ケアプラン立案のコツ

特集3
自らの思いを
表現できない利用者の
ケアプラン立案のコツ
介護ニーズが潜在化して,なかなか表面
上では分かりにくい利用者は,アセスメン
トをより的確に行う必要があります。本
特集では,アセスメントの要点やケアプラ
ンの書き方について,さまざまなケースを
例に分かりやすく解説します。
隠れたニーズを見つけやすくする
アセスメントのツボと ケアプラン立案への活かし方
アセスメントとは,介護保険制度では「課題分析」
「解決すべき課題の把握」
と称されています。利用者の「自立支援」をチームで進めていく上で,ケア
マネジメントの基本となる解決すべき「生活課題」を導き出すための重要な
プロセスとなります。このアセスメントを行う目的は,次の3つになります。
①利用者一人ひとりの尊厳を保持する支援を行うため
とは言え,人としての尊厳はそれぞれ異なります。
「自分の尊厳」につい
て表明できる人は少ないでしょう。また,利用者によっては,何らかの原因
で自分のことについて「こうしてほしい」とは話せない,話したくない,あ
るいは訴えることができない方もいます。支援を担う介護支援専門員は,そ
の人の尊厳の保持のために「その人の立場に立ったケアマネジメント」を行
う必要があります。そこで,介護支援専門員には,その人の立場に立つ支援
を行うために,その人自身の生活歴,家族・地域・社会生活の中で培われた
価値観や生活態度,生活習慣・宗教・趣味・大事にしている事柄や物などを
十分に把握する能力,知ろうとする心構えが求められるのです。
②利用者の自立支援の可能性を引き出すため
次に,自立支援の可能性を引き出すためには,利用者の日常生活動作能力
(Activities of daily living:ADL)を把握する必要があります。ただ,ここで
言う「自立能力」は身体的自立のみならず,自己選択・自己決定を行うため
方の体を動かしたり,その方に必要な援助を本人に代わって選択したりする
佐藤ちよみ
所長
48
動かせない,また自己選択や自己決定ができない方に対しては,他者がその
対人援助スキルアップ研究所 介護支援専門員・介護福祉士で、交流分析インストラクター・東京都福祉
サービス第三者評価評価者・介護技術講習主任指導者。ケアマネジャー・
介護職の研修を中心に、居宅サービス計画・施設サービス計画・訪問介護
計画などの作成法、介護記録・交流分析など。対人援助技術・介護技術な
どの現場技術の指導と施設職員の育成にも力を注いでいる。ただ今
にて幅広いテーマで発信中。心の生活リハを展開。講師としても活躍中。
H
P
の「自律能力」を把握することも重要です。しかし,自分の体も思うように
場面もあります。そのため,介護支援専門員には中立・公正で客観的な判断
力が求められています。
③生活全体の解決すべき課題(ニーズ)を導き出すため
利用者や家族などから多い初期の相談は,現状の不安から脱却したいがた
めに,
「○○を利用したい」
「△▽に行きたい」などを主訴として訴えるもの
でしょう。介護支援専門員は,これらの主訴に傾聴しつつ,
「生活全般の解
決すべき課題(ニーズ)
」を導き出していく必要があります。
具体的には,利用者や家族などから収集したさまざまな情報から,生活機
能を脅かす一つひとつの事柄について利用者および家族の困り事や要望(felt
needs)を明確にし,その上で「○×することが必要」といった,介護支援
高齢者安心安全ケア 実践と記録 Vol.12 No.6
専門員による客観的な「意見」(normative
することを目的」として作成されています。評
needs)を利用者や家族の理解が得られるよ
価表は,
「ケアプランに位置付けたサービスに
うに伝え,「意見の一致」を図っていきます。
ついて,短期目標に対する達成の度合いを評
意見の一致を図れた内容こそ,
「真のニーズ」
価することで,より効果的なケアプランの見
となるのです。そのためにも,介護支援専門
直しに資することを目的」として,作成され
員には対人援助力やコミュニケーション能力
ています。これらの新たな帳票について国は,
