71 ♪ 【膵臓のホルモン】 ≪膵島(ランゲルハンス島)の内分泌細胞≫ ・A 細胞…グルカゴン ・B 細胞…インスリン ・D 細胞…ソマトスタチン ≪グルカゴンの作用≫ *血糖を上昇させる ・異化ホルモン ・肝のグリコーゲン分解,アミノ酸からの糖新生を促進 ・脂肪分解を促進し遊離脂肪酸放出を増加 『その他の血糖を上昇させるホルモン』 ・コルチゾル,サイロキシン,成長ホルモン,カテコールアミンなど ≪インスリンの作用≫ 膵臓のランゲルハンス島の B 細胞(主に膵尾部に分布)でつくられる 『役 割』 :血糖低下,同化の促進(エネルギー源の貯蔵) *血糖が上昇すると働く(吸収期) 1.グルコースを取り込んで,グリコーゲンの合成促進 2.アミノ酸を取り込んで,蛋白質の合成促進 3.脂肪分解を抑制し,脂肪の貯蔵を増加 ホルモン感受性リパーゼ活性を抑制 ≪ソマトスタチンの作用≫ ・インスリン,グルカゴンの分泌抑制 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 72 【神経系の基礎】 ≪神経とは≫ ・脳からの情報を末端へ送ったり、末端から得た情報を脳へ伝える役目を持つ。更に、 それらの情報をまとめ、調節をする。 ・神経系は a)中枢神経と b)末梢神経に分けられる。 a) 脳と脊髄 b) 中枢神経より発して全身に分布する神経 ≪神経細胞の形態(構造上の分類)≫ *構造上,a)ニューロン(狭義の神経細胞)と b)支持細胞に分けられる a) ニューロン(狭義の神経細胞):情報の伝導・伝達 b) 支持細胞:ニューロンの支持・保護.髄鞘の形成 中枢神経…グリア細胞(稀突起膠細胞,小膠細胞,星状膠細胞,上衣細胞) 末梢神経…シュワン細胞と外套細胞(衛星細胞) ①樹状突起 ②細胞体 :情報を受け取るところ(入力) :情報を統合するところ ③軸索小丘:活動電位の生じるところ ④軸索 :神経線維ともいう.情報を伝導するところ(出力) ⑤シナプス :他のニューロンに情報を伝えるところ ⑥髄鞘 :ミエリン鞘ともいう.絶縁体の役割を持つ a.稀突起膠細胞(中枢神経の場合) b.シュワン細胞(末梢神経の場合) *髄鞘があるものを有髄神経,ないものを無髄神経という ⑦ランビエの絞輪 :髄鞘と髄鞘の切れ目.跳躍伝導に関与 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 73 【神経系】 ♪ ≪構造による分類≫ 1.中枢神経:脳・脊髄 2.末梢神経:脳神経(12 対).脊髄神経(31 対) *脳と脊髄から出る神経 ≪機能による分類≫ 1.体性神経:主に大脳新皮質 が中枢となる ・運動神経(遠心性神経) ・感覚神経(求心性神経) 2.自律神経:主に視床下部 ・交感神経 ・副交感神経 が中枢となる *自律神経は遠心性のみと考えてよい ≪中枢神経の構造(白質と灰白質)≫ 『白 質』 :中枢神経系で白く見えるところ 神経線維 の集まるところ 『灰白質』 :中枢神経系で灰白色に見えるところ 神経の細胞体 が集まるところ 大脳皮質,小脳皮質など ≪脳の区分≫ ① 終脳(大脳半球) ② 間脳…視床.視床下部 ③ 中脳 ④ 橋 ⑤ 延髄 *一般的には 3・4・5 を 合わせて脳幹 ⑥ 小脳 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 74 『1.