原発について

徳 円 寺 だ よ り
法楽 75 号
2011 年(平成 23 年)10 月 1 日
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原発について
東日本大震災から7ヵ月、大地震・大津波・原発事故
の三重苦から復興のきざしが少しずつ見え始めてきた。
中でも一番深刻な問題は原発事故である。
福島第一原発から半径 20km 圏内の警戒区域は、未だ
に帰還が許されず、その他の地区も放射能物質の除染す
らままならない。帰る見通しが立たないことが一層不安
をかりたて、絶望感にさいなまれる。
夏の電力不足も節電対策によって乗り切れたが、改め
て原発の是非について考えるべきであろう。原発を止め
るという脱原発の立場と安全性を高めて推進する立場、
両者の利害得失を正しく評価すると同時に、将来的によ
高木仁三郎 講義録
『科学の原理と人間の原理』
り安全なエネルギーを根本から問い直すべきである。
発行:金沢教務所 本体:300 円(税別)
そもそも原発は、資源のない日本が経済発展に必要な
本書は、高木仁三郎(1938 2000)氏の
エネルギー源を確保する切り札として、国策として優先
1991 年の公開講座の記録です。当時原子力
的に推進されてきた。また近年は地球温暖化を防ぐ効果
資料情報室代表であった高木氏が、チェルノ
から増設の計画もあった。かくて広島・長崎という唯一
の被爆国の経験も、原子力の平和利用と経済発展と安全
ブイリ事故、スリーマイル事故、美浜原発事
故を受けて、原発の持っている本質的な危険
性と放射能は人間の手に負えないことを指
神話の下で批判もかき消され、原発推進一辺倒で突き進
摘。さらに原子力の安全が確立すれば良いと
んできたのも事実である。
いう話ではなく、原子力という科学の原理は
この原発事故は貴重な歴史的教訓です。大地震と大津
人間の生きる原理とは根本的に相容れるもの
波の被害者であっても、原発事故による放射能汚染は、
ではないと、原発の停止を訴えている。
被害者と同時に全世界への加害者です。
追記:停止中の浜岡原発に隣接する浜岡原子力館
何故、原発を選ぶのか? 地震国日本での原発コスト
を見学した。高さ 62m の展望台からは原発全体が
とリスク、事故の被害の巨大さ、核廃棄物の処理を放置
見渡せる。原子力発電のしくみや放射能・地震対策、
は、人類の子々孫々への無責任と言わざるを得ません。
原子燃料サイクルの展示など、夢のエネルギーを宣
安易な目先の利害と妥協を捨て、人類の未来のために、
伝し、東日本大震災クラスの地震でも安全対策が完
科学の原理・経済の原理よりも人間の原理に基づいて、
了し大丈夫という。相変わらずの安全神話に、より
徹底的に検証し再考するべき時機でしょう。
深刻な危機感を感じました。
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法楽 75 号
徳 円 寺 だ よ り
2011 年(平成 23 年)10 月 1 日
宗祖 750 回御遠忌を迎えて(3)
2011 年親鸞聖人 750 回御遠忌法要も、
御正当報恩講を残すのみとなった。
この御遠忌を通して、一人ひとりが何を感じ取り、生きる覚悟を新たに確立
できたのか、それが一番の要の問題です。
大震災によって政治の混迷が一層広がり、世界的な経済の停滞がつづき、
それが生きる人々の精神により深く影響を与え、精神的には自我意識過剰、
自縄自縛・うつ状態の様相すら感じます。このような時代状況の中で、念仏
小島の草庵跡の碑
関東で初めての草庵
の教えが果たして起死回生の機縁となるのであろうか。
近年、伝統仏教の衰退がいわれるようになって久しい。都市化・核家族化・
少子高齢化によって、葬式・墓・家の意識も変化し希薄になり、家制度に支
えられてきた葬式仏教も変わらざるをえない状況である。
時代の苦悩・時代の精神と向き合い、仏教の原点に立ち返り、その思想的
エッセンスを掘り起こし、生き生きとした力を復活させることができるのか。
それが御遠忌の本来の意義ではないかと思います。
五木寛之氏の新聞小説『親鸞』はちょうど現在、稲田の草庵の場面です。
親鸞聖人の生き生きとした説法の情景は、現実に生活の中で仏法が語られる
様子を彷彿とさせます。この庶民の生々しい生活、自己存在の不安の中で学
ぶ仏教こそ、浄土真宗の原点のような気がします。そして時代社会を課題に
した学びこそ、地域の新たな文化の創造の一助となると思います。