が求められるのです。
介護支援専門員の研修やサービス担当者会議
アセスメントのツボ①
国は課題整理総括表の
使用を推進している
で使用するようにアナウンスしています。そこ
で今回は,課題整理総括表を使用しながら課題
を導いていきます。なお,課題整理総括表は,
「介護サービス計画作成」の前提と言える課
介護支援専門員が,あらかじめアセスメント
題分析については,国は介護支援専門員の個
を行った後に,記載することになっています。
人的な考え方や手法のみによって行われては
アセスメントのツボ②
観的に抽出するための手法として,合理的な
利用者の
「その人らしさを探求する」
ものと認められている適切な方法を用いなけ
国が定めた課題分析標準項目は,利用者の
ればならないとしており,
「課題分析標準項
基本情報に関する項目と,課題分析(アセス
目」
(1999年)を用いるように定めています。
メント)に関する項目とに分かれています。
介護支援専門員は,この課題分析標準項目
ここでは,利用者の「その人らしさ」を知るた
をもとに作成されたアセスメントツールを
めに必要な,利用者の生活歴の情報を得る方
使って,利用者の「生活全般の解決すべき課
法を紹介します。
題(ニーズ)
」を導き出しています。一方で,
初めに,利用者および家族に対して,施設
国は,2013年1月に「介護支援専門員の資
で定められた帳票などを用いて,これからサー
質向上と今後の在り方に関する検討会」にお
ビス計画を作成するために必要な情報を得る
いて,中間整理を取りまとめ,「適切なアセ
ことを説明し,同意を得ましょう。次に,ジェ
スメント(課題把握)が必ずしも十分でない」
ノグラム(genogram:家族図)を描きます
ならないこと,要介護者等が有する課題を客
「サービス担当者会議における多職種協働が
が,自分の思いや希望を表現できない利用者
十分に機能していない」
「ケアマネジメントに
の場合には,本人の代わりに家族から情報を
おけるモニタリング,評価が必ずしも十分で
得ることになります。しかし,そのような場
ない」といった課題が指摘されました。そこ
合でも本人の状態にもよりますが,できるだ
で,
「課題整理総括表」と「評価表」を策定し,
け本人のそばで話しましょう。ジェノグラム
「課題整理総括表・評価表の活用の手引き」を
を描く時は,定められた帳票にただ記入する
出しました。課題整理総括表は,「利用者の
のではなく,ノートや紙を用意して描くと,
状態等を把握し,情報の整理・分析を通じて
どのような展開にも対応しやすいと思います。
課題を導き出した過程について,多職種協働
ジェノグラムの描き方については,初めに
の場面等で説明する際に適切な情報提供に資
「□は男性」
「○は女性」と定められている
高齢者安心安全ケア 実践と記録 Vol.12 No.6
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ルールを説明していきます。そして,本人自
本人:82歳,妻:81歳,長男:53歳,嫁:
身が育った環境として,ご両親関連の情報を
50歳,孫(女)
:24歳,
(孫の夫)
:26歳,ひ
得ます。どこで(都道府県など)生まれ,兄
孫(女)
:1歳。長女と次女は他県に住み,
弟姉妹は何人いる(いた)のか,その世帯の
年に2回程度は帰省する。
家族構成などもうかがいましょう。すると,
生活歴
ジェノグラムを描きながらその方の生活歴も
1933年,○×県◇×町に生まれる。家は
見えてきます。また,家族によってはいろい
農家で5人兄弟の末っ子。小さいころから農
ろな事情によって,家族構成をうまく説明で
業は好きではなく,高校を卒業後,◇○県の
きない,また聴いてもよく分からないという
大学に入り,教員資格を取得。故郷に戻り,
方もいるでしょう。そのような時には,無理
小学校の先生をしていた。1955年に幼馴染み
をせずに△を用いて「不明」としておきます。
の妻と結婚。実家のそばに家を建てる。3人の
生活歴をうかがう際には,本人の好きなこと
子どもに恵まれる。本人は子どもたちとかか
