大川 恭行先生

アドバンス生命理学特論
骨格筋分化運命を決定する
ゲノムマーキング機構
講 師
大川 恭行先生
九州大学医学研究院先端医療医学部門
エピジェネティクス分野
細胞が特定の細胞へと分化するには、ゲノム上に存在する 2-3
万もの遺伝子から分化特異的遺伝子が“選択”される必要がある。
リプログラミング因子と定義される転写因子が如何にしてこの選択
的な遺伝子発現を行っているかは不明なままである。MyoD は骨格
筋への分化を運命決定するマスター遺伝子として同定され、いわば
最初に発見されたリプログラミング因子であるといえる。一方で、
MyoD は骨格筋分化前から発現しており、その機能は発見から 20
年以上経過した現在でも明らかになっていない。私たちは、この
MyoD に着目し、選択的な骨格筋遺伝子発現機構の解明を試みた
結果、未分化段階の骨格筋前駆細胞で、MyoD はクロマチンリモデ
リング因子 Chd2 と協調的に働き骨格筋遺伝子の制御領域にヒスト
ンバリアント H3.3 を取り込ませることで選択的にマーキングすること
を明らかにした。これら一連の解析は、“転写因子”とされてきた
MyoD が、H3.3 の取り込みにより、特定の遺伝子発現を直接的に誘
導するのではなく、選択した遺伝子に“発現能”を付与することで分
化能を規定していることを示唆している。
システムバイオコース
1 月 15 日(水)16:00~17:30
理学 E 館 131 号室
鈴木 孝幸
[email protected]