学 院 通 学 院 通 信 学 院 通 信

学 院 通 信
六甲中学校・高等学校
第 53 号
(
年度・ 学期号)
発 行
年 月 日
〒657-0015 神戸市灘区篠原伯母野山町2丁目4番1号 TEL.
(078)
871-4161
(代表) FAX.
(078)
871-4688 http://www.rokko.ed.jp
ソフィア(上智)
について
学校長
古泉 肇
皆様既にご存じのように、本校は来
ギリシャ神話のなかで天から地上に降
年四月から、法人名と学校名が「六甲
りて人間を救済した女神であったこと
学院
から、キリスト・神のイメージが言葉
瞬時に世界の情報が得られるようにな
の意味に付け加わって「神の知恵」と
った反面、その内容は玉石混交で、情
に変更になります。今まで、校名が六
なり、それを最上の知恵すなわち「上
報が一種の消耗品になってしまったと
甲学院と思われていた方もおられたよ
智」
と日本語に訳したというわけです。
いえます。本来「情報」は人と人のギ
うですが、実はそうではありませんで
今回の法人合併を機会に一度「ソフィ
ブ&テイクの関係の中で得られる有用
した。慣れるまでのあいだ少し混乱す
ア」という言葉について考えてみたい
かつ良質なものでした。ところが今の
るかもしれませんが、どうかよろしく
と思います。
インターネットの世界では、必要のな
六甲中学校・高等学校」から「上
智学院
六甲学院中学校・高等学校」
私たちがよりよく生きるためには、
お願いいたします。保護者の皆様は、
これまで阪急六甲からタクシーで学校
情報、知識、知恵、上智の
に来られるとき、ドライバーの方に行
が必要ではないでしょうか。
個の「知」
まず「情報」について考えてみまし
先をなんと告げておられましたか?
ベネズエラ日本大使館のメールマガ
と、いろいろな言い方があったと思い
とが多いのです。
「知識」
について考えてみましょう。
知識とは皆さんそれぞれが自分の脳
の記憶領域に入れた情報のことです。
ょう。
六中、六甲学院、六甲高校、六甲中学
い悪質な情報が垂れ流しされているこ
倉庫に入った情報というイメージで
ます。これからは六甲学院で統一して
ジン(
月 日発行)に「シモンボリ
す。情報を記憶領域に入れるとき、い
いただければ、これが正式な校名とし
バル大学の日本語スピーチコンテスト
い情報をきちんと整理することが大事
て世間に定着していくと思います。
でエビエス・ルイス君が優勝した。
」
です。いい情報も悪い情報も整理しな
さて、新しい法人名の「上智」とい
という記事がありました。こうしたベ
いでどんどん倉庫にいれていけば、そ
う言葉は普段あまり耳にすることがあ
ネズエラの情報は、六甲学院のOBの
の人の頭の中は「ごみ屋敷」になって
りません。実は上智とはギリシャ語の
方の紹介で時々私のPCに届いてきま
しまいます。では子供たちは学校で何
「ソフィア」の日本語訳です。上智大
す。たまたまルイス君のスピーチの内
を学ぶのでしょうか。学校の授業を通
学 は 海 外 でSophia Universityと 呼
容が
学期の始業式の私の話と関連が
じて先生から、ある程度整理された有
ばれています。ソフィアとはギリシャ
あったので、私にとってはとても重要
用で良質な情報を受け取ります。そし
神話に登場する女神の名前です。そし
な情報でした。しかしながら皆さんに
てそれらの情報を、練習問題を解いた
て古代ギリシャ語では「知恵」という
とってこの情報は全く役に立たないと
り、暗記したりすることで各自の頭に
意味でした。それが後に、ソフィアが
思います。このようにSNSの発達で
整理して入れていくのです。情報の整
もくじ
校長巻頭言………………
宗教部から………………
行事報告…………………
年度 体育祭報告
『ソフィア(上智)
について』 !ライフオリエンテーションプロ !
!
学期OB講演会
教務部から………………
! 年度 夏期休暇中の補習な
どの実施報告
!高 進路の日
!高 進路の日
!
!
!
!
グラムの報告
倫理宗教研修会の報告
夏の奉仕活動の報告
イエズス会教員研修Bに参加して
年度 六甲学院教職員研修
プログラム
訓育部から………………
!訓育部から !クラブ活動
!テーブルマナー講習会
! 年度(第 回)文化祭「蘖」
!久美浜キャンプ
!立山キャンプ
!バスケットボール部夏季合宿
活動報告
!演劇部は海を越えて
!市民救命士 講習会
学院の生活………………
!保健室から
!学習センターから
!「告知」について
古本市
事務室から………………
!事務室・会計室 !母の会より
学院の動き………………
! 学期終業式∼ 学期の予定
!告知板 !六甲会より
!編集後記
1
理術、収納術を身につけることが「学
すべて忘れた後に残っているもの、そ
す。翼を持った知恵というイメージで
び」といえるのではないでしょうか。
れが知恵である。
」と言っています。
す。人間を超えた存在、永遠なるもの
次に「知恵」について考えてみまし
私たちは「学ぶ力」を身に着けること
のまえで謙虚になること、そして永遠
で情報を知識に、そして様々な体験を
なるもののまなざしを感じることで得
通じて知識を知恵にすることが出来る
られるさらに高みにある知恵、それが
のではないでしょうか。
上智ではないでしょうか。以前六甲学
ょう。
知恵とは知識を作り出す工場のイメ
ージです。知識を用いて問題を解決す
る能力、あるいは新しい知識を創造す
る能力といえるかもしれません。バル
最後に「上智」について考えてみま
年前
上智とは「ありのままの自分とは」
、
のイエズス会神父が書いた「賢者の知
「本当の幸せとは」
、など私たちの人生
恵」という本をみれば、現在書店でよ
に意味を与えてくれる知恵のことで
タザール・グラシアンという
院で一年間だけ教えておられたイエズ
ス会の片柳神父のソフィア(上智)の
しょう。
言葉を一つ最後に紹介させていただき
ます。
く見かける、たとえば「儲かる会社の
社長がやっている の習慣」のような
本に書かれていることとほとんど同じ
内容であることに驚かされます。
「知
恵」とは時間と空間を超えた有用で良
質な知識ということが出来ます。アイ
自分の弱さを知っている人は、思い上がって失敗することがありません。
弱さを直視して、それを乗り越えることができます。
弱さを素直に認め、人に手伝ってもらうことができます。
自分の弱さを知っている人が、実は一番強いのです。
ンシュタインは「学校で習ったことを
学期OB講演会
年度から、社会の現場で活躍
しておられるOBの方々に講演をお
願いしています。今年度は 学期の
講演会を 月 日(金)の 校時、
高校 年生全員を対象にザビエル講
堂で行いました。
◎濱名 篤 氏( 期)による講演会
「六甲で培ったリーダーシップと
『高大接続という課題』
」についての
講演会を行いました。濱名様は学校
法人濱名学院理事長・関西国際大学
学長としてご活躍中ですが、文部科
学省中央教育審議会の臨時委員や、
独立行政法人大学入試センター運営
審議会副議長等もつとめておられま
す。
前段では、六甲学院での強い信念
をもった先生や個性の強い友人との
2
出会い、大学選びにあたり考えたこ
と、上智大学進学後の経験及びその
後の進路を考える際のできごと、大
学教員、学長、理事長としての大学
づくりから運営にあたるまで等のお
話がされました。六甲学院では、他
で見られない力のある先生や生徒が
多いので、自ら「何か他より優れる
もの」を見つけることの大切さにつ
いての話もされました。
本題の「高大接続という課題」に
ついては、今後行われる大学入試制
度の変更が、明治・戦後以来の大改
革となる可能性があること、これか
らの時代は「知識・技能」だけでな
く「考える力」をつけ、それを「表
現する力」がこれまで以上に求めら
れていること等が話されました。
終了後の質問に答える際には、今
後の大学の 種類の方向性(世界最
高水準の教育研究、特定の分野での
世界的な教育研究、地域活性化の中
核)についても話がなされ、自分の
やりたいことをよく考えて、それに
合った大学を選ぶべきとの話をされ
ました。
(林 豊)
教 務 部
年度
か ら
夏期休暇中の補習などの実施報告
今年度も右表の通りに夏期補習が実
施されました。
今年は、 月 日(木)深夜 時頃
に高知県室戸市付近に上陸し、 日
(金)朝 時過ぎに岡山県倉敷市付近
に再上陸した台風 号の影響で、当該