終脳(大脳半球)』 A)大脳皮質(灰白質) ・最高度の統合作用(運動・感覚・言語など) ・新皮質と辺縁皮質に分類 ・溝により 4 葉に分けられる ・機能局在:各領域により異なった働きをもつ *言語中枢は主に左半球にある 大脳縦裂:左右の大脳を分ける 中心溝:前頭葉と頭頂葉 外側溝:前頭・頭頂葉と側頭葉 頭頂後頭溝:頭頂・側頭葉と後頭葉 ① 前頭葉 a)運動野 b)運動性言語野(ブローカ中枢) c)前頭連合野 ・精神機能 ・本能的行動の制御など ② 頭頂葉 a)体性感覚野 b)味覚野 c)頭頂連合野 ・空間認知 ・複合知覚など ③ 側頭葉 a)聴覚野 b)感覚性言語野(ウェルニッケ中枢) c)側頭連合野 ・視覚,聴覚の認知など ④ 後頭葉 a)視覚野 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 75 ♪ B)大脳髄質(白質):皮質の内部で神経線維からなる ①連合線維…同一半球間を結合する線維 ②交連線維…左右の半球を結ぶ線維.ex)脳梁 ③投射線維…大脳皮質と脳幹・脊髄などを結ぶ線維.ex)内包 C)大脳(基底)核:大脳髄質中にある灰白質 (新)線条体 尾状核 被殻 淡蒼球 レンズ核 *広義には,視床下核・黒質を含める ・大脳皮質から情報を新線条体が受け取り,淡蒼球から視床を介して大脳皮質へ情報を送り返す [機 能]:運動をシミュレートし,実行運動を調節する 運動の協調(静的な制御) 適切な運動を選択し,不必要な運動を抑制する. 「大脳基底核に障害が起きると…」 *動きが鈍くなる疾患 ◆パーキンソン病 症状:無動・筋固縮・安静時振戦・仮面様顔貌・小刻み歩行 *動きすぎる疾患:(不随意運動がみられる) ◆ハンチントン舞踏病,アテトーゼ,バリスムス,ジストニー ♪解剖学・生理学サブノート♪ 76 『2.間 脳』 ①視 床:第 3 脳室の側壁を構成する灰白質 ・嗅覚以外のすべての感覚の伝導路の中継核 ・運動の中継核 ・意識水準の調節 …大脳皮質運動野に送る(求心性) …網様体からの情報を受ける ②視床下部 ・自律神経系・内分泌系の最高中枢 『3.中 脳』 ・錐体外路系の核:黒質・赤核 ・錐体路の通路:大脳脚 ・上丘:視覚の中継 ・下丘:聴覚の中継 『4.橋』 ・排尿中枢(仙髄にもあり) 『5.延 髄』 ・錐体路の通路:錐体 (延髄下端で交叉する) ・錐体外路系の核:オリーブ(下オリーブ核) *延髄網様体:骨格筋の筋緊張を調節 *広義の脳幹 =『2.間脳』 『3.中脳』 ・ 『4.橋』 ・ 『5.延髄』の総称 狭義の脳幹 =『3.中脳』 ・ 『4.橋』 ・ 『5.延髄』の総称 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 77 ♪ 『6.小 脳』 *半球外側(大脳性小脳):随意運動プログラム蓄積 ・左右 1 対の小脳半球と,それをつなぐ虫部 *半球中間部(脊髄性小脳):運動制御 ・脳幹の背側に位置する *片葉小節葉と虫部(前庭性小脳):平衡感覚の制御 ・形はカリフラワー状 ・脳幹と小脳の間には第 4 脳室 が存在する [構 造] 1.皮 質:灰白質(神経細胞体が多く存在) *最外層から分子層 → プルキンエ細胞層 → 顆粒層 2.髄 質:白質(神経線維が多く存在) *神経核が存在(小脳核):歯状核,栓状核,球状核,室頂核 [求心性線維] ・登上線維:下オリーブ核からプルキンエ細胞へ ・苔状線維:橋核・前庭器官・固有受容器から顆粒細胞を経てプルキンエ細胞へ [遠心性線維] ・プルキンエ細胞→小脳核→視床を介して大脳皮質へ,もしくは脳幹へ出力される [機 能]:随意運動の協調 姿勢の保持 *緊張=トーヌス γ運動線維関与 運動学習機能(プログラミング) 「小脳に障害が起きると…」 *運動失調.