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≪化学的組成による分類≫ 産生する器官を書き込む
①ステロイドホルモン:副腎皮質,生殖腺,(ビタミン D)
♪
↑間葉系の結合組織に由来する内分泌腺
②アミン系ホルモン:甲状腺(サイロキシン),副腎髄質,松果体
③ペプチドホルモン:それ以外
≪受容体の場所による分類≫
①脂溶性ホルモン:ステロイドホルモン,甲状腺ホルモン(サイロキシン)
・標的器官の細胞内に受容体がある
*半減期が長い.特に甲状腺ホルモン
②水溶性ホルモン:それ以外
・標的器官の細胞膜上に受容体がある
*半減期が短い.特にカテコールアミン
≪視床下部のホルモン≫
・下垂体前葉から放出されるホルモンの分泌調節
≪下垂体中葉≫
・メラニン細胞刺激ホルモンを放出
*下垂体前葉の後部の薄い部分を下垂体中葉ともいう
≪松果体≫
・メラトニンを放出
*メラトニンの作用:性腺抑制作用
概日リズム(血中濃度は昼に低く,夜に高い)
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【下垂体】
≪腺性下垂体(下垂体前葉)≫
1.成長ホルモン
2.プロラクチン
3.甲状腺刺激ホルモン
4.副腎皮質刺激ホルモン
5.卵胞刺激ホルモン
6.黄体形成ホルモン
『各ホルモンの作用』
1.成長ホルモン(GH)
・成長促進作用:骨端軟骨に作用し,骨の成長を促す
身体諸器官の増殖・肥大
・肝臓に作用しソマトメジン分泌 → 骨格成長.蛋白同化作用
・グリコーゲンを分解して血中へ → 血糖上昇
・貯蔵されている脂肪を分解 → 血中の遊離脂肪酸上昇
*分泌促進要因…睡眠時・絶食・低血糖・運動
・他に:カルシウムとリンの吸収促進 免疫防御能促進
2.プロラクチン(PRL)
・乳腺の発育,乳汁合成・分泌
・性腺抑制作用,妊娠維持
3.甲状腺刺激ホルモン(TSH)
・甲状腺を刺激し,甲状腺ホルモンの分泌を促進
4.副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
・副腎皮質を刺激し,副腎皮質ホルモンの分泌を促進
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◆ゴナドトロピン = 性腺刺激ホルモン
5.卵胞刺激ホルモン(FSH) Follicle stimulating hormone
男 セルトリ
○
細胞に作用し精子形成の維持
女 卵胞初期形成,エストロジェンの分泌
○
セルトリ細胞は精子の形成や保護・維持・栄養
ライディッヒ細胞はホルモン分泌
6.黄体形成ホルモン(LH) Luteinizing hormone
男 ライディッヒ
細胞に作用しアンドロジェンの合成・分泌
○
女 排卵
○
黄体初期形成,プロゲステロンの分泌
他に卵胞の成熟・エストロゲンの分泌
≪神経性下垂体(下垂体後葉)≫
*視床下部の神経分泌細胞の軸索により構成される
1.バゾプレッシン
2.オキシトシン
『各ホルモンの作用』
1.バゾプレッシン『抗利尿ホルモン・ADH』
・集合管での水の再吸収促進 → 尿量を減らす
・血管平滑筋の収縮(主に細動脈) → 血圧上昇
2.オキシトシン
・乳汁射出
・子宮筋収縮
*主に平滑筋の収縮
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血圧の調節に関与
血漿浸透圧の調節に関与
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【甲状腺】
≪位 置≫
・頸部前面の甲状軟骨のやや下方に位置する
≪分泌ホルモン≫
1.サイロキシン(T4)
トリヨードサイロニン(T3)
*濾胞上皮細胞から分泌
2.カルシトニン(ペプチドホルモン)
*傍濾胞細胞から分泌
# 甲状腺ホルモンといえば,通常は「1」のことを指す
『ホルモンの合成(サイロキシン・トリヨードサイロニン)』
・アミノ酸のチロシンから合成され,ヨウ素(ヨード)を必要とする
≪ホルモンの作用(サイロキシン・トリヨードサイロニン)≫成長発育に重要なホルモンである.
