修士論文要旨

修士論文要旨
論文タイトル: 「外食産業の企業文化戦略について」
学籍番号:AM13025
氏
名:宋 佳音
指導教授:池島政広
【論文の構成】
はじめに
第1章 問題意識提示と研究目的
第2章 問題状況の分析
第3章 仮説の提示
第4章 実証分析
第5章 中国外食産業の企業文化と今後の展望
終わりに
【論文の内容】
1.研究目的
企業文化の構築は、今中国のすべての産業で重視しなければならないことであり、本研究においては、
企業成長のために企業文化を創造するという戦略を求めている中国外食産業の現状を分析し、企業文化
の形成の促進要因と阻害要因を認識し、中国特色の国情による企業文化戦略の構築の提言をすることを
目的とする。
2.研究方法
まず、事例研究をし、経営者がどのような理念と価値観を持って企業文化戦略を立てたか、経営理念
を浸透するための具体的な経営の仕方を調査する。企業文化戦略によって経営の仕方の共通点を比較し
て、企業理念の浸透や従業員の動機づけに大きな影響を与える要素を分析する。
次に、質問紙調査を行う。経営理念の浸透程度、教育訓練、職務態度、やる気が出る理由と辞める理
由、会社の売り上げのため仕事を頑張る理由、やる気、上司への満足度という七つの項目を把握する。
最後に、外食産業の企業トップにヒアリング調査をし、経営者側での経営理念の浸透方法と従業員へ
の動機づけを把握する。
3.研究意義
本研究は、高度発展の中国にある中国の外食産業の競争優位性を引き出しするための企業成長戦略の
一つとして、企業文化戦略に注目し、海外の同じ業種を研究し企業文化戦略のポイントと阻害要因を明
確にすることで中国の外食産業の企業文化の形成についてまとめ、激しい競争に陥っている中国の外食
産業に貢献することに意義があるということができる。
4.研究結果
質問紙調査の実証の結果から、上司の役割と教育訓練が理念の浸透や勤務態度にとってはとても重要
であることは肯定された。理念の浸透や勤務態度はやる気の引き出しに大きな影響を与えていることも
わかった。中国人の従業員たちのやる気を出すには、経営理念の受け入れは必要である。従業員のサー
ビスの向上のためには、やる気を引き出さなければならないという結論付けることができる。
外食産業に属している在職中の 15 人の管理層のヒアリングの結果から、以下のことが分かった。
経営理念や方針を持っていて、ほとんどは能力開発や会議の形で浸透していくという経営仕方をしてい
る。自分の店の教育訓練は適切しかも十分だと思い、従業員は経営理念や方針をほぼ受けいれられると
信じている。実証の部分の従業員の理念や方針の受け入れの手がかりのところを見ると、中国人従業員
は一番理念を受け入れる方式は確かに会社の教育訓練である。そして上司や社員の行動も大事であるこ
ともわかった。従って、中国の外食産業の経営者たちは幹部の専門教育を行うほうがいいと思われる。
従業員のやる気が出る理由については、上司からの褒め、賃金、会社の良いところを取り上げている。
一番やる気が出る理由については、賃金を選ばれた。そしてやめたい理由として、会社の悪さが選ばれ
た。やめる人を引き留めるためには、ほとんどの経営者は給与上げと勤務時間の調整を対策としている。
この結果から、中国の経営者はまだ金銭を従業員のやる気を引き出す手段として使っていることが分か
った。今の中国人は確かに物質への追求は重視しているが、徐々に精神面の追求も高くなっているので、
今後は経営者にとって従業員の精神追求を重視することは会社の長期発展に必要なものだと思われて
いる。
【主要参考文献】
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2.斎藤勇 藤森立男『経営心理学トピックス 100』誠信書房、1998
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4.梅澤正『組織文化 経営文化
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義塾大学
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7.張虹 金雅美
吉村孝司
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根本孝
『テキスト企業文化』泉文堂、2004
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9.伊丹敬之 加護野忠男『ゼミナール
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第三版』日本経済新聞出版社、2012
10.経営能力開発センター『経営学検定試験公式テキスト1
11.恩蔵直人『経営学入門シリーズ
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マーケティング』日本経済新聞出版社、2012
12.高尾義明 王英燕『経営理念の浸透――アイデンティティ・プロセスからの実証分析』有斐閣、2012
13.Stephen
P.Robbins 米倉誠一郎(監訳)
『Managing
14.田尾雅夫
高木修(監修)『組織行動の社会心理学』北大路書房、2001、p139
15.小林幸一郎 梅澤正
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株式会社アイ・イーシー、2001、p150
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『組織社会学』サイエンス社、1988、p209
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17.松山一紀『日本人労働者の帰属意識―個人と組織の関係と精神的健康―』
、ミネルヴァ書房、2014、p.48
18.松村洋平〔編著〕
『企業文化(コーポレートカルチャー)経営理念と CSR』学文社、2006、p.47
以上