『外部対応』 11 社会との連携

『外部対応』
11 社会との連携
基準11−1
医療機関・薬局等との連携の下,医療および薬学の発展に貢献するよう努めてい
ること。
【観点
【観点
【観点
1 1 -1 -1 】地 域 の 薬 剤 師 会 ,病 院 薬 剤 師 会 ,医 師 会 な ど の 関 係 団 体 お よ び 行
政 機 関 と の 連 携 を 図 り ,医 療 や 薬 剤 師 等 に 関 す る 課 題 を 明 確 に し ,
薬学教育の発展に向けた提言・行動に努めていること。
1 1 -1 -2 】 医 療 界 や 産 業 界 と の 共 同 研 究 の 推 進 に 努 め て い る こ と 。
1 1 -1 -3 】医 療 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク へ 積 極 的 に 参 加 し ,協 力 し て い る こ と が 望
ましい。
[現状]
薬剤師の資格を持つ教員の多くは,県の薬剤師会大学支部会員として,また実務
家教員の多くは,県の病院薬剤師会の会員として,それぞれの研修会,委員会等に
参加・協力をしている。
本 学 は ,薬 剤 師 を 対 象 と し て そ れ ぞ れ 特 徴 あ る 3 つ の 生 涯 教 育 プ ロ グ ラ ム を 実 施
している。1 つは本学が主催する生涯教育講座であり,臨床の最新のテーマを取り
上げた講座である。次に,本学附属薬局が主催するリカレント講座であり,新薬に
関 連 す る 領 域 の 薬 物 治 療 お よ び 薬 剤 師 の 実 務 を テ ー マ と し た 講 座 で あ る 。三 つ 目 は ,
名古屋市立大学,静岡県立大学,本学の三公立大学共同によるリカレント講座であ
り,薬学の全領域の幅広い分野をテーマとした講座である。
[点検・評価]
<優れた点>
(1)本県には本学 1 校しかないことと,大学教員が会員(役員)となって薬剤師
会の組織に参加しているため,本学と薬剤師会と連携は極めて良好である。
(2)本学の施設を使用して,指導薬剤師養成WS,リカレント講座,薬局製剤研
修会,TDM研修会等を開催しており,実務実習以外の点でも相互の協力体制
がとられている。
<改善を要する点>
(1)薬剤師会との連絡会の開催頻度が少ない。
(2)リカレント講座に,教員および学生の参加ができると良い。
[改善計画]
(1)薬剤師会との連絡会を,年間複数回開催する。
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(2)実務実習に関する問題点について,薬剤師会の研修会・勉強会を今以上に活
用する。
(3)リカレント講座に,教員および学生が参加できるようにする。
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基準11−2
薬剤師の卒後研修や生涯教育などの資質向上のための取組に努めていること。
【観点
1 1 -2 -1 】地 域 の 薬 剤 師 会 ,病 院 薬 剤 師 会 な ど の 関 係 団 体 と の 連 携・協 力 を
図 り ,薬 剤 師 の 資 質 向 上 を 図 る た め の 教 育 プ ロ グ ラ ム の 開 発・提
供および実施のための環境整備に努めていること。
[現状]
本学は,薬剤師の生涯学習に積極的に取り生んでいる。本学主催の生涯教育とし
て岐阜薬科大学薬剤師生涯教育講座,本学附属薬局主催の生涯教育として岐阜薬科
大学附属薬局リカレント講座,東海地区三公立大学主催の生涯教育として三公立連
携 薬 剤 師 生 涯 学 習 支 援 講 座 を 開 催 し ,地 域 薬 剤 師 の 資 質 向 上 に 寄 与 し て い る 。ま た ,
岐阜県薬剤師会主催の薬局製剤研修を本学附属薬局で実施するとともに本学教員が
講師として参加し,漢方薬局製剤および一般薬局製剤の実技指導を行っている。
図 2009 年 度 岐 阜 薬 科 大 学 薬 剤 師 生 涯 教 育 講 座 の内 容
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図 平 成 21(2009)年 度 岐 阜 薬 科 大 学 附 属 薬 局 リカレント講 座 の内 容
図 平 成 21(2009)年 度 三 公 立 連 携 薬 剤 師 生 涯 学 習 支 援 講 座 の内 容
