収束電子回折法によるシリコン半導体デバイスの 局所格子歪み解析

九州地区ナノテクノロジー拠点ネットワーク
国立大学法人九州大学
Kyushu Nanotechnology Network
平成19年度 トピックス
ナノ計測・分析領域における支援成果
収束電子回折法によるシリコン半導体デバイスの
局所格子歪み解析
(株)富士通研究所
片岡 祐治, 添田 武志
【研究目的】
多種類の材料からなる電子デバイスは、材料間の熱膨張率の違いや原子配列の乱れな
どで複雑な歪み分布をもつ。特に、チャネル領域の歪み分布は電子デバイスの性能を大き
く変化させるので、精密な歪み評価が必要となる。微小結晶材料中の歪みは、例えば
HOLZ*図形の変化量から評価できる。この手法は10-4オーダ(数十MPaオーダ)の分解能
で歪み評価できるが、HOLZ図形を得るには試料を傾斜しなくてはならず、チャネル長が50
nm以下の電子デバイスには実質的に適用できない。そこで本研究では、解析位置精度を
保つために<110>軸入射して得たZOLZ*を用いて、シリコン中の歪みを評価した。
【成
果】
<110>軸入射の電子回折図形を用いてシリコン半導体中の歪みを評価した。歪み源近傍
で撮影した回折図形は参照位置のものに比べ、幾何模様が大きく変化していた。動力学的
解析理論に基づいて解析した結果、幾何模様の変化は試料厚さと結晶格子の傾きに依存し
ており、歪み量や向きはこれらの変化量から評価できることが分かった。HOLZ を用いた従
来法と異なり、本手法では試料傾斜する必要が無く、解析のための位置精度を高く保ったま
ま歪み評価できることが分かった。
ま歪み評価できることが分かった
(a)
(b)
(c)
(d)
t=220 nm, Δθ=4 mrad
t=200 nm, Δθ=0 mrad
1
2
Fig. 1: STEM image of NiSi/Si sample.
Fig. 2: Experimental ZOLZ images at the #1 area (a)
and the #2 area (b) indicated in Fig. 1. Theoretical
images (c) and (d) correspond to the experimental
images (a) and (b) respectively.