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【膵臓のホルモン】
≪膵島(ランゲルハンス島)の内分泌細胞≫
・A 細胞…グルカゴン
・B 細胞…インスリン
・D 細胞…ソマトスタチン
≪グルカゴンの作用≫
*血糖を上昇させる
・異化ホルモン
・肝のグリコーゲン分解,アミノ酸からの糖新生を促進
・脂肪分解を促進し遊離脂肪酸放出を増加
『その他の血糖を上昇させるホルモン』
・コルチゾル,サイロキシン,成長ホルモン,カテコールアミンなど
≪インスリンの作用≫ 膵臓のランゲルハンス島の B 細胞(主に膵尾部に分布)でつくられる
『役 割』
:血糖低下,同化の促進(エネルギー源の貯蔵)
*血糖が上昇すると働く(吸収期)
1.グルコースを取り込んで,グリコーゲンの合成促進
2.アミノ酸を取り込んで,蛋白質の合成促進
3.脂肪分解を抑制し,脂肪の貯蔵を増加 ホルモン感受性リパーゼ活性を抑制
≪ソマトスタチンの作用≫
・インスリン,グルカゴンの分泌抑制
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【神経系の基礎】
≪神経とは≫
・脳からの情報を末端へ送ったり、末端から得た情報を脳へ伝える役目を持つ。更に、
それらの情報をまとめ、調節をする。
・神経系は a)中枢神経と b)末梢神経に分けられる。
a) 脳と脊髄
b) 中枢神経より発して全身に分布する神経
≪神経細胞の形態(構造上の分類)≫
*構造上,a)ニューロン(狭義の神経細胞)と b)支持細胞に分けられる
a) ニューロン(狭義の神経細胞):情報の伝導・伝達
b) 支持細胞:ニューロンの支持・保護.髄鞘の形成
中枢神経…グリア細胞(稀突起膠細胞,小膠細胞,星状膠細胞,上衣細胞)
末梢神経…シュワン細胞と外套細胞(衛星細胞)
①樹状突起
②細胞体
:情報を受け取るところ(入力)
:情報を統合するところ
③軸索小丘:活動電位の生じるところ
④軸索
:神経線維ともいう.情報を伝導するところ(出力)
⑤シナプス
:他のニューロンに情報を伝えるところ
⑥髄鞘
:ミエリン鞘ともいう.絶縁体の役割を持つ
a.稀突起膠細胞(中枢神経の場合)
b.シュワン細胞(末梢神経の場合)
*髄鞘があるものを有髄神経,ないものを無髄神経という
⑦ランビエの絞輪
:髄鞘と髄鞘の切れ目.跳躍伝導に関与
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【神経系】
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≪構造による分類≫
1.中枢神経:脳・脊髄
2.末梢神経:脳神経(12 対).脊髄神経(31 対)
*脳と脊髄から出る神経
≪機能による分類≫
1.体性神経:主に大脳新皮質
が中枢となる
・運動神経(遠心性神経)
・感覚神経(求心性神経)
2.自律神経:主に視床下部
・交感神経
・副交感神経
が中枢となる
*自律神経は遠心性のみと考えてよい
≪中枢神経の構造(白質と灰白質)≫
『白 質』
:中枢神経系で白く見えるところ
神経線維
の集まるところ
『灰白質』
:中枢神経系で灰白色に見えるところ
神経の細胞体
が集まるところ
大脳皮質,小脳皮質など
≪脳の区分≫
① 終脳(大脳半球)
② 間脳…視床.視床下部
③ 中脳
④ 橋
⑤ 延髄 *一般的には 3・4・5 を
合わせて脳幹
⑥ 小脳
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『1.終脳(大脳半球)』
A)大脳皮質(灰白質)
・最高度の統合作用(運動・感覚・言語など)
・新皮質と辺縁皮質に分類
・溝により 4 葉に分けられる
・機能局在:各領域により異なった働きをもつ