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[点検・評価]
<優れた点>
(1)本学主催(共催)の 3 つの生涯学習講座はそれぞれ特徴のあるメニューの
プログラムで構成されている。
1)岐阜薬科大学薬剤師生涯教育講座
臨床の最新のテーマを取り上げた講座であり,さまざまな分野で働く薬
剤師を受講対象としている。
2) 附 属 薬 局 リ カ レ ン ト 講 座
新薬に関連する領域の薬物治療および薬剤師の実務をテーマとした講座
であり,特に保険薬局に勤務する薬剤師にとって,直ちに業務に活用得
きる内容で構成されている。
3) 三 公 立 連 携 薬 剤 師 生 涯 学 習 支 援 講 座
薬 学 の 全 領 域 の 幅 広 い 分 野 を テ ー マ と し た 講 座 で あ る 。岐 阜 県 ,愛 知 県 ,
静岡県の 6 会場をテレビ会議システムで接続して同時中継しており,大
学から遠距離の地域(例:岐阜県下呂市など)でも受講が可能である。
ま た ,実 習 が あ る の も 特 徴 で あ り ,TDM 実 習 ,バ イ タ ル サ イ ン の 取 り 方
などの実習を行っている。
(2)地域薬剤師会,病院薬剤師会との関係が密接である。
1)岐阜県薬剤師会
岐阜県薬剤師会の理事として本学教員が就任している。また,岐阜県薬
剤師会の支部として大学支部があり,本学教員が多数所属している。こ
のために,岐阜県薬剤師会と密接に連携して薬剤師の生涯教育が行われ
ており,本学を研修場所として提供し,講師を本学教員が務めるなどの
連携体制が構築されている。
2) 岐 阜 県 病 院 薬 剤 師 会
岐阜県病院薬剤師会の特別会員として本学の実務家教員が所属している。
このために,地域病院における薬学生実務実習受け入れ体制のレベル
アップに,本学が積極的に関与している。
<改善を要する点>
(1)生涯教育の負担が大きい
主催あるいは共催する生涯教育プログラムが 3 つあり,その計画立案,
プログラムの遂行に多大な人的資源を要している。
(2)生涯教育プログラムの偏り
受講者に保険薬局に勤務する薬剤師が多いことから,生涯教育プログラ
ムの内容が臨床系のテーマに偏りやすい。
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[改善計画]
(1)生涯教育の負担軽減
3 つの生涯教育の統廃合について検討する。
(2)生涯教育プログラムの偏りの解消
アンケートによってプログラムに対する受講者の要望を聞き,生涯教育
に反映させる。
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基準11−3
地域社会の保健衛生の保持・向上を目指し,地域社会との交流を活発に行う体制
の整備に努めていること。
【観点
【観点
【観点
1 1 -3 -1 】地 域 住 民 に 対 す る 公 開 講 座 を 定 期 的 に 開 催 す る よ う 努 め て い る こ
と。
1 1 -3 -2 】地 域 に お け る 保 健 衛 生 の 保 持・向 上 に つ な が る 支 援 活 動 な ど を 積
極的に行っていることが望ましい。
1 1 -3 -3 】 災 害 時 に お け る 支 援 活 動 体 制 が 整 備 さ れ て い る こ と が 望 ま し い 。
[現状]
地域住民に対する公開講座として,
「 岐 阜 薬 科 大 学 市 民 公 開 講 座 」を 毎 年 開 講 し て
いる。また,ぎふ中日文化センター,栄中日文化センター,大垣中日文化センター
の 3 か所において「岐阜薬科大学健康科学セミナー」を毎年のそれぞれ 2 期,計 6
期開講している。この企画は,本学と同センターの提携講座として共同企画で行う
市民大学講座で,本学の教員が健康に密着したテーマを取り上げ,分かりやすく講
義するものである。
図
平 成 21( 2009) 年 度 岐 阜 薬 科 大 学 市 民 公 開 講 座 の 内 容
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図
平 成 21( 2009)年 度 岐 阜 薬 科 大 学 健 康 科 学 セ ミ ナ ー( ぎ ふ 会 場 ,後 期 )の 内 容
