61 ≪化学的組成による分類≫ 産生する器官を書き込む ①ステロイドホルモン:副腎皮質,生殖腺,(ビタミン D) ♪ ↑間葉系の結合組織に由来する内分泌腺 ②アミン系ホルモン:甲状腺(サイロキシン),副腎髄質,松果体 ③ペプチドホルモン:それ以外 ≪受容体の場所による分類≫ ①脂溶性ホルモン:ステロイドホルモン,甲状腺ホルモン(サイロキシン) ・標的器官の細胞内に受容体がある *半減期が長い.特に甲状腺ホルモン ②水溶性ホルモン:それ以外 ・標的器官の細胞膜上に受容体がある *半減期が短い.特にカテコールアミン ≪視床下部のホルモン≫ ・下垂体前葉から放出されるホルモンの分泌調節 ≪下垂体中葉≫ ・メラニン細胞刺激ホルモンを放出 *下垂体前葉の後部の薄い部分を下垂体中葉ともいう ≪松果体≫ ・メラトニンを放出 *メラトニンの作用:性腺抑制作用 概日リズム(血中濃度は昼に低く,夜に高い) ♪解剖学・生理学サブノート♪ 62 【下垂体】 ≪腺性下垂体(下垂体前葉)≫ 1.成長ホルモン 2.プロラクチン 3.甲状腺刺激ホルモン 4.副腎皮質刺激ホルモン 5.卵胞刺激ホルモン 6.黄体形成ホルモン 『各ホルモンの作用』 1.成長ホルモン(GH) ・成長促進作用:骨端軟骨に作用し,骨の成長を促す 身体諸器官の増殖・肥大 ・肝臓に作用しソマトメジン分泌 → 骨格成長.蛋白同化作用 ・グリコーゲンを分解して血中へ → 血糖上昇 ・貯蔵されている脂肪を分解 → 血中の遊離脂肪酸上昇 *分泌促進要因…睡眠時・絶食・低血糖・運動 ・他に:カルシウムとリンの吸収促進 免疫防御能促進 2.プロラクチン(PRL) ・乳腺の発育,乳汁合成・分泌 ・性腺抑制作用,妊娠維持 3.甲状腺刺激ホルモン(TSH) ・甲状腺を刺激し,甲状腺ホルモンの分泌を促進 4.副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) ・副腎皮質を刺激し,副腎皮質ホルモンの分泌を促進 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 63 ♪ ◆ゴナドトロピン = 性腺刺激ホルモン 5.卵胞刺激ホルモン(FSH) Follicle stimulating hormone 男 セルトリ ○ 細胞に作用し精子形成の維持 女 卵胞初期形成,エストロジェンの分泌 ○ セルトリ細胞は精子の形成や保護・維持・栄養 ライディッヒ細胞はホルモン分泌 6.黄体形成ホルモン(LH) Luteinizing hormone 男 ライディッヒ 細胞に作用しアンドロジェンの合成・分泌 ○ 女 排卵 ○ 黄体初期形成,プロゲステロンの分泌 他に卵胞の成熟・エストロゲンの分泌 ≪神経性下垂体(下垂体後葉)≫ *視床下部の神経分泌細胞の軸索により構成される 1.バゾプレッシン 2.オキシトシン 『各ホルモンの作用』 1.バゾプレッシン『抗利尿ホルモン・ADH』 ・集合管での水の再吸収促進 → 尿量を減らす ・血管平滑筋の収縮(主に細動脈) → 血圧上昇 2.オキシトシン ・乳汁射出 ・子宮筋収縮 *主に平滑筋の収縮 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 血圧の調節に関与 血漿浸透圧の調節に関与 64 【甲状腺】 ≪位 置≫ ・頸部前面の甲状軟骨のやや下方に位置する ≪分泌ホルモン≫ 1.サイロキシン(T4) トリヨードサイロニン(T3) *濾胞上皮細胞から分泌 2.カルシトニン(ペプチドホルモン) *傍濾胞細胞から分泌 # 甲状腺ホルモンといえば,通常は「1」のことを指す 『ホルモンの合成(サイロキシン・トリヨードサイロニン)』 ・アミノ酸のチロシンから合成され,ヨウ素(ヨード)を必要とする ≪ホルモンの作用(サイロキシン・トリヨードサイロニン)≫成長発育に重要なホルモンである. ・熱量産生,酸素消費の増加 → 基礎代謝亢進.発育促進 ・蛋白・糖・脂質代謝への作用 → 血糖上昇など ・カテコラミン(特にアドレナリン)の作用の促進 *思考が迅速になる.