地域包括ケアシステムと病院の役割

先進地域から学ぶ
地域包括ケアシステムと病院の役割
後期高齢者人口の急増,多死・人口減少社会の到来と共に,従来型の社会保障制度から
地域包括ケアシステムへのパラダイム転換が求められています。こうした中で病院の役割は
どう変わっていくのでしょうか。保健医療福祉を統轄する機能,地域住民への働きかけ,地
域包括支援センターや介護サービスとの連携など,さまざまな角度から見ていきます。
地域包括ケアシステムを支える病院における
病院機能と連携室の役割
地域包括医療・ケア連携室
室長兼保健師長
佐藤妙子
広島県尾道市
広
公立みつぎ総合病院
病床数:240床
(一般病床152床〈一般病棟146床,緩和ケア病棟6床〉,
療養病床88床〈回復期リハビリ病棟65床,療養病棟23床〉)
診療科目:22診療科
尾道市御調町と
地域包括ケアの現状
み つぎ
御調町は広島県の東南部に位置する農村地
帯にあり,2005年3月に尾道市と合併し尾
も35%を超えており,長年過疎化と高齢化
の問題を抱えている。
公立みつぎ総合病院の
役割・機能(表1)
道市御調町となった。中国横断自動車道尾道
当院の理念は「地域包括医療・ケアの実践
松江線が開通したことで,道の駅や尾道ふれ
と地域包括ケアシステムの構築及び住民のた
あいの里などで,子どもから高齢者までがふ
めの病院づくり」であり,保健・医療・介
れあう拠点として尾道市北部の発展を支えて
護・福祉サービスを総合的に提供している。
いる。しかし,2015年3月末現在の人口は
1956年に22床で開設し,その後増改築工事
7,242人,65歳以上の高齢者は2,546人(う
を繰り返して現在は病床数240床となり,診
ち後期高齢者は1,505人)であり,高齢化率
療圏域人口約7万人の地域の中核的総合病院
表1◆公立みつぎ総合病院の特性
高度医療を行う地域の中核的総合病院(二次救急指定病院)
回復期リハビリテーション病棟および緩和ケア病棟を併設
病院と保健福祉センター(行政部門)を核として,地
域包括ケアシステムを構築
→地域包括医療・ケア連携室を設置
在宅ケアと寝たきりゼロ作戦を実施
保健・医療・介護・福祉の連携統合
医師臨床研修病院指定,各種学会認定施設
日本医療機能評価機構による病院機能評価認定施設
人間ドック・健診施設機能評価認定施設
緩和ケア機能評価認定施設
地域包括医療・ケア認定施設
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さとう たえこ 1990年看護師免許取得。1991
年保健師資格取得。1991年尾道市公立みつぎ総
合病院に入職。病棟での勤務後,御調保健福祉
センター保健師として勤務。2000年介護支援専
門員資格取得。2003年主任保健師補佐。2007
年主任保健師。2014年尾道市公立みつぎ総合
病院地域医療・ケア連携室室長兼保健師長。
地域連携 入退院と在宅支援 Vol.8 No.3
である。経営形態は,地方公営企業法の全部
適用の国民健康保険診療施設となっている。
御調町における地域包括ケア
システム構築までの経緯
御調町は過疎の町であり,周辺に医療機関
や施設が少ないため,急性期から回復期・維持
期,さらには終末期医療までの対応を自らが担
う必要があり,地域包括医療・ケアを実践する
ための機能を病院自体が持っている。また,病
院と保健福祉センター(行政部門)を核として
図1◆御調町における在宅老人と在宅寝たきり老人の推移
(%)
4.0
3.8
3.4
3.0
2.0
3.3
2.8
1,479 1,4501,4841,516 1,513
1,625
1,5641,587
1,6761,740
1,814 1,841 1,867
3,000
2,345
2,343
2,313
2,348
2,281
2,340 2,359
2,325 2,308 2,276
2,332
2,312
2,301
