石灰乳胆汁に併存した多発性胆裏癌の 1例

日消外会誌 2 3 ( 1 1 ) 1 2 6 5 3 ∼2 6 5 7 , 1 9 9 0 年
石灰乳胆汁に併存 した多発性胆裏癌 の 1例
吉野 茂 文
山田大学第2外科
一
浜 中裕 郎 本 間 喜一
山本 達 人 岡
正朗
村上 卓 夫
鈴木
中村 真 之
矢 野 一麿
水 田 英 司
倣
石灰乳胆汁 は比較 的 に まれ な疾患 で あ り, 本 邦 では約 3 5 0 例が報 告 され てい る。その中で も, 石 灰乳
胆汁 と胆嚢癌 を併存 した症例 は非常 にまれで あ る。 われわれ は, 石 灰乳胆汁 に併存 した 多発性胆嚢癌
の 1 例 を経 験 した ので報告す る。
症例 は6 1 歳の女性. 以 前 よ り胆嚢 内結石 と石灰乳胆 汁 を診 断 されてお り, 胆 嚢摘 出術 を行 った。術
中胆嚢底部 にあ ず か な隆起 を認めた。術 中迅 速 にて胆 嚢癌 の診 断を得 て, 肝 床切除 と R 2 の リンパ節郭
清 を追加 した。術後 の永久標本 にて, 上 記部位 以外 に別笛 の胆裏癌 が頭体部 に も存在 していた が, と
もに m 癌 で あ った 。組織学的所見 よ り上 述 の手術 で十 分 と判 断 し追加手術 は施行 しなか った。術後 1 5
か 月現在再発 の兆候 を認 めていない。
Key words:
limy bile, multiple carcinomasof the gallbladder, latent carcinoma of the gallbladder
rまじめに
近年本邦 において,石 灰乳胆汁 に対す る認識 が広 ま
既往歴 :15歳時 よ り高血圧 ,59歳 時 よ り痛風 のため
投薬 を うけて いた 。
今 回極 めて まれ な る石灰乳胆 汁 に併存 した 多発性胆
入院時現症 :体 格 ・栄養 中等度 ・眼険結膜 に貧 血 は
な く,眼 球 血 膜 に黄痘 はない。心 ・肺 に特 に異常所見
裏癌症例 を切 除 した ,多 発 した胆嚢癌 はいずれ も肉眼
は認 め なか った.腹 部 は,下 腹部 を中心 として膨隆 し
的 に表面型 を示 していた 。石灰乳胆汁 と胆裏癌 に関す
る若子 の文献的考察,お よびその術 中診 断をめ ぐる問
てお り,直 径20cmの 表 面平滑 で,弾 性軟 の可動性不 良
の腫瘤 を触知 したが圧痛 ・筋性防御 は な か った.そ の
題点 につ いて検討 を加 え報告す る。
他,肝 ・
眸 は触知 せず Courvoisier's signは
陰性 で あ っ
り報告例 が増加 して きた 。
症 例
思者 :61歳,女 性.
主訴 !心 筒部不快感,腹 部膨満感.
現病歴 :以 前 よ り食事 とは無関係 に心 筒部不快感 を
ブ
こ,
入院時検査所見 :生 化学 的検査 では,腎 機能 の軽度
低下 と尿 酸値 の上 昇 を認 め るが,貧 血 ・
黄疸 な く,肝 ・
胆道系酵素 の上 昇 もな く,血清電解質 も正常 で あ った。
感 じる こ とがあ ったため,昭 和 62年 胃集 団検診 を受診
した。 この際,胆 嚢 の形 状 に一 致 した石灰化 像 が認 め
19‐
腫瘍 マ ー カ ーは carbohydrate antigen 9(CA19‐9)
られ た た め,近 医 に て 腹 部 超 音 波 検 査,computed
は7.8ng/mlと 軽度 上 昇 していた。
は正 常 で あ ったが,carcino‐
embryonic antigen(CEA)
乳胆汁 と診断 された。 しか し,症 状 は軽微 で あ り手術
胸部 X線 写真 :特 記す べ き所 見 はなか った。
腹部単 純 X線 写 真 :胆 襲 の 形 状 に一 致 した石 灰 化
を拒 否 したため外来 にて経過観察 され ていた.昭 和 63
年 9月 26日当院産婦人科 に入院 とな った.卵 巣嚢胞摘
像 と結石 を 1個 認 めた (Fig.1).