地区に大雨洪水警報が発令されたた
め、 日は休校となり終業式は中止に
なりました。さらに、翌 日(土)も
朝 : の時点で同警報が継続して発
令中でしたので、 日に予定されてい
た高校 年生と中学 年生の補習の初
日分が中止となり、この 学年につい
ては、日程を短縮したり変更したりし
て実施しました。また、一部教員の体
調面の事情から、予定されていた補習
科目の実施が不可能となり、この 科
目については、担当者の変更や、中止
して受講料を返金させて戴くという対
応をとりました。ご迷惑をおかけした
生徒・保護者の皆様には、この場を借
りてお詫び致します。
以下に各学年の補習担当者からの報
告を紹介致します。
(鍵山 浩三)
中
月 日(火)、 日(水)の
日間、英語と数学 の成績に不安の
ある生徒を対象に補習を実施しまし
た。英語は 名の生徒を指名し、文法
の定着をはかるためのプリント演習お
よび解説、数学は 名の生徒を指名し、
小テストと見直し・解説を繰り返す形
式で行いました。いずれの補習も生徒
たちは真面目に取り組んで、ある程度
は苦手を克服できたようです。
(宮脇 誠)
中
国語・英語・数学の 教科の補
習を行いました。国語は 学期の未提
出課題を完了させることを目的としま
した。英語、数学は指名された生徒を
対象に、主に夏休み課題のチェック、
解説、課題考査に向けての準備を行い
ました。参加者が 学期に頑張り、計
画的に課題をこなす生徒に成長してく
れることを期待しています。
(千原 勝)
中
昨年の夏は午前 時 分から午
後 時まで 日間という集中的な補習
を行いましたが、今年は数学 ( 月
日、 日)数学 ( 月 日、 日)
現国( 月 日)古文( 月 日、
日)英語Ⅰ( 月 日、 日)という
ように科目別に補習を行いました。い
年度 夏期補習一覧
学年
中
教科
英語
数学
中
英語
数学
中
高
高
高
科
目
担当者
石川
期
/ ・
数学
宮脇
/ ・
指名
英語Ⅰ
鈴木
/ ∼
指名
数学
千原
/ ∼
指名
国語
現国
西野
/
指名
英語
英読
酒井
/ ・
指名
数学
数学
深尾
/ ・
指名
数学
数学
井上
/ ・
指名
国語
国語
小幡
/
指名
国語
古文
石﨑
/ ・
指名
英語
英読
清水
/
指名
英語ⅠⅡ
日
対象者
指名
英語
英作
藤堂
/
国語
漢文
西野
/
英語
英語読解
青木(竜)
/
英語
英語読解
青木(竜)
/ ∼
数学
上級数学
古泉
〃
希望者
国語
上級古文
森嶋
〃
希望者
国語
初級古文
森嶋
〃
英語
英語作文
西尾
数学
共数A
青木(光)
〃
希望者
数学
共数B
村上
〃
希望者
数学
共数C
井上
〃
英語
英作文(上級)
酒井
数学
数学ⅠⅡA B(中級)
国語
古文(中級)
国語
漢文(センター対策)
理科
理系物理(演習)
理科
理系化学(平行論演習)
雀部
/ ∼
希望者
地歴
日本史(論述)
小泉
/
希望者
公民
政治・経済(演習)
吉村
/ ∼
希望者
英語
英語(最上級)
井坂
/ ・ ・ ・
希望者
英語
英語(中級)
国語
古文(センター対策)
補充授業
・
指名
希望者
指名
希望者
希望者
/ ∼
希望者
希望者
/ ∼
希望者
青木(光)
〃
希望者
岩下
〃
希望者
四宮
〃
高橋(和)
希望者
/ ∼ ,
/
希望者
佐藤(裕)
〃
希望者
四宮
〃
希望者
選択者全員
理科
理系物理
高橋(和)
〃
理科
理系化学(気蒸液演習)
雀部
〃
地歴
日本史
小泉
英語
英語(センター対策)
英語
自由英作文
ターナー
〃
数学
理系数学(数学Ⅲ演習)
森本(吉)
〃
希望者
理科
理系化学Ⅰ
雀部
〃
選択者全員
〃
補充授業
補充授業
希望者
/ ・ ・
/ ∼
井坂
/
選択者全員
希望者
希望者
地歴
日本史(センター対策)
小泉
地歴
日本史(論述)
小泉
/
希望者
英語
英作文(中級)
清水
/ ∼ ・
希望者
数学
共通数学(センター対策)
後藤
〃
希望者
国語
現代文(上級)
青柳
〃
希望者
選択者全員
補充授業
希望者
理科
理系生物
山口
〃
理科
理系生物(実験)
山口
〃
地歴
日本史(論述)
小泉
/
希望者
地歴
世界史(論述)
松浦
/ ∼ ・
希望者
地歴
世界史(センター対策)
松浦
英語
英読(上級)
西尾
数学
数学ⅠⅡA B(上級)
国語
現代文(中級)
国語
古文(上級)
理科
理系化学Ⅱ
補充授業
希望者
〃
希望者
/ ∼
希望者
山本(隆)
〃
希望者
石﨑
〃
希望者
小幡
〃
希望者
雀部
〃
選択者全員
希望者
理科
理系生物(演習)
山口
〃
地歴
地理(センター対策)
西本
〃
地歴
日本史(論述)
小泉
/
希望者
公民
倫理(演習)
吉村
/ ∼
希望者
希望者
3
教 務 部
くつかの科目は夏休みの課題をチェッ
クして夏休み中にやり終えさせるとい
う形で、概ね達成できたようですが、
全体として定着度はまだまだというと
ころです。長期課題の宿題のサポート
といったレベルを脱して「より高いと
ころを目指す」ことができるように今
後も指導を続けてまいります。
(酒井 泰輔)
高
月の上旬、下旬に、英語と漢
文で補習が実施され、指名された生徒
が参加しました。英語は英読、英作と
もに英単語や例文の暗記など、基本的
な内容の復習、漢文は期末考査の追試、
高
た。
とても良い傾向だと考えています。
(佐藤 雅孝)
高
今年も例年どおり、前後期 日
間にわたり高 の補習が実施されまし
た。補充授業も含めて の講座が用意
され、申し込んだ 期生は若干の欠席
者を除くほぼ全員が積極的に取り組み
ました。授業の合間には学習センター
や空き教室で自習に励みました。夏休
み中のこういった基礎力トレーニング
が秋の模擬試験、そして本番の大学入
試で実を結ぶことは間違いありませ
ん。
(井坂 保彦)
時間目は 期の山中拓真氏の話。
山中氏はSEをされています。好きな
ものは理屈では表せず、理系に進んだ
のは「何となく」で、それも意外に大
事である。仕事では突発的なトラブル
が大変で、コミュニケーション能力・
主体性・チャレンジ精神が必要。人と
の出会いも大切とのこと。生徒は、採
用の際の「学歴フィルター」に驚いて
いました。
時間目は 期の大橋久維氏の話。
大橋氏は弁護士をされています。弁護
士は小学生からの夢で、弁護士は人前
で話すことが多くなると考え、多い場
合には千人を相手にする六甲での機会
を活かしていた。人前で話すには準備
が必要で、授業も聞くようにしていた。
必死に勉強して、良い大学に行くのは、
就職のためだけではなく、大勢の優秀
な人の中に身を置いて、議論するため
だとのことでした。
高 では 月に文理選択を決定いた
します。以上の話に、生徒たちは大い
に刺激を受けていました。
(青柳 息吹)
学部学生、経済研究科の研究員、企業
勤務の 名、理系は工学研究科学生、
企業勤務 名、医師とバリエーション
に富んだものでした。
行事の後「これまで受験についてあ
まり考えておら
ず、何のために
勉強しているの
かが定かでなか
ったが、この大
学へ行きたいと
いう思いが一層
高まり、勉強へ
のやる気が一段
と 高 ま っ た。
」
という感想が多
く聞かれまし
た。多くの子供
たちは、この講
演会で進路選択
の重要性を再認
識したようです。この日に得た情報を
単なる一過性のものにするのではな
く、今後のより一層具体的な進路選択
の指針としてもらえれば幸いです。
(西尾 由子)
進路の日
高校 年生進路の日は、すでに文系
理系を選択した子供たちに、さらなる
進路の探求、すなわち進学する学部学
科をより具体的に考えてもらうことを
目的とし、 月 日に実施いたしまし
た。
プログラムは、大きく分けて つあ
りました。 つ目は進路指導主任溝内
による進路に関する実績やデータを踏
まえながら具体的な今後の進路関連の
スケジュールの確認。 つ目は学年進
路青木竜生による適性検査返却、 つ
目は当日の講師の一人の太田周志氏
( 期)の在外研究員生活の話、 つ
目 が 名 のOBの 講 演 で し た。OBの
話を聞くにあたって、子供たちにはあ
らかじめ 名の講師のうちから 名の
講師を選択してもらい、当日はその講
師の講演を聞いてもらいました。
本年度の講師は、文系 名、理系
名から構成されました。文系は現役法
4
ノート未提出者のノートチェックを行
いました。成績に不安のある生徒が多
