高性能レーザースキャナ積載用の回転翼型 UAV の開発とテスト計測

A02
Research Abstracts on Spatial Information Science
CSIS DAYS 2015
高性能レーザースキャナ積載用の回転翼型 UAV の開発とテスト計測について
泉 岳樹 1,菅木 紀代一 2,都竹 正志 3,熊倉 清 4,塩崎 周 5
1
首都大学東京,2 (株)プロドローン,3 中日本航空(株),4 リーグルジャパン(株),5 (株)ニコン・トリンブル
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(1) 動機: 「首都大学東京無人ヘリ災害調査・支援特
別班」では,2014 年の南木曾,広島の土砂災害地,
御嶽の噴火災害地,白馬の地震災害地で,回転
翼型の UAV(無人航空機)を用いた災害状況把握
のための空撮や写真測量を行った.現場からは
UAV を用いた夜間のデータ取得の要望も受けた.
そこで,夜間でもデータ取得が可能なレーザース
キャナを積載できるマルチコプターの開発に取り組
むこととした.
小型のレーザースキャナは多く販売されている
が,サーベイ目的で使用できるものは多くない.本
研究では,2014 年に UAV 積載を想定して開発さ
れ た 超 軽 量 小 型 レ ー ザ ー ス キ ャ ナ ( RIEGL
VUX-1)を積載できる特殊設計のマルチコプター
を新たに開発し,小型 GNSS/IMU と組み合わせた
計測システムを開発し,テスト計測を行った.
VUX-1 を積載できるマルチコプターは,開発元
の RIEGL 社からも RiCOPTER という製品が発売さ
れているが,日本では使用できない周波数帯の電
波を用いていることや大型のマルチコプターの下
に積載するため視野角が 230 度に限定され,スキ
ャナの最大性能(330 度)を活かせていない.そこ
で,本研究では,日本での運用や視野角を大きくと
れる機体の開発を行った.
(2) 開発システムの概要:
新たに開発したマルチコプターは,レーザースキ
ャナの視野角を確保するために機体の中心部にく
びれを設けてある(図 1 参照).機体の中心部には
非常に大きな負荷がかかるため,強度の高いカー
ボンのパイプとカーボン板により形成した四角柱の
構造を組み合わせる特殊設計により,機体全体の
強度を確保した.この設計により 327 度の視野角を
確保した.その他の概要は次の通りである.
図 1: 新開発したマルチコプター
新型 UAV(マルチコプター)の仕様概要
・モーター軸間 1400mm,全高 400mm
・機体重量 10.5kg(飛行可能状態)
・最大ペイロード 15kg
・飛行時間 リーグル搭載時 約 15 分
・プロペラ 27 インチ
この機体に,以下の 3 つにより構成される計測シ
ステムを積載した.
・レーザースキャナ RIEGL VUX-1
・GNSS/IMU ニコン・トリンブル APX-15
・小型 PC インターフェース ETC-B116
(3) テスト計測: テスト計測は,2015 年 8 月 25 日に岐
阜県各務原市の木曽川河川敷にある一宮ヘリフラ
イヤーズで行った.
計測に当たってはコンパネ材を用いた三角柱を
横にした形のターゲットをはじめとした複数のターゲ
ット(図 2 参照)を設け,トータルステーションと地上設
置型の 3D レーザースキャナで別途計測を行った.
計測されたデータに基づき作成された点群を図 3
に示す.台風 15 号通過中の雨の合間に計測したた
め,地面や葉などが濡れており反射率が低めで樹
冠下の地面を十分には捉えられなかったが,水平
精度約 2cm 程度と概ね良好な計測結果を得ること
ができた.
今後,テスト計測を重ね,災害発生時や有人機で
の計測が困難な場所で高精度な 3 次元計測を行え
るシステムとしての完成度を高めてゆく予定である.
(4) 謝辞: テスト計測に当たっては,一宮ヘリフライヤ
ーズの林幸男会長,(株)プロドローンの岩崎三男
氏をはじめ多くの方にご協力をいただきました.機
材のオペレートは(株)クエストコーポレーションの
神谷祐司氏にお願いしました.ここに感謝の意を
表します.
図 2: テスト計測の様子
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図 3: テスト計測の結果(点群)