腹部超音波検査 !胆 嚢壁 の肥厚 は な く,胆 嚢頚部 に
出術 と同時 に胆嚢摘 出術 を 目的 として当科紹介 とな っ
結石 を認め体部 か ら底部 にかけて,acoustic shadow
た。
を伴 う立rOng echOを認 めた (Fig。2)。以上 とは別 に
tomography(CT)を
施行 され胆嚢 内結石 お よび石 灰
家族歴 : 特 記す べ き こ とな し.
腹腔 内 に巨大 な裏胞状 の 多房性 の腫瘍 を認 め,卵 巣嚢
胞 が疑われ た。
< 1 9 9 0 年 6 月 1 3 日受理> 別 刷請求先 ! 中 村 真 之
〒7 5 5 山 口県宇部市小串1 1 4 4 山 口大学第 2 外 科
腹部 CT:胆 嚢壁 に肥 厚 は な く,胆 嚢 内 に鏡 面像 を
認 めた (Fig。3)。また腹腔 内 に巨大 で境 界 明瞭 な多房
148(2654)
石灰乳胆汁に併存 した多発性胆裏癌の 1例
Fig. 1 Abdominal plain film, showing limy bile in
the shape of the gallbladder and a stone (at
arrow) in the neck.
Fig. 2 Abdminal ultrasonogram, showing strong
echo with acoustic shadow (left) and echogenic
material occupyingthe lumen of the gallbladder
(right).
日
消外会誌 23巻 11号
Fig. 3 Abdominal computed tomography, show.
ing niveau formation in the gallbladder.
Fig. 4 Resected specimens, showing a mixed
stone,gallbladder,limy bile, and partially resect.
ed liver.
かな隆起性変化 を示す部位 が あ ったので, 同 部 を迅速
標本 として提 出 した。
そ の結果, 固 有筋層 に達す る a d e n o c a r c i n o m a との
性 の嚢胞 を認 めた 。
以上 の検査結果 よ り, 卵 巣嚢胞 お よび胆嚢 内結石 ・
診断を得 たため, 胆 嚢付着部 よ り2 c m 離 した肝床切 除
と R 2 の リンパ節郭清 を追加 した 。
摘 出標本所 見 i 上 記腫場 は胆嚢底部 に存在 し, 早 期
石灰乳胆汁 の診 断 にて, 昭 和 6 3 年1 0 月7 日 開腹手術 を
型 った, 奨 膜浸
胃癌 に準 じて分類す る と I I a t t I I bであ
施行 した。
潤 は認 め られず, 胆 嚢癌 取扱 い規約 で は S 。
,Hin島 ,
手術所見 : 上 ・下腹部正中切開 にて 開腹. 腹 水, 肝
H 。, B i n f 。, N l , 2 ( ) , M ( 一
) , B W 。 , E W 。 であ り
転移, 腹 膜播種 は認 め なか った 。
絶対的治癒切 除 で あ った。胆嚢 の そ のほかの部位 の粘
まず , 産 婦人科 医 に よって, 両 側卵巣摘 出お よび子
宮全摘術 が施行 された 。卵巣嚢胞 に関 して悪性 を疑わ
膜 は平担 で 肉眼的 に異常 を認 めず, ま た, 肉 眼的外観
は正 常型 で, 胆 嚢 内 には ヨレステ P ― ル系結石 が 1 個
せ る所見 は認 め なか った。
と糊 状 の石 灰乳胆汁 が認 め られた ( F i g . 4 ) .
病理組織所見 ! 胆 嚢壁 をほぼ全域 にわた り永久標本
続 いて, 当 科医 に よる手術操作 に移 った 。胆裏 内 に
結 石 を 1 個 触知 した。型 の ご と く胆嚢摘 出術施行後 ,
で検 討 した ところ癌病 変 は 2 か 所 あ り, ともに壁 深達
直 ちに摘 出胆嚢 を開 くと底部後壁 に8 n m × 6 m m の 僅
s c h o r s i n u s ( 以下
度 は粘膜 ( m ) 癌 で R o k t t a n s k yA、
149(2655)
1 9 9 0 年1 1 月
Fig. 5 Resected galibladder(upper)and schema
ver),showing the range of the carcinomas.