・熱量産生,酸素消費の増加 → 基礎代謝亢進.発育促進
・蛋白・糖・脂質代謝への作用 → 血糖上昇など
・カテコラミン(特にアドレナリン)の作用の促進
*思考が迅速になる.反射の時間が短縮する
[カルシトニンの生理作用] *生理的重要性は不明
・骨吸収を抑制し,血中 Ca 濃度を低下させる
・尿中への P と Ca の排泄を促進
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≪甲状腺機能亢進症≫
・バセドウ病
もしくはグレーブス病
・甲状腺腫,眼球突出,頻脈など
とよばれる
・血中の甲状腺ホルモン濃度上昇
・血中 TSH の低下
*TSH = 甲状腺刺激ホルモン
≪甲状腺機能低下症≫
・寒がり,皮膚の乾燥,徐脈,低血圧など
・重症の場合 → 粘液水腫
・慢性甲状腺炎(橋本病)の終極像でみられる
『クレチン病』
:小児に発症した甲状腺機能低下症
低身長,知能低下がみられる
◆被曝による甲状腺への影響
・甲状腺ホルモンの合成にはヨードが必要
・原子力施設には,放射性ヨードを含むものがある(ウランの核分裂によって生成)
・事故などにより,放射性ヨードが流出
・ヒトの体内に流入
・体内に入った放射性ヨードは甲状腺に取り込まれる
・甲状腺に異常をきたす → 甲状腺癌
*安定ヨード(放射能を持たないヨード)を投与し,甲状腺のヨード含有を飽和させる.
そうすることにより,放射性ヨードを取り込めないようにする
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【副
腎】
≪解 剖≫ 生理学 p157~
・左右の腎臓の上に位置する内分泌器官
・腎上体ともよぶ
・1.皮質(中胚葉性
)と 2.髄質(外胚葉性
)に分けられる
・静脈の経路:右側は下大静脈へ
左側は左腎静脈へ
*精巣・卵巣静脈も同じ経路
≪1.副腎皮質≫ :視床下部・下垂体で調節される
『分泌ホルモン』
◆コレステロールを原料にして作られ,ステロイドと総称される
A.アルドステロン
B.コルチゾル
:電解質
コルチコイド
*球状層から分泌される
:糖質
コルチコイド 副腎皮質ホルモンといったらコレ
*主に束状層から分泌される
C.アンドロゲン:男性ホルモン(テストステロンなど)
*主に網状層から分泌される
作用は弱いが女性の腋毛や恥毛を生やす
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『アルドステロン(電解質コルチコイド)の主な作用』 生理学 p161~
①Na+の再吸収促進
:特に遠位尿細管や集合管にて
②K+と H+の排泄促進
:Na+の再吸収と交換
*サブノート p51・52 参照
『コルチゾル(糖質コルチコイド)の主な作用』 生理学 p158~
①血糖上昇
:アミノ酸からの糖新生,末梢組織での蛋白質分解
脳や心臓以外での糖の取り込み抑制
②許容作用:カテコールアミンやグルカゴンの作用強化
*血圧上昇
③抗炎症・抗免疫作用
:好中球増加,好酸球・リンパ球などは減少
④骨形成低下
:腸管からの Ca 吸収を抑制,破骨細胞増加
*分泌調節
1.フィードバック機構:視床下部や下垂体前葉からの調節
2.サーカディアンリズム(生物時計・概日リズム):分泌は朝高く,夕方低い
3.ストレスへの反応:分泌促進
≪2.副腎髄質≫ *交感神経節後線維
に相当
『分泌ホルモン』
◆カテコールアミン:アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン
『カテコールアミンの主な作用』
・交感神経系の作用の増強
*ストレスや緊急時にからだの働きを亢進させる
・血圧上昇,心拍数増加,血糖上昇など
[アドレナリンとノルアドレナリンの作用の違い] 生理学 p162
1.アドレナリンの作用 ≒ β受容体を介する作用
・心筋の収縮,心拍数上昇 → 心拍出量の増大
・血糖値上昇
・骨格筋の血管拡張 ・末梢循環抵抗減少
2.ノルアドレナリンの作用 ≒ α受容体を介する作用
・ほぼ全身の末梢血管の収縮
・血圧上昇
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【生殖腺】