い補習でしたが、この補習が 学期に
向けた良い準備になることを願ってい
ます。
(藤堂 善隆)
高
高校 年は、国語・数学・英語
の補習が行われました。数学の補習で
は古泉校長の講座も開講されました。
高校 年生の補習は、主に成績不振者
を対象とする指名補習ですが、高校
年生からの補習は意欲的にさらに学び
たい生徒のための希望者補習です。補
習に参加した生徒は、ほとんどの生徒
が最後まで休むことなく出席しまし
進路の日
学期中間試験直後の 月 日(土)
は「高 進路の日」でした。 時間目
はベネッセの藤原氏による話でした。
激動の時代の中で、様々なことに関心
を持つこと。高 ・高 は学力を伸ば
すための土台作りである。成長に必要
な、環境や人からの刺激は、難関大に
行くことで得られるとのことでした。
時間目は進路主任の溝内の話。忍耐
強い六甲生のあるべき姿から幸福な大
人に、他者に幸福をもたらすような輝
く人生につながる。高 では英語が急
降下するので注意とのことでした。
高
か ら
宗 教 部
か ら
ライフオリエンテーションプログラムの報告
イエズス会四校の生徒が会するライ
フオリエンテーションプログラム(以
下LOPと 略 記)が 今 年 度、 月 日
から 日にかけて上智福岡高等学校に
て行われ、六甲からは 名の高 ・高
の生徒、引率教員 名の合計 名が
参加しました。
イエズス会のアルン神父様を中心と
して神学生の方々が綿密にプログラム
を組んで下さり大変充実していたので
すが、LOPをこの短い紙幅で表すの
は不可能です。その最大の要因はLOP
の「ライフ」という言葉が「いのち」
、
「人生」
、
「生活」等様々な意味を含む
言葉で、これらすべてを考え、振り返
るプログラムだからです。参加した諸
君も「ライフ」を考える良い機会にな
りました。彼らの声を紹介するため宗
教部のお便りであるイグニスの増刊号
を出します。詳しくはそちらをご覧下
さい。
なお次回、 年後は六甲が会場です。
対象学年は現在の中 ・中 です。今
回は会場校の上智福岡高等学校から多
数参加していました。 年後、 期・
期生徒諸君が多数参加することを期
待します。
(後藤 晃一)
れました。そのリーダーシップは、世
間一般でいうところのリーダーシップ
の意味を超え、
「小さくされた人々」の
高さに降りて、その人々に寄り添うよ
うなリーダーシップのことです。その
ようなリーダーシップをすべての生徒
が身につけて社会で発揮することがで
きるよう、教職員にも一層の取り組み
が求められます。
鍵となるのは「気づき」であるとい
う講義を聴きました。
「自分」につい
て、
「超越的な存在」について、
「社会
や環境面」について、真のリーダーは
こうした点についての気づきがあると
いうことです。そのためには日々繰り
返される「体験」
「内省」その後の「実
践」の積み重ねが必要です。そうした
日々のルーティン・ワークの中から新
しい「気づき」を獲得していく生徒諸
君を育てていきたいと考えます。
(蒲原 豊治)
道と実態のズレであるとか、実際に現
地に行ってみないとわからないさまざ
まなことを体験してきたようです。そ
れは一言で言えば「人の身になってみ
ると、今までとは異なるものが見えて
くる」ということでしょう。どこの施
設にお邪魔しても、かえって現地の人
たちによくしてもらい、そこで出会っ
た人々とも共に暮らしている共生社会
に自分も暮らしているのだという実感
を得た生徒も多かったようです。
そうした体験を、まずは日頃の学校
での人間関係に活かして欲しいと思い
ます。私たちの学校自体が、常に一つ
の小さな共生社会であるように。そし
て、いずれはその輪を世界に拡げてい
く役目を担って欲しいと思います。ま
た、その世界で「隣の人の笑顔」のた
めに頑張れる人になるためには、心意
気だけではなく、今のうちから自らの
スキルを相当磨いておかなければなら
ないことを肝に銘じて欲しいと思いま
す。
なお、来年夏には二年に一度実施し
ているインド訪問があります。年明け
にはメンバーの募集・選考を行い、半
年かけて事前学習をして送金先の学校
等を訪れる予定です。 期・ 期の諸
君は今のうちから検討しておいてくだ
さい。
(蒲原 豊治)
倫理宗教研修会の報告
去る 月 日(月)から 日(水)
、
イエズス会日本管区本部(東京)でイ
エズス会四校の教員対象の倫理宗教研
修会が行われ、六甲からも古泉校長を
はじめ、吉村、高橋(純)
、井坂、佐藤
(雅)
、蒲原の計 名が参加しました。
今夏の研修会ではイエズス会の学校が
養成すべきリーダーシップ、すなわち
Ignatian Leadership(イ グ ナ チ オ
的リーダーシップ)とはどのようなも
のかについて、講義と討議が繰り返さ
夏の奉仕活動の報告
六甲では今年も中 から高 の生徒
を対象に「夏の社会奉仕活動」を実施
しました。これは原則的に当該学年の
すべての生徒が夏休みの間に一つの社
会奉仕活動に参加するというもので、
今年も各地の老人ホームや児童養護施
設、その他の社会福祉施設を訪問しま
した。
日頃はお小遣いを工面して月々のイ
ンド募金に四苦八苦している生徒諸君
ですが、車イスとはどのようなものか、
とか、今までは知らなかったけれども
この町のどこかでひっそりと暮らして
いるホームレスの人々のこととか、小
さくされている人々について伝える報
5
宗 教 部
か ら
イエズス会教員研修Bに参加して
月 日から 泊 日の日程で、中
堅教員のためのイエズス会四校(六甲・
栄光学園・広島学院・上智福岡)合同
研修会が、佐賀県の唐津市で行われ、
六甲からは受講者として西尾・塩見・
阿知波の 名とファシリテーターとし
て高橋(純)
・井坂の 名が参加しまし
た。
最初に、広島学院理事長である李神
父からイグナチオ・ロヨラが同士たち
とイエズス会設立についての議論を深
め、神のみ旨を共に見出す過程である
「識別」についてのお話がありました。
この「識別」さながらに、私
たちは近い将来イエズス会士
がいなくなる四校でイエズス
会の教育理念をどう引き継ぐ
のかということについて議論
を深めると同時に、教員経験
の分かち合いを通して、これ
から学校の中でそれぞれの果
たすべき役割について考える
機会を得ました。
研修は、参加者のそれぞれ
の教員としての成長を助けた
年度
虹の松原内
れる、倫理と総合学習を統合した授業
が行われています。鎌倉の栄光学園で
は、高 ゼミという様々なOBによる
週 時間の授業が行われています。他
校の教員の六甲に対する注目は、伝統
である生徒主導の体育祭、文化祭、訓
育委員会、社会奉仕活動に集まってい
ました。生徒が生徒を指導することが、
伝統として六甲に根付いていることを
再認識すると共に、行事を見直さなけ
ればならないときに、この伝統を生か
す視点をもつ必要性を感じました。
(阿知波 哲夫)
唐津城から見た虹の松原
六甲学院教職員研修プログラム
月 日(土)と 日(月)の 日
間、教職員研修会が行われました。研
修会の主旨・目的は、①「ミッション
ステートメントと行動指針」を基本に
して、教職員としてのあり方を振り返
ること、②姉妹校の取り組みを聞く機
会を設けて「イグナチオ的教育法(IP
学習)
」について理解し、六甲の教育
プログラムに生かすための検討をする
こと、③教職員集団がより協力し連携
して生徒の良さをさらに伸ばす学校に
なるように、教師・生徒との関わりを
振り返ること、の 点でした。
日目には、校長講話として、「六
甲のミッションステートメントは、建
学の精神とイエズス会教育のヴィジョ
ンをもとに、六甲の教育使命とその実
践を言語化した宣言文であり、私たち
はヴィジョンがあるからこそ、虚しさ
や疲れを超えてやりがいを感じて教育
活動ができる。
」
との話がありました。
基調講話としてイエズス会の梶山管
区長から「六甲のザビエル講堂に『神
のより大いなる栄光のために』という
6
「教職員との出会い」
、
「生徒との出会
い」
、
「これからの教員生活」などの
つのセッションからなっていました。
各セッションは、ファシリテーターに
よる投げかけ、振り返り、分かち合い
で構成されており、それぞれの教員と
しての経験だけでなく、各校における
新しい試みも参考になりました。上智
福岡では、生徒の主体的な学習である
アクティブラーニング(生徒による主
体的な学習)を徐々に各教科に広げる
試みがなされています。広島学院では、