反射の時間が短縮する [カルシトニンの生理作用] *生理的重要性は不明 ・骨吸収を抑制し,血中 Ca 濃度を低下させる ・尿中への P と Ca の排泄を促進 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 65 ♪ ≪甲状腺機能亢進症≫ ・バセドウ病 もしくはグレーブス病 ・甲状腺腫,眼球突出,頻脈など とよばれる ・血中の甲状腺ホルモン濃度上昇 ・血中 TSH の低下 *TSH = 甲状腺刺激ホルモン ≪甲状腺機能低下症≫ ・寒がり,皮膚の乾燥,徐脈,低血圧など ・重症の場合 → 粘液水腫 ・慢性甲状腺炎(橋本病)の終極像でみられる 『クレチン病』 :小児に発症した甲状腺機能低下症 低身長,知能低下がみられる ◆被曝による甲状腺への影響 ・甲状腺ホルモンの合成にはヨードが必要 ・原子力施設には,放射性ヨードを含むものがある(ウランの核分裂によって生成) ・事故などにより,放射性ヨードが流出 ・ヒトの体内に流入 ・体内に入った放射性ヨードは甲状腺に取り込まれる ・甲状腺に異常をきたす → 甲状腺癌 *安定ヨード(放射能を持たないヨード)を投与し,甲状腺のヨード含有を飽和させる. そうすることにより,放射性ヨードを取り込めないようにする ♪解剖学・生理学サブノート♪ 66 【副 腎】 ≪解 剖≫ 生理学 p157~ ・左右の腎臓の上に位置する内分泌器官 ・腎上体ともよぶ ・1.皮質(中胚葉性 )と 2.髄質(外胚葉性 )に分けられる ・静脈の経路:右側は下大静脈へ 左側は左腎静脈へ *精巣・卵巣静脈も同じ経路 ≪1.副腎皮質≫ :視床下部・下垂体で調節される 『分泌ホルモン』 ◆コレステロールを原料にして作られ,ステロイドと総称される A.アルドステロン B.コルチゾル :電解質 コルチコイド *球状層から分泌される :糖質 コルチコイド 副腎皮質ホルモンといったらコレ *主に束状層から分泌される C.アンドロゲン:男性ホルモン(テストステロンなど) *主に網状層から分泌される 作用は弱いが女性の腋毛や恥毛を生やす ♪解剖学・生理学サブノート♪ 67 ♪ 『アルドステロン(電解質コルチコイド)の主な作用』 生理学 p161~ ①Na+の再吸収促進 :特に遠位尿細管や集合管にて ②K+と H+の排泄促進 :Na+の再吸収と交換 *サブノート p51・52 参照 『コルチゾル(糖質コルチコイド)の主な作用』 生理学 p158~ ①血糖上昇 :アミノ酸からの糖新生,末梢組織での蛋白質分解 脳や心臓以外での糖の取り込み抑制 ②許容作用:カテコールアミンやグルカゴンの作用強化 *血圧上昇 ③抗炎症・抗免疫作用 :好中球増加,好酸球・リンパ球などは減少 ④骨形成低下 :腸管からの Ca 吸収を抑制,破骨細胞増加 *分泌調節 1.フィードバック機構:視床下部や下垂体前葉からの調節 2.サーカディアンリズム(生物時計・概日リズム):分泌は朝高く,夕方低い 3.ストレスへの反応:分泌促進 ≪2.副腎髄質≫ *交感神経節後線維 に相当 『分泌ホルモン』 ◆カテコールアミン:アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン 『カテコールアミンの主な作用』 ・交感神経系の作用の増強 *ストレスや緊急時にからだの働きを亢進させる ・血圧上昇,心拍数増加,血糖上昇など [アドレナリンとノルアドレナリンの作用の違い] 生理学 p162 1.アドレナリンの作用 ≒ β受容体を介する作用 ・心筋の収縮,心拍数上昇 → 心拍出量の増大 ・血糖値上昇 ・骨格筋の血管拡張 ・末梢循環抵抗減少 2.ノルアドレナリンの作用 ≒ α受容体を介する作用 ・ほぼ全身の末梢血管の収縮 ・血圧上昇 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 68 【生殖腺】 ≪視床下部(放出ホルモン)≫ ・ゴナドトロピン放出ホルモン(黄体形成ホルモン放出ホルモン) ≪下垂体前葉(刺激ホルモン)≫ ・ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン):1.