機械分野 平成26年度経常研究 金属材料の破壊形態の定量化に関する研究 担当部所 : 栃木県産業技術センター 県南技術支援センター 背景 破面解析は、破面形状から目視によって定性的に判断 するのが一般的であるが,より詳細で確実な解析のために は破面解析の定量化が必要と考えられている。また、定量 的な手法としては、複雑な形状を呈する破面にフラクタル の概念を適用させたフラクタル解析が注目されている。 そこで、金属材料の代表的な破壊である脆性破壊及び 延性破壊の破面形状を球拡張法を用いて算出したフラクタ ル次元により定量化することで目視に依存しない破壊形態 の分類を試みる。 破面の写真 フラクタル図形 研究目標と結果 研究目標 ●球拡張法を用いて求めたフラクタル次元による機械構造用炭素鋼(S55C)の脆性破面及び延性破面の 定量化 実施内容 ① 同一金属材料(S55C)による脆性及び延性破面の作製 環状切欠付き試験片及び平滑試験片を用いて引張試験を 行うことで、脆性及び延性破面をそれぞれ作製した。 ② 3次元形状の測定 脆性及び延性破面の3次元形状はSEMと万能投影機のレーザ プローブを用いて測定した。SEMでは撮影した二次電子像の濃 淡情報を、レーザプローブでは測定した3次元座標データをそれ ぞれ3次元形状データとした。 SEMによる測定条件 レーザプローブによる測定条件 脆性破面 延性破面 ③ フラクタル次元解析プログラムの構築 測定した3次元形状データから球拡張法を用いて、フラクタル 次元Dを算出するプログラムを作成した、比較のため、ボックス カウンティング法を用いたプログラムも作成した。 球拡張法 ボックスカウンティング法 ④ 構築したプログラムによる破断面の定量化の検討 作成したプログラムを用いて算出したフラクタル次元から 脆性及び延性破面の定量化を行った。 まとめ ●球拡張法を用いて算出したフラクタル次元の値から各破面を定量化できることが分かった。 ●ボックスカウンティング法に比べ、球拡張法の方が脆性及び延性破面のフラクタル次元の値に大きな差 が現れたことから、球拡張法は2つの破壊形態を明瞭に分類できる可能性がある。 御来場の皆様へ 問い合わせ先:栃木県産業技術センター 県南技術支援センター TEL 0283(22)0733 定量的な判断を破面解析に適用できるようになり、確実かつ迅速な解析が可能となります。 他の金属材料や疲労等による破壊形態の定量化への応用が期待されます。 Industrial Technology Center of Tochigi Prefecture
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