安全農産物生産機械学 第9回 収穫機 作業体系

2015/1/16
安全農産物生産機械学
第9回 収穫機
生産機械学分野 片平
光彦
作業体系
自脱型
コンバイン
水稲
ダイズ・エダマメ
ネギ
育苗
土改散布
土改散布
耕うん
耕うん
耕うん
代かき
播種
溝切り
田植え
中耕・防除
定植
収穫
収穫
中耕・防除
乾燥調製
調製
収穫
汎用コンバイン、エ
ダマメハーベスタ
自走式ネ
ギ収穫機
調製
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収穫作業の特徴
・収穫作業での損傷や損失は、そのまま品質低下に
つながるため、精度の高い慎重な作業が要求される。
・収穫作業は、適期収穫が基本のため、作物の成熟
期と天候との制約から短い期間に限定される。
・収穫作業は、作物栽培の総決算としての結果が示さ
れる場面であり、収穫の喜びと栽培技術の反省を味
わいつつ、再生産への情報収集の場である。
農作業学会編:農作業学から引用
収穫作業の労働負担(人力)
稲刈り
稲刈りに使う鎌は、鋸鎌といわれ、刃鎌の
草刈り鎌とは異なる。
秋田県での鋸鎌の導入は、今から約150
年前に富山の薬商人が持ちこんだものが
始めといわれる。直線距離で約60km先の
男鹿地域に導入されたのがそれから100
年後の昭和初期とのこと。
作業能率=約12時間/10a
RMR=3.8~5.0
脱穀・選別
唐箕を使った選別
大陸から正徳年間(1711~15)に渡ってき
た農具。
脱穀:RMR=3.7~5.7
選別:RMR=3.4
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収穫作業の労働負担(機械化作業)
バインダー
自脱型コンバイン
作業能率=0.2時間/10a(4条刈り)
日本では、昭和30年代から導入が進む。
鎌
渡部景俊:鎌と鍬から引用
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収穫作業の所要労力
53時間
7時間
川村ら:新版 農業機械学、文永堂出版、2001年
穀物収穫機の発展
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
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バインダ Binder
バインダの構造
川村ら:新版 農業機械学、文永堂出版、2001年
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バインダでの刈り取り作業
脱穀機
・こぎ箸や千歯から足踏み式脱穀機(日本初の農業機械)へ
こぎ箸での脱穀
江戸時代(元禄頃)から
約200年以上も使われた
千歯
佐々木長生:農具が語る稲とくらし,2001年
大正2年に販売された西谷
式の足踏み脱穀機
西尾敏彦:農業技術を創った人たち,1998年
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唐箕
玄米、籾、籾殻などの混合物から風
圧で籾殻や粃を除去する。
渡部景俊:「農を支えて」から引用
コンバイン
・刈り取り部と脱穀部を結合(combine)させた収穫機を示す。
1828年にアメリカのLane S.が特許を取得して開発が開始される。
日本では、昭和30年代から導入が進む。
・コンバインの種類
普通型コンバイン:わらを全て脱穀部に投入する型式
自脱型コンバイン:穂先だけを脱穀部に投入する型式
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自脱コンバイン Head-Feeding Combine
自脱コンバインの構造
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
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前処理装置と刈り取り装置


前処理装置
◦ ディバイダ
◦ 引き起こし装置
刈り取り装置
刈り稈搬送装置
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
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刈り稈の流れ
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
脱穀部とフィードチェーン
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搬送状態
脱穀および選別装置
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
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脱穀および選別装置
チャフシープ
二番還元
排出口
受け網
穀粒やわらくずの流れ
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
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風選とわらの排出
穀粒処理装置
グレンタンクの上部
グレンタンク
グレンタンクの下部
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穀粒処理装置
排わら処理装置
結束機(ノッタ)
細断用カッタ
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走行装置
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
作業能率
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コンバイン収穫の注意点
1.シーズン中やシーズン前後に、各部の点検やチェーン
への注油などを行う。
(騒音、振動、塵芥の中で作業するため)
2.点検の際は、必ずエンジンを止めること。
3.濡れた稲や高水分稲を刈り取ると、わら屑の混入が増
えて、選別装置が詰まり損傷粒を多くするため、刈り取り時
の籾水分は25%以下が望ましい。その場合、コンバイン収
穫時刻は、稲体が乾いている午前10時から夕方5時ごろ
までに行う。
4.収穫は、乾燥機の能力にあわせて行う。
普通コンバイン
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普通(直流)コンバイン
川村ら:新版 農業機械学、文永堂出版、2001年
普通(軸流)コンバイン
農業機械学会編:生物生産機械ハンドブック,コロナ社,1996年
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ポテトハーベスタ
http://www.toyonoki.co.jp/catalog/movie/tph7u01.wmv
ポテトハーベスタとサツマイモ収穫機
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花きの収穫
チューリップ収穫機
タキイ種苗,園芸新知識:はなとやさい9月号から引用
加工用トマトの
収穫と収穫機
トマト工業会紹介ビデオから引用
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キャベツ収穫機
ネギ収穫機
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エダマメ用歩行収穫機
K社製
I社製
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作業能率
傷害の発生程度
5
1.6
1.4
1.0
0.8
3
0.6
2
傷害発生率(%)
作業能率(h/10a)
1.2
4
0.4
1
0.2
0.0
0
手収穫
歩行収穫機(K社) 歩行収穫機(I社)
市販収穫機の性能
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エダマメコンバイン
コンバインサイズ
長さ:300cm
幅:150cm
高さ:165cm
こぎ胴
フイードチェーン
莢と葉の
選別
刈り取り部
莢収容
コンテナ2個
ステップ
クローラ
エダマメコンバインの動作
作業能率:4h/10a,脱莢精度:87%,損傷率:6%
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