協調運動ができない ・企図振戦:随意運動時に振戦 *半球中間部 ・測定障害:随意運動を目的の位置で止めることができない *半球外側 ・酩酊様歩行 *虫部・片葉小節葉 ・振子様運動:筋緊張が低下 *虫部・片葉小節葉 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 78 【脳室系】 ・中枢神経系の内部の空洞 ・脳脊髄液で満たされる ①側脳室 ②室間孔(モンロー孔) ③第 3 脳室 ④中脳水道(シルヴィウス水道) ⑤第 4 脳室 『脈絡叢』 :脳脊髄液の分泌 ・側脳室 ・第 3 脳室 ・第 4 脳室 *第 4 脳室からは,脊髄の中心管につらなる *第 4 脳室正中口と外側口からクモ膜下腔に通じる *正中口=マジャンディ孔 *外側口=ルシュカ孔 【髄 膜】脳と脊髄を覆う膜 1.硬 膜 ・外葉(外板):頭蓋骨の骨膜 ・内葉(内板):大脳鎌や小脳テントを形成 *内葉…本来の硬膜 *硬膜静脈洞:脳の静脈や脳脊髄液を集める 2.クモ膜 *クモ膜顆粒:硬膜静脈洞に入り込む 3.軟 膜 ・脳,脊髄の表面に密着 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 79 【脊 髄】 ♪ 角 索 根 *脊髄円錐:第 1~2 腰椎の高さ *馬尾神経:第 1~2 腰椎以下の脊髄神経 *脊髄神経:頸神経 8 対,胸神経 12 対,腰神経 5 対, 仙骨神経 5 対,尾骨神経 1 対 ≪ベル・マジャンディー の法則≫ ・遠心性神経線維(運動神経)は前根を通る ・求心性神経線維(感覚神経)は後根を通る *求心性神経の細胞体は脊髄神経節にある ≪灰白質≫ ・前角:運動神経 細胞(末梢神経の細胞体)が集まる ・後角:一次ニューロンを受ける神経細胞が集まる ・側角:自律神経 系の神経細胞が集まる *交感神経の神経細胞(T1~L2),副交感神経の神経細胞(S2~4) 【脊髄髄膜】 ①硬膜(内板) ②クモ膜 ③軟膜 ④脊柱内膜(硬膜外板) ⑤硬膜上(外)腔 ⑥クモ膜下腔 ⑦神経上膜 ⑧神経周膜 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 80 【静止膜電位】 ≪膜電位とは≫ ・細胞外液と細胞内液でのイオン組成の違いにより生ずる電位 ・細胞内は外側に対して負 の電位である p202 ナトリウム(Na+)とカリウム(K+) 主なイオン組成 細胞内:K+,蛋白イオン 細胞外:Na+,Cl- 蛋白はマイナスの電荷を持つ. ≪静止膜電位とは≫ ◆膜電位が見かけ上,安定状態にあること ・神経細胞の静止膜電位:約-70mV *K+の平衡電位に近い *平衡電位とは ・濃度勾配と電位勾配の力が釣り合い,イオンの動きが止まったときに 膜の両側に生じる電位差のこと 『細胞膜の性質』 ①半透膜:水は通すがイオンは通しにくい ②イオンはチャネルやポンプにより細胞の内外を移動する ③イオンの中で K+の透過性が高い 『ナトリウムポンプ』 p206・p20 ・細胞膜に組み込まれた輸送体蛋白質 ・濃度勾配に逆らって,能動輸送を行なう *能動輸送:ATP の分解により生じるエネルギーを使用して行なう輸送 ・細胞内から外へ Na+ を汲み出し,外から内へ K+ を汲み入れる # 間接的に静止膜電位の維持に貢献している *イオンチャネル ・細胞膜は脂質の二重構造を形成しており、イオンをほとんど通さない(非電導性) そのところどころにイオンチャネルがはめ込まれており、イオンはそこを通過する 電位作動性チャネル:閾電位に達したときに開くチャネル リガンド作動性チャネル:ある物質が受容体に作用することにより開くチャネル 「テトロドトキシン」:Na チャネルの透過性を阻害→活動電位の発生の阻害 ♪解剖学・生理学サブノート♪
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