2,136 2,181 2,209 2,240 2,247
2,040 2,070
1,965
2,532
1.1
1.0
1,500
1.1
0.9
2,500
2,000
1.8
1.0
1.0 1.0
1.0
0.9
0.9 0.8
0.8
0.8
1.0 1.0 1.0 1.0
1.0
0.7 0.8
0.6
1.0 1.1
1.2
1.2
1.0 1.0
1.1 1.0
1.2
1.3 1,000
500
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
0.0
(人)
在宅寝たきり老人の割合
■在宅老人数
0
(年)
地域包括システムを構築しており,そのために
高齢者や家族との人間関係をつくり,訪問看護
地域包括医療・ケア連携室を設置している。
を行うことができるようになった。これが,地
御調町では,1974年から当院を核とした地
域包括ケアシステム構築のきっかけとなった。
域包括ケアの一環として,在宅ケアや「寝た
1981年には,広島県から県立「ふれあい
きりゼロ作戦」を推進してきた。また,
「福祉
の里」特別養護老人ホーム(以下,特養)リ
の町」宣言を行い「健康と福祉の町」として
ハビリテーションセンター(19床の有床診療
も町づくりを進めてきた。1965 ~1974年頃
所)の運営委託を受けた。その後,我々の訪
の御調町は,非常に寝たきりの多い町であっ
問看護は福祉の壁に突き当たった。当時,福祉
た。当時,急性期医療体制を充実させていた
はすべて措置制度で行政に権限があり,病院長
が,退院した患者が褥瘡をつくり,寝たきり
には何の権限もなかった。そこで山口院長は当
になって再入院してくるケースが相次いだ。
時の町長と相談し,保健,医療,福祉を一体化
これらの多くは①家庭内における介護力の不
し,町役場の保健と福祉部門を病院の中に移管
足,②不適切な介護,③不適切な療養環境,
した。この機構改革によって,行政部門である
④家の中への閉じこもりなどから起こるいわ
国保健康管理センター
(現・保健福祉センター)
ゆる「つくられた寝たきり」であり,当時の
を病院の中に設置し,保健・医療・介護・福祉
当院の院長であった山口昇がこの寝たきりを
の連携・統合を果たした。その結果,約10年
なんとか防止しようと考え,病院の医療を家
間で在宅寝たきり高齢者の数を3分の1に減
庭の中まで持っていく,今でいう訪問看護・
らし,以後も横ばいを継続している(図1)
。
訪問リハビリテーションである「出前医療」
平成に入り,老人保健施設(以下,老健施
を始めた。今から40年前のことで,法律も
設)
,在宅介護支援センター(後に地域包括
何の制度もなかった頃である。当初はなかな
支援センター)
,訪問看護ステーション,ケ
かうまくいかなかったが,その後専任の訪問
アハウスなど多くの施設を段階的に整備した。
看護師を,さらに病院に専任の病院保健師を置
また,住民参加によるボランティアとして,
き,看護師と一体となって看護の出前を行った
時間貯蓄性の福祉バンクや病院・施設ボラン
頃から少しずつ軌道に乗っていった。こうして
ティアなどのソフト面の充実も図った。市町
地域連携 入退院と在宅支援 Vol.8 No.3
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図2◆当院を核とした地域包括ケアシステム(保健・医療・介護・福祉の連携・統合システム)
行政
保健所
保健福祉センター
地域包括支援センター
公立みつぎ総合病院
歯科保健センター
介護予防センター
(運動・栄養・口腔)
訪問看護ステーション
(訪問看護・訪問リハビリ
テーション)
居宅介護支援事業所
ヘルパーステーション
保健福祉総合施設
急性期病棟(ICU)
緩和ケア病棟
回復期リハビリテーション病棟
療養病棟
地域包括医療・ケア連携室
高次脳機能地域支援センター
広島県リハビリテーション支援センター
地域リハビリテーション広域支援センター
