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20150416
信号処理システム特論
AD変換
信号処理のシステム例
抵抗、コイル、
コンデンサ、‥‥
x(t )
y (t )
アナログシステム
加算器、乗算器、
メモリ、‥‥
⇒LSI化(小型化)
x(t )
AD変換
x[n]
標本化
(サンプリング)
ディジタル
システム
DA変換
y (t )
y[n]
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AD変換の流れ
x(t )
標本化(サンプリング):
一定の周期 Ts でアナログ信号
x(t) の値を取り出すこと
最高周波数
fm
量子化:アナログ信号などの連
続量を整数などの離散値で近似
的に表現すること
t
0
サンプリング周波数
標本化
x(nTs )
0
fs > 2 fm
Ts = 1 / f s
x[n]
量子化
n
0
n
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サンプリング定理
サンプリング定理A:入力信号の情報を完全に保存する
ためには、その信号に含まれる最高周波数の2倍以上
でサンプリングしなければならない。
サンプリング定理B:上記の条件を満たせば、入力信号
を完全に復元できる。
定理Aはサンプリング周波数の必要条件,
Bは十分条件。
電話のサンプリング周波数は8kHz
⇒ 4kHz以上の信号(音声)は再現できない。
CDのサンプリング周波数は44.1kHz
⇒ 22.05kHz以上の信号は再現できない。
アンチエイリアシングフィルタ
サンプリング定理を満たすように,入力信号の帯域を
fs/2以下に制限するためのフィルタ
⇒ 急峻な特性を得るには,
複雑なアナログ回路の設計が必要
(高度な知識&コストを要求)
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量子化と符号化
量子化:アナログ信号などの連続量を整数などの
離散値で近似的に表現すること
符号化:量子化した信号に0と1を割り当てること
ちなみに,ディジタル信号処理を論ずる際,
「符号化」は基本的に気にしない
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AD変換時の情報損失(誤差)
アナログ信号
標本化
誤差は生じない(標本化定理)
量子化
誤差発生=量子化誤差
ディジタル信号
0
1
1
0
0
1
1
1
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量子化誤差(1)
 信号を離散化してディジタル表現する際,
1つの数値を表現するビット数によりその精度に制約を生じる。
例) 1バイト(8ビット)でデータを表現する場合は、
2の8乗=256通りのうちの1つを表すことになる。
量子化誤差はランダム
⇒ホワイトノイズ
0~fs/2に一様に分布
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信号とノイズのスペクトル
信号のスペクトル
Fs/2
Fs
量子化ノイズ
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量子化誤差(2)
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理想AD変換の量子化ノイズ
q = 1 LSB
(LSB=Least Significant Bit)
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時間関数として表した量子化ノイズ
e(t ) = st , − q / 2 s < t < + q / 2 s
2
+q / 2s
s
q
e 2 (t ) = ∫
( st ) 2 dt =
q −q / 2 s
12
量子化ノイズのrms値 = e 2 (t ) =
q
12
12
量子化雑音とSN比
SNR = 20 log10
FSの入力サイン波のrms値
量子化ノイズのrms値
q2 N
sin( 2πft )
FSの入力サイン波: v(t ) =
2
q2 N
FSの入力サイン波のrms値 =
2 2
量子化ノイズのrms値 = e 2 (t ) =
q
12
3
q2 N / 2 2
SNR = 20 log10
= 20 log10 2 N + 20 log10
2
q / 12
= 6.02 N + 1.76dB, (帯域幅はDC~fs/2)
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ビットに関する補足
AD変換時のビット数と、
計算機内部では24ビット、32ビット、とビット数を増やしたり,
浮動小数点で行うので注意。
桁落ちや切り捨てなどの演算誤差の影響を抑えるため
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代表的なAD変換
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逐次比較型
★ 4ビットAD変換
入力0~15Vを16段階で量子化
10V入力 ⇒ 1010
(アナログ) (ディジタル)
16
逐次比較型の特徴
・回路が簡単
・高分解能を実現可能
(DA変換の性能にもよるけど・・・)
・高分解能化により変換速度が低下
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オーバーサンプリング型
信号に含まれる最高周波数 fm,
標本化周波数を fs とする。
基本方式:fs=2fm
オーバーサンプリング方式:fs=2fm×M
M: 2以上の整数
サンプリング定理で必要とされる周波数を遙か
に上回る周波数でサンプリング
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fs/2
fs
信号帯域のノイズ成分
⇒ オーバーサンプリングし
た方が小さい
オーバーサンプリング
ノイズの総電力は同じ
Mfs/2
Mfs
19
M: オーバーサンプリング係数
オーバーサンプリング型の特徴
・信号帯域内の量子化誤差が減少
・アンチエイリアシングフィルタは簡易でOK
⇒ ディジタル化後に高次フィルタで除去
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ΔΣ型
● 微分効果で量子化誤差を低減(高周波域に追いやる)
● 量子化器は簡単な1ビット構成
入力:アナログ
+
-
+
+
積分器
量子化器
(1bit AD)
出力:ディジタル
DA
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入力:アナログ
+
-
+
+
積分器
量子化器
(1bit AD)
出力:ディジタル
DA
等価回路
離散時間
信号
+
-
積分
+ 量子化ノイズ
+
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入力信号の流れ
s
+
-
s’
積分
s
s
sz-1
微分効果
N : 量子化ノイズ
量子化ノイズの流れ
-N’ z-1
-
積分
-Nz-1
+ N’
+
微分効果
N’
N’ z-1
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ΔΣ型 ~微分の効果~
微分は高周波帯域の強調(低周波の抑制)
d
sin(ωt ) = ω cos(ωt )
dt
d2
2
=
−
ω
ω
t
sin(
)
sin(ωt )
2
dt
ノイズシェーピング
ΔΣ方式の量子化ノイズ
MFs/2
MFs
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M: オーバーサンプリング係数
ΔΣ型の特徴:
・信号帯域内の量子化誤差が減少
・アンチエイリアシングフィルタは簡易でOK
⇒ ディジタル化後に高次フィルタで除去
・量子化器は1ビットでOK
(量子化の閾値設定が簡単)
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各AD変換器の比較
方式
サンプリング
レート(Hz)
分解能
(bit)
特徴
用途
二重積分型
10~1k
12~22
高精度
測定器
ΔΣ型
100~100k
18~24
高分解能
音声処理
逐次比較型
10k~1M
8~16
低消費電力
高分解能・低速
マイコン
パイプライン型
10M~150M
8~14
フラッシュ型
(並列比較型)
10M~10G
6~12
映像処理
高速・大規模
高速測定器
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AD変換時の注意事項1
○ 処理結果に重大な影響を与える(比較的多いミス)
⇒ 測定結果をグラフ化して、視覚的に確認
○ 最大値より小さな値でクリップされる場合もある
(マイクアンプやPCのドライバなどで多い)
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AD変換時の注意事項2
○ 処理結果に重大な影響を与える
例)信号間の相関を計算する場合,
信号の二乗和を取ってパワーを計算する場合など
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