Vol.44 No.6(2015.6.1)

新しい薬学をめざして
Vol.44 No.6
2015.6.1
発行 新薬学研究者技術者集団
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「ミニゼミ」報告から
薬価基準について(その 3)
廣田憲威
類似薬効比較方式で生じる大いなる矛盾
類似薬効比較方式は,その名のとおり既存の類似薬の 1 日薬価を基本として,新薬の薬価を
算定する方式である。すでに発売されている成分であっても,新たな適応症を取り,名称も変
えて新薬となったものは,すでに存在する適応症を持つ類似薬との比較となる。その最も典型
的な例が,トレリーフ(一般名:ゾミサミド,大日本住友)である。
トレリーフの主成分であるゾニサミドは,長年にわたりエクセグランという名称で抗てんか
ん薬として使用されてきたもので,2009 年時点の薬価はエクセグラン 100mg 1 錠 38.5 円であ
った。
製造販売会社の大日本住友は,そのゾミサミドを新たにパーキンソン病治療薬として,名称
もトレリーフと変えて新薬として発売した。その際,類似薬として薬価比較となったのはエフ
ピー錠である。
エフピー錠の 1 日薬価に有用性加算 5%が付いて,
トレリーフ 25mg 1 錠は 1,084.9
円の薬価が付いた(表 11)
。そもそもエクセグラン 100mg の薬価が 38.5 円であったことをから
すると,トレリーフの薬価は 112.7 倍に跳ね上がったことになる。大日本住友としては,エク
セグランの「効能・効果」にパーキンソン病を追加してもよかったのに,そうしなかった理由
は定かではない。
目
次
□ミニゼミ報告から
薬価基準について(その 3)
廣田憲威 ····
□福島のいま(その 21)
高浜原発と川内原発の差し止め裁判を読む
佐藤政男 ····
□世界一の原発集中立地 福井(1)
福井県の原発の状況
青山睦美 ····
□谷口美保子さんの阪大薬学部生へのゲスト講義
「薬学を学び始めたみなさんへ」を聴いて
寺岡敦子 ····
125
134
139
142
□華甲からのつぶやき(7)
DPC(診断群分類)とは(2)
DPC の構造
□食品監視員こぼれ話(その 2)
緒方信明 ····· 144
佐々僚己 ····· 147
□女性が働くとき(6)
アステラス製薬(藤沢薬品)における男女差別
裁判の記録(その 1)
仙頭史子 ····· 149
□新薬学者集団第 11 回運営委員会の報告
····· 152