと
杉原領事代理は、ドイツのナチス
に問題にされると、妻、家族の命の
十一日沖縄にて戦死した陸軍大尉上
慶應義塾大学経済学部学生で、学
徒出陣により陸軍航空隊に入隊し、
二〇頁にも掲載されている。
けわだつみのこえ』岩波文庫一七
頁 に、 次 の 様 な 記 載 が あ っ た。『 き
次に『太平洋戦争下巻』文芸春秋
社、一九九五年(平成七年)の三〇五
(平成四年)に日本の議会で杉原千
があり、もしも日本統一を狙ってい
ビザ」を書きつづけた。
原良司さん二十二歳の遺書の中に、
畝の名誉回復の議決が行われたので
食道癌、胃癌が減少し、これに対し
た織田信長が、明智光秀により暗殺
公式記録では二〇九二枚のビザを
発給し、ユダヤ人六千人の命を救っ
で「自らの思索により、ファッシズ
給不可であった。
て男性では肺癌、大腸癌、膵臓癌、
されなければ、絶対主義時代が来た
たとされている。
ムは最後に敗れ、未来永久に自由の
特別攻撃隊員として一九四五年五月
)第
あの軍国主義万能とされた時代の中
は大東亜戦争の原因と評価(
-
ウナス領事館の領事代理杉原
ちカ
うね
千畝の日本外務省の指示は、ビザ発
胆嚢癌、前立腺癌が増加し、女性で
残念ながら本能寺の変により、政
権は豊臣 守旧派の徳川に移り、自
畝領事代理は「私のしたこ
杉原千
とは外交官として間違った事だった
偉大さを歴史が示しつつある」と書
主 権 論 を 主 張 し た。 英 国 で は ア ダ
一九九二年(平成四年)になると、
男性では胃癌、女性では子宮頸癌、 ム・スミスが国富論を出版し、自由
は肺癌、大腸癌、乳癌、胆嚢癌、子
由、平等、愛、幸福等の理念の検討
かもしれない。しかし、私は私を頼っ
き残されていたのを読んで、私は驚
ある。
宮体癌の増加がみられている。この
のないまま、長い封建時代に入り、
てきた何千人の人を見殺しにするこ
い た の で あ る。( こ の 遺 書 に つ い て
かくしゅ
様に食塩摂取の減少と蛋白質及び脂
二百六十五年後に開国して明治と
に大きな関連性の提示を示している。 かも知れないと言う人もある。
肪の増加は、日本の疾病構造の変遷
なったのである。
とは出来なかった。そしてそれは正
審判してくれるだろう」と幸子夫人
ちうね
七、大東亜戦争と戦後の時代は、
西洋史に存在し日本史に欠
落している絶対主義時代の
補完又は芽生えが現われた
時代と見れるのか?
所で『六千人の命のビザ』杉原幸
子著、大正出版、一九九四年(平成
ゆき
六年)の中に次の様な記載があった。 しい行動だった。私の行為は歴史が
一九四〇年(昭和十五年)七月二
ゆきこ
西洋史を読むと、中世はキリスト
教会の時代であり、暗黒時代とも呼
ばれていた。所が十四世紀から十六
12
−
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
35
直感には、ほとんど欠けているもの
は、日本に対する根本的な把握力と
インタビューしたジョン・ガンサー
次に戦後の一九五〇年(昭和二十五
年)六月に、米国の雑誌『ルック』
の日本人の中にいたのである。
碑についての中に記述してある。)
九章大東亜戦争戦没者の遺書、慰霊
が、経済が発展するだけでは幸福に
の前に立つ決意に乏しいのである
のルールに忠実であり、裸で神や仏
として生活しているためか、共同体
さて、我々は四季豊かで風光明媚
の環境に住み、島国の中に単一民族
陳述している。
て、十二歳の少年のようなもの」と
現代文明の基準で計った場合に
は、我々が四十五歳であるのに対し
らない状態にある。
日本人は時計で計った場合は古い
が、まだまだ教えを受けなければな
成熟している。
『幸福学』二〇一四年一月三日午後
二十二年)。
ニケーションズ、二〇一〇年(平成
法の教科書』髙津理絵、毎日コミュ
『あなたの人生が幸せであふれる魔
二〇一〇年(平成二十二年)。
年(平成二十年)。
法』茂木健一郎、講談社、二〇〇八
『赤毛のアンに学ぶ幸福になる方
メッセージ』野口嘉則、総合法令出
『鏡の法則、幸せを引寄せる一八の
の自由を見つめていた人が、戦時中
版、二〇〇七年(平成十九年)。
だろう」とマッカーサー総司令官が
再び自由のない生活にはかえらない