や,これまで,あるいは身体が悪くなるまでこ
わることが好きで,学校が休みになると山登
だわってきたこと,大事にしてきたことなど,
りや海に遊びに連れて行った。元来が世話好
本人の価値観が分かる,垣間見えるような質
きで,地域の祭りなどにも積極的に参加し,
問をしましょう。尋ねなければ分かりません。
地域の人々からも慕われていた。定年退職後
そして,家族図や生活歴をうかがいながら,
は,図書館の事務をしていたが,70歳時に脳
面接者がそれぞれ抱いている「その人らしさ
出血を患い,その後は自宅療養となった。
のイメージ」について,本人はもちろん家族に
介護支援専門員が抱いたAさんらしさ
も伝え,ある程度の合意を得ておきましょう。
子ども好きで生真面目,責任感の強い方。
◉事例紹介
他者の世話を好み,自然と親しむことを好む。
Aさん,82歳,男性。2003年右脳出血。
加えて正義感も強い。
2005年転倒,左大転子部骨折。2008年転倒,
右大転子部骨折。2013年左脳出血。約10年
間の間に,脳出血,転倒を繰り返し,寝たき
アセスメントのツボ③
日常生活動作を把握し,
改善の可能性を考える
り状態となる。妻が自宅で介護をしていたが,
ここでは,まず課題整理総括表(資料1)
妻自身も要介護2状態となったため,在宅介
を参照してください。初めに,
「状況の事実」
護が困難となり,2014年3月に特別養護老
(※1)について,
「現在」の該当する箇所に
人ホームへ入所となった。
○印(※2)を付けます。次に※2の欄の中
家族図
で,自立以外に○印を付けた事柄については,
その自立を阻害している「要因」を考え,そ
の内容を「自立した日常生活の阻害要因」欄
へ記入し,自立以外に○印を付けたところに
は,ここから該当する内容を選択し,※3の
欄に番号を入れます。次に,介護支援専門員
は,現在の状況に対して,サービスを利用し
50
高齢者安心安全ケア 実践と記録 Vol.12 No.6
高齢者安心安全ケア 実践と記録 Vol.12 No.6
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全介助
全介助
全介助
全介助
全介助
全介助
全介助
一部介助
一部介助
一部介助
一部介助
一部介助
一部介助
一部介助
支障あり
支障あり
支障あり
支障あり
支障あり
支障あり
支障あり
見守り
見守り
見守り
見守り
見守り
見守り
見守り
支障なし
支障なし
支障なし
支障なし
支障なし
支障なし
支障なし
自立
自立
自立
自立
自立
自立
自立
入浴
更衣
掃除
洗濯
整理・物品の管理
金銭管理
買物
コミュニケーション能力
認知
社会との関わり
褥瘡・皮膚の問題
行動・心理症状(BPSD)
介護力(家族関係含む)
居住環境
①
①
①③
①
③
⑤
④⑤
④
④
①
①
①
①
①
①
④
①②
④
①
①
維持
維持
改善
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
維持
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
改善
備考
(状況・支援内容等)
悪化 【移動】座位は保てる。
【食事】左手でスプーンを持って食べる。
悪化
むせ込みに要注意。食事後半は介助が
必要。
悪化
【排泄】尿意・便意は不明,定時交換。交
悪化
換時は協力動作あり。排便は3日で下
剤を使用。
悪化
【口腔】総義歯,職員が全介助で手洗い。
悪化
夜は洗浄液に浸しておく。
【服薬】医務室にて管理。職員が服薬介
悪化
助を行う。
悪化 【入浴】週2回・機械浴。皮膚が弱く,全
身の皮膚状態の観察が必要。
悪化 【更衣】座位にて上着衣の着替えは可能。
説明すれば,協力動作を行える時もあ
悪化
る。下着衣は臥床時に行う。
悪化 【IADL】家事活動はすべて職員。金銭管
理は長男,春夏の物品の入れ替えは長
悪化
女が支援。
悪化 【コミュニケーション能力】失語症。問い
かけには応じる時もあるがおおむね意
悪化
