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≪脳幹反射≫
◆除脳:中脳と橋の間で切断
♪
◆除脳固縮:γ運動ニューロン・α運動ニューロンの興奮増大による
『頸反射』 頸部の固有受容器(筋紡錘)の伸展による
・頸を一側へ回旋させると,その側の肢は伸展し,反対側の肢は屈曲する
・頸を後屈すると,前肢(上肢)は伸展し,後肢(下肢)は屈曲する
・頸を前屈すると,前肢は屈曲し,後肢は伸展する
*顔が向いた方の肢が伸展する
『前庭迷路反射』
・頭が一側へ傾くと,その側の肢が伸展する
・頭が後ろに傾くと,前肢は屈曲し,後肢は伸展する
・頭が前に傾くと,前肢は伸展し,後肢は屈曲する
*頭を水平に保とうとする反射
『前庭-眼反射』
・前庭神経からの情報は,外眼筋にも送られ視界の補正をする
◆中脳動物:中脳の上端で脳と切断
『立ち直り反射』
・頭を水平にし,正常の立位を保とうとする反射
・前庭,頸部,皮膚,視覚などの情報が関与
≪姿勢反射≫
脊 髄:伸張反射,支持反射
脳 幹:前庭迷路反射,頸反射,立ち直り反射(頭部の直線加速度)
大脳皮質:立ち直り反射(視覚刺激),踏み直り反射,とび直り反射
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【運動神経の機能】
≪運動野≫:運動機能に関係する新皮質部分
・一次運動野 … 第 4 野.中心前回
錐体路
・運動前野 … 第 6 野
・二次運動野(補足運動野) … 第 6 野
≪錐体路とは?≫
・延髄の錐体を通る遠心性伝導路のこと
・皮質脊髄路と皮質延髄路 皮質核路
≪錐体路(皮質脊髄路)の流れ≫
運動野(ベッツの錐体細胞
)
内包
[視床とレンズ核の間]
中脳の大脳脚
延髄の錐体
*反対側へ交叉
脊髄の側索
を下行
脊髄前角で末梢神経とシナプス結合
*脊髄前角からは末梢神経が出て,骨格筋を支配する
図では中枢神経と末梢神経の間に介在ニューロンがあるが無視してよい
≪錐体路の機能≫
・随意運動の伝導路 *車で例えると…エンジン
# 手指の巧緻運動に大きく関与
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【錐体外路系】
♪
≪錐体外路系とは?≫
・錐体路以外の遠心性伝導路の総称
・主に錐体外路,大脳基底核,小脳の伝導路の総称
*運動野から錐体外路へ下行する伝導路も含む
≪錐体外路系の機能≫
・運動の調節や姿勢の維持に関与
*車で例えると↓
・大脳基底核…アクセルとブレーキ
・小 脳…ハンドル
# 錐体路はエンジンに相当
≪新皮質運動野による運動機能の調節≫
◆随意運動を行なう際◆ p248
1.運動の衝動
2.戦 略
3.プログラミング
4.運動の命令
5.運動の実行
*プログラミング = 大脳基底核・小脳が関与.入力された情報は運動野へ戻る経路がある
錐体外路は大脳皮質から出る
神経(皮質核路)によって制御される
≪錐体外路とは?≫
1. 橋網様体脊髄路
・伸筋の収縮活動を高める
2. 延髄網様体脊髄路
・屈筋の収縮活動を高める
3. 赤核脊髄路
・前腕屈筋の収縮活動を高める
4. 前庭脊髄路
・伸筋の収縮活動を高める
(下肢>上肢)
5.その他
網様体脊髄路:γ運動ニューロンに連結し調節
*すべてではない.他に,視蓋脊髄路などたくさんある
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【大脳皮質の機能分化】
≪大脳皮質の構造分類≫ p252
・新皮質
・辺縁皮質:旧皮質と古皮質
paleocortex(古皮質)嗅脳:最も古い ・archeocortex(原皮質):ついで古い
・小脳と逆になる
≪層構造≫
・新皮質:6 層形成 *運動野では顆粒層が減退もしくは消失している
≪細 胞≫
・錐体細胞,星状細胞(顆粒細胞),紡錘細胞
≪ブロードマンの地図≫ p253 図 14・42・p254 図 14・43
・大脳皮質を組織構造の違いにより 52 の領野に分類
・機能局在と密接な関係にある
≪新皮質の機能分類≫
・運動野:一次運動野,運動前野,二次運動野
・感覚野:体性感覚野,一次視覚野,一次聴覚野など
・連合野:前頭連合野,頭頂連合野,側頭連合野
*連合野とは:感覚情報や運動情報を統合する部位
*皮質への求心路=主に視床からの入力 *皮質からの遠心路=主に運動野からの出力(錐体路・錐体外
