上皮細胞の接着を 制御する化合物 名古屋大学 大学院理学研究科 附属構造生物学研究センター 研究員 天野 剛志 名古屋大学 大学院創薬科学研究科 教授 廣明 秀一 1 見出した化合物の概要 • 上皮細胞の接着タンパク質(クローディン)の内 在化に関わるタンパク質(LNX1)に結合する。 • クローディンとの相互作用を阻害する。 • クローディンが細胞膜上に存在し続ける。 細胞接着が強化される 2 タイトジャンクション(TJ)とは? 表皮 TJ 角質層 顆粒層 有棘層 基底層 物質の自由な透過を妨げる 細胞の接着装置 水やイオン:皮膚の保湿 異物:病気の予防 3 タイトジャンクション(TJ)とは? クロー ディン TJ形成 TJ内在化(消失) ドメインマップ 4 TJを制御する方法 ZO-1 PDZ1ドメイン クローディン C末端 TJ形成 LNZ1 PDZ2ドメイン TJ内在化(消失) クロー ディン 動的平衡 LNX1 PDZ2ドメインとクローディンC末端との相互作用を阻害 クローディンがTJに蓄積し、TJが強化される 5 低分子化合物の探索 C末端が結合するポケットをターゲット 24万件の化合物データ in silicoドッキング スクリーニング 候補化合物(14件)の評価 (PDB: 3VQG) マウスLNX1 PDZ2ドメインと マウスJAM4C末端ペプチドとの 複合体構造 6 PDZ2ドメインへの結合評価 NPL-1011 0当量 10当量 HSQCスペクトル 0.1 mM LNX1 PDZ2ドメイン 7 PDZ2ドメインへの結合評価 0.12 0.1 0.06 0.04 0.02 0 G1 G4 H7 S10 V13 N16 S19 E22 G25 L28 R31 E34 V37 F40 L43 G46 D49 G52 E55 D58 L61 N64 D67 F70 P73 A76 L79 A82 R85 H88 V91 Q94 δ (ppm) 0.08 アミノ酸残基 クローディンC末端が結合するポケット周辺のアミノ酸に 由来するシグナルが、化合物添加により変化している ポケットにNPL-1011が結合している 8 上皮細胞へ与える化合物の効果 コントロール anti-CLD2 NPL-1011 anti-CLD2 培地にNPL-1011を100 µM加え、48時間培養した後の MDCK II細胞をクローディン2抗体で染色 DMSOのコントロールと比較して、細胞境界面のクローディン2が 増えている クローディン2の内在化、消失が妨げられてい ると考えられる 9 想定される用途 本化合物を上皮細胞に作用させると、クローディ ンがTJにとどまり、TJの機能が強化される。 • 皮膚に塗布することで、保湿効果や異物侵入 防止効果が期待できる。 • 脳の血液脳関門を強化できる可能性を秘めて いる。 10 企業への期待 本化合物を化粧品・医薬品のシーズとして、 下記を協働できる企業を求めています。 • • • • 化合物展開 細胞実験 ヒト皮膚モデル実験 動物実験 11 お問い合わせ先 名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 e-mail chubu_seeds@aip.nagoya-u.ac.jp 理学研究科 附属構造生物学研究センター 天野 剛志 e-mail tenno.takeshi@e.mbox.nagoya-u.ac.jp 創薬科学研究科 廣明 秀一 e-mail hiroaki.hidekazu@f.mbox.nagoya-u.ac.jp 12
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