思表示はない。痛みやかゆみが発生し
た時に,「あ∼あ∼」などの発語があ
悪化
る。
悪化 【認知】月日,季節,時間などはおおむね
分からない。家族に関しては認識あり。
悪化
特に孫やひ孫が来ると穏やかな顔にな
悪化
る。
【社会とのかかわり】職員およびボラン
悪化
ティア。行事などで,近隣の保育園児,
高校生などが訪問し,交流している。
悪化
屋上菜園作りに参加するなど,成長を
悪化
楽しみにしている。
【褥瘡・皮膚の問題】すねに打撲痕があ
悪化
り,皮下出血することがあるので注意
悪化
が必要。
【行動・心理症状】記憶障害・失行・感情
悪化
失禁,言語障害があり。思いが伝わら
ない時に大きな声を出すことあり。
悪化
⑥
③失語症
家族の面会を楽
しみにしており,
ここで生活を続
けたいが,無理
のない程度に面
会に来てほしい。
みんなと一緒に
過ごしていると
楽しい。保育園
児たちを見てい
るだけでも心が
なごむ。屋上菜
園の作物の成長
も楽しみで,で
きれば収穫にも
参加したい。
介助の前には分
かるように説明
してもらい,自
分のできる範囲
は自分でしたい。
健康管理によっ
て異常の早期発
見に努めてもら
い,ここでの生
活を継続してい
き た い。ま た,
身体の状態を見
てもらって,痛
みやかゆみがな
い か を 確 認し,
必要に応じて手
当てをしてほし
い。
生活全般の
解決すべき課題 ※6
(ニーズ)【案】
※5 「要因」および「改善/維持の可能性」を踏まえ,要因を解
決するための援助内容と,それが提供されることによって見
込まれる事後の状況(目標)を記載する。
※6 本計画期間における優先順位を数字で記入。ただし,解決が
必要だが本計画期間に取り上げることが困難な課題には
「−」印を記入。
心身機能:服薬と食事療法にて血
圧は安定している。嚥下機能の
低下が見られ,注意が必要。皮
膚が弱く,軽くぶつけても皮下
出血を起こしやすい。嚥下機能
に合わせた食事の提供や,打撲
に注意することで,健康状態が
維持できる。
活動:すべてにおいて全介助。更
衣時に協力動作がある時もある。
介助の前には,これからするこ
とを本人が理解できるように説
明し,本人の表情を読み取り,理
解度を把握して行うことにより,
現状を維持し,介護に対する抵
抗を軽減できる。
参加:フロア内の行事に参加する
と笑顔が見られる。保育園児の
訪問では,左手を前に出して触
れようとする動作も見られる。
屋上菜園作りに参加すると作物
に興味を持ち,成長を楽しみに
している様子もうかがえる。引
き続き本人の興味の出る活動に
参加することによって情緒面で
の安定の維持が可能と思われる。
環境:定期的に,長男と孫夫婦・
親 子 の 面 会 が ある。嫁 は 母 親
(妻)の介護があるため定期的な
面会は難しいが,妻と面会に来
ることもある。孫は,面会に来
ると,ひ孫をベッドの上に乗せ
て,本人が触れるようにしてい
る。本人もなかなか動かない手
を伸ばし,ひ孫に触れたりして
いる。家族の面会が意欲の向上
につながっていると考えられ,
現状のかかわりの維持が必要で
ある。
見通し ※5
利用者及び家族の
生活に対する意向
利用者名 A 殿 作成日 / / ※1 本書式は総括表でありアセスメントツールではないため,必ず別に詳細な情報収集・分析を行うこと。なお「状況の事実」の各項目は課題分
析標準項目に準拠しているが,必要に応じて追加して差し支えない。
※2 介護支援専門員が収集した客観的事実を記載する。選択肢に○印を記入。
※3 現在の状況が「自立」あるいは「支障なし」以外である場合に,そのような状況をもたらしている要因を,様式上部の「要因」欄から選択し,
該当する番号(丸数字)を記入する(複数の番号を記入可)
。
※4 今回の認定有効期間における状況の改善/維持/悪化の可能性について,介護支援専門員の判断として選択肢に○印を記入する。
全介助
全介助
一部介助
見守り
自立
服薬
全介助
一部介助
見守り
全介助
自立
口腔
支障あり
一部介助
支障あり
全介助
全介助
全介助
口腔ケア
見守り
排泄動作
一部介助