路系)
【付 録】
『前頭連合野の障害』
・人格の変化
・行動のプログラミングの障害
・視覚的注意の障害・絵を見て全体の説明を出来ない
・使う「ふり」が出来ない
・時間的順序の障害
・運動性失語
『頭頂連合野の障害』
・半側空間無視(特に右頭頂葉障害でみられる)
・物を触って,それが何か分からない(物体失認)
・身体部位の名前・場所がいえない(身体失認・手指失認)
・命令に従って行動できない(観念運動失行)
・一連の動作を系統的に行なえない(観念失行)
・失読・失書
『側頭連合野の障害』
・聴覚情報処理の障害(感覚性失語は主に左の側頭葉障害)
・右がやられると音楽や環境音の認知障害
・視覚失認(色が分からなくなる・絵の中身を理解できない・顔を見ても誰か分からない)
・前向性健忘
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【脳
♪
≪周波数による分類≫
・α(アルファ)波
・β(ベータ)波
・δ(デルタ)波
・θ(シータ)波
波】
…閉眼安静時.8~13Hz
…覚醒時.14~30Hz
…ノンレム睡眠時.0.5~3.5Hz(1~3Hz)
…レム睡眠時,小児の基礎律動.4~7Hz
@異常脳波…棘波,鋭波,徐波,棘徐波結合など
脳波:大脳皮質の神経細胞の電気的変化の記録
【睡
眠】
『脳波的睡眠段階』
国際分類
W
stage 1
stage 2
stage 3
stage 4
stage REM
段 階
覚醒期
浅眠期
軽睡眠初期
軽睡眠期
中等度睡眠期
深睡眠期
レム睡眠期
脳波的特徴
α波
α波消失,低振幅θ波など
頭蓋頂鋭波(瘤波)
紡錘波,K‐complex
紡錘波,高振幅δ波
高振幅δ波,紡錘波消失
低振幅θ波,速波(β波),急速眼球運動
≪レム睡眠≫『Rapid Eye Movement』 (逆説睡眠ともいう)
・急速眼球運動
・血圧,脈拍,呼吸の乱れ:上昇のことが多い
・骨格筋の筋緊張低下
・脳波:覚醒時に近い,速波
*脳は働いている状態.体は休んでいる状態
≪ノンレム睡眠≫:徐波睡眠ともいう
・レム睡眠以外の睡眠で stage1~4 に分けられる
*脳は休んでいる状態.体は働いている状態
≪睡眠のリズム≫
『1 日の睡眠』
・Stage1→2→3→4→REM を 1 サイクル(約 90 分)として,4~6 サイクル(約 8 時間)
・サイクルを重ねると stage3 と 4 は少なくなり,逆にレム睡眠が多くなる
*教科書 p258 図 14・46 参照
『全睡眠時間に占めるレム睡眠の時間』
・新生児…50%
・乳幼児…35%
・小児から老人…20~25%
【上行性網様体賦活系】
◆非特殊感覚系と呼ばれ,意識レベルを覚醒に導く
◆あらゆる感覚が網様体に送られ,視床の髄板内核やマイネルト基底核を経由して新皮質に投射される
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【筋の種類とその特徴】
◆筋肉とは:(興奮した時に)収縮するという性質をもった組織・細胞
*自ら伸展はしない
骨 格 筋
心
筋
単ユニット
多ユニット
平 滑 筋
平 滑 筋
主な機能
関節運動
姿勢の維持
心臓のポンプ作用
形 態
円筒状で多 核
円筒状で単核
横紋の有無
有
有
無
随意性 *1
有
無
無
自動性 *2
無
有
有
無
ギャップ結合
無
有
有
無
自律神経
*交感 Nか副交感
Nの一 方のみの支
配を受ける
臓器の運動
紡錘
状で単 核
自律神経
支配神経
体性神経
自律神経
活動電位の
絶対不応期
短い
(1~2 ㍉秒)
非常に長い
(200~300 ㍉秒)
長い
(50~100 ㍉秒)
単収縮の持続
短い
中等度
長い
収 縮
ほとんど強縮
単収縮のみ
ほとんど強縮
ホルモンによる調節
無
有
有
収縮時の
Ca2+の調達
主に筋小胞体から
筋小胞体と
細胞外から
主に細胞外から
Ca2+の
結合場所
トロポニン
トロポニン
カルモジュリン
..
*1)随意性とは,自分の意思で動かすことが出来るかどうか
*2)自動性とは,神経やホルモンの作用が無くても,自発的に収縮するかどうか
p265・p283 参照
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♪
【骨格筋線維のタイプの分類】
◆筋線維とは:筋細胞のこと.1 個の筋細胞は細長く線維のようにみえる.
