書名:建築学講義録 1 巻から 3 巻 著者・編者:滝大吉 出版年代:明治 31∼42 年(1897∼1909) 出版所:東京:建築書院 蔵書場所:国会図書館 左官構法が本邦式を主として欧米式を従とした技術 書である。 出版時期の主な出来事 明治 36 年実業(専門)学校令改正/メタルラスが大阪で の第 5 回勧業博覧会に紹介/住友家須磨別邸:野口孫市、 日高絆二、木造軸組住宅で、外壁ラスモルタル塗り仕上 げの最初の例 出版時の価格:85 銭 左官職人 1 日の手間:46.0 銭 左官関連の記述:左官職 材料−工法−と記載。木摺り、煉瓦下地への対応がある。 ○材料:石灰、蠣灰、角叉、布海苔、苆、棕櫚縄、小舞縄、苫、上塗土、ヘナ土 ○施工洋式: 木摺、 セメント塗 ○施工和式(調合のみ) :木摺漆喰、煉瓦漆喰、屋根漆喰、泥大津、黄大津、 茶大津。 木々もすっかり芽吹き、新緑の葉が茂る 建築学講義録は、著者が滝大吉で明治 31∼42 年に刊行された。滝大吉は、明治時 代に陸軍省を中心に活躍した建築家で、建築雑誌 5(58),253-259,1891−10−28 に『仕 季節となりました。そこかしこで新入生の 樣書經費明細書』が掲載されている。建築学講義録には、セメントモルタルの使用が示 姿も見かけます。引き続き、明治期の建築 されており、塗り回数を1回で仕上げることを示している。セメントは、当時で高価 技術書から左官関連の書籍を紐解きます。 (編集部) であったため石灰を混入していた。その配合は、セメント:石灰:砂=1:2:5 とす るとしている。 3.6.4 建築技術書や左官装飾の 書名:和洋建築工事仕様設計實例(上・下) 技術書の存在 著者・編者:田中豊太郎 出版年代:明治 38∼41 年(1905∼1908) 出版所:建築書院 蔵書場所:国会図書館 左官構法が欧米式を主として本邦式を従とした技術書 である。 先月号に引き続き、明治期に発刊さ れた建築学講義録、和洋建築工事仕様 設計實例、建築設計便覧、建築師要覧、 最新家屋建築設計便覧の5冊の建築技 術書を紹介する。 出版時期の主な出来事 明治 40 年丸善:佐野利器鉄骨、床RC+壁煉瓦/東京 勧業博覧会:木軸構造に漆喰塗り/竹田米吉、松本與作: 工手学校卒業 卒業生の活躍明治 36 年 実業(専門)学校令 改正/メタルラスが大阪での第 5 回勧業博覧会に紹介/ 住友家須磨別邸:野口孫市、日高絆二、木造軸組住宅で、 外壁ラスモルタル塗り仕上げの最初の例 出版時の価格:1 円 50 銭 左官職人 1 日の手間:59.8 銭 左官関連の記述:左官職 左官仕様は江戸期からの継続された仕様が示されている。 下)第七編 左官職之部 pp513∼565 ○壁下地掻仕様○荒壁裏返友塗立仕様○中塗壁立仕様○下等中塗壁立仕様○上等上ハ 白土磨キ塗仕様○中等上ハ白土磨キ塗仕様○下等上ハ白土「パラリ」塗仕様○上等大 津壁上磨キ塗仕様○大津磨キ塗○土蔵平壁荒塗仕様○土蔵壁十八篇塗仕様○裏壁仕様 ○雨押へ仕様○土蔵入口壁塗仕様○土蔵窓壁塗仕様○土蔵ニ就テ雑件○土蔵屋根土居 塗仕様○家大壁仕様○小舞壁○上等貸長屋壁○下等住居壁○泥大津普通大津調合○茶 大津、普通茶大津調合○黄大津、普通黄大津調合○普通平漆喰調合○普通家漆喰○南 蛮漆喰○左官職附属職工業格表○大津壁仕様○根岸土上塗調合邸○間内壁色土上ハ塗 仕様○白ノロ掛ケ仕様○真壁左官方手間積○揚裏塗仕様○塗竈土仕様 24 No.464 2015 年 4 月号
© Copyright 2024 ExpyDoc