IP(イグナチオ的教育法)学習と呼ば
言葉が掲げられているが、その神の栄
光とは、人間が生き生きとしているこ
とを指す。また『愛』とはコミュニケ
ーションであり、それは互いの素晴ら
しいものを与え合うことを意味してい
る。聖書の中にある『神の国』とは、
学校で言うならば、教職員や生徒たち
が互いのうちに素晴らしいものを見出
し与え合うことによって、生き生きと
している状態を指す。
」という話があ
りました。
広島学院の宗教部長高山昇先生と上
智福岡の教頭船橋巌先生からは、各校
の取り組みを紹介していただきまし
た。広島学院は、体験と振り返りを軸
にした
「イグナチオ的教育法(IP学習)
」
を取り入れており、担任団が授業の一
環として平和学習や福祉体験学習等を
行う中で、キリスト教的価値観を生徒
が身につけられるようにしている、と
いう発表がありました。上智福岡は、
他者に貢献するグローバルリーダーの
育成をめざし、IP学習を取り入れた
年一貫の課題解決型・教科横断型授業
「Studies For Others」を企画し 推
し進めながら、内省の中で「より大い
なるもの」に気づかせる教育をめざし
ていることが話されました。
六甲の教職員は、こうした講話や実
践報告を参考にしつつ、グループ別に
ミッションステートメントの「行動指
針」をもとにした振り返りと分かち合
い、イグナチオ的教育法を取り入れた
教育プログラム案を考えての発表、
「生
徒が生き生きとし、教師も生き生きと
できるような学校となるにはどうした
らよいか」についてのグループ討議を
行いました。
学校の行事・授業・日常生活の要所
で体験したことの意味を振り返り、生
徒も教師も学校としても次の実践へと
生かすことの重要性や、すでにある
個々に有意義な教育実践を六甲学院の
ヴィジョンのもとに見直し、 年一貫
の軸のある教育プログラムとして構築
してゆくことの必要性などが、これか
らの課題として共通認識された研修会
であったと思います。 (髙橋 純雄)
訓 育 部
か ら
訓育部から
最近、登下校指導をしながら、生徒
の姿を見てみますと、服装のだらしな
い生徒がほとんどいなくなったと感じ
ます。以前ですと、ポロシャツの裾を
出したり、ズボンをずらし気味に履い
て歩いたりする生徒が目に付きました
が、ほとんど見かけません。嬉しく見
ております。これから冬服に変わって
いきますが、この姿が変わらないこと
を願っています。ただ、苦情はやはり
多いように思います。登下校時に道に
広がって歩く、電車内で騒ぐ、電車内
通路に荷物を置いて邪魔、等の電話が
かかってきます。朝礼等でことあるご
とに注意をしているのですが、なかな
か改善されないように感じます。もう
少し、周りを見て行動できるようにな
ってくれたらと思います。
さて、今年に入って、大きな法改正
がありました。一つは、
「児童ポルノ
禁止法」の中に、
「他人や自分の裸〈局
部・胸が見える〉写真を保持している
だけで罪に問われます。
」という法律
クラブ活動の表彰(
が加わりました。六甲では関係ないと
思いたいのですが、残念ながらそのよ
うな事例が出て来ております。女の子
に裸の写真を送らせたり、盗撮画像を
手に入れたり。すぐ身近に誘惑は一杯
あります。なかなか、学校では把握で
きないのが実情ですので、ご家庭でも
よく注意をして見守って頂ければと思
います。併せて、ツイッター・ブログ・
ライン等の書き込みについて、相手を
中傷したり、いじめに繋がる発言がな
いか、個人情報保護の観点から問題は
ないか、
をご確認頂ければと思います。
もう一つは、自転車の交通安全に関
わる法律です。 歳以上の者には、違
反があれば切符を切られ、 回以上繰
り返した場合は、有料の自転車運転者
講習会を受けなくてはいけなくなりま
した。①信号無視②通行禁止違反③歩
行者用道路における車両の義務違反
(徐行違反)④通行区分違反⑤路側帯
通行時の歩行者の通行妨害⑥遮断踏切
立入⑦交差点安全運転義務違反⑧交差
年
野球部(高校)
春季兵庫県高等学校軟式野球大会
春季近畿地区高等学校軟式野球大会
弓道部
兵庫県民大会
兵庫県高体連神戸支部秋季弓道大会
兵庫県高等学校弓道新人大会
ク
ラ
ブ
活
動
月
日∼
年
位(
ベスト
(
年
点優先者妨害等⑨指定場所一時不停止
⑩歩道通行時の通行方法違反等、なか
なか難しい表現で書かれていますが、
ごく基本的な運転マナーと思います。
先日、新聞の記事で高校生がご婦人と
自転車でぶつかって寝たきりにさせて
しまった事例で、損害賠償の金額が
万円という判決が出たと書かれて
いました。自転車保険への加入も兵庫
県では義務化になっております。ぜひ、
保険の加入についてもご確認下さい。
因みに、学校で加入をお薦めしており
ます「六甲学院学生総合補償制度」
(傷
害総合保険)には自転車事故による損
害賠償が含まれているとのことです。
本校の生徒には、自転車に関して許可
制は取っておらず、最寄りの駅までの
使用は可能ということにしています。
本日の保護者会でも、灘警察の交通課
の方に話をして頂きました。ご家庭で
も、事故の無いように安全運転を心が
けるようにご指導下さい。
(畑原 勝巳)
月 日)
月
年
∼ 日)
月 ∼ 日)
中学の部
位 中
岸本 大洋
位 中
有光 哲郎
高校の部
位 高
門 芳敏(
年 月 日)
団体総合の部 位・近的の部 位・遠的の部 位 六甲A
(高
前田 悠介 高
難波 拓人 波多野 遥太)
団体近的の部 位 六甲B(高 門 芳敏 土井 海隼 酒井 優)
個人近的の部 位・総合の部 位 高
門 芳敏(
年 月 , 日)
近的団体 優勝 六甲A(高
前田 悠介 高
門 芳敏 難波 拓人)
遠的団体 優勝 六甲A
(高
前田 悠介 高
難波 拓人 波多野 遥太)
(
年 月 ∼ 日)
囲碁・将棋部
文部科学大臣杯中学囲碁団体戦兵庫県予選
準優勝(全国大会〔東京都〕進出)
(
年 月 日)
第 回近畿高等学校総合文化祭囲碁部門兵庫県予選
男子個人戦第 位(高
関 秀明)
(
年 月 日)
バドミントン部
神戸市中学校総合体育大会
ダブルス 準優勝(中
青木 敦史 竹田 琉樹)
位(中
内山 絢太 山田 諭)
(
年 月 日)
テニス部
神戸市新人大会(中学)
ダブルス
位 中
伊藤 諒 山本 哲友紀(
年 月 日)
その他の表彰
グローバル・クラスルーム国際模擬国連大会(ニューヨーク)
政策文書を評価され「ベストポジションペーパー賞」を受賞
高
東 由哲 佐伯 壮一朗
上記のように春から秋にかけて各クラブが優秀な成績をおさめました。高校
野球部の近畿大会ベスト は久しぶりの好成績でした。また弓道部の県大会団
体優勝は近的が 年ぶり、遠的は初優勝という素晴らしい成績でした。また囲
碁将棋部の全国大会進出も特筆すべき好成績です。またニューヨークの模擬国
連における六甲生の活躍もありました。年度後半も努力を積み重ねて満足のい
く結果を出してほしいと思います。
(小林 信三)
グローバル・クラスルーム国際模擬国連大会
左より 佐伯 壮一朗 東 由哲
7
行 事 報 告
年度
体育祭報告
第 回六甲学院体育祭が 月 日
(土)に行われました。全校生一丸と
なっての体育祭は六甲の伝統行事のひ
とつとなっており、この日にかける六
甲生の意気込み、特に中心となる高校
年生の情熱は毎年心に響くすばらし
いものがあります。今年のテーマは「古
い葉が新しい葉に譲って落ちる」とい
う意味を持つ「楪(ゆずりは)
」
。六甲
学院 年の伝統を大切にしながら、未
来の後輩達のさらなる成長に繋がるよ
うに、長きにわたって思考を巡らし努
力を続けることができるように、との
思いを込めました。体育祭委員長の木
島渓君を中心とした役員総勢約 名
の指導の下、全校生が一丸となって体
育祭に関わるすべての方と一緒に感動
を共にするとの想いで頑張りました。
期にとってこのテーマは運命的なも
のだと感じます。六甲に入学しわずか
ヶ月で仮校舎へと移動、約 年仮校
舎での生活をして、今現在の本校舎へ
と移りました。六甲での生活環境が目
まぐるしく移り変わる中で立派に成長
を遂げました。長年成長の場であった
旧校舎で生活をした最後の学年とし
て、六甲の良き伝統を受け継いでいく
ため今回の体育祭を見事成功へと導き
ました。体育祭では目に見えないもの
を大切にしています。体育祭を創り上
げていく過程の中で目に見えないもの
をいかに大切にし、思いを形にして伝
えるか、体育祭を通じて六甲生の想い