る権利を味わったからには、絶対に
すなわち自由な人間の自由でいられ
解説。
年 )、 西 洋、 中 国、 日 本 の 幸 福 論 の
放送出版協会、一九九八年(平成十
『幸福ということ』新宮秀夫、日本
るようになった。
た。そして次の様な出版物を目にす
ついて国民が考えるようになって来
以上の様に、日本史に欠落してい
た絶対主義時代の人権、自由、平等、
と教えていた。
三、絆を考え、社会につながると
二、感謝すると幸福度がます。
一、目の前の事に集中する。
『幸福力』斉藤一人、マキノ出版、
語ったと伝えている。
『しあわせのコツ』小俣和美、総合
誌の依頼でマッカーサー総司令官に
翌年、総司令官を解任されたマッ
カーサー元帥は、一九五一年(昭和
法令出版、一九九九年(平成十一年)。 愛、幸福等人間的、自然的理性を考
え尊重し、人間生活の進歩、改善、
幸福度が高くなる。
きずな
の三条件として
二十六年)五月五日に米議会上院軍
『三つに分けて人生がうまくいくイ
(出題
白 と広げようとすると、逆に黒
攻められて死んでしまいます。
失敗図
春彦、青春出版、二〇〇五年(平成
囲
碁
解
答
がないとマッカーサーを評価し「敗
なれない事に気が付き、ようやく幸
十七年)、幸せはどこにある?
戦で自信と面子を失い屈辱感を味
十時よりのNHKTVの放送で幸福
この様に共同体の和、ルールより
も、真の愛、歴史の進歩にある個人
わった日本人ではあるが、あらゆる
福の定義、幸福の作り方、幸福度に
事外交合同委員会聴聞会にてロング
ギリスの習慣』井形慶子、新潮文庫、 幸福度の増進をはかる啓蒙思想が戦
(牛込地区)
(つづく)
中、戦後に日本で発展して来ている
様に思われる。
正解図
頁)
と
白 、 に打つのが正解です。しっか
りと生きています。
1
人間の属性のうち最も貴重なもの、
議員の質問に対し「ドイツ国民は成
格と幸運、不運は深い関係がある。
1
23
3
1
熟した民族である。たとえばかりに
神学、文化の点で四十五歳だとすれ
『哲学は図で考えると面白い』白取
3
2
4
1
3
2
2
アングロ・サクソン族が科学、芸術、 二〇〇三年(平成十五年)性格、人
ば、ドイツ人はまったく同じぐらい
失敗図
正解図
( )
36
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)
な り、 ま る で 布 袋 様 が ダ イ エ ッ ト を
す。 花 が 咲 く 頃 は 葉 柄 は ほ っ そ り と
な花を順繰りに咲かせてくれていま
ベ ラ ン ダ の 水 槽 の 布 袋 葵 は、 初 夏
か ら 秋 に か け て、 う す 紫 色 の き れ い
に つ い て も、 一 週 間 後 の 新 聞 に は、
普 段 の 生 活 に お い て、 人 間 は 忘 れ
る こ と が 多 く あ り ま す。 ノ ー ベ ル 賞
肩書が関係ないのと同じです。
ツや、囲碁、将棋などの勝負事には、
のではありません。この事は、スポー
賞 す る、 し な い で、 内 容 が 変 わ る も
理事会だよりは第十一回、第十二回
のお知らせであり理事の先生方には
の熟読を期待したい。
されるとのことであるから、同省係官
る。編集委員会元担当理事によると、
なることを懸念した時宜を得た文であ
ゆかないと保険制度の維持は不可能と
て税制面での優遇措置を真剣に訴えて
し た よ う で す が、 徐 々 に 葉 柄 が 膨 ら
ほ と ん ど 記 事 が 見 当 た り ま せ ん。 人
毎々ご苦労様でございます。
整備
★認知症もの忘れ相談医養成研
修( 2 階 会 議 室 )、マ ン モ グ ラ
フィー読影会
小児科医会
東京女子医大市民公開講座(糖
マンモグラフィー読影会
尿病連携)
十七日
公開医療政策検討委員会
十五日
て美しい渓流をしばし眺めながら歩い
肺がん検診、胃レントゲン読影会、 んできて、秋の終りを告げています。
間 に は 話 す 能 力 と、 書 く 能 力 が あ り
ている。
冬にはあのどっしりとしたホテイソ
ま す。 こ の 人 間 の み に 与 え ら れ た 能
次で、日医FAXニュースは厚生労
働省を含む全国の医療ニュース、医療