卵胞刺激ホルモン(FSH) 2.黄体形成ホルモン (LH) セルトリ細胞は精子の形成や保護・維持・栄養 ライディッヒ細胞はホルモン分泌 ≪精巣のホルモン≫ ◆アンドロジェン◆ 精巣ホルモン アンドロ=男性 ジェン=源 『アンドロジェン(男性ホルモン)』 ・分泌細胞:ライディッヒ(間)細胞 ・主なホルモン:テストステロン(主) *他に:アンドロステンジオン,デヒドロエピアンドロステロン,ジヒドロテストステロン ・作用:精子形成促進 二次性徴の促進など 他は p166 参照 (DHEA) (DHT) testo(睾丸の)+sterol(ステロールという分子)+one(ケトン) *インヒビン セルトリ細胞が分泌するペプチドホルモン 下垂体に作用し,FSH の分泌抑制 ≪卵巣のホルモン≫ 『1.エストロジェン = 卵胞ホルモン 』 estro(発情)+gen(源) ・分泌細胞:内卵胞膜・顆粒細胞 他に胎盤 ・主なホルモン:エストラジオール(主),他にエストロン,エストリオール ・作用:卵胞の成長を促進 他は p168・169 参照 (分泌が増えると)LH に対して正のフィードバック(LH サージ) 骨形成を促進 』 『2.プロジェスチン = 黄体ホルモン ・黄体から分泌 *卵胞の顆粒細胞と内卵胞膜細胞が黄体化する 他に胎盤 ・主なホルモン:プロジェステロン(主) ・作用:子宮を妊娠の準備をするように変化させる 体温を上昇させる p169 参照 pro(促進)+gest(妊娠<gestation)+sterol(ステロール)+one(ケトン) ♪解剖学・生理学サブノート♪ 69 ♪ ≪女性の性周期≫ *平均 28 日 1.卵巣周期:卵胞期 → 排卵期 → 黄体期 2.月経周期(子宮内膜周期):月経期 → 増殖期 → 分泌期 ≪妊娠と分娩≫ ・卵管膨大部で受精が行われ,細胞分裂しながら移動し,受精後 1 週間で子宮内膜に到着し, 着床する 『胎 盤』 ・形成:母親由来の基底側脱落膜,胎児由来の絨毛膜有毛部 ・機能:母児間の物質交換 ホルモン産生作用…hCG,hCS,プロジェステロン,エストロジェン 『胎児・胎盤単位』 ・母体由来のプレグネノロンが胎児へ → 胎児の副腎皮質でデヒドロエピアンドロステロンを生成し胎盤へ → 胎盤がエストロジェンを生成 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 70 【カルシウム調節ホルモン】生理学 p187~ ≪1.上皮小体ホルモン :(副甲状腺ホルモン・パラソルモン)≫ 『副甲状腺(上皮小体)』 生理学 p190 ・甲状腺両葉の後面に位置する *通常は 4 個(個人差あり) 『ホルモンの作用』 *血中 Ca 濃度の増加・血中 P 濃度の減少 P の減少(尿から排泄促進するため) ・骨の再吸収促進(骨から Ca を血中へ吸収) ・破骨細胞の活性化 *造骨細胞の活性化が後に起こる. ・ビタミン D に作用して腸管からの Ca イオン吸収促進 ・腎臓で P の再吸収抑制(排泄促進),Ca 再吸収促進 *Trousseau 徴候:上腕にマンシェットを巻き前腕への血流を止めると,助産婦手位となる *Chvostek 徴候:外耳孔の前方で顔面神経を叩打すると,眼輪筋や口輪筋が痙攣する ≪2.カルシトニン≫ ・甲状腺の傍ろ胞細胞から分泌 ・骨の再吸収抑制:血中 Ca 濃度の低下 ≪3.ビタミン D≫ ・血中 Ca 濃度の増加 骨からの Ca・P の遊離,腎臓での Ca の再吸収亢進(排泄抑制), ・骨代謝の促進 腸管からの Ca・P の吸収促進 *皮膚・肝臓・腎臓が生成に関与 日光も 『Ca(カルシウム)・P(リン)の血中濃度の調節』 上皮小体ホルモン カルシトニン ビタミン D Ca ↑ ↓ ↑ P ↓ ↓ ↑ *骨代謝にかかわるその他の因子 ・副腎皮質ホルモン,成長ホルモン,エストロゲン,重力・外力など ♪解剖学・生理学サブノート♪
© Copyright 2024 ExpyDoc