講演資料 - 大学研究力強化ネットワーク

開発の背景と
大学プロファイリングの動向
Nobuko Miyairi
Consultant/Analyst, Asia-Pacific
Nature Publishing Group
2015.2.2
大学研究力強化ネットワーク第2回カンファレンス
Agenda
Nature Indexとは
開発に至る背景
ベータ版の構想
(大学ランキングからプロファイリングツール
へ)
• Q&A
•
•
•
•
Nature Indexとは?
• 研究者が、自身の最高の研究成果を出したい
ジャーナルとして選んだ68誌を厳選
• 無料のウェブサイト(natureindex.com)を通じて、
直近12か月分のデータを公開、毎月一回データ
を更新
• 元となるデータベースは2012年1月以降のデー
タを蓄積
• 最新の研究成果を報告する原著論文のみを収
録
• 世界の国々と2万機関以上の研究プロファイル
に容易にアクセス(名寄せ済み)
Website
• Free
• 12-month
rolling data
(database)
2012 - onwards
Supplement
• Accompany Nature
• 1-year compilation
• Data + commentary +
ranking
大学名で検索>
プロファイルを表示
国名で検索>
プロファイルを表示
カスタムプロファイ
ルを追加(有料)
Nature別冊版の
pdfダウンロード
大学プロフィール(例:東京大学)
カスタムプロフィール(例:TUM)
カスタムイメージ
大学基本情報
URL, phone, mail
カスタム紹介文
Tweets
• ta
開発に至る背景
(1)Nature Publishing Index
• Nature Publishing Index (NPI)
はNPGリサーチジャーナル1
8誌に掲載された論文数によ
り大学・研究機関をランキン
グ
• 当初、NPGがアジアにオフィ
スを開設した際に、社内の参
考情報としてアジアの大学・
研究機関からの論文数をカウ
ントしたのがはじまり
• その後、Webページに掲載し
たところ、アクセスが集中
• 2007年頃より定期的に
アップデートを開始
• http://www.natureasia.com/en/
publishing-index/
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NPI supplements
• Webページの定期更新に続いて、Nature別冊と
してNPI supplementsを刊行
– Asia-Pacific edition (2009-)
– China edition (2010-)
– Global edition (2012-)
–
NPIにおける論文カウント
• ドキュメントタイプとして、
原著論文(Article, Letter,
Brief Communication)
のみをカウント
• 論文カウント方法は
以下の2種類
– AC (Article Count)
全ての共著者に等しく
論文をカウント
– CC (Corrected Count)
共著者の数により分数カウント
データベースによる
ドキュメントタイプの違い
Hayashi, K., Miyairi, N. Comprehensiveness and accuracy of document types: Comparison in Web of Science
and Scopus against publisher’s definition. 14th International Society for Scientometrics and Informetrics
Conference in Vienna, 2013
利用者からのフィードバック
• 自大学と他の大学との比較をしたいので、2008年から
現在までのデータを送ってほしい
• トップ200大学のリストを、CCでソートできるようにExcel
かWordファイルで送ってほしい
• 俯瞰的な分析がしたいので、全ての生データにアクセ
スしたい
• 業績報告として使いたいので、2013年のデータについ
て、すべての論文のCCを送ってほしい
• 自大学がトップ100位以内にランクされてたいへん喜
ばしいが、分野別に見ることは可能か?
• NPGジャーナルだけでなく、ScienceやPNASのデータも
同様にほしい
開発に至る背景
(2)大学ランキング
• 各種大学ランキングが注目されはじめる
• 「興味・関心」から「目標」としての大学ランキングへ
• 「数値による序列」から、複数の指標を組み合わせた
「大学プロファイリング」へ
•
国立大学改革プラン(2013年11月)
• 今後10年で世界ランキングトップ100に10校
ランクイン
スーパーグローバル大学創生支援
(2014年9月)
• タイプ
A:トップ型
世界大学ランキングトップ100を目指す力の
ある、世界レベルの教育研究を行うトップ大
学を対象
• タイプ
B:グローバル化牽引型
これまでの実績を基に更に先導的試行に挑
戦し、我が国の社会のグローバル化を 牽引
する大学を対象
http://www.jsps.go.jp/j-sgu/data/download/01_sgu_kouboyouryou.pdf
渡部, 由紀. 世界大学ランキングの動向と課題.京都大学国際交流センター 論攷 (2012), 2: 113-124
Nature Indexの構想
• NPIユーザーから寄せられたフィードバックを
元に、2011年頃より検討を開始
• 「研究者自身が最高の研究成果を載せたい
と考えるトップジャーナル」だけに限定したイ
ンデックスの開発
• 単なるランキング表から大学プロファイリング
ツールへ
• ドキュメントタイプ、カテゴリ分け、機関名寄せ
などの技術的克服
ジャーナルの選定
1. ジャーナル選定委員会
• 生命科学と物理科学の専門家による二つの委員会を立ち上げ、
それぞれの委員会が収録候補となるジャーナルを推薦した。
2. 研究者を対象とした世界規模のアンケート
• 過去2年以内に研究論文をジャーナルに投稿した実績のある
研究者3,900名から有効回答を得た。
• 「一番すごい研究成果が出たときに出したいジャーナルは何
か」という質問に対して寄せられた回答を集計したところ、委員
会の選択したジャーナルとほぼ一致した。
3. 計量書誌学的見地からの検討
• ジャーナルインパクトファクターについては必ずしもコア・ジャー
ナルが高い訳ではないので考慮せず。引用している・引用され
ている他のジャーナルとの相対的な関係について考慮した。
研究者アンケート(2011年)
• 全世界の研究者によるアンケート調査を実施
– 重要な研究成果を発表したいジャーナルを10誌まで
選択>順位付け
– 約3,900名からの有効回答
– NatureとScienceは半数以上の回答者が選択
– 分野毎に異なる傾向
–
2ステップマップによる検討
•
開発からベータ版公開まで
• 自然科学系のジャーナル68誌について20122013年のデータを収集
– 臨床医学系のジャーナルについては今後の検討
課題とした
• 著者アドレスについては機関名データベース
を構築して名寄せ
• クリエイティブ・コモンズ4.0(CC-BY-NC-SA)に
より直近12ヶ月分のデータをウェブサイトにて
公開(2014年11月)
大学ランキングから
プロファイリングツールへ
• 従来の研究アウトプットの定量分析は、できるだけ包括的なデータ
ベースから、分析の対象(論文/ジャーナル/機関/国etc)と目的に
則したデータ範囲(年、分野、ドキュメントタイプetc)を切り出し、適
切なデータクレンジングを行った上で取り組まなければならなかっ
た。
• このため各データベース事業者は、簡便なインターフェースを備え
た分析専用ツールを開発、提供するようになった。
• 一方、大学ランキングは単一指標による順位付けから、より複雑
にデータを組み合わせたものへと変化を遂げたが、その組み合わ
せはあくまでランキング提供者の恣意によるものである。
• こうした恣意性が指摘されるにつれて、ランキング提供側には手
法の透明化に向けた一層の努力が見られる。
• Nature Indexは、こうした従来のデータやツールにおける困難の克
服を目指す一方で、収録対象ジャーナルを意図的に絞ることに
よって、研究インパクト計測のあり方に一石を投じている。
Q&A