シンスプリント治療についての一考察∼コンプレッションアプローチの有効性∼ 19期卒 青柳 泰史 【はじめに】 多くのスポーツ選手を悩ませる「シンスプリント」。Running 系の他、切り返し運動など の負荷が多い競技にこの障害は見られ、ほどんどのスポーツ競技に当てはまります。 この痛みに対しては安静を基本としますが、スポーツ選手にはそれだけがベストな選 択であるとは言えません。今回、「シンスプリント」に対する積極的アプローチを施し良 好な結果が得られたので報告します。 【症 状】 多くは下腿内側にひびく鈍痛。強い圧痛に熱感・腫脹を伴うことがあります。発症初 期では運動開始時に痛みを感じ、運動中に消失する事があります。悪化すると持続 的に痛みを感じるようになり、日常生活での動作にも痛みを伴うようになります。 【方 法】 使用したテープ ファン TEX3.75㎝(キネシオテープ、タカチホメディカル)他エラスチコン5.0㎝、 ホワイト3.75㎝ 対象年齢 9歳∼21歳 対象競技項目 フィギュアスケート、陸上(長距離)、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、 アメリカンフットボール、サッカー、野球 他 貼付方法 患部に合わせて還行巻きとする。貼付後に歩行、足踏み、ジャンプ、反復横跳びな どの運動を行い、痛みの状態をチェック。 【結 果】 症例数 17件(軽∼重度含むうちインソール使用者4件) 評 価 とても良好…9件 良好…7件 不良(変化なし)…1件 今回のアプローチは、テーピングを用いて下腿を圧迫するという方法で上記の評価 でした。インソールやテーピングでのアーチサポートを過去に体験した選手8名による と、下腿へのコンプレッション対応後のほうが疼痛軽減に優れているとの感想でした。 【考 察】 「シンスプリント」は足関節の底背屈運動を繰り返す事で発症します。加重ストレスを 和らげる機能は足底アーチだけではなく、足関節や膝関節などが関与している点も考 えるべきです。運動負荷による下腿部分への外力に対し、下腿の筋群には筋肥大や 腱の肥厚が起こり、それが下腿区画内圧を上昇させ痛みを誘発させていのではない かと考えられます。コンプレッションテープはその内圧の上昇を押さえ込む働きをする 為に、疼痛軽減に繋がったと考えられます。 【まとめ】 「シンスプリント」を引き起こす原因には多くの要因が関与していると思われます。今 回のコンプレッションアプローチにおいては使用するテーピングやパッドを選択するこ とでより適切な効果が得られると考えます。「その選手の競技パフォーマンスを最大 限発揮させるよう考える」。これが現場サポートのテーマです。痛みをコントロールす る事はスポーツ現場においてとても重要です。
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