光を浴びて、しなやかにかがやく。 久留米絣 ストール・ハンカチ 野村織物 1 2 3 4 5 日本三大絣のひとつに数えられる久留米絣の一大産地、福岡県広川町。1 898年創業の野村織物では、国の重要無形文化財に指定されている昔な がらの製法で伝統的工芸品である藍染の久留米絣のほか、ある程度量産が 可能な機械織の久留米絣を手掛けています。機械織といっても、そのほと んどは熟練した経験を持つ職人がその都度調節しながら織り上げる、機械 と職人の二人三脚。アンティークながらしっかり現役の働きをする自動織 機の賑やかな音が、工房内に響きわたります。 久留米絣の特徴は、綿密な図案(設計図)を起こし、柄の部分を別の糸で 括り防染した状態で経糸(たていと)・緯糸(よこいと)を染め上げ、丹 念に織り上げることで精巧に再現される図案の美しさにあります。一反 (幅38∼40㎝、長さ12m)の久留米絣ができるまで、2∼3か月を 要し、30余りの工程のすべてが次の作業を左右する緊張の連続です。 「久留米絣ストール」「久留米絣ハンカチ」は、かつて北九州にあったと されるみずみずしい稲穂がたなびく豊葦原の棚田をイメージ。金茶とオリ ジナルの2色を使って木綿を染め上げ、一般的な久留米絣の布地よりもや わらかめに織り上げることで、巻き心地のよいストールに仕立てています。 「久留米絣の工程は7割が仕込みです。そこで少しでもズレや間違いがあ ると、織り上がった模様に影響します。毎朝一番に、天候に合わせてそれ ぞれの機械をベストの状態にしておくのが、一日の仕事の始まりですね」 というのは、野村織物4代目の野村周太郎さん。 「久留米絣は天候がよくないと作業が進みません。染色後の糊付けと乾燥、 さらに織り上がった布の水洗い後の天日干し。太陽の光を受けることで久 留米絣独特の風合いが生まれます。乾燥機ではうまくいきません」 若々しい稲穂が黄金色にかがやく瑞穂になるには毎日の世話と太陽の光が 必要なように、久留米絣もまた、緻密で繊細な数々の手仕事と太陽の光が あって初めて、1本の綿糸がしなやかで美しい布地へと変容します。 6 1 毛羽立ちや糸の乱れを防ぐために染色した糸を糊付けし天日で乾燥させる。 2 括り糸をほどくと、棚田の模様になる部分が白く残っている。 3 緯糸を巻くト ングを20本並べて同時に巻いていく。 4 織機に整然とセットされた経糸。 5.6.7 トングに巻き取った緯糸を経糸に通して織り上げる。糸の張りの強さの 調節など職人の腕によるところが大きい。 8 今後も織元として現代にあった生 地づくりに注力したいという4代目の野村周太郎さん。 9 「久留米絣ストール」 の図案(設計図)。 10 しなやかな肌触りの「久留米絣ハンカチ」。 7 8 9 10
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