医師会,歯科医師会
他病院
社会福祉協議会
障害者通所施設(授産所)
居宅介護支援事業所
デイサービスセンター
リハビリテーションセンター
(診療所)
ケアハウス
グループホーム
老人性認知症センター
救護施設
他市介護施設
村合併により福祉バンク制度は消滅したが,
きた地域包括ケアのことであり,今後もさら
ボランティア連絡協議会をつくり,再度ボラ
なる充実が求められる(図2)
。
ンティア組織を再編してホスピスボランティ
アを始め,病院ボランティア,施設ボラン
14
特別養護老人ホーム
福祉人材研修センター
在宅
地域住民
介護老人保健施設
(一般棟・認知症専門棟)
地域包括医療・ケア連携室の役割
ティア,さらに保健推進員制度,介護保険推
当院の入院患者の多くは高齢者であり,治
進員制度など,現在も活動を続けている。こ
療が終了しても状態変化や介護の問題などで
のような住民参加は,地域包括ケアシステム
すぐには在宅生活に戻れない場合も多い。ま
の構築には不可欠と考えている。その後も
た,当院は回復期リハビリテーション病棟も
ニーズの多様化に対応して機能分化が進み,
整備しているので,リハビリテーション(以
病院に回復期リハビリテーション病棟や緩和
下,リハビリ)対象の入院患者も入院の多く
ケア病棟,保健福祉総合施設にグループホー
を占めている。そのため,入院時から退院に
ムやユニット棟(特養,老健施設)などを設
向けて,退院支援の流れをシステム化し,多職
置して「地域包括ケアシステム」のさらなる
種協働でチーム医療を行っている。これら調整
充実を遂げている。
機能の役割を果たしているのが連携室である。
国では,2014年「地域医療介護総合確保
医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)
,保健
推進法」の趣旨として,
「地域包括ケアシス
師が中心となり,在宅スタッフとも連携し,多
テムの構築」を挙げており,医療・介護連携
職種による退院前カンファレンス(写真-①)
などの地域支援事業の充実と,地域の包括的
や,試験外泊,家屋チェック(写真-②)など
な支援,サービス提供体制の構築が求められ
を行いながら,住み慣れた地域へ安心して退院
ている。これらはまさしく,当院が実践して
し生活していけるように支援している(図3)
。
地域連携 入退院と在宅支援 Vol.8 No.3
写真◆安心して退院し生活していけるようにするための支援
●療法士による家屋チェックと
②
福祉用具の調整
①病棟での退院前サービス担当者会議
●
医師
歯科衛生士
相談員
訪問看護師
福祉用具業者
療法士
病棟看護師
ケアマネジャー
家族
また,退院後も訪問や会議などで在宅部門と
連携し,多職種によるシームレスな支援を
行っている(図4,表2)
。2014年には病院
図3◆当院の退院支援の流れ
入院
情報収集・アセスメント
ケースカンファレンス
保健師が連携室に配属され,さらなる地域と
のつながり・連携の役割を果たしている。現
面談
在,保健師1人・看護師1人・MSW4人・事
退院時指導・試験外泊
訪問による家屋環境チェック
務1人で構成され,退院支援は主にMSW・
保健師が行っている。
このように,当連携室は単に患者の紹介を
退院
ス
退院前サービス
担当者会議
本人・家族・ケアマ
ネジャー・かかりつ
け医など多職種で
行うだけでなく医療・介護連携,さらに地域
連携,病院に併設されている保健福祉セン
性リンパ腫術後で要介護5。妻と二人暮ら
ター,地域包括支援センター,広島県地域リ
し。近くに住む妻の弟の支援あり。
ハビリテーション支援センター,尾三地域を
近隣の総合病院から,自宅退院を目指し
圏域とする地域リハビリテーション広域支援
てリハビリ希望と,転院相談があった。A
センター,高次脳機能地域支援センターなど
さんの病状は落ち着いており,再燃した場
との連携を密にして文字どおり連携の拠点と
