WJOG 5008L - cancer therapy.jp:コンセンサス癌治療

Lung Cancer̶Non-Small Cell
Local-Regional/Small Cell/Other Thoracic Cancers
# 7 512
FLASH REPORT
Poster
Discussion
Session
米国臨床腫瘍学会 2015
会期 : 2015年5月29日∼6月2日 会場:McCormick Place, Chicago, Illinois
局所進行非小細胞肺癌に対する胸部放射線療法同時併用によるTS-1+シスプラチンとビノレル
ビン+シスプラチンの無作為化第II相試験:WJOG 5008L
A randomized phase II study of TS-1 plus cisplatin versus vinorelbine plus cisplatin with concurrent thoracic radiotherapy for
locally advanced non-small cell lung cancer (LA-NSCLC): WJOG 5008L
瀬戸 貴司
九州がんセンター 呼吸器腫瘍科
*試験実施体制:WJOG 5008L試験は特定非営利活動法人西日本がん研究機構(WJOG)
が、大鵬薬品工業株式会社と研究資金提供に関する契約を締結し、実施した臨床研究である。
背景・目的・方法
●シスプラチンベースの化学療法+同時併用放射線療法は、局所進行非小細胞肺癌に対する標準治療であり、特にビノレルビン+
シスプラチン
(VP)は使用頻度の高いレジメンである。
●TS-1は放射線の増感効果を有することが知られている。
●本試験では、局所進行非小細胞肺癌に対する胸部放射線療法(TRT)同時併用でのTS-1+シスプラチン(SP)
とVPの有効性と安全性を
無作為化割り付けを行って検討した
(図1)。
結果
●適格患者112例を登録し、FAS集団および安全性解析対象(SAS)集団は両群ともいずれも54例ずつであった。
●全生存期間(OS)中央値はSP群40.9ヵ月、VP群39.0ヵ月
(ハザード比[HR]0.85、95%信頼区間[0.48-1.49])、主要評価項目で
ある2年OS率はそれぞれ75.6%、68.5%(図2)であり、両群ともに帰無仮説である50%は棄却され、対立仮説である65%を上回った。
● 無増悪生存期間(PFS)中央値はSP群14.8ヵ月、VP群12.8ヵ月(HR 0.92、95%CI 0.58-1.44)、奏効率はそれぞれ
76.9%、80.8%(表1)であった。
●頻度が高いGrade 3/4の毒性は、SP群とVP群でそれぞれ白血球数減少40.7%対79.6%、好中球数減少33.3%対75.9%、
貧血25.9%対27.8%、発熱性好中球減少症9.3%対16.7%、食欲不振13.0%対14.8%などであった(表2)。治療関連死は
それぞれ4例(7.4%)、5例(9.3%)
に認められた。
図1 試験デザイン
表1 奏効率
▲
▲
▲
合計60 Gy
地固め療法
TS-1:40 mg/m2、経口投与、1日2回、Day 1-14、29-42
シスプラチン:60 mg/m2、Day 1、29
4週毎
2-6週
▲
▲▲
▲
▲▲
▲
▲▲
合計60 Gy
図2 OS
OS中央値 2年OS
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
95%CI
80%CI
全生存率︵%︶
SP群 40.9ヵ月 75.6% 61.7%-85.0% 67.0%-82.2%
VP群 39.0ヵ月 68.5% 54.3%-79.1% 59.6%-75.8%
HR 0.85(95%CI 0.48-1.49)
p=0.57(層別log-rank検定)
0
6 12 18 24 30 36 42 48 54
観察期間(月)
40
(76.9%)
63.2%-87.5%
0.810
SP
(n=54)
地固め療法
ビノレルビン:20 mg/m2、Day 1、8、29、36
シスプラチン:80 mg/m2、Day 1、29
4週毎
SP群
(54例)
1
(1.9%)
39
(72.2%)
8
(14.8%)
3
(5.6%)
1
(1.9%)
VP群
(54例)
1
(1.9%)
41
(75.9%)
9
(16.7%)
1
(1.9%)
0
(0.0%)
42
(80.8%)
67.5%-90.4%
表2 有害事象
▲
シスプラチン
ビノレルビン
TRT
∼
∼
VP群:ビノレルビン+シスプラチン+TRT
Day
1 8 15 22 29 36 43 1 8 15 22 29 36 43
CR
PR
SD
PD
評価不能
奏効率
95%CI
p値
▲▲
層別化因子
・施設
・組織型(腺癌/非腺癌)
・性別
・Stage
R
2-6週
▲
・局所進行非小細胞肺癌
・Stage III
・75歳未満
・ECOG PS 0-1
シスプラチン
TS-1
TRT
∼
∼
SP群:TS-1+シスプラチン+TRT
Day
1 8 15 22 29 36 43 1 8 15 22 29 36 43
Adverse events
All grades
n, (%)
Hematologic toxicities
Leukopenia
52(96.3%)
Neutropenia
48(88.9%)
Thrombocytopenia
23(42.6%)
Anemia
43(79.6%)
Febrile neutropenia
5(9.3%)
Non-Hematologic toxicities
Nausea
42(77.8%)
Vomiting
10(18.5%)
Anorexia
46(85.2%)
Fatigue
37(68.5%)
Esophagitis
36(66.7%)
Mucositis
10(18.5%)
Diarrhea
19(35.2%)
Pneumonitis
13(24.1%)
AST increase
15(27.8%)
ALT increase
23(42.6%)
Total bilirubin increase
14(25.9%)
Creatinine increase
15(27.8%)
Hyponatremia
39(72.2%)
VP
(n=54)
Grade 3-4
n, (%)
All grades
n, (%)
Grade 3-4
n, (%)
22(40.7%)
18(33.3%)
5(9.3%)
14(25.9%)
5(9.3%)
54(100.0%)
51(94.4%)
12(22.2%)
48(88.9%)
9(16.7%)
43(79.6%)
41(75.9%)
2(3.7%)
15(27.8%)
9(16.7%)
2(3.7%)
1(1.9%)
7(13.0%)
2(3.7%)
2(3.7%)
0(0.0%)
3(5.6%)
5(9.3%)
0(0.0%)
0(0.0%)
0(0.0%)
0(0.0%)
10(18.5%)
41(75.9%)
13(24.1%)
48(88.9%)
39(72.2%)
40(74.1%)
9(16.7%)
9(16.7%)
11(20.4%)
15(27.8%)
25(46.3%)
8(14.8%)
28(51.9%)
35(64.8%)
2(3.7%)
0(0.0%)
8(14.8%)
2(3.7%)
0(0.0%)
0(0.0%)
0(0.0%)
4(7.4%)
2(3.7%)
4(7.4%)
0(0.0%)
0(0.0%)
4(7.4%)
(CTCAE v3.0)
まとめ
●両群ともに2年OS率に関する帰無仮説は棄却され、有望な有効性を示した。
●全般的な臨床的観点から、WJOGはいずれかのレジメンを次期臨床第III相試験の試験治療群として選択する。
この資材は学会の最新情報を掲載しています。
掲載されている薬剤の使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。