N-13 Ammonia PETによる心筋血流計測への逐次近似法の適用 国立循環器病センター放射線診療部 ○長井英仁、佐合正義、片渕哲朗、 石田良雄、三宅義徳、芳賀高志 和歌山南放射線科クリニック 岡 尚嗣 Bq/m L Bq / m L 【目的】N-13 Ammonia PETはDynamic Scanをすることにより、 45000 40000 心筋血流量の定量化が可能である。しかし、従来のFBP法によ 35000 る画像再構成では左室内腔血液の高カウントにより心筋部は 30000 25000 ストリークアーチファクトの影響を受け、精度が著しく低下 20000 15000 する可能性がある。 10000 そこで、今回我々は従来のFBP(Filtered Back Projection)法 50000 に代えて、ノイズ低減に最適な逐次近似(OSEM)法を用い、計 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Frame 測精度の改善効果について検討した。 Fig.1 左室内腔のカウント差異 【方法】ファントム実験1では、心筋ファントムの左室内腔 にN-13 Ammoniaを封入してDynamic Scanを行なった。その 1000 データをFBP法とOSEM法でそれぞれ最適なパラメータを用いて 800 再構成を行ない、左室内腔および、左室内腔近傍のアーチ 600 ファクトによる影響を検討した。 400 ファントム実験2では、臨床状態を再現するために心筋ファ 200 ントムの左室内腔にN-13 Ammoniaを、心筋部分にはF-18 FDG を封入してDynamic Scanを行なった。そして、左室内腔が心 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 筋に及ぼす影響を検討した。 Frame 心筋血流量の測定では、非冠動脈疾患10例でN-13 Ammonia Fig.2 FBP法における 左室内腔近傍へのアーチファクトの影響 PETを施行し、FBP法とOSEM法でそれぞれ再構成を行なった。 そして、2コンパートメントモデル解析よりrMBF(regional Myocardial Blood Flow)を求め、2つの画像の定量値の精度 について検討した。 【結果】ファントム実験1では、左室内腔の時間放射能曲線 は、高カウント領域から低カウント領域まで一致して、画像 再構成法の違いによる差は認められなかった。(Fig.1)しかし、 左室内腔近傍ではFBP法によるストリークアーチファクトと考 えられる周囲への影響が大きく認められた。(Fig.2) ファントム実験2では、左室内腔が高カウントであるときには、 心筋部でのOSEM法はFBP法に比較して低値を示した。左室内腔 Fig.3 内腔の高カウントが心筋部に与える影響 が低カウントのときは、両者の差は認められなかった(Fig.3) * p<0.05 ** p<0.001 臨床的検討では、rMBFは、OSEM法に比較してFBP法が高い傾 Ant Sep 向であった。AntとPostについては5~7mL/min/100 gの違い があり有意差があった。Sepは最も大きな15mL/min/100 gの差 * ** が認められたが、Latについては有意差がなかった。(Fig.4) 【結論】OSEM法を用いた心筋血流計測は、従来のFBP法に比較 して、ストリークアーチファクトの影響を受けない安定した 計測を行い得る点で有効であった。しかし、局所によっては Post Lat 定量値の違いにバラつきがあり、心筋部に与える影響は他に も原因があると考えられた。rMBFの精度改善は、今後の更な n.s * る検討が必要とされた。 FBP Tissue FBP LV OSEM Tissue OSEM LV 1200000 1000000 Bq/ m L 800000 600000 400000 200000 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 80 18 0 1 60 16 0 1 40 14 0 Bq/mL/min/100g Bq/mL/min/100g Frame 1 20 1 00 80 60 40 10 0 80 60 40 20 20 0 0 FB P O SE M 18 0 1 80 16 0 1 60 14 0 1 40 Bq/mL/min/100g Bq/mL/min/100g 12 0 12 0 10 0 80 60 40 FB P O SE M FBP OS EM 1 20 1 00 80 60 40 20 20 0 0 F BP Fig.4 OSEM rMBF のFBP法とOSEM法の比較
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