(lo、
RAS)に 沿 う上皮 内進展 を示 していた。す なわ ち,一
方 は上 述 した もので 底 部後 壁 に存 在 す る1.Ocm Xl,0
の 肉眼型 を呈す る m癌 で RASに 沿
cmの IIa ttIIb型
う上皮内進展 に よ り漿膜下層 (m_RASssり)に達 してい
た (Fig.6).他 方 は切 除標本 では 肉眼的 にはい まひつ
と明確 に 同定 で きなか ったが,頭 部 か ら体部 にかけて
ほぼ全 周性 に存 在 す る IIb型 肉眼型 を呈 す る m癌 で,
RASに 沿 う上皮 内進展 に よ り固有筋層 (m_RASpm)
に達す るものであ った 。こ の両腫瘍 は互 いに独立 して
いて,連 続性 は認 め られ なか ったが, と もに 円柱状 の
腫 瘍 細 胞 が 乳 頭 状 か ら一 部 管 状 に 増 生 して お り,
あ った。 そ の ほか
papi1lotubular adenocarcinomaで
は
の所見 ,hinf。
,binfO,vs。,nl,2( )[n10/12,
n20/10]bwO,ew。 ,lyO,v。,pnOで あ った。非癌部 に
おいては,間質 の線維化 お よび全 層 にお よぶ リンパ球,
形 質 細胞 を主体 とす る中等 度 の 炎症 細 胞 浸潤 を認 め
た。なお,卵 巣嚢胞 は serOus cystadenomaであ った.
術後経過 :術 後 は順調 に経過 し退院 した。術後 15か
月現在再発 の 兆候 な く外来 にて経過観察 中 で あ る。
考
察
石 灰 乳 胆 汁 ( 以 下, 本 症) に 関 し て は1 9 1 1 年に
C h u r c h m a n " が 報告 したのが最初 とされ て い る。従来
Fig. 6 Histopathologicalfindingsof lesion in fundus, showing papillotubular adenocarcinoma
extending into the RAS of the subserousa (at
arrow). (upper,H.E. X40; lower, H.E. X100)
は まれ な疾患 で あ る と考 え られ ていたが, 本 症 に対す
る認識 が広 まるに連 れて報告例 が増 し, 本邦 で も約3 5 0
4/1が
報告 され てい る.
鈴 木 らつの全 国集 計 に よる と, 本 症 の 男女比 は 1 :
2 . 4 と女性 に多 く, 3 0 歳 代 か ら5 0 歳代 に多 い. ま た , 臨
床症状 は胆嚢 内結石 と同様 に心富部痛 ・右季肋部痛 な
どが多 いが, 黄 痘 ・発熱 を きたす こ とは少 ない といわ
れて い る。
本症 の 診 断 には腹 部 単純 X 線 写 真 が 非 常 に有 用 で
あ る。 M a r t i n " は胆 嚢 が陽性像 として描 出 され れ ば本
症 が疑 われ , さらに胆嚢頭部 また は胆嚢管結石 を思わ
せ る円型 陰影 が そ の頭側 にあれば確 実 で あ る としてい
る。
本症 と同様 に胆嚢 の形状 に一 致 した 陽性像 を呈す る
もの として陶器様胆嚢 が あ り, 最 も鑑別 を要す る疾患
で あ る。 しか し, 陶 器様胆嚢 の本態 は胆嚢壁 の石灰化
で あ るため, 圧 迫や体位変換 に よって短 時間 の うちに
陰影 が変化 しに くい こ と, 胆 嚢 の 中心 は辺縁部 よ り薄
い陰影 を呈す ることで比較的容易 に鑑別可能 であ る。
また, 断 層撮影や C T 撮 影 を行 うこ とも有用であ る。
本症 の成 因 として槙 ら6 1 1,ま
胆 嚢管 の 閉塞 と胆嚢 の
慢性炎症 に よ り胆嚢胆汁 の p H の 上昇 が生 じ, 石 灰 乳
石灰乳胆汁に併存 した多発性胆裏癌 の l frl
150(2656)
日消外会誌 23巻
11号
胆汁 が析 出 した もの と考 えてい る。また ,Green"は カ
ル シ ウ ム代 謝異常 を あげ てい る。 上 述 の鈴木 ら。の 報
標本 の粘膜面 を詳細 に観察 して疑 わ しい ものを術 中迅
告 に よれ ば,特 に胆嚢管 の閉塞 と胆嚢 の慢性炎症 はほ
坦型胆嚢癌 や高度 の炎症 を伴 う症例 では癌 を疑 うこと
とん どの症4/1に
認 め られ てお り,そ の原 因 の大部 分 は
す ら容 易 ではな く, 事 実, 本 症例 において も頸体部病
胆裏管 または胆嚢頚部 に拡頓 した結石 であ るが,胆 道
系 の悪性腫場 あ るいは胆嚢 の アデ ノ ミオ マ トー シスに
変 の存在 は, 術 後 の組織学的検索 に よっては じめて癌
よる もの も存在 してい る。