≪視床下部(放出ホルモン)≫
・ゴナドトロピン放出ホルモン(黄体形成ホルモン放出ホルモン)
≪下垂体前葉(刺激ホルモン)≫
・ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン):1.卵胞刺激ホルモン(FSH)
2.黄体形成ホルモン (LH)
セルトリ細胞は精子の形成や保護・維持・栄養
ライディッヒ細胞はホルモン分泌
≪精巣のホルモン≫ ◆アンドロジェン◆ 精巣ホルモン アンドロ=男性 ジェン=源
『アンドロジェン(男性ホルモン)』
・分泌細胞:ライディッヒ(間)細胞
・主なホルモン:テストステロン(主)
*他に:アンドロステンジオン,デヒドロエピアンドロステロン,ジヒドロテストステロン
・作用:精子形成促進
二次性徴の促進など 他は p166 参照
(DHEA)
(DHT)
testo(睾丸の)+sterol(ステロールという分子)+one(ケトン)
*インヒビン
セルトリ細胞が分泌するペプチドホルモン
下垂体に作用し,FSH の分泌抑制
≪卵巣のホルモン≫
『1.エストロジェン = 卵胞ホルモン
』 estro(発情)+gen(源)
・分泌細胞:内卵胞膜・顆粒細胞 他に胎盤
・主なホルモン:エストラジオール(主),他にエストロン,エストリオール
・作用:卵胞の成長を促進 他は p168・169 参照
(分泌が増えると)LH に対して正のフィードバック(LH サージ)
骨形成を促進
』
『2.プロジェスチン = 黄体ホルモン
・黄体から分泌 *卵胞の顆粒細胞と内卵胞膜細胞が黄体化する 他に胎盤
・主なホルモン:プロジェステロン(主)
・作用:子宮を妊娠の準備をするように変化させる
体温を上昇させる p169 参照
pro(促進)+gest(妊娠<gestation)+sterol(ステロール)+one(ケトン)
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≪女性の性周期≫ *平均 28 日
1.卵巣周期:卵胞期 → 排卵期 → 黄体期
2.月経周期(子宮内膜周期):月経期 → 増殖期 → 分泌期
≪妊娠と分娩≫
・卵管膨大部で受精が行われ,細胞分裂しながら移動し,受精後 1 週間で子宮内膜に到着し,
着床する
『胎 盤』
・形成:母親由来の基底側脱落膜,胎児由来の絨毛膜有毛部
・機能:母児間の物質交換
ホルモン産生作用…hCG,hCS,プロジェステロン,エストロジェン
『胎児・胎盤単位』
・母体由来のプレグネノロンが胎児へ →
胎児の副腎皮質でデヒドロエピアンドロステロンを生成し胎盤へ →
胎盤がエストロジェンを生成
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【カルシウム調節ホルモン】生理学 p187~
≪1.上皮小体ホルモン
:(副甲状腺ホルモン・パラソルモン)≫
『副甲状腺(上皮小体)』 生理学 p190
・甲状腺両葉の後面に位置する
*通常は 4 個(個人差あり)
『ホルモンの作用』
*血中 Ca 濃度の増加・血中 P 濃度の減少
P の減少(尿から排泄促進するため)
・骨の再吸収促進(骨から Ca を血中へ吸収)
・破骨細胞の活性化 *造骨細胞の活性化が後に起こる.
・ビタミン D に作用して腸管からの Ca イオン吸収促進
・腎臓で P の再吸収抑制(排泄促進),Ca 再吸収促進
*Trousseau 徴候:上腕にマンシェットを巻き前腕への血流を止めると,助産婦手位となる
*Chvostek 徴候:外耳孔の前方で顔面神経を叩打すると,眼輪筋や口輪筋が痙攣する
≪2.カルシトニン≫
・甲状腺の傍ろ胞細胞から分泌
・骨の再吸収抑制:血中 Ca 濃度の低下
≪3.ビタミン D≫
・血中 Ca 濃度の増加 骨からの Ca・P の遊離,腎臓での Ca の再吸収亢進(排泄抑制),
・骨代謝の促進 腸管からの Ca・P の吸収促進
*皮膚・肝臓・腎臓が生成に関与 日光も
『Ca(カルシウム)・P(リン)の血中濃度の調節』
上皮小体ホルモン
カルシトニン
ビタミン D
Ca
↑
↓
↑
P
↓
↓
↑
*骨代謝にかかわるその他の因子
・副腎皮質ホルモン,成長ホルモン,エストロゲン,重力・外力など
♪解剖学・生理学サブノート♪