Title Author(s) Journal URL Vascular-resident CD169-positive Monocytes and Macrophages Control Neutrophil Accumulation in the Kidney with Ischemia-reperfusion Injury 唐澤, 一徳 2014 http://hdl.handle.net/10470/31117 Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database. http://ir.twmu.ac.jp/dspace/ 主 論 文 の 要 約 Vascular-resident CD169-positive Monocytes and Macrophages Control Neutrophil Accumulation in the Kidney with Ischemia-reperfusion Injury (腎臓傍血管領域に存在する CD169 陽性単球及びマクロファージは虚血再灌流 傷害時の局所への好中球浸潤を調節している) 東京女子医科大学大学院 内科系専攻第四内科学分野 (指導:新田孝作教授) 唐澤 一徳 【目 的】 組織固有に定常状態で存在する免疫細胞が存在する。近年ではこの免疫細胞 が組織傷害や再生など様々な場面で重要な役割を果たしていることがわかって きている。しかし、現在までのところ定常状態から組織に固有に存在している免 疫細胞をターゲットとした治療法はまだない。今回、我々はこの免疫細胞のなか でも CD169 が陽性の単球及びマクロファージに着目し定常状態及び傷害時(虚 血再灌流傷害)における役割について解析した。 【方 法】 CD169 陽性細胞の組織内での分布や多型を解析するため CD169-Cre-YFP マウ スを樹立し免疫組織化学法にて腎臓における CD169 陽性細胞の局在やフローサ イトメトリー法にて CD169 陽性細胞の多型について解析した。CD169 陽性細胞の 機能解析のため CD169 陽性細胞を任意に選択的に消失させることができる CD169-DTR マウスを使用し定常状態、傷害誘導時における CD169 陽性細胞の有無 による差異を解析した。 【結 果】 腎臓に常在するマクロファージの約 50%が CD169 陽性マクロファージであっ た。また、末梢血単球の一部に CD169 陽性単球が存在していることが同時に同 定し得た。分布としては腎皮質-髄質境界部から髄質側間質の血管周囲に集中的 に局在していた。CD169 陽性細胞選択的消失状態では、腎に常在するマクロファ ージが減少しておりこの状態で傷害を誘導するとコントロール群と比較し傷害 が重度であり炎症細胞浸潤も著明であった。著明な炎症細胞浸潤がどの接着因 子を介して生じているかを解析したところ CD169 細胞消失状態では腎臓におい て ICAM-1 の発現が増加していることがわかった。 【考察】 CD169 陽性マクロファージは腎に常在するマクロファージの約半数を占め、末 梢血単球中の CD169 陽性単球はその前駆体であると考えられた。CD169 陽性細胞 消失状態で傷害を誘導した際の著明な炎症細胞浸潤は CD169 陽性細胞が消失し たことで発現が増加する ICAM-1 を介した浸潤であると考えられた。局在として 血管周囲に集中的に存在することから CD169 陽性マクロファージは傍血管領域 に存在し内皮細胞に作用して内皮細胞上の接着因子の発現を制御している可能 性があると考えられた。 【結 論】 CD169 陽性単球-CD169 陽性マクロファージ系は腎臓において傍血管領域に集 中的に存在し内皮細胞に直接作用し接着因子の発現を制御することで局所の免 疫応答を調節する機能を有する。
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