合でも治療は行わない方針であった。緩和
しての役割を果たしている。当院の山口名誉
ケア外来受診後,当院一般病棟へ転院と
院長は「地域包括ケアシステムの構築のキー
なった。
ワードは連携,在宅,地域」と述べているが,
◆支援の経過
我々の連携室はまさにその連携の拠点となっ
胃の全摘とリンパ節郭清術を施行し,その
ていることは前述したとおりである。
後抗がん剤治療した。リンパ節転移ははっき
患者支援の実際
事例1 自宅退院を
りしないが,細胞診は陽性であった。緩和ケ
ア外来時,家族は「前の病院の医師より『が
んは治った』と説明を受けた」と言い,当院
強く希望されたケース
にはリハビリ目的での転院を希望していた。
Aさん,80代後半,男性。胃原発性悪
がんの状況に対する認識は異なるものの,今
地域連携 入退院と在宅支援 Vol.8 No.3
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図4◆当院における地域包括医療・ケア連携室の役割
入院
退院
医院・他病院
病 棟 担 当MSW
と病棟との連携
(入 院 時 に 退院
支援計画スク
リーニング)
病棟内の
ミニ
カンファレンス
退院前訪問
(家屋チェック)
本人・家族・
在宅スタッフなど
在宅療養環境の整備
在宅退院に向けての情報共有・
調整
施設退院に向けての情報共有・
調整
院内・地域の関係職種との調
整・連絡
本人・家族・
在宅スタッフなど
退院前
カンファレンス
方向性の確認
チームアプローチのための役
割分担
本人・家族指導
(吸痰・経腸栄養・排泄介助な
どのケアの指導)
社会資源・制度の紹介,支援
在宅
在宅
病棟師長とMSW
で再評価
(1回/週)
生活を視点に退院調整・支援
医院・他病院・施設
情報共有・課題の
アセスメント
退院後
連携のための情報共有
連携会議
在宅ケア連絡会議
保健福祉センター施設連絡
会議
(みつぎの苑・在宅部門連
絡会議)
地域ケア会議
ホームヘルパー,保健師等
合同会議
住民組織
ボランティア
地域医療部
施設
在宅ケア連絡会議
(在宅療養に向けて,入院中からの連携のあり方を検討)
訪問診療 訪問歯科診療
訪問看護 訪問リハビリ
訪問栄養指導 訪問薬剤指導
訪問口腔衛生指導 訪問介護
デイケア デイサービス
短期入所
表2◆在宅部門との連携会議
会議名
協議事項
回数
構成メンバー
在宅ケアを行っていく上での問題点
病院(医師,看護師,薬剤師,療法士,管理栄養士,
および今後の方向性について検討
歯科衛生士,地域包括医療・ケア連携室相談員,保
在宅ケア連絡会議
(在宅療養に向けて)さらに介護保 1回/月 健師)
,介護老人保健施設,地域包括支援センター,
(継続看護検討委員会)
険を踏まえて入院(入所)中からの
訪問看護ステーション,ホームヘルパーステーション,
連携のあり方を協議
ケアプランセンター「みつぎ」
・「ふれあい」など
病院(副院長,事務部長,看護部長,地域包括医療
ケア・連携室相談員,保健師ほか)
,特別養護老人
保健福祉センター施設
各部署からの報告,課題の検討など
ホーム,介護老人保健施設,グループホーム,リハ
連携会議
(みつぎの苑・在宅部門連絡会議は 1回/月 ビリセンター,訪問看護ステーション,地域包括支
(みつぎの苑・在宅部門
入退所状況など情報交換)
援センター,ホームヘルパーステーション,保健福
連絡会議)
祉センター,介護予防センター,ケアプランセン
ター「みつぎ」
・「ふれあい」など
地域ケア会議
定例
困難事例に対して,住民参加の中で
1回/月
支援内容の検討から,ネットワークの
および
強化をすると共に,地域課題を把握
随時
ホームへルパー・保健
ケース検討,連絡調整,情報提供
師等合同会議
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地域連携 入退院と在宅支援 Vol.8 No.3
地域包括支援センター,医師(病院,開業医)