の ハ ル キ ス ト が 集 ま り ま し た が、 残
ウ に な り ま す。 自 然 と は 正 直 な も の
力 を 活 か し て、 考 え て い る 事、 体 験
歴史、その周辺事情を教えて頂きあり
念 な が ら 選 ば れ ま せ ん で し た。 し か
だと感心させられます。
し た 事 等 々 を 文 章 に し て、 こ の 医 師
十八日
十九日
十一月号の巻頭言は今話題の消費税
%について、日本医師会を中心とし
九 月 に は 御 嶽 山 の 噴 火 が あ り、 多
数 の 死 傷 者 が で て、 い ま だ に 不 明 者
会 誌 に 投 稿 し て く だ さ れ ば、 さ ら に
がたい。
し、 こ の 場 合 は、 彼 の 作 品 が す ば ら
の 捜 索 が 続 い て い ま す が、 降 雪 が 心
充 実 し た 内 容 に な る の で は、 な ど と
★合同二火会
(京王プラザホテル)
★アナフィラキシー講演会(教
育センター5階 大研修室)
肺がん検診、胃レントゲン読影会
新宿区医師会誌は厚生労働省にも送付
(菅谷) 代史をわかり易く講義して頂いてる。
会員以外の青年達にも読ませたい文で
ある。
さらに充実した内容になったのでは
ています。もう一ヶ月後であったら、
賞 の 歴 史 等 に つ い て、 お 書 き に な っ
ノ ー ベ ル 賞 と い え ば、 本 医 師 会 誌
十 月 号 に、 青 柳 和 彦 先 生 が ノ ー ベ ル
美 し い 流 れ で あ り、
「湖」を見にゆく
る十和田湖に源を発し太平洋にそそぐ
の渓流は青森県と秋田県の境に位置す
しい写真である。ご承知のように、こ
表紙写真は落合石原文之先生による
「晩秋の奥入瀬渓流」と題するすばら
ある。
されることが望ましいというご提言で
次で丸尾敏之先生の失明原因の上位
を占める緑内障は住民健診として確立
なってはならないというご注意 である。
んだら泳がない。
「水 泳 」が「酔 泳」に
旅行医学は⑪となり今月は倉田大輔
先生による「海の医学」である。酒を飲
と思います。
人は流れに沿って走る道を車から降り
し い か ら 応 援 す る の で あ り、 賞 を 受
配 で す。 さ ら に 台 風 十 八 号、 十 九 号
思 い つ つ、 編 集 委 員 会 を 終 っ て 熊 谷
原島三郎先生の「大東亜戦争の原因
と評価」は十六回となった。我が国近
肺がん検診、胃レントゲン読影会
と 続 い て、 日 本 列 島 は 風 雨 に よ る 被
先 生、 須 田 欽 弥 先 生 と 夜 道 を 家 路 に
マンモグラフィー読影会
十一月医師会主要行事予定
四 日
六 日
七 日
十 日
害が甚大です。
向かうのでした。
十四日 理事会、編集委員会
十三日
十二日
★第1回健診等事業連絡会
良い報道もあります。
編集委員会、地区医師会長連絡
理事会 、マンモグラフィー読影会
廿 日
廿一日
協議会、防災委員会
健康センター委員会
二 氏 が、 青 色 発 光 ダ イ オ ー ド 開 発 に
ノ ー ベ ル 物 理 学 賞 の 発 表 が あ り、
日 本 の 赤 崎 勇 氏、 天 野 浩 氏、 中 村 修
廿五日
認知症医療体制検討会議
10
文学部門での受賞を期待して、大勢
肺がん検診、胃レントゲン読影会、 より受賞されました。
廿六日
廿七日
廿九日 医学懇話会(東京新宿メディカ
ルセンター、PM二:〇〇~)
★PM 七:三〇開始
月号に別月の行事予定を掲載したことを
お詫び申し上げます。
₁₀
(第 630 号)
新 宿 区 医 師 会 会 誌
( )
37
写真も上手である。料理の写真がカラー
次に曲恵介先生の京都への支部旅行
記である。わかり易い良い文章であり、
トの健康に負の遺産が数多く引き継が
害として私たちの住む地球、社会やヒ
した。しかしその反面、科学技術の弊
り、人類は豊かな生活を享受してきま
健康食品やサプリメント、化粧品な
どイメージによる宣伝が横行し、本当
ています。
何が真実で何が大切か分からなくなっ
れることが出来た反面、情報が氾濫し
共生して生活する為には、低炭素社会
