「トヨタ紡織レポート2013」 を読んで 「2020年度に社会から見たありたい姿」の明確化 トヨタ紡織レポート2013では、2020Visionにおける 「2020年度に社会から見たありたい姿」 として、 「すべてのステークホルダーから信頼され、ともに成長する会社」 を明文化されました。これは長期的な 発展方向を示す理念として、非常に重要です。そして、 レポートにおいても、ステークホルダーを中心に、 ISO26000の7つの中核主題の視点から、すべての取り組みを見直しており、大きな方針と個別の活動が 一貫した体系の下で進められています。 神戸大学大学院 経営学研究科 教授 國部 克彦氏 CSR指標と活動内容の連携 Katsuhiko Kokubu 大阪市立大学大学院経営学 研究科後期博士課程修了。 博 士 ( 経 営 学 ) 。大 阪 市 立 大 学 助 教 授 、神 戸 大 学 助 教 授 を 経 て 2 0 0 1 年 より 現 職 。I S O / T C 2 0 7 / W G 8(マテリアルフ ローコスト会 計 )の 議 長 。専 門 は 社 会 環 境 会 計 、環 境 経 営 、 C S R 経 営 。主 著に、 『 環境経営 意 思 決 定 を 支 援 する会 計シス テム 』 ( 中 央 経 済 社 )、 『 マ テリ ア ルフロ ーコスト会 計 』 (日本 経 済 新 聞 出 版 社 )などが ある。 経 済 産 業 省 、環 境 省 の 各 種 委 員 会 の 委 員 長 、委 員 を 歴 任 する。 トヨタ紡織グループでは、社会活動の中期目標を詳細に設定し、各年度の活動に落とし込み、次年度の 目標を設定しています。各活動を評価するためのCSR活動指標の利用にも積極的に取り組み、活動実績や 2013年度の目標を具体的に設定されるようになってきたことは、CSR活動面での大きな進歩として評価で きます。ISO26000をベースに活動を展開されており、CSR活動の基盤は十分に構築されてきたと思いま す。今後は、統合報告でも注目されているマテリアリティ (重要性) 分析を取り入れられるならば、活動のプラ イオリティが明確になって、 より一層有効な取り組みを推進できると考えます。 ライフサイクルを重視した環境活動 トヨタ紡織グループの環境活動は、 「設計・開発」 および 「生産・物流」 が一体化して報告されており、両者の 活動の関連が分かりやすく、 この点も高く評価できます。製品の設計・開発と生産・物流は、 しばしば分離して 管理されやすいものですが、両者を一貫して管理することが次世代の環境経営には不可欠です。特に、事業 を通して環境負荷の低減を目指す場合は、製品開発のライフサイクルの視点が重要になります。環境経営 の世界では、年々サプライチェーン単位の活動に関心が高まってきていますので、 トヨタ紡織グループの 環境経営の姿勢をサプライチェーンにも拡張して、 より大きな成果をあげていただきたいと思います。 グローバル企業への展開 トヨタ紡織グループはグローバル展開に大きな力点を置いています。CSR的には、各国や地域の文化に 配慮することはもちろん、コンプライアンス関係についてもグローバル水準で対応することが求められま す。そのためには、グローバルな視点からのステークホルダー・エンゲージメントに力を入れられると、CSR 活動が充実すると同時にグローバル企業としての地歩が固まると思います。さらなる発展を期待しています。 第三者意見に応えて 2020Visionの高い経営目標、新たな課題に挑戦する中で、私たちのビジネス のフィールドは着実に拡大してきています。この環境下であるからこそ、 「すべての ステークホルダーから信頼され、 ともに成長する会社」 を目指すことが、意義深いと 実感しています。 國部先生には、今年もトヨタ紡織レポートへのご評価とご教示をいただきありが とうございます。継続してご意見をいただくことで、 CSR活動が着実に成長し、 また 常務役員 渉外広報部担当 蜂須賀 学 Manabu Hachisuka 一貫性のある活動につながっていると思います。 I SO26000をベースとしたCSR活動はまだスタートラインに立ったところです。 さらに一歩進め、 マテリアリティ分析を取り入れた統合報告へと成長できるよう、真 摯に取り組んでまいります。 またグローバル企業として、世界各地域の文化に十分に配慮するとともに、グ ローバルな視点からのステークホルダー・エンゲージメントに注力してまいります。
© Copyright 2024 ExpyDoc