が皆様の心に届い
ていれば幸いで
す。当日は、開会
式から順調に競技
プログラムを行う
ことができまし
た。最終プログラ
ムの騎馬戦が長く
なってしまいまし
たが、無事終える
ことができまし
た。いつも熱い戦
いを繰り広げてい
る競技プログラム
棒引き・棒倒し・
騎馬戦などは、生
徒同士の接触があ
るので怪我をして
しまう可能性があ
ります。体育祭前
には競技をする上
でのルールを十分
説明し、安全に行
うことを最優先と
しています。午前
最後のプログラム
棒倒し、そして最終プログラム騎馬戦
は、子ども達の躍動と一体感を感じる
ことができるかと思います。伝統とな
りテレビ取材を受けたことのある総行
進など、体育祭には六甲に関わって下
さる方がまさに一体となる瞬間が存在
します。体育祭が子ども達の成長の場
との願いを込めて、これからも皆様の
想いを大切にしていけたらと思いま
す。多くの方々にそれぞれの立場でご
協力を頂き体育祭が無事終了しました
ことを心から感謝致します。ありがと
うございました。
(安達 英二)
良いと教えられ、和やかに歓談もして
おり、受講の様子は良かったと思いま
す。ただ、一部、パンのお代わりに熱
心になり過ぎて、盛んに手を挙げてい
る人がいたので、
「大人数の席での講
習会」であることを意識して、バラン
スを考え配慮もしていってくれたらと
思います。第二部のホテルステイマナ
ー講習会の方も新たな知識が得られて
勉強になりました。良い体験の一日と
なったと思います。
(岩井 あづさ)
テーブルマナー講習会
月 日(火)
爽やかな秋晴れの中、
期高校 年生は、午前中の市民救命
士講習会の後、学校の坂を元気に駆け
下り中央区のホテルに赴きました。ホ
テルへ誘導して下さったホテルマン
は、
「とても気持ちの良い挨拶をして
くれる。
」と褒めて下さいました。
期生がこの講習会をとても楽しみにし
ていたのが伝わります。宴会場に入る
と、 人掛けの円卓に、とてもきれい
にお皿がしつらえてあり、明るい中に
も引き締まった表情で座っておりまし
た。
講師のお話を実践しようと努力して
いる真面目さが伝わりました。また、
堅苦しく思わず楽しくお食事をしたら
8
行 事 報 告
ひこばえ
年度(第 回)文化祭「 蘖 」
年 月 日(土) 日(日)、
第 回六甲学院文化祭が開かれまし
た。天候にも恵まれ、多くのお客様に
ご来場いただきました。
生徒主体で行われる六甲の学校行事
には、先輩達が創りあげてきた伝統の
継承と自分達の代による新しさの創造
という両面があります。切株から生え
てくる若芽を意味する今年度の文化祭
テーマ「蘖(ひこばえ)
」には、北口
慶一郎委員長以下の 期高 生徒諸君
のそのような想いが込められていま
す。今年度の体育祭テーマ「楪(ゆず
りは)
」と通じるものもあります。
合唱・歌合戦などお馴染みのプログ
ラムがある一方で、
ラジオのディスク・
ジョッキーという新しい企画も現れま
した。昨年度から始まった中学のクラ
ス企画や学年企画も充実した内容でし
た。高 地理授業の成果を示す場とし
てグループ発表も行われました。
「文
化culture」と は「心 を 耕 す(cultivate)こと」だと言いますが、この
ような新旧の企画のブレンドに、今ど
きの六甲生が日ごろ培ってきた文化を
見たように思います。
最後になりましたが、母の会やクー
ルさんをはじめ、文化祭でお世話にな
りました皆様に心より御礼申し上げま
す。
(置村 公男)
ひこばえ
生徒の声
第 回文化祭「 蘖 」
高
文化祭委員長
北口
慶一郎
六甲の文化祭の特徴的な点はやはり「生徒主体」
というところであると思います。講堂やステージ、
各教室での発表はもちろん、備品の管理や予算の配分なども全て生徒がやります。また、自分で一か
ら企画を立ち上げ、工夫を凝らして内容を充実させていった例も多数あります。どちらも簡単なこと
ではありません。直前の準備期間の放課後には、多くの生徒が遅くまで学校に残って作業に没頭して
いました。
こうまでして生徒が自力で文化祭を創り上げていくことの意義とは何でしょうか?文化祭の意義とは、生徒も役員も
一丸となって真剣に準備したものを、お客様に見ていただくということにあると思います。お客様は正直です。もし文
化祭が下らないものであれば、その通りの反応が返ってきます。そこで落ち込んだり腹を立てたりするのではなく、何
が足りなかったのかを考える、そしてそれを生かして成長していくことが文化祭の真の目的ではないでしょうか。生徒
主体とは、その反省の工程に、より前向きに取り組むための姿勢です。
今回の文化祭テーマ「蘖」とは、切り株から生えてくる新芽を表す言葉です。今までの伝統の上に新しい、より良い
ものを築いていきたいという願いを込めました。今年の文化祭を通じて来年以降の文化祭がより良いものになればこの
願いが成就した、と言えるのではないでしょうか。
9
行 事 報 告
久美浜キャンプ
今年度の久美浜キャンプは前半A・
D組 月 日(金)
から 日(月)
、後半
B・C組 月 日(月)から 日(木)
まで行われました。 日目は県立コウ
ノトリの郷公園を訪れ、ビオトープの
中に入りゲンゴロウなどの田んぼに住
む虫を観察、またコウノトリが豊岡市
に復活するまでの物語をビデオで鑑
賞、コウノトリの生態について勉強を
しました。その後、久美浜臨海学舎へ
移動。夜は クラス合同で久美浜オリ
ンピックを楽しみました。 日目から
はきれいに澄んだ久美浜の海で水練を
行いました。泳力により 班に分かれ、
海水温が 度と冷たく入る際には水を
掛け合い歓声をあげながらの入水。夕
方は臨海学舎グラウンドでバーベキュ
ー。その後、空が暗くなると先生から
怖い話を聞き、浜辺までの道を肝だめ
し。 日目午前は、水練と久美浜の浜
辺を海浜清掃、午後は湊宮の街を高校
生が作ったクイズを解きながら散策、
夕方はキャンプファイヤーを行いまし
た。キャンプファイヤーの火に照らさ
れながらスタン
ツ大会を行い、
各班が練習して
きた芸を披露し
ました。そして
最後に花火を打
ち上げます。暗
闇の中にぱっと
鮮やかな光が浮
かぶのはとても
きれいで、花火
を見て歓声を上
生徒の声
げるのは中学 年生。久美浜キャンプ
では、
「わぁー」という中学 年生の
歓声に心からの歓びを感じている高校
生指導員がいます。中学 年生の屈託
のない笑顔を見ることが本当の歓びで
あるかのようにキャンプでは下働きを
一手に引き受けます。キャンプファイ
ヤーの火が弱くなってきた終盤、暗闇
の地面に置いてある花火を手探りで見
つけ出し点火、花火を楽しむのは空を
見上げますが、とても打ち上げた花火
を見上げて楽しむ余裕は感じられませ
ん。中学 年生の為にこれほどのこと
をやるのはなぜだろうか。これが六甲
生の愛情、Man for othersなのでし
ょう。打ちあがる花火を見ながら、そ
の奥には満天の星空、北斗七星がはっ
きりと見えます。キャンプ最終日の前
夜、久美浜キャンプ場近く小天橋海水
浴場では、夏祭りでの花火大会が開催
され、後半の生徒たちは浜辺から打ち
上げられる花火を見ることができまし
た。確かにきれいでした。しかし、久
美浜キャンプのもう一つの歓びはその
花火大会にはありませんでした。 期
生が下級生の為に帰ってくる場所は、
どこだろうかとふっと思いました。そ
して最終日 日目、午前久美浜の海で
最後の水練を行い、閉村式を行い久美
浜キャンプが終了しました。 学期の
間お世話になった指導員ともここでお
別れです。指導員の先輩から最後の言
葉を聞き、気持ちのこもった贈り物を
渡して、神戸へと向かうバスに乗り込
みました。久美浜の自然に触れること
ができ、この久美浜の地で学んだこと
をぜひ神戸に帰ってから今後の生活に
活かしてほしいと願っています。
(安達 英二)
久美浜キャンプ――成長への道
中
A 大井
裕揮
今回の久美浜は、小学校時代にあった「自然学校」などとは少し違っていました。その違いは夏と
秋という季節感での感じ方の違いであるかもしれませんが、とても楽しかったです。
「自然学校」で
も色々なことをしましたが、何事も苦痛で一日一日過ごすのがきつかったです。でも、久美浜で過ご
した三泊四日は苦になりませんでした。エアコンがなかったり、アイスがなかったというところはと
ても辛かったけど、その便利な「エアコン」などの電化製品がない世界で過ごすという部分は、非日常的で、いい経験