個々に解決すると同時に融合させるこ
問題を医療コーディネーターとして
療や農業に焦点をあて、これら現代の
生活習慣病に悩まされるようになりま
康寿命は短くなり、現代病と言われる
現在、大気汚染、水質汚濁、土壌の
汚染、異常気象などの地球温暖化問題
れてしまいました。
ています。情報社会はヒューマニティー
た、うつや不眠症など心身に影響が出
安を助長する情報であふれています。ま
また都市生活におけるストレスが、心
身を蝕み、政治不信、テロの恐怖など不
を怠っています。
に身体に良いものかどうか臨床的証明
出 来 る だ け 傷 つ け ず、 心 身 を 健 康 に
させることを旨とすべきです。地球を
問 題 解 決 に 当 た り、 ま ず 原 点 に 遡
り、本質的なものを究め、全てを調和
業による食糧問題の解決、ヒューマン
の構築、循環型生活の実現や循環型農
とを期待されています。人類が地球と
ならなおおいしそうであったろう。
ました。
した。さらに人口増大による食糧危機
菅谷修一先生囲碁同好会奮戦記、写
真まで添えて下さりありがとうござい
柴田仁太郎先生囲碁の出題と解答あ
りがとうございました。
が目前に迫ってきました。
を大切にしなければなりません。
類の未来を実現する方法を提案するこ
し、本当の価値観を共有する明るい人
コミュニティの形成が必須です。
」
本庄保至先生「完全なる人間( )
ありがとうございました。九月号から
や、ヒトの寿命自体は延びた反面、健
また読み返してみました。来年も宜し
(熊谷) ◎ 本来の農業とは
古来、人間は地球上の各々の風土に
合わせて頭脳・感性・身体の全てを使っ
を促すことにより豊かな土壌は形成さ
る野菜は育ちません。自然環境の循環
す。免疫力のない土壌から免疫力のあ
農地も微生物や栄養成分が乏しく、
農薬や肥料を大量に必要としていま
らに農薬などの問題が浮上しています。
欠です。
然治癒力を引き出す診断と治療が不可
きます。また総合的医療実現には、自
ている民族伝統医療の近代化を実現で
を確立することで人類の7割が依存し
東洋の全身的医療と西洋の各臓器別
及び精神医療とを統合し、総合的医療
来したと考えるべきです。 (丹羽)
本来の姿に生まれ変わるチャンスが到
地球環境も農業も医療も身体も、ま
た個人や社会も、自然治癒力によって
とが求められています。
◎ 総合的医療が求められている
て生きてきました。頭脳と感性を駆使
自然治癒力を引き出す診断と治療の
原点に遡り、医療の根本的な見直しを
ビタミン、ミネラルの野菜などに含
まれる割合が大きく低下しています。さ
して技術を発達させ、身体を用いた技
れます。
することにより、国民の求める新しい
−
し現在に及んでいます。
医療を提供することが可能になるので
はないでしょうか。
人工の食物には、添加物や防腐剤が
含有されています。天然の食物を栽培
農業は市場にあわせた栽培法から人の
◎ 医療コーディネーターへの期待
することが大切な事業となります。
感性ばかりを用いた結果、身体を健全
健康のための栽培法に変わらなければ
繁栄と滅亡の狭間にある地球と人類
の将来に対し、本質的な変革が必要と
しかし、特に近年になって高度な情
報技術の発達に伴い、頭脳と浅く狭い
に働かせて生きようとするヒト治癒能
なりません。
◎ 身体に良いものを選ぶ困難
我々医療従事者は、環境、健康、医
考えます。
力までもがないがしろにされるように
なりました。
情 報 機 器 の 発 達 は、 個 人 で 大 量 の
データや欲しいデータを即座に手に入
平成二十六年十一月一日 印刷
平成二十六年十一月十日 発行
発行所 新 宿 区 新 宿 七 二六 四
一般社団法人新宿区医師会
発行人 新宿区上落合一 二一 十四
木 島 冨 士 雄
編集人 新宿区百人町三 二八 五
寺 尾 一 郎
印刷所 新宿区新宿五 十四 十一
英
堂
株式会社 信
電話(三三五七)六七一一
術で創意工夫をし、豊かな生活を達成
◎ 現代の環境は、ヒト治癒能力を低下
くお願い致します。 3
産業革命以降、科学技術の発達と石
油合成化学を用いた製品や医薬品によ
−
−
−
−
−
−
−
( )
38
新 宿 区 医 師 会 会 誌
(第 630 号)