LHC-ALICE 実 験・日 本 グ ル ー プ 活 動 報 告( 2 0 1 4 年 4 月 〜 2 0 1 5 年 3 月 ) 文責:中條 達也(筑波大学) ALICE 実験は、TeV 領域での重イオン衝突による QGP 生成、及びその性質の解明を目的としている。日本 からは広島大、長崎総科大(2014 年 10 月新規加盟、代表:大山)、東京大 CNS、筑波大が正規メンバーとして参 加している。2014 年末に LHC 長期シャットダウンが終了し、この間 ALICE では検出器の新規導入等が行われ、 4 月からの Run-2 物理ランに向けて着々と準備が進んでいる。また頭脳循環プログラム(主担当:志垣)により 若手研究者と院生の CERN 長期派遣を継続している。第2回日仏 ALICE ワークショップを仏・St. Maxime に て開催する (3 月)。以下、各機関の報告である。詳細は ALICE 日本 HP を参照して頂きたい ( http://alice-j.org )。 広 島 大 では、非閉込クォーク挙動の解明(八野、大久保、関畑、湯浅、志垣、杉立)、クォーク多体系の熱運 動学の探求(杉立)、高強度磁場検出(谷崎、志垣)などを推進している。同大が開発・建設・運用に携わる光 子検出器 PHOS(副責任者:杉立)は、既設 3 基の改修とともに第 4 基を導入設置し、読出回路系を一新した(大 久保、関畑、垂永、杉立)。併せてトリガー性能評価(八野、湯浅、志垣)や高度化に向けた開発(垂永、杉立) を推進している。2018 年頃に計画する前方μ粒子飛跡検出器 MFT への参画を決め、検出器開発・評価に着手し た(志垣、八野)。LHC 計算グリッドサイト(Tier 2)(責任者:杉立)を構築運用、増強し、実験全体と国内各機 関への解析資源を供している(杉立)。H27 年度日露二国間交流事業(代表:杉立)が採択された。 長 崎 総 科 大 は、次期高度化にむけた GEM-TPC 等の高速読出を行うための新共通読出システム(CRU: Common Readout Unit)開発を引受け、ノルウェーのベルゲン大学等と共同で仕様策定に取り組んでいる。 東京大 CNS は、Run-2 に向けた TPC 検出器の読み出し高速化(郡司)や Run-3 に向けた GEM-TPC 検出器の 高度化計画を進めている(浜垣、郡司、寺崎、勇川)。読出バックエンド(RCU2)のファームウェアやソフトウェア の開発を進め、2015 年 1 月に 1 セクター分を ALICE 実験内に建設した(2015 年 6 月全セクターをインストー ル予定)。GEM-TPC 検出器高度化は、マイクロメガスと GEM を同時に用いたハイブリッド型を提案し、イオ ンフィードバックや分解能の系統的な測定を進めた。物理解析では、PHOS 検出器を用いたπ0 中間子の方位角 異方性の測定(辻)、低質量領域の仮想光子測定や重クォーク測定、低質量暗黒光子探索(林、郡司)を進めている。 また重クォークバリオンの測定(渡辺)、および長距離相関の物理解析を開始した(関口)。 筑波大は、ダイジェット電磁カロリメータ検出器 (DCal) の建設、導入、運用に責任機関として携わっている (三明, EMCal/DCal 副責任者:中條)。11 月に DCal 全モジュールの導入と新規読出システムの導入(渡辺(大)) が完了し、同 Level-1 ジェット・光子トリガーを再構築した (横山、細川、中條)。ALICE 仏 G との連携を強化 している(日仏二国間 (代表 中條), FJPPL(日本側代表 中條))。2015 年 4 月から後期院生2名が筑波大-Grenoble 大によるダブルディグリープログラムに参画、博士号取得を目指す。物理解析では、ジェット(三明、中條)お よび2粒子相関(江角)の測定を中心に、π0-jet 相関 (渡辺(大))、2粒子相関測定(Bhom)、ジェットとハ ドロン生成(小林)と HBT 測定(田中)を推進している。高度化に向けて前方光子検出器 (FoCal) を開発して いる(中條, 稲葉)。 FoCal-PAD 試作機の PS/SPS 両加速器ビーム実験を行い、CERN-RD51 との FoCal 高速 読出の共同研究に着手した。人事では 2014 年 12 月、O. Busch 氏が国際テニュアトラック助教として着任した。
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