地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動としては,岐阜薬科大学
市民公開講座で健康保持に関するテーマを積極的に取り入れ,健康に対する市民の
意識向上に寄与している。また,本学教員は保健衛生分野の専門家として地域行政
における保健衛生の保持・向上に関連する委員会等の委員を兼務し,保健衛生の保
持・向上に寄与している。環境面においても同様に専門家として地域に貢献し,地
域行政における重要な役割を担っている。また,本学には飛騨の高地に演習園があ
り寒冷地植物について研究を行っている。その成果は自然破壊防止のための行政に
活用されている。
災害時における支援活動体制としては,本学が災害時における岐阜市の避難所に
指 定 さ れ て い る 。本 学 附 属 薬 局 は 1 日 100 枚 以 上 の 処 方 せ ん を 扱 う 保 険 薬 局 で あ り
医薬品の備蓄も行っている。したがって,災害時には,保険薬局として調剤等で寄
与するとともに,医薬品の備蓄センターとしての機能も担うことが可能である。ま
た,本学の実務家教員のうち数名は,岐阜市民病院,あるいは岐阜大学医学部附属
病院において薬剤師として診療行為を行うことが許可されており,災害時には病院
において薬剤師として支援することが可能である。
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[点検・評価]
<優れた点>
(1)量,質ともに高い水準の市民公開講座
「岐阜薬科大学市民公開講座」と「岐阜薬科大学健康科学セミナー」を合わ
せると,年に 7 シリーズの市民公開講座が企画され,それぞれのシリーズは
5∼ 6 回 の 講 義 で 構 成 さ れ て い る 。し た が っ て ,量 的 に 極 め て 高 い 水 準 の 市 民
公開講座が行われている。また,講座の内容は健康に関するテーマであり,
薬および医療の専門家である本学教員が講師を務めることから,市民にとっ
て極めて質の高い講座が提供できている。また「岐阜薬科大学健康科学セミ
ナ ー 」は ,名 古 屋 市 ,岐 阜 市 ,大 垣 市 の 中 心 部 で 開 講 し て お り ,受 講 者 に と っ
て極めてアクセスしやすい場所で行っている。
(2)保健衛生および環境面での地域社会のリーダー的役割
衛生分野の教員は地域における保健衛生,環境行政から多くの役職を委任さ
れており,地域社会への貢献度が極めて高い。また,本学の演習園を活用し
た教育研究実習は自然破壊防止対策に応用され,乗鞍地域への乗用車乗り入
れ禁止等の行政対策に大きく貢献している。
(3)災害時における支援活動体制の充実
本学の特徴として附属薬局を持ち,実際に医薬品を備蓄し,本学教員が保険
調剤も可能なこと,および実務家教員が病院で診療行為をできることがあげ
られる。したがって,災害時には本学教員が充実した支援活動をすることが
期待できる。
<改善を要する点>
(1)市民公開講座の負担が大きい
年に 7 シリーズの市民公開講座が企画されており,その計画立案,プロ
グラムの遂行に多大な人的資源を要している。
[改善計画]
(1)市民公開講座の負担の軽減
市民の要望を十分に把握したうえで,サービス低下を最小限にした効率
化対策を計画する。
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基準11−4
国際社会における保健衛生の保持・向上の重要性を視野に入れた国際交流に努め
ていること。
【観点
【観点
【観点
1 1 -4 -1 】英 文 に よ る ホ ー ム ペ ー ジ な ど を 開 設 し ,世 界 へ の 情 報 の 発 信 と 収
集が積極的に行われるよう努めていること。
1 1 -4 -2 】大 学 間 協 定 な ど の 措 置 を 積 極 的 に 講 じ ,国 際 交 流 の 活 性 化 の た め
の活動が行われていることが望ましい。
1 1 -4 -3 】留 学 生 の 受 入 や 教 職 員・学 生 の 海 外 研 修 等 を 行 う 体 制 が 整 備 さ れ
ていることが望ましい。
[現状]
本学ホームページには,英文によるホームページも開設し世界への情報発信を
行っている。