一部介助
支障あり
一部介助
一部介助
支障なし
支障なし
排尿・排便
自立
自立
調理
見守り
見守り
自立
食事摂取
見守り
支障なし
自立
屋外移動
見守り
食事内容
自立
室内移動
要因 改善/維持の可能性
※3
※4
⑤家族がしている
④施設が提供
現在 ※2
②嚥下機能低下
①機能低下
口腔衛生
排泄
食事
移動
状況の事実 ※1
自立した日常生活の
阻害要因
(心身の状態,環境等)
資料1● 課題整理総括表
た結果,状態がどのように推移するかを想定
「課題欄」には,
「利
示しています3)。そして,
し,その結果を「改善/維持/悪化」から選
用者の自立を阻害する要因等であって,個々
択して該当する項目に○印を付けます。その
の解決すべき課題(ニーズ)についてその相
後の備考欄には,状況の事実について,補記
互関係をも含めて明らかにし,それを解決す
したい内容を記入します。資料1では,
【 】
るための要点がどこにあるかを分析し,その
を用いて項目名称を記入し,補記内容が分か
波及する効果を予測して原則として優先度合
るようにしました。
いが高いものから順に記載する」とも定めて
アセスメントのツボ④
今後の見通しを立てる
いました。ただし,この中では「課題を多く
抽出してはいけない」
「医療ニーズの優先順
「手引き」では,※5の「見通し」欄にはこ
位を高くしなければならない」などとはされ
れから実施しようとする援助による改善や,
ていないのです。
維持の予測を記入することとしており,記入
その後,時が流れて2002年,厚生労働省
欄は空欄になっているだけです。これでは
はICF(International Classification of
「介護支援専門員として判断した仮説」とは何
Functioning, Disability and Health)
「人間の
を書けばよいのかが分かりません。そこで,筆
生活機能と障害の分類法」の日本語版作成に
者は,国際生活機能分類(ICF)のICFの構成
着手します。そして,ICFの考え方が普及し,
要素間の相互作用図で用いられている言語の
かつ多方面で活用されることを目的として,
「心身機能」
「活動」
「参加」
「環境」を用いて,
ICFの日本語訳である「国際生活機能分類―
「介護支援専門員として判断した仮説」を記
国際障害分類改訂版」を作成し,ホームペー
入しました。
ジ上で公表しました4)。
◉ICFの視点を用いて確認する必要性
その中では,今後のICFの活用場面として
2011年に行われた「介護支援専門員の資
は,
「障害や疾病を持った人やその家族,保
2)
52
質向上と今後のあり方に関する調査研究」
健・医療・福祉等の幅広い分野の従事者が,
では,ケアプランのチェックが行われました。
このICFを用いることにより,障害や疾病の
その結果は,①課題の整理が不十分で第2表
状態についての共通理解を持つことができる。
が非常に長かったり,個々の課題の間に重複
様々な障害者に向けたサービスを提供する施
があったりする,②課題解決の優先順位付け
設や機関などで行われるサービスの計画や評
が不十分で,医療ニーズの優先順位が低く,
価,記録などのために実際的な手段を提供す
中には通院していたり訪問診療を受けたりし
ることができる」としています。
ているにもかかわらず,主治医の記載が成さ
介護支援専門員のテキストもこれを受けて
れていなかったというものでした。
大きく改訂され,テキストにICFの構成要素間
実は,ここで問題となっている「課題欄」
の相互作用図が登場し,
「している活動」
「で
への記入内容については,1999年に国は「介
きる活動」
「する活動」に着目した「目標指
護サービス計画書の様式及び課題分析標準項
向型のサービス計画」の立案をするように変
目の提示について」という通知を出しており,
化しました。とは言え,この内容はなかなか
介護サービス計画の様式に記載する内容を提
浸透しませんでした。2011年の「介護支援
高齢者安心安全ケア 実践と記録 Vol.12 No.6
➡続きは本誌をご覧ください