だったと思います。それで一皮むけたように感じました。
久美浜で一番楽しかったのはキャンプファイヤーです。その理由は、各班のスタンツがとても面白かったのと、最後
の花火は普段一人ではしないような打ち上げ花火だったので、とても楽しかったからです。
こんな楽しいキャンプを味わえたのは、この久美浜という環境を整えて下さった先生方がいて、指導して下さった指
導員の先輩方がいてのことだったので、改めてお礼を言いたいと思います。
10
行 事 報 告
立山キャンプ
今年度の 期立山
キャンプは、 月
日から 月 日にか
けて、学年を つの
班に分けて 泊 日
の日程で行われまし
た。山岳ガイドの佐
伯高男さんの指導の
もと、 日目に足慣
らしを兼ねて浄土山
に登り、 日目に縦
走をする日程です。
キャンプの内容上、
どうしても天候に左
右されてしまいます
が、今年は天気に恵
まれた班が多く、 班全てが浄土山に
登り、そのうち 班は縦走をすること
ができました。黒い岩山と澄み切った
青空、高山植物が伸ばした緑の葉、そ
して冬から溶けずに残る白い雪。子ど
もたちも
mの世界でしか味わえな
い風景を満喫することができたようで
す。また、悪天候のため唯一縦走に行
生徒の声
ますが、自分の足で
mの山を歩き
切った経験はかけがえのないものだと
思います。また、山歩きや小屋での生
活を通して、周りへの気遣いの大切さ
に気づけたのではないでしょうか。立
山での様々な経験が今後の学校生活に
活かされることを願っています。
(山口 紘史)
けなかった 班ですが、自然の厳しさ
を味わう一方で、山岳ガイドの川尻さ
んにロープワークを教えて頂いたり、
道路の通行止めの影響で立山ケーブル
カーに乗ったりすることができ、通常
の立山キャンプではできない体験をす
ることができました。
登山は決して楽ではなかったと思い
立山キャンプから学んだこと
中
B 福重
颯丈
私たち 期生は、 月 日から 月 日までの間、 つの班に分かれて立山キャンプに行ってきま
した。私が参加させていただいたのは 班です。 月 日、 日、
(ガイドさんや先生曰く)めった
にないほどの快晴の中で、足慣らし、縦走を行いました。特に、縦走は上り下りの高低差が激しく、
また、前日の足慣らしによる疲労も加わり、疲れ果てて、何度も何度も諦めようと思いました。しか
し、途中で見た富士山、頂上から見た剣岳、眼下に広がり見えた景色は喩え様もないくらい素晴らしいもので、きっと
一生忘れることはないと思います。
しかし実は、私の一番の思い出は他にあります。 日目、縦走当日の夜に疲れ果てた体に鞭打って行ったスタンツ大
会です。初めは劇の予定だった私の班は、なぜか当日になって急遽漫才をすることになり、通しが , 回しかできて
いない絶望的な状況で、順番までもが 番目という大プレッシャーでの本番でした。
しかし、背水の陣で作ったネタは思いのほかウケが良く、何と優勝を勝ち取ることができました。心地よい疲労感と
ともに、皆で協力して頑張るとどんなことも成し遂げられるということを学んだ瞬間でした。
これからも、素晴らしい仲間を大切に、いろいろなことにチャレンジしたいと思わせてくれた立山キャンプでした。
11
行 事 報 告
バスケットボール部夏季合宿
六甲バスケットボール部(略して
RBBC)では例年 月初 旬 に 校 内 で
泊 日の合宿練習を行っています。
中 ・高 ・高 の 学年が参加し、
朝練( ∼ 時)
・昼練( ∼ 時)
・
夜練( 時∼ 時)で構成されるチャ
レンジングな 部練習に取り組みま
す。今年度は 月 ∼ 日に実施し、
暑いなか汗にまみれ、部員達は文字通
り「バスケット漬け」の 日間を過ご
しました。
月のインターハイ予選後に結成さ
れる新チームは、体育祭練習、定期考
査、夏のキャンプ行事などを経て、実
際この合宿で初めて本格的かつ徹底的
に「高校バスケットボール」の「基礎」
を学びます。ただし、「基礎」とはい
ってもひたすらフットワークに取り組
み「根性」のみを鍛えるようなことは
活動報告
せず、出来る限りボールと触れ合いな
がら、ファンダメンタルとなる身体姿
勢やチームのベーシックな約束事を身
につけていきます。夜練はスクリメー
ジ(試合形式)を中心に行ってバスケ
ットボールを存分に楽しみます。この
練習には例年OB達が駆けつけてくれ
現役生の相手をしてくれるという
の がRBBCの 伝 統 で す。現 役 部
員を育むこの無形の財産には顧問
として心から感謝するばかりで
す。
今年度のチームは数から言えば
高校 年生が中心で、向上心と自
主性をもって部活に取り組んでく
れています。高校 年生は 名し
かいませんが、双方とも高い個人
能力を持ち、人間的にも成長して
謙虚で献身的なリーダーシップを
発揮してくれています。中学 年生は
ハードな練習にも挫けないガッツをも
って取り組んでくれています。 月に
控える新人戦では県大会出場を目指
し、チーム一丸となって奮闘努力して
くれることを確信しています。
(西野 宏志)
外の学校と交流して得られるもの
は、
「われわれとは何者か」という客
観的な視点です。自分や自分たち
が、どう「ちがう」
かに気づいて、
それを磨き抜いていく。自分では
短所と思っていたところが、舞台
に上げるときらきらと輝く。その
瞬間が、人を成長させます。
合宿の夜は、秋公演に向けての
熱いミーティングになります。次
の、よりよい舞台のために。恒例
の夏合宿は、いつもと違う経験の
出来る、特別な時間なのです。
(四宮 豊)
置してあります。その場所を確認する
とともに、これからは住んでいる地域
のAED設置場所を知っておくことや、
旅行や研修で訪れるホテルなど、設置
してあるAEDの場所を気にしながら
入館するなどちょっとしたことができ
たらと思います。今回の講習会で得た
知識と経験を大切にして、緊急時の際
には落ち着いて冷静に対処ができるよ
うにと願っております。
(市川 雄一)
演劇部は海を越えて
演劇部では毎年夏休み、近隣の公立
高校と 校合同で、淡路島合宿を行っ
ています。ホールを借りて、舞台機構
の知識を身に付けたり、学校の枠を取
り払ってチームを組んで、小芝居を作
ったりします。他校の部員さんは女子
が大半なので、男子校演劇部にとって、
「お母さん」
「倦怠期の彼女」
「幼なじ
みの女の子」といった存在を、想像で
はなく実際に相手として稽古できるの
は、相当に重要な機会なのです。いや、
まじめな意味で。
市民救命士
講習会
去る 月 日(火)に本校体育館に
て心肺蘇生法並びにAED講習会が行
われました。神戸市消防局のボランテ
ィアスタッフ 名を講師としてお迎え
し、朝 時 分から約 時間の講習が
行われました。 期高校 年生と教員
名が受講、今年は伯母野山老人会の
方も参加し大変有意義な講習会となり
ました。講習会で教えて頂いた経験が
役に立つことは、多くの人は一生に一
度あるかないかのことかもしれませ
ん。緊急時の備えとして毎年高校 年
生がAED講習会を受講しています。
六甲学院には体育館入口・保健室・第
グラウンドトイレ横控え室に加え
て、本校舎 階事務室前にAEDを設
12
学 院
の
生 活
保健室から
今年のゴールデンウイークの前後を
入れて 週間( 月 日∼ 日)の睡
眠時間表を全学年の生徒に提出しても
らい、そのデータから睡眠時間の平均
と、休日を入れても規則正しい睡眠が
とれているかどうかをグラフにしてみ
ました。規則正しいか不規則かの違い
は、平日(学校に行ってる日)と休日
の起床時間の差が 時間以上あるかな
いかで判断しました。
グラフから 月初旬は中 生が一番
規則正しい睡眠がとれていることが分
りました。また、違いはわずかですが
一番睡眠時間の短い高 生が他の学年
の高校生より規則正しい生活をしてい
ることが分りました。きっと、高 生
は目標もはっきりしてきて、ゴールデ
ンウイークも勉強に励んでいたことで
しょう。極端な言い方ですが、規則正
しい生活をしていると短い睡眠時間で
もいいということになります。このグ
ラフには、体調が良いか悪いかは表現
できませんでしたが、普段の保健室の
様子から、休み明けの体調不良(登校
時や朝礼時に脳貧血状態で来室する
子)
の話を聞くと前の晩は早く寝たが、
平均睡眠時間
睡眠のリズム
高3
高3
高2
高2
高1
高1
平均睡眠時間
中3
中2
中1
中1
2
4
学習センターから
6
8
10
規則正しい
中3
中2
0
休みの前日には遅くまで起きていて休