*言語中枢は主に左半球にある
大脳縦裂:左右の大脳を分ける
中心溝:前頭葉と頭頂葉
外側溝:前頭・頭頂葉と側頭葉
頭頂後頭溝:頭頂・側頭葉と後頭葉
① 前頭葉
a)運動野
b)運動性言語野(ブローカ中枢)
c)前頭連合野
・精神機能
・本能的行動の制御など
② 頭頂葉
a)体性感覚野
b)味覚野
c)頭頂連合野
・空間認知
・複合知覚など
③ 側頭葉
a)聴覚野
b)感覚性言語野(ウェルニッケ中枢)
c)側頭連合野
・視覚,聴覚の認知など
④ 後頭葉
a)視覚野
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B)大脳髄質(白質):皮質の内部で神経線維からなる
①連合線維…同一半球間を結合する線維
②交連線維…左右の半球を結ぶ線維.ex)脳梁
③投射線維…大脳皮質と脳幹・脊髄などを結ぶ線維.ex)内包
C)大脳(基底)核:大脳髄質中にある灰白質
(新)線条体
尾状核
被殻
淡蒼球
レンズ核
*広義には,視床下核・黒質を含める
・大脳皮質から情報を新線条体が受け取り,淡蒼球から視床を介して大脳皮質へ情報を送り返す
[機 能]:運動をシミュレートし,実行運動を調節する
運動の協調(静的な制御)
適切な運動を選択し,不必要な運動を抑制する.
「大脳基底核に障害が起きると…」
*動きが鈍くなる疾患
◆パーキンソン病
症状:無動・筋固縮・安静時振戦・仮面様顔貌・小刻み歩行
*動きすぎる疾患:(不随意運動がみられる)
◆ハンチントン舞踏病,アテトーゼ,バリスムス,ジストニー
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『2.間 脳』
①視 床:第 3 脳室の側壁を構成する灰白質
・嗅覚以外のすべての感覚の伝導路の中継核
・運動の中継核
・意識水準の調節
…大脳皮質運動野に送る(求心性)
…網様体からの情報を受ける
②視床下部
・自律神経系・内分泌系の最高中枢
『3.中 脳』
・錐体外路系の核:黒質・赤核
・錐体路の通路:大脳脚
・上丘:視覚の中継
・下丘:聴覚の中継
『4.橋』
・排尿中枢(仙髄にもあり)
『5.延 髄』
・錐体路の通路:錐体 (延髄下端で交叉する)
・錐体外路系の核:オリーブ(下オリーブ核)
*延髄網様体:骨格筋の筋緊張を調節
*広義の脳幹 =『2.間脳』
『3.中脳』
・
『4.橋』
・
『5.延髄』の総称
狭義の脳幹 =『3.中脳』
・
『4.橋』
・
『5.延髄』の総称
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『6.小 脳』
*半球外側(大脳性小脳):随意運動プログラム蓄積
・左右 1 対の小脳半球と,それをつなぐ虫部 *半球中間部(脊髄性小脳):運動制御
・脳幹の背側に位置する
*片葉小節葉と虫部(前庭性小脳):平衡感覚の制御
・形はカリフラワー状
・脳幹と小脳の間には第 4 脳室
が存在する
[構 造]
1.皮 質:灰白質(神経細胞体が多く存在)
*最外層から分子層 → プルキンエ細胞層
→ 顆粒層
2.髄 質:白質(神経線維が多く存在)
*神経核が存在(小脳核):歯状核,栓状核,球状核,室頂核
[求心性線維]
・登上線維:下オリーブ核からプルキンエ細胞へ
・苔状線維:橋核・前庭器官・固有受容器から顆粒細胞を経てプルキンエ細胞へ
[遠心性線維]
・プルキンエ細胞→小脳核→視床を介して大脳皮質へ,もしくは脳幹へ出力される
[機 能]:随意運動の協調
姿勢の保持 *緊張=トーヌス γ運動線維関与
運動学習機能(プログラミング)
「小脳に障害が起きると…」
*運動失調.協調運動ができない
・企図振戦:随意運動時に振戦 *半球中間部
・測定障害:随意運動を目的の位置で止めることができない *半球外側