石灰乳胆汁 は その硬度 に よ り,① 乳状液体,② 糊 状
物質,③ 粘性 ゴム状,④ 白墨様結石 とした Berゴ)の分
類 が よ く用 い られ る。 これ らは胆嚢 におけ る濃縮能力
と時間的経過 が 関係す る といわれ てい る。
本症711は胃集 団検診 を契機 に診 断 された石灰乳胆汁
で あ る。腹部単純 X線 写真 で胆 嚢 の形 状 に一 致 した石
灰化像 と胆嚢頚部 の結石 を認め,典 型的 な所 見 を呈 し
速標本 として提 出す る こ とに尽 きる. し か し, 表 面平
と診断 された。新鮮標本 の 肉眼的観察 だけで な く, 渡
辺 らのの提 唱す るよ うに, 1 0 ∼ 1 5 分間 の ホル マ リン固
定後粘液 をふ き とって慎重 に粘膜面 を観察す る ことが
必要 と思われた。
本症f r l l,は
胆 嚢底部 と頭体部 にいずれ も表 面型 の癌
腫 が 独立 して存在 していて, ともに術前 には見逃 され
b 型 していた一
ていたが, 術 中組織検索 で I I a t t I Iを呈
方 の 病 巣 は 固有 筋 層 に達 す る a d e n o c a r c i n o m a と診
断 され肝床切除 と R 2 リ ンパ節 郭清 が追加 された。しか
断を得 るのは非常 に容易 で あ った。
し術後 の検索 で は R A S に 沿 い衆膜 下層 に まで上皮 内
一
進展 を示 してい る ことが判 明 し, 残 る 方 の I I b 型病
お け る石灰乳胆汁 の成 因 で あ るが, まず,
本症4/1に
血 清 カル シ ウム値 は正 常 で あ り,臨 床的 に も カル シ ウ
巣 も R A S に 沿 い 固有 筋 層 まで進 展 した m 癌 で あ る
こ とが は じめて判 明 した もので あ る。 一 般 に術 中 には
ていた。また,CTで
は胆嚢 内 の鏡 面像 を認 め,確 定診
ム代謝異常 は考 えに くい。 また胆嚢結石以外 に,複 数
多数 の切 片を連続的 に組織検索す る ことは不 可能 で あ
の胆嚢癌 を伴 っていたが,い ずれ も m癌 で あ って,胆
る し, 切 片採取部位 に癌 の最深部 が存在す る とも限 ら
裏 内陸 を閉塞す る とは思われ な い.し たが って,本 症
ないため, 術 中迅速標本 での深達度判定 に誤 りが生ず
例 の石灰 乳胆汁 の原 因 としては結石 に よる閉塞機転 が
るのはやむを えな い。 したが って, 術 中 に胆裏癌 と診
働 いた もの と考 え られ る。
断 された ときには, 有 茎性 の線腫 内癌 の ご ときものは
本症 と同様 に胆嚢 の石灰化 を きたす 陶器様 胆嚢 の場
別 として, m 癌
とい う判定 を うけて も原只」
的 には と り
合 には胆裏癌 の併存 が 多 いいの に比 較 し,石 灰 乳胆 汁
あ えず 2 群 までの リンパ節郭清 と肝床切除 を行 ってお
が 胆嚢 癌 を 併存 す る こ とは極 め て まれ で あ る。新 妻
ら10)は
胆嚢管癌 と石灰乳胆汁 の併存 した 1例 を報 告 し
くのが 良 い と思われ る。
てい るが, この症4/1は
癌腫 に よって胆 嚢管 の 閉塞 を き
であ ったため, 治 癒切 除 がで きた と判 断 し, そ れ以上
た し,そ の結果,石 灰乳胆汁 を生 じた と考 え られ る,
再 わ た にわた る 2 期 的手術 は施行 しなか った 。
なお本症例 は永久標本で l y 。
,vO,pnO,■ 1,2( )
この よ うに胆嚢癌 自体 に よ り閉塞 を きた した ものを除
現在, 胆裏癌 に対す る標準術式 は決定 されてお らず,
け ば,石 灰乳胆汁 と胆 嚢癌 の併存 は,わ れわれが検索
した 限 りにおいて,本 邦 では竹林 ら11)の
報告例 のみ で
各施設 で さまざまな術式 が行われ てい る。術式 の 良否
あ った。 なお,竹 林 らの症例 では胆 裏癌 は 1か 所 のみ
あ る。 そ の意味 で も本症例 に対 して厳重 な経過観察 が
であ り,石 灰乳胆汁 に併存 した 多発性胆裏癌 としては
必要 で あ ろ う。
本邦初 の症例 と思われ る。
稿を終わるにあた り, 組 織標本を御検閲いただ きました
新潟大学医学部第 1 病理渡辺英仲教授, 石 原法子先生 に深
なお,本 症 はい った ん発 生す る と難 治性であ り,胆
を決定す るためには, 多 くの症例 の蓄積 がなお重要 で
嚢 内 の石 灰乳胆汁 が総胆管 内 に流 出 し閉塞性黄痘 を き
た した との報 告 l分もあ る ことな どよ り,手 術 一 ほ とん
謝いた します.