みの日はゆっくり起きている(起床時
間が 時間以上違う)という人を多く
見ます。休みの日ぐらいはゆっくり寝
かせてあげようという親心もよく分り
ますが、睡眠時間のリズムは特に成長
期には大事で、起立性調節障害の引き
金となる事もあります。休み明けに朝
起きにくい状態がある人、または体調
不良を訴える人は、起きる時間を一定
にするように心掛けてみましょう。
(曾川 笑子)
0%
不規則
20% 40% 60% 80% 100%
古本市
今回は学習センターで活動をしてい
る図書委員会が、文化祭で毎年開催す
る「古本市」について紹介します。準
備は 学期後半から生徒たち主導で行
われます。センターのスタッフが関わ
るのは、作業の手順案を提示、備品の
用意や器具の使い方の指導、お金の管
理の指導です。定例委員会で、役割分
担や古本の回収箱を準備して、夏休み
前には回収箱を設置します。 学期が
始まると慌ただしく本格的作業が始ま
ります。部活動や文化祭役員の生徒も
いるので毎日活動をできるのは 人ほ
どです。回収した本は天地にヤスリを
かけ、汚れを取って整えます。値段を
付けながら、おおまかに分類していき
ます。この作業は時間がかかり、根気
がいります。文化祭前日に本を搬入し、
店を形作っていきます。当日は販売、
看板を持っての宣伝活動となります。
閉店後は片付け、売上金の確認などの
後処理があります。金庫番は緊張の
日間です。図書委員長が 期目である
こと、経験者が多いこと、有志の手伝
いもあり、今回の「古本市」は円滑に
進み、問題なく終わりました。しっか
り来年へ引き継ぎが行われれば、モデ
ルケースになると思います。
毎年の事ですが、生徒たちとの意思
疎通ができているのか不安
になります。生徒たちに全
て任せてよいのか? こち
らの指示の押しつけになっ
ていないか? スタッフに
とっては「古本市」は生徒
たちとの関わりのバランス
を模索できる良い機会とな
っています。委員の任期は
半年です。続けて何年も活
動する生徒もいれば、 期
だけの生徒もいます。どの
生徒も図書委員をやりたい
と手をあげた時は「本が好き」などの
理由があったのだと思います。その気
持ちを大切に委員会活動の手助けをし
ていきたいと思っています。六甲学院
のホームページから「学習センター
WEBサイト」に入っていただくと、
今回の「古本市」の様子をつづったブ
ログをご覧になれます。(播磨 美奈)
13
学 院
の
生 活
「告知」について
校医 堀本 仁士 先生
わが国において、癌は現在、死因の
第 位で、年間 万人以上の人が癌で
亡くなっています。これは、国民 人
に 人が癌で亡くなっていることにな
ります。また、生涯のうちに癌にかか
る可能性は、男性の 人に 人、女性
の 人に 人といわれています。これ
だけ癌という病気が身近になってしま
った以上、皆さんも将来、癌という疾
患と向き合う必要性が出てくるかもし
れません。そこで癌の告知ということ
を少し考えてみたいと思います。
私が医師になった今から 年ほど前
は、癌の患者さんに対して、正直にそ
の病名を伝えることは必ずしも良いこ
とではないという考えが根強く残って
いました。特に回復の見込みがない末
期癌の患者さんに対しては、癌という
病名を出すことに多くの医療関係者が
ためらいを感じていました。しかし、
今では癌という病名、そしてたとえ末
期であっても、
「余命何ヶ月」などと
いうことをはっきりと告知するように
なってきました。医療技術の飛躍的な
進歩で、癌がかつてのような「不治の
病」
というイメージが薄れてきたこと、
そして患者の「知る権利」というもの
が尊重されるようになったことも一因
でしょうか。また、
「聞いた、聞いて
いない。
」という些細なことから医療
訴訟にまで発展する最近の風潮から、
知り得たことは取り敢えずそのすべて
を患者および家族に伝えておくべきと
いう医療者側の意識の変化も背景にあ
るのかもしれません。
私が医師になってからの数年間は、
肺癌の患者さんを担当することが多
く、その中で告知することの難しさを
経験しました。あるとき、肺癌の中で
も特に進行が早い小細胞癌に罹った患
者Aさんを受け持ちました。手術をし
ても回復する見込みはなく、余命もせ
いぜい半年という状態でした。私は別
室で奥様にそのことを説明しました。
奥様は「主人は会社を経営しており、
そういうことなら別の会社に勤めてい
る息子に早く引継ぎをさせたいので、
主人に正直に話して欲しい。
」と言い
ました。私は「病名はともかく、余命
半年とかの話はできません。
」と答え
ました。突然、奥様は早足で病室に行
14
き、Aさんに「あなたの病気は進行の
早い肺癌で、余命半年だそうです。会
社を早くあの子に継がせないと…」と
少々興奮気味に、一気に話してしまい
ました。奥様としては「残された時間
が少ないので、ご主人は急いで引継ぎ
の準備にかかるだろう。
」と思ったの
でしょう。ところが、Aさんの反応は
違いました。自暴自棄になってしまっ
たのです。
「もうどうでもいい。会社
もお前たちの好きなようにやればい
い。おれはどうせ半年後には居ないの
だから。
」病床に行くとAさんはいつ
もベッドに座り、ただ漠然と窓の外を
見つめていました。
歳代のBさんは肺癌で手術を受け
ました。手術の際に癌が予想以上に進
展していることがわかり、余命はそん
なに長くないことがわかりました。手
術の後も抗癌剤治療が続き、Bさんは
その副作用と戦っていました。Bさん
には癌であることは告げていませんで
した。
ある日、私がBさんの病床に行くと、
「先生、私は癌ですね。
」といわれまし
た。未熟な私は不意をつかれ、慌てて、
「いやそうではなく、
」と言おうとした
とき、私の言葉をさえぎり、
「先生、
ぼくは入院する前から知っていまし
た。そして先生方が全力で私の病気を
治そうと努力してくださっていること
に感謝しています。ただ、ひとつだけ
お願いがあります。私が自分の病気を
癌であると知っていることを妻には言
わないでください。妻は私を上手に騙
してくれています。私が本当のことを
知っていると分かれば、彼女は落胆す
ると思います。よろしくお願いしま
す。
」と言って深々と頭を下げられま
した。
Bさんの奥様に対する深い愛情に感
動しました。残念なことに、遠くで運
動会の歓声が聞こえる秋の日にBさん
は亡くなりました。お別れのとき、奥
様にこのことを話そうかどうか迷った
のですが、結局、話しませんでした。
一方で、ある時、癌の告知を以前か
ら積極的に行っている先輩医師である
C先生と話す機会があり、彼の経験談
を聞くことができました。彼が若いと
きに担当した 代の男性。かなり進行
の早い癌に冒されていました。手術で
助かる見込みもなく、余命は数ヶ月。
両親にはすべてを説明し、しかし本人
には告知せず、
「しばらく静養したら
元気になるから。
」といって、自宅療
養を勧めました。しばらくして彼が「結
婚したい女性がいるのだけど、もう少
し先にしたほうがいいでしょうか?」
とC先生に相談に来ました。C先生は
返答に困り、
「ご両親はどうおっしゃ
っている?」と聞くと、彼は「猛反対
です。回復してからでも遅くないと言
っています。
」C先生は「ぼくもそう
思う。
」と答えました。その後しばら
くして、彼は亡くなりました。C先生
は告知しなかったことが正しかったの
かどうか、ずっと心の中に引っかかり
を感じていました。そのことを後に同
僚医師に話したところ、
「医者が患者
の人生をコントロールしていいの
か?」と叱責され、やはりあの時、本
当のことを彼に伝え、彼の意思にすべ
てを任せるべきであったと気づいたそ
うです。それ以来、C先生は世の風潮
よりも先んじて、告知を積極的に行っ
てきたとのことでした。
「そらねえ、
もし僕が余命数ヶ月と言われたら、こ
んなところで白衣を着て仕事なんかし
てないよ。大切な人と無人島にでも行
って毎日好きなことをして過ごすよ。
そうだろう?」
癌の告知というのはとても難しい問
題です。その患者さんの置かれた状況
や性格、病気の進行度、回復の可能性
などを考慮して個々のケースで判断す
べきなのか、あるいはすべて一律に告
知すべきなのか。医療技術、患者の権
利、訴訟。こういったものは時代とと
もにどんどん進化、発展していきます
が、人間の気持ちの強さ、弱さはかつ
てとそんなに変化していないようにも
思います。皆さんはどう考えますか?