・酩酊様歩行 *虫部・片葉小節葉
・振子様運動:筋緊張が低下 *虫部・片葉小節葉
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【脳室系】
・中枢神経系の内部の空洞
・脳脊髄液で満たされる
①側脳室
②室間孔(モンロー孔)
③第 3 脳室
④中脳水道(シルヴィウス水道)
⑤第 4 脳室
『脈絡叢』
:脳脊髄液の分泌
・側脳室
・第 3 脳室
・第 4 脳室
*第 4 脳室からは,脊髄の中心管につらなる
*第 4 脳室正中口と外側口からクモ膜下腔に通じる
*正中口=マジャンディ孔 *外側口=ルシュカ孔
【髄
膜】脳と脊髄を覆う膜
1.硬 膜
・外葉(外板):頭蓋骨の骨膜
・内葉(内板):大脳鎌や小脳テントを形成 *内葉…本来の硬膜
*硬膜静脈洞:脳の静脈や脳脊髄液を集める
2.クモ膜
*クモ膜顆粒:硬膜静脈洞に入り込む
3.軟 膜
・脳,脊髄の表面に密着
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【脊
髄】
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角
索
根
*脊髄円錐:第 1~2 腰椎の高さ
*馬尾神経:第 1~2 腰椎以下の脊髄神経
*脊髄神経:頸神経 8 対,胸神経 12 対,腰神経 5 対,
仙骨神経 5 対,尾骨神経 1 対
≪ベル・マジャンディー
の法則≫
・遠心性神経線維(運動神経)は前根を通る
・求心性神経線維(感覚神経)は後根を通る
*求心性神経の細胞体は脊髄神経節にある
≪灰白質≫
・前角:運動神経
細胞(末梢神経の細胞体)が集まる
・後角:一次ニューロンを受ける神経細胞が集まる
・側角:自律神経
系の神経細胞が集まる
*交感神経の神経細胞(T1~L2),副交感神経の神経細胞(S2~4)
【脊髄髄膜】
①硬膜(内板)
②クモ膜
③軟膜
④脊柱内膜(硬膜外板)
⑤硬膜上(外)腔
⑥クモ膜下腔
⑦神経上膜
⑧神経周膜
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【静止膜電位】
≪膜電位とは≫
・細胞外液と細胞内液でのイオン組成の違いにより生ずる電位
・細胞内は外側に対して負 の電位である
p202 ナトリウム(Na+)とカリウム(K+)
主なイオン組成
細胞内:K+,蛋白イオン
細胞外:Na+,Cl-
蛋白はマイナスの電荷を持つ.
≪静止膜電位とは≫
◆膜電位が見かけ上,安定状態にあること
・神経細胞の静止膜電位:約-70mV
*K+の平衡電位に近い
*平衡電位とは
・濃度勾配と電位勾配の力が釣り合い,イオンの動きが止まったときに
膜の両側に生じる電位差のこと
『細胞膜の性質』
①半透膜:水は通すがイオンは通しにくい
②イオンはチャネルやポンプにより細胞の内外を移動する
③イオンの中で K+の透過性が高い
『ナトリウムポンプ』 p206・p20
・細胞膜に組み込まれた輸送体蛋白質
・濃度勾配に逆らって,能動輸送を行なう
*能動輸送:ATP の分解により生じるエネルギーを使用して行なう輸送
・細胞内から外へ Na+ を汲み出し,外から内へ K+ を汲み入れる
# 間接的に静止膜電位の維持に貢献している
*イオンチャネル
・細胞膜は脂質の二重構造を形成しており、イオンをほとんど通さない(非電導性)
そのところどころにイオンチャネルがはめ込まれており、イオンはそこを通過する
電位作動性チャネル:閾電位に達したときに開くチャネル
リガンド作動性チャネル:ある物質が受容体に作用することにより開くチャネル
「テトロドトキシン」:Na チャネルの透過性を阻害→活動電位の発生の阻害
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