作品を残し伝える法制度とは 2015年3月18日 弁護士・ニューヨーク州弁護士 日本大学芸術学部 客員教授 福井 健策(@fukuikensaku) ナショナル・アーカイブ構想 1998年~ 国会図書館「電子図書館構想」 ①デジタルアーカイブ構築、②メタ・データ付与 ③検索・探索ツール整備、④統合ゲートウェイ化 2009年 前後に 同資料デジタル化予算に127億円計上、 著作権法改正で無許諾デジタル化可能に 長尾前館長構想 2010年 福井「全メディア アーカイブ構想」: ナショナル・アーカイブ構想 2012年 総務省「知のデジタルアーカイブ」提言 「知識インフラの中核」「国際競争力」「未来の 社会への責任」 2013年 著作権法改正で国会図書館「絶版等資料」 の全国図書館への配信可能に(現439館) 2013年~デジタル文化資産議連・電子書籍議連 「ナショナル・アーカイブ」の課題検討 2014年 内閣知財本部「タスクフォース」報告書 2014年 文化庁有識者「ナショナルアーカイブ」案 2015年 文化資源戦略会議「アーカイブ立国宣言」 国会図書館デジタルコレクション 日本脚本アーカイブズ 5 課題:ヒト・カネ・著作権 • ネット公開コンテンツは推計190万点程度か ⇒Europeanaや米国DPLAを大幅に下回る • 包括的なデジタルアーカイブの基本法も、国家 の中期計画も不在 ⇒EUデジタル公開等に関する勧告、中国「文化 強国」5ヵ年計画、韓国500億円投下表明など • 多言語化不十分、アーカイブの分断 ※国会図書館2009年「アーカイブ化の課題」: ①予算不足、②人員不足、③保守・メンテナン ス、④著作権 ・・・ 大量デジタル化と孤児作品 ・国会図書館「明治期図書の著者の71%」 ・日本脚本アーカイブズ「放送台本の作家 3104名中、1550名(速報値)」 ・英国図書館「保護期間中と疑われる図書 の43%」 =権利者不明の「孤児著作物」 ・ほかに肖像権・所有権の「孤児」問題もあり ⇒欧米・日本など対策が鍵に ⇒しかるに… 7 アーカイブ活動 とTPP知財条項 TPP知財条項 真正品の並行輸入に禁止権(流出米国案4.2項) 著作権・隣接権保護期間の大幅延長(4.5項) 広汎なDRMの単純回避規制(5.9項) 法定損害賠償金の導入(12.4項) 著作権・商標権侵害の非親告罪化(15.5(g)項) 反復侵害者のネット接続の強制解除、その他米国型 のプロバイダーの義務・責任の導入(16.3項) • 植物・動物・診断治療方法を特許対象化 (8.2項) • データ保護(ジェネリック医薬品規制)(9.2項) • 音・匂いにも商標 (2.1項) • • • • • • 非親告罪化 ・著作権侵害:「最高で懲役10年又は1000万円 以下の罰金」 ・著作権者などが告訴しない場合、国は起訴・ 処罰できず ・非親告罪化論⇒「パロディや文化・経済活動 の萎縮」「孤児作品の利用と、悪意の告発」へ の懸念 ・「商業的規模の海賊版」に限る? 10 不明出演者探し aRmaによる不明権利者探し(同HPより) 保護期間の延長 ・著作権は「著作者の死後50年」、隣接権は「 発行後50年」などの経過で消滅 ・欧米で20年延長、他国にも要求 「ミッキーマウス保護法」 ・日本でも2006年から激論: 「国際収支を害する」 著作権使用料の国際収支 年6200億円の赤字 「収入増加はわずか」 ※作品の市場での寿命 「権利処理が困難 ⇒①アーカイブなど古い作 品の活用と②新たな創作が停滞」 12 青空文庫 13 絶版マンガ図書館 14 日本モデルの模索 ①対立激しい知財項目はTPPから除外 ・登録作品のみを期間延長? ・累犯のみを非親告罪化? ②日本型の流通促進策を推進 ・マルチユース契約の普及 ・権利情報データベース・集中管理の整備 ・パブリック・ライセンスの普及 ・孤児著作物対策を含むアーカイブ法制を 15 パブリック・ライセンスの普及 クリエイティブ・コモンズライセンス(CC) 赤松健氏+コモンスフィアの 「同人マーク」運用開始 ・デッドコピー不可、二次創作OK ・即売会当日、紙の同人誌のみ 16 デジタルアーカイブ振興法提案 ①アーカイブ振興基本計画(2020年、2000万点) ②全国のデジタルアーカイブのネットワーク化と 統一ゲートウェイ化 ⇒ナショナルアーカイブ ③デジタル化ラボ、字幕化ラボの設置 ④各国アーカイブとの相互接続 ⑤公的資金で制作・収集された情報資産のデジタ ル公開を義務化・利用ルールの公開化 ⑥デジタルアーキビストの育成と、関連技術開発 ⑦孤児作品や絶版作品のデジタル活用促進
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