事 務 室
事 務 室
( )教員への電話の取り次ぎ及びご子
息への伝言について
教員へお電話をいただいた際は、事
務室にて教員の授業時間を確認したう
えで、取り次ぎをしております。取り
次ぎできない場合は伝言も承っており
ます。時々保護者の方から「折り返し
電話をしてもらうよう伝言したが、ま
だ連絡がない。
」とのお電話をいただ
くことがあります。事務室ではお伺い
した伝言は書面にして職員室に届けて
おりますが、授業・学校行事・会議・
面談・クラブ指導等の理由で教員に伝
わるまで多少時間を要する場合もある
ことをご承知おきください。
なお、欠席・遅刻のご連絡は原則事
務室で一括受付しております。受付時
間(午前 : ∼ : )に「中学ま
た は 高 校/学 年/組/出 席 番 号/氏
名/欠席または遅刻およびその理由」
をご連絡ください。
また、ご子息へのご伝言を依頼され
るケースもありますが、事務室から直
接校内放送での呼び出しは授業中には
行えず、また呼び出しても必ずしも事
務室に来られない場合もあるため、ご
子息への伝言は、原則教員経由でのお
伝えとさせていただいております。し
たがいまして、緊急の場合を除き、ご
子息への伝言には多少時間を要する場
合もあることをあわせてご了承願いま
す。
母の会より
か ら
( )制服等の販売について
制 服・校 内 着・制 鞄・体 育 用 品 等
は、毎週金曜日(考査、家庭学習日、
長期休暇時は除く。また学校行事等に
より変更もあります。
)の昼休みにア
トリウム(講堂棟広場)でお買い求め
いただけます。
物品に関するお問い合わせ、交換・
修理等に関しては、直接指定業者へお
問い合わせください。
制服・校内着・制鞄
畑洋服(株)
(TEL: − −
)
※制鞄の販売元はディアー商会です
が、アトリウムでは畑洋服(委託)
が販売いたします。
※制鞄の修理に関しては直接ディ
アー商会(TEL: −
−
)
へお問合せください。
体育用品・靴(白運動靴)
・トレーナー
塩谷スポーツ(TEL: − −
)
※販売時間は昼休みの 時 分から
時 分まで。
但し、時間割その他の理由で変更も
あります。
会 計 室
( )今後納入をしていただく納付金に
ついて
① 授業料
年度第 期分授業料等(授業料・
諸費補填金・冷暖房費・校友会費)の
自動振替は
年 月 日(月)に予
定しており、振替金額は中学生及び高
校 年 生・ 年 生 は , 円、高 校
年生は , 円となります。高校
年生につきましては高等学校等就学
支援金(月額 , 円)を控除した金
額となっています。詳しいご案内は
学期の始業式にご子息を通じてお配り
いたします。
② 高校入学者(現中学 年生)
年度に六甲中学校から六甲高等
学校へ入学される方( 期生)は、高
等学校への入学金( , 円)の納
入が必要で す。
年 月 日(火)
に授業料引落口座より自動振替いたし
ますので、前日までにご入金をお願い
いたします。詳しい案内は 学期の終
業式頃に保護者宛へ郵送いたします。
( )授業料軽減補助・高等学校等就学
支援金加算支給について
今年度の申請受付は終了いたしまし
た。申請が認められますと授業料軽減
補助は 月頃、就学支援金加算支給(高
校 年生・ 年生は基礎分を含む)は
月頃と 月頃に授業料引落口座へ送
金する予定です。
体育祭・バザー・文化祭のご報告
月 日(土)の体育祭では、アイスクリームやお飲み物、サンドイッチやおにぎり等の販売を致しました。
月 日(土)のバザーでは、お天気を心配しておりましたが、当日は梅雨の晴れ間となり、沢山のお客様にお越
し頂きました。年々時代の流れと共に、寄贈品、手芸品の品々も減少傾向にあり、一抹の不安を抱えながらの準備で
したが、お買い物を楽しむお客様で賑わい、お心のこもった品物を無事完売することができました。準備から当日ま
で様々な方にご協力を頂き、心より感謝申し上げます。
月 日、 日の文化祭では、お弁当やお飲み物、アイスクリームや六甲グッズの販売を致しました。 期生、
期生、高校生有志の皆さんにもお手伝い頂きました。声をあげての販売に照れながらも一生懸命に取り組んで頂き、
とても盛況な二日間となりました。文化祭委員の方々の頑張りも素晴らしく、日毎に成長する姿に感動しました。本
来の母の会の心を実践することができ、感謝致しますと共に、今後とも母の会へのご理解とご協力をお願い申し上げ
ます。
月からは幹事長を 期池田浩子さんに引き継いで頂きます。母の会の伝統を大切にしながら、時代に沿った活動
を会員の皆様と共に考えていきたいと思います。
(前幹事長 黒田 貴美子)
15
学 院
<
学期終業式∼
の
動
き
学期の予定>
月
∼
(変更の可能性があります)
月
日(火)
日(水)
日(木)
日(金)
(日)
∼/日
年
月 ∼ 日
(木)
日
(金)
∼ 日(水)
日(木)
日(金)
日(土)
・ 日(日)
日(月)
日(火)
日(水)
日(金)
日(金)
クリスマスメッセージ、終業式
天皇誕生日・クリスマスの集い
クリスマス・イブ
クリスマス(学校閉鎖)
学校閉鎖
中 :スキー実習
始業式・頭髪検査・大掃除
インド募金
生命について考える日
( 分× 時間 短縮授業)
午前中授業( 分× 時間 短縮授業)
中学入試A(家庭学習日)
大学入試センター試験
高 :センター試験自己採点・高 以外は家庭学
習日
中学入試B(家庭学習日)
家庭学習日
中 :わくわくオーケストラ(午後)
体育祭委員長選挙
∼
∼
月
∼
∼
∼
∼
∼
∼
日(金)
日(水)
日(木)
日(金)
日(土)
日
(金)
日
(土)
日
(日)
日
(木)
日
(金)
日
(金)
日(木)
日(水)
日
(火)
日
(金)
日
(土)
日
(火)
日
(木)
日
(水)
日
(木)
日
(金)
日
(土)
日
(日)
告 知 板
月から高 英語読解ベーシックコース担当として赴任された非常勤講師の
佐藤裕子先生が夏休みの補習終了後に都合により退職されました。 学期か
らは前年度まで高 のコースを担当し、
年 月で退職された正岡康子先
生に復帰していただきました。また、事務室に非常勤で勤務されていた内田
桂さんが 月 日で退職され、派遣の村田あき代さんが 月 日から着任さ
れました。
学期の終業式は警報発令のため中止になり、通知票は後日受け渡しといた
しました。このような特別措置の場合、学校とご家庭の緊急一斉連絡はメー
ルシステム(Gmail)しかありません。必ず、メールを受信できるように登
録、設定をお願いいたします。
夏・冬の長期休暇中には、学校が事務室を含め完全に閉鎖される
「学校閉鎖期間」があります。この間に緊急連絡が必要な場合は、
− −
(時間
: ∼ : )でお受けします。学校
管理者が対応いたします。
(畑堀 克則)
インド募金
頭髪検査
高 :卒業式予行
学生証写真撮影(中 ・中 ・高
卒業式( 時∼)
高 :沖縄研修旅行
高 :振替休日( / )
中学合格者登校( 期生)
MAGISの日
インド募金
中 :卒業式予行
分× 時間 短縮授業
期末考査
午前中授業
家庭学習日
終業式・中学卒業式・大掃除
巡礼・黙想
ニューヨーク研修旅行
追認考査
音楽部定期演奏会・聖木曜日
聖金曜日
聖土曜日
復活祭
・高
)
六甲会より
平成 年 月 日の保護者会に
おいて、六甲会定時総会を開催し、
年度収支決算、
年度収支
予算、
年度役員選任が承認可
決されました。それにより、下記
の方々が新役員になられましたの
で、ご報告申し上げます。
(会長 中井 透)
理事 下村 恒雄 様
( 期 下村 信雄 君の保護者)
理事 石﨑 義教 様
( 期 石﨑 海 君の保護者)
理事 吉松 昌之 様
( 期 吉松 昌悟 君の保護者)
編・集・後・記
今号は夏休みを含めた行事の報告が多くなりましたが、校医の堀本仁士先生にも依頼しましたところ、癌の「告知」に
ついてという原稿を保健室に届けてくださいました。私事で申し訳ありませんが、父親が胃癌と肺癌を患い、それぞれの
癌で告知が行われ、数回の手術を受けて現在も入院治療中です。高齢なので今後
はどうなるのかわかりません。我々も、男性の 人に 人が癌にかかるというこ
とであれば、もっと意識しておくべきだと思いました。一方、教育の現場でも以
前と大きく変化してきたことがあります。子供の人権、虐待、体罰、いじめなど
です。体罰といじめについては、 学期末に生徒を対象としてアンケート調査を
行いました。今後もアンケート調査を実施して早期発見と早期指導を心がけたい
と思っています。中学 年生では 月 日(金)に平尾潔弁護士( 期)を招い
て「いじめ予防授業」を行いました。
(畑堀 克則)
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