本 学 創 立 50 周 年 記 念 事 業 と し て , 姉 妹 都 市 で あ る 南 京 市 ( 中 国 ) 所 在 の 中 国 薬
科 大 学( 当 時:南 京 薬 学 院 )と の 学 術 交 流 締 結 を 1982 年 に 行 い ,そ の 後 10 年 間 に ,
姉 妹 都 市 所 在 大 学 と の 締 結 を 基 本 戦 略 と し て 学 術 交 流 の 締 結 を 行 っ て き た 。杭 州 市 ,
シンシナティ市,フィレンツェ市,カンピーナス市は岐阜市と姉妹都市であり,サ
ラマンカ市は岐阜県と友好都市である。特に,中国の大学とは日中学術事業会を設
立し,緊密な連帯のもと頻繁な学術交流が行われている。欧米諸国の諸大学とは,
講 演 交 流 を 中 心 に 学 術 交 流 が 行 わ れ て い る 。特 に , 2000 年 の Pharmaco-Millenial
2000 in Gifu で 全 交 流 大 学 か ら 研 究 者 を 招 聘 し ,国 際 薬 学 シ ン ポ ジ ウ ム を 開 催 し た 。
表 本 学 の国 際 交 流 締 結 大 学
中 国 薬 科 大 学 と は ,毎 年 教 員 を 相 互 に 派 遣 し 講 演 交 流 を 行 っ て い る 。ま た ,毎 年
共同研究者として教員の受け入れを行っている。交流当初は半年の受け入れ期間で
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あ っ た が ,1993 年 か ら は 1 年 間 に 延 長 し ,現 在 ま で に 延 べ 28 名 が 本 学 で 研 究 を 行 っ
ている。
浙 江 大 学 薬 学 院 と は ,講 演 交 流 に 加 え ,教 員 の 受 け 入 れ も 行 っ て い る 。毎 年 半 年
の 期 間 で の 共 同 研 究 者 の 受 け 入 れ を 行 っ て き た が ,現 在 は 滞 在 期 間 を 連 続 し た 1 年
に 変 更 し 隔 年 受 け 入 れ を 実 施 し て い る 。 現 在 ま で に 19 名 が 本 学 で 研 究 を 行 っ て い
る。
瀋陽薬科大学とは,講演交流を中心に学術交流が行われている。
シ ン シ ナ テ ィ 大 学 薬 学 部 と は ,共 同 開 催 に て 1993 年 に Pharmaceutical Product
Development Symposium を 開 催 し , 6 名 の 研 究 者 を 迎 え た 。 シ ン シ ナ テ ィ 大 学 へ
は研究者交流のほかに,学生の受け入れ機関となっていて,毎年 1 名を研究生とし
て派遣している。希望者の減少などの事情から,ここ何年かは隔年 1 名が留学して
いる。
同じく,米国のフロリダ大学とは,講演交流のほかに,学生の受け入れを
理 解 し て い た だ い て い る 。こ れ ま で に ,学 部 研 究 生 1 名 ,Pharm.D.コ ー ス 修 了 生 2
名を送り出している。
フ ィ レ ン ツ ェ 大 学 薬 学 部 と は ,講 演 交 流 が 主 で あ る が ,フ ィ レ ン ツ ェ 大 学 の 大 学
院 博 士 研 究 生 を 受 け 入 れ た ( 彼 女 は 本 学 に て 研 究 を 続 行 し , 現 在 本 学 助 手 で あ る )。
モナシュ大学薬学部とは歴代学長が講演交流を行い,共同研究も行われ,モナ
シュ大学学生を研究生として短期間受け入れたこともある。
サ ラ マ ン カ 大 学 お よ び カ ン ピ ー ナ ス 大 学 と は , 講 演 交 流 が 行 わ れ て い る 。 2005
年には本学教授がそれぞれの大学を訪問し講演している。
また,以上の学術交流締結大学以外からも,多くの研究者を受け入れている。
[点検・評価]
<優れた点>
(1)国際交流締結大学が多い。
(2)中国薬科大学および浙江大学薬学院とは,極めて密接な交流を行っている。
<改善を要する点>
(1)交流の希薄な大学もある。
(2)新たな大学と国際交流を締結し,活性化を図ることが必要である。
[改善計画]
共同研究等によって,研究者間では密接な交流が行われている他国の大学につい
て,国際交流締結の可能性を検討する。
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