どの症例 は胆嚢管 また は頚部 に結石 が存在 し,胆 嚢 に
慢 性炎症 が あ るため ,胆 嚢摘 出術 一 が必要 で あ ろ う。
成 1年 11月,神 戸)で 発表 した.
み て も,多 発 した胆嚢 癌
本症allはretrospectiveに
はいずれ もが いわ ゆ る表 面型 であ る こ とと石灰乳胆汁
の存在 とに よ り,術 前診断 は 困難 で あ った。 この よ う
な症例 において,癌 の存在 を発見す るには,新 鮮摘 出
なお,本論文 の要 旨は第51回日本臨床外科医学会総会(平
文 献
1)日 本胆道外科研究会編 :胆道癌取扱 い規約.第 2
版,金 原出版,東 京,1986
2)渡 辺英仲,自井良夫,鬼島 宏 ほか !胆裏癌 の病理
一早期胆豪癌 の肉眼的特徴 と検索法―.肝 ・
膵
胆・
10 :527--534, 1985
1990年11月
151(2657)
3)Churchmann Jヽ
V: Acute cholecystitis with
Berg J: Zur Diagnose der“
Kalkgalle''.Forts‐
iarge amount of carciu■l soap in the gallblad‐
chr Geb Rontgenstr Nukleamed Erganzungs,
der.JOhns Hopkins Hosp Bul1 22 1 223-224,
band 60:284--291, 1939
伊勢秀雄,阿 部 裕 ,日 中純 一 ほか :胸 器様胆襲.
胆 と捧 91917-923, 1988
新妻伸 二 ,手 島栄 三朗,真 保禎 二 ほか :石 灰胆汁
1911
4)鈴 木範美,新妻義文,新谷史明 ほか i石 灰乳胆汁の
考察.胆 と膵 6:903-910,1985
5)Martin HK, Leslie JS, Jay ヽ VM et al:
Cholelithiasis. Edited by Bockus HL Cas‐
(Kalkgalle)の 4例 と磁気様胆豪 (Porzellangal‐
lenblase)の 2例 .臨 放線 111869-882,1966
竹林 淳 ,中 上 建 i石 灰乳胆汁 に伴 った胆襲癌.
troenterology,Vol 16.FOrth editiono Saunders,
Philadelphia,1985,p3619-3642
日医新報 3062179-80,1983
NOmura F,Suzuki Y,Suzuki K et ali Sponta→
哲 夫,斉藤達雄,鈴木範美 ほか 1石 灰字L胆汁の
成因についての 1考 察.外科 261273-280,1964
6)槙
neous disappearance of limy bilei Report of a
7)Green NA: A case of limy bile causing
case with review of the literature.Am J Gas‐
obstructive jaundice.Br J Surg 47:222-225,
troentero1 79 1 884--888, 1984
1959
A Case of Limy
Bile Associated
with
Multiple
Carcinomas
of the Gallbladder
Masayuki Nakamura, Yuichiro Hamanaka, Kiichi Honma, Kaztma Yano, Shigefumi Yoshino,
Tatsuhito Yamamoto,MasaakiOka, Eishi Mizuta,
Takuo Murakami and Takashi Suzuki
SecondDepartment of Surgery, Yamaguchi University School of Medicine
Limy bile is a relatively rare disease,and only about 350 caseshave been reported inJapan. However, limy bile
associatedwith caricnoma of the gallbladder is extremely rare. We observed a case of limy bile associatedwith
multiple carcinomas of the gallbladder. A 61-year-oldwoman had been diagnosed as having cholecystolithiasis
combined with limy bile, for which cholecystectomy was performed. Intraoperative findings revealed a small
elevated lesion located in the fundus of the gallbladder, the frozen section of which was diagnosed as
adenocarcinoma.Resectionof the liver bed with dissection of the regional lymph nodeswas also performed. In the
permanent sections, another early stage of carcinoma was found in the neck and body of the gallbladder. On the
basis of the histopathologic findings, we believe that the operation was curative. She is getting along well without
sings of recurrence 20 months after surgery.
Reprint requests:
Masayuki Nakamura Second Department of Surgery, Yamaguchi University School of
Medicine
1144Kogushi, Ube-shi, 755 JAPAN