,病
院(薬剤師,管理栄養士,療法士,地域包括医療・
ケア連携室相談員,保健師)
,介護老人保健施設支
援相談員,訪問看護ステーション,ホームヘルパー
ステーション,居宅介護支援事業所,民生委員児童
委員,本人,家族,地域住民など
訪問看護ステーション,ホームヘルパーステーショ
,介護予防セン
1回/週 ン,ケアプランセンター「みつぎ」
ター,地域包括医療・ケア連携室など
後がんの治療は行わない方針には同意され,
や多職種でサービスの検討を行ったこと(多
主治医と相談し一般病棟へ転院となった。
職種連携,医療・介護連携)
,ケアマネが訪
転院後,状態が安定し,居宅介護支援事業
問看護,訪問介護の利用について相談・調整
所に退院について相談した。ケアマネジャー
を行っていたこと,Aさんの住み慣れた地域
(以下,ケアマネ)とAさん・妻と面談を行
の福祉用具の業者や訪問看護を利用すること
い,月の半分はショートステイを利用し,残
で,サービスに対して安心感を持ってもらえ
りは通所介護と訪問介護を利用することを検
たことも,頻回のサービスを利用しての自宅
討した。退院後の診療に関しては,近くの開
退院につながったと思う。高カロリー輸液に
業医の往診を希望していたため,開業医に退
ついては,当院の在宅用の機械を使用し,
院後のかかわりについて相談し了解を得た。
24時間の持続点滴を継続している。
その後発熱が続き,状態が不安定となり体
予定の8日間を過ぎてもAさんと妻は在宅
力も低下していった。いつ退院できるか分か
生活の継続を希望され,結局1カ月間自宅で
らない状態ではあったが,Aさんの自宅退院
過ごすことができた。現在も時々入院はする
への希望が強いため,主治医と相談し,退院
が自宅で療養されており,多職種のかかわり
可能になればいつでも自宅に帰れるように家
の中,シームレスな支援を行うことで,住み
屋チェックとサービスの検討・調整を行っ
慣れた地域で安心して療養が継続できている。
た。その後も発熱が続き,食事も十分摂取で
きず,造設していたポートで高カロリーの輸
事例2 在宅を目指し
訓練施設入所したケース
液を開始した。退院の時期を決められない状
Bさん,
60代前半,男性。くも膜下出血,
態が続いたが,Aさん・妻の自宅に帰りたい
視力障害で要介護2。独居。民生委員のか
という希望が強かったため,退院に向けて話
かわりあり。近隣に妹家族がいる。療育手
し合いを行った。
帳Ⓑ,身体障害者手帳1級。くも膜下出血
妻,妻の弟,ケアマネ,訪問看護・訪問介
で,両側前頭開頭脳動脈瘤クリッピング術を
護事業所,主治医,病棟師長,理学療法士,
施行。術後の後遺症として全盲状態となる。
作業療法士,MSWにてケアカンファレンス
◆支援の経過
を行い,8日間の期間限定ではあったが,前
家族,民生委員との面談で,入院前の生活
の病院での入院も含め1年1カ月ぶりの自宅
状況と今後の療養先などについて確認を行っ
への退院が決まった。主治医より改めて病状
た。Bさんは就労継続支援A型事業所で仕事
説明を行ったことで,家族,ケアマネ,サー
をしており,地域活動にも積極的に参加して
ビス事業所が共通認識を持つことができた。
いた。また,退院後もできる限り在宅での生
退院後の診療については,状態が不安定であ
活を希望していた。
ることから,当院の主治医による訪問診療で
術後1週間後,主治医から家族,民生委員
対応していくこととなった。
に対して後遺症として視力障害が残り全盲状
◆考察
態になる可能性が高いことを説明した。退院
退院が決まらない中で,退院可能になれば
後すぐに在宅で生活することに不安があった
いつでも自宅へ帰れるように,家屋チェック
ため,施設入所の方針となったが,Bさんは
➡続きは本誌をご覧ください
地域連携 入退院と在宅支援 Vol.8 No.3
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