山梨大学教職員組合 第 27 回身近なアカデミー 7 月 16 日(水 日(水)18:00~ 18:00~20:00 サイエンス・カフェ(工学部 T1号館8階) 山梨県、富士五湖に生育する水生植物とその環境 山梨県、富士五湖に生育する水生植物とその環境 〜特にフジマリモの発見の経緯〜 講師 芹澤 如比古先生 如比古先生( 先生(教育人間科学部) 教育人間科学部) 次ページに講演要旨 次ページに講演要旨があります 講演要旨があります。 があります。 講演要旨 富士山の北麓に位置する富士五湖と呼ばれる山中湖(面積 6.78km2,最大水深 13.3m,湖面標高 982m) ,河口湖(面積 5.70km2, 最大水深 14.6m,湖面標高 832m) ,本栖湖(面積 4.70km2,最大水深 121.6m,湖面標高 901m) ,西湖(面積 2.12km2,最大水深 73.2m, 湖面標高 902m) ,精進湖(面積 0.51km2,最大水深 15.2m,湖面標高 901m)の 5 つの湖は,全て富士山の溶岩流によって堰止めら れた堰止め湖である(環境庁自然保護局 1993) 。かつて富士山の麓には富士山の火山活動により陥没して形成された富士四湖(剗 の海(せのうみ) ,宇津湖(うつこ) ,旧河口湖, 明見湖(あすみこ) )が存在したが,それらの湖は溶岩流や噴出物により堰止め られ,分断され,埋められて現在の富士五湖の形状になったという(濱野 1989) 。富士五湖がほぼ現在の形状になったのは 800 年 代の富士山の噴火(延暦・貞観の大噴火)以降であるが,新剗の海が貞観の大噴火による青木ヶ原溶岩流で分断されて形成された 西湖と精進湖以外は現在の形状になった年代は湖により異なっている。また,富士五湖のうち本栖湖と西湖は貧栄養湖,山中湖は 中栄養湖,河口湖と精進湖は富栄養湖に分類されており(環境庁自然保護局 1993) ,水質は本栖湖で最も良く,精進湖で最も悪い ことが報告されている(有泉・吉澤 2002) 。なお,私の研究室が行った既往資料解析により,富士五湖の水質は 60 年代から 90 年 代中頃にかけて全湖で悪化傾向を示し,その後,やや回復傾向にあることが明らかとなった(eg. 佐藤ら 2009,渡邊ら 2011,田 口ら 2013) 。このように富士五湖は,歴史,水質,面積,水深,標高等が異なった多様な山岳湖沼である。 これまでに,富士五湖の水生植物相についての統一的な調査は過去に 2 回だけでしか行われておらず(延原ら 1971, 富士北麓 生態系調査委員会 2007) ,それらは夏季や秋季に限定して実施されていた。当研究室では 2007 年から富士五湖の水生植物の研究 に着手し,山中湖で 2004〜2005 年の調査で絶滅したと考えられていたフジマリモ(富士北麓生態系調査委員会 2007)の生育を 2007 年に確認することができた(芹澤(松山)2009) 。また,2008〜2010 年には山中湖で水生植物と環境に関する周年調査を湖内にい くつかの定点を設けて行い,冬季などこれまで調査が行われてこなかった時期に出現する水生植物が存在することを確認するとと もに,水生植物相やその生物量が季節的にも,年によっても変化することを明らかにした(芹澤ら 2013) 。その他の富士五湖につ いても,2011 年には西湖で,2012 年には精進湖と河口湖で,2013 年には河口湖と本栖湖で水生植物と環境に関する周年調査を湖 内にいくつかの定点を設けて行い,5 つの湖では水生植物相やその生物量に違いが見られ,それを取り巻く湖水環境も異なること を明らかにしつつある(eg.白澤ら 2012,2013,渡邊ら 2012,2013) 。また,これまで山中湖・河口湖・西湖でしか生育が確認さ れていなかったフジマリモを,精進湖(山梨日日新聞 2013.6.30,芹澤ら 2012)と本栖湖(山梨日日新聞 2013.11.29)で確認す ることができた。 上記のような,これまでの私の研究室の継続的な研究で明らかにできた富士五湖に生育する水生植物とその環境について,特に フジマリモの発見の経緯やフジマリモの特性について焦点を当てて講演を行う予定である。 お菓子、飲み物のご用意があります。7 お菓子、飲み物のご用意があります。7 月 7 日(月)までに下記にお申し込みください。 教職員組合事務室 内線 8097 toyama@[email protected] union.org 世話人:高橋英児・高橋智子・塚越奈美・遠山正子・鳥養映子・深沢静香
© Copyright 2024 ExpyDoc