筋線維が束になって筋肉をつくる p267 参照
Ⅰ型筋・遅筋・赤筋・SO 線維
ⅡB 型筋・速筋・白筋・FG 線維
筋収縮の速度
遅 い
速 い
運動の特徴
姿勢の維持
強力な運動,細かな運動
疲 労
しにくい
しやすい
線維の太さ
細 い
太 い
ミオグロビン
多 い
少ない
グリコーゲン
少ない
多 い
ATP の供給
クエン酸回路・電子伝達系
酸化的リン酸化
解 糖
【骨格筋の構造】
≪骨格筋≫:筋線維
[筋細胞]が集まって構成
≪筋線維≫:筋原線維
線維が集まって構成
≪ 腱 ≫
・筋の両端で骨に付着する部分.コラーゲンが主成分.収縮性はない
≪筋 節≫
・筋収縮の機能的単位
・Z 膜から Z 膜の間
≪フィラメント≫
・太いフィラメント = ミオシン
・細いフィラメント = アクチン
≪筋節構造の変化≫
・収縮の際…I 帯と H 帯の長さは短くなる
A 帯の長さは変わらない
≪架け橋(クロスブリッジ)≫
・ミオシン分子の一部でミオシンとアクチンをつなぐ突起
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【筋収縮のしくみ】(骨格筋の興奮-収縮連関)
① 骨格筋を支配するα 運動ニューロンが興奮
② 神経終末からアセチルコリン
が放出
*筋細胞膜の終板にあるアセチルコリン受容体に結合
p272
③ 終板電位の発生
④ 筋細胞膜に活動電位発生
⑤ 細胞膜の興奮は横行小管
⑥ Ca2+がトロポニン
⑦ ミオシン
の終末槽から
Ca2+ が細胞質中へ放出される
と結合し,トロポニン-トロポミオシンの
抑制作用が取り除かれる
の架け橋(クロスブリッジ)と
フィラメントが結合できるようになり,筋収縮が起こる
アクチン
「その他」
・トライアッド…2 つの終末槽
・クラーレ
に伝わり,筋小胞体
とその間の横行小管
…アセチルコリン受容体に結合する毒物
・運動単位…1 本の運動神経とそれによって支配されている筋細胞(線維)群
*神経支配比:1 本の運動神経が何本の筋線維を支配するか
精密な働きをする筋では神経支配比は小さく,おおまかな運動をする筋では大きい
p271
【骨格筋の収縮の仕方】
≪等尺
性収縮≫
・筋肉に力は発生しているが筋肉の長さは変わらない *関節運動なし
≪等張
性収縮≫
・負荷とつり合った張力をもって筋肉の長さが変わる *関節運動あり
≪収縮の加重と強縮≫
*活動電位には加重は起きないが,筋収縮には加重が起こる
≪筋肉の長さと張力の関係≫
・静止長:静止張力が発生し始める時の筋肉の長さのこと.
この長さの時において活動張力
が最大となる
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【筋収縮のエネルギー】
♪
≪ATP 利用≫
1.収縮の過程における架け橋の運動
*架け橋とアクチンが周期的に離れる時も利用される
2.弛緩の過程における Ca2+の筋小胞体への回収時
≪ATP 産生過程≫
1.クレアチンリン酸系
・クレアチンリン酸+ADP ⇄ ATP+クレアチン
*ローマン
反応
2.有酸素系
・クエン酸 回路
と電子伝達系
3.解糖系
・酸素を利用せず,グリコーゲンやグルコースからピルビン酸を経て,
が生成される過程
乳酸
【平滑筋と心筋】
≪平滑筋≫
・単ユニット平滑筋:中空性臓器や中小血管の平滑筋にみられる
・多ユニット平滑筋:瞳孔括約筋,瞳孔散大筋,大血管壁の平滑筋,立毛筋など
*交感神経か副交感神経のどちらか一方のみの支配を受ける
≪心 筋≫
・プラトー相
:心筋細胞の活動電位にみられる特有の現象
Ca2+ がゆっくりと細胞内に流入するために起こる
◆筋電図
・針筋電図:運動単位の観察が可能
・表面筋電図:筋全体の活動(複合活動電位)を観察
・誘発筋電図:末梢神経を刺激して筋の反応を観察
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【一般感覚の種類】
分 類
皮膚感覚
体 性 感 覚
一 般 感 覚
種 類
受容器(受容細胞)
触-圧覚
ルフィニ小体
メルケル触覚盤
パチニ小体
マイスネル小体
温 覚
自由神経終末
冷 覚
クラウゼ小体・自由神経終末
痛 覚
自由神経終末
関節の位置
ルフィニ小体
筋の伸張
筋紡錘
筋の張力
ゴルジ腱紡錘
痛 覚
自由神経終末
血 圧
血液 CO2 分圧
血液 O2 分圧
痛 覚
頸動脈洞や大動脈弓の圧受容器
延髄中枢性化学受容器
頸動脈体,大動脈体などの化学受容器
自由神経終末
深部感覚
内臓感覚
【感覚の一般的性質】
≪比例関係≫
・活動電位の頻度と受容器電位の大きさ
・1 本の感覚神経の活動電位の頻度と活動電位を発生する感覚神経の数
≪順 応≫
・持続的に刺激が加わることによって活動電位の頻度が低下すること
*相動性受容器:速やかに順応.ex)パチニ小体
持続性受容器:順応が緩徐で不完全
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