西念寺の本堂
「浄土真宗開闢之霊地」の碑
お浄土の世界
秋の永代経法要では、
誰でも人生が順風満帆というわけにはいきません、
昨年につづき高柳正裕
もしそうなら逆に傲慢になっていくのではないでしょ
先生の法話を拝聴しま
うか。たとえ失敗してもその度に大きくなることもあ
した。その一部を紹介
ります。自分を照らしてくれるものがないと、自分の
します。
姿に気づくこともありません。失敗にも大きな意味が
現代は無宗教の時代
あると考えるべきでしょう。
と言われますが、心の深い所では宗教を求めているの
大切なことは人間とは何か?人間にとって何が大事
ではないでしょうか。現代人は、生まれてから死ぬま
なことか?という問題であり、そのことについて考え
での限られた時間をできるだけ有効に使いたいと思っ
る時間がどこにもなくなってきました。かつてのお寺
ています。しかしその人生は死で終わり、その後の時
には、人間を深く考える場があったよう思います。
間はまったく考えられない。すると目先のことばかり
阿弥陀様を「親さま」といったりもしますが、これ
が気になり余計に生き急ぐことになります。
は、本当の親という意味であり、自分のことを親身に
私たちが聞いてきた浄土に生まれるという実感は、
なって考えてくれる人を求める心でしょう。苦しい時
永遠につながっていくという感覚に近いと思います。
ほど、本当に心の通じ合う深い世界を求めたいと願う。
大きな視点を持つと、あまりジタバタする必要もなく
それに応えているのがお浄土の世界です。
なります。
2011 年(平成 23 年)10 月 1 日
徳 円 寺 だ よ り
法楽 75 号
䚷関 東 ご 旧 跡 研 修 旅 行 䚷 䚷
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総代会の報告
(西之保 安藤銑悟・雪枝)
今年の同朋会の研修は、親鸞聖人の関東ご旧跡を
訪ねる旅で、9 月8・9日の一泊二日の旅でした。
東京以遠は、私も家内もかつての東北旅行以来で
したので、子どもの遠足のような気分でした。親鸞
聖人が約 20 年間滞在されたという、関東の常陸の
国を思い描きながら出発しました。
初めに訪ねたのは、関東二十四輩といわれ聖人の
主な弟子が 24 人みえますが、その第 1 番の性信房
のお寺、報恩寺に参拝しました。次に下妻の光明寺、
そして関東で最初に庵を結ばれた、小島の草庵跡を
訪ねました。ここは筑波山を背景に静かな田園風景
の中にあり、聖人お手植えと伝えられる大銀杏の木
の根元に記念碑がありました。
2 日目は稲田の西念寺です。ここは聖人が布教の
根拠地として家族とともに過ごされた所で、うっそ
うとした大木に囲まれた山里で、浄土真宗の根本聖
典「教行信證」を書かれた場所といわれています。
最後は、聖人の直弟子唯信房が開いた唯信寺でし
た。住職さんから丁寧な説明をしていただきました。
幸い両日とも天気に恵まれ、2 日間楽しく過ごす
ことができました。全員元気で感謝と感動を胸に、
改めて親鸞聖人の布教の情熱とたゆまぬご努力に、
敬服して研修を終えました。誠にありがとうござい
8 月 31 日に責任役員会・総代会が開かれました。
<報告事項>
・5/22 東本願寺親鸞聖人 750 回御遠忌参拝 44 人参加
・5/26 東本願寺親鸞聖人 750 回御遠忌参拝 41 人参加
・6/29 両春講習会 5 人参加
・7/21 25 夏休み子どものおつとめ練習会
・8/15 納骨法要
・門徒会会計の中間報告
<協議事項>
1. 真宗大谷派の計画
・2011 年度一般会計予算 84.8 億円
・徳円寺への御依頼 1,134,000 円(前年比+ 21,000 円)
・宗費賦課金 251,350 円(前年比 ±0 円)
2. 名古屋教区・第三組の教化研修計画
・
「念仏者の生まれる寺づくり」
・責任役員・総代研修、帰郷式実践運動など
3. 徳円寺の関係
・関東ご旧跡研修旅行 9/8・9
・秋の永代経・彼岸会 9/23
・年番会 10/8( 土 ) 午後 7 時半∼
・報恩講 11/19 の午後、11/20 の午前・午後
準備 11/12 の朝 9 時∼ 仏具のおみがき奉仕 11/19 の朝 9 時∼ 一斉清掃奉仕
ました。
<特別展> 法然と親鸞ゆかりの名宝
鎌倉の巨星がふたつ。800 年ぶりの再会
[会期]
2011 年 10/25(火)∼
12/4(日)
[場所] 東京国立博物館 平成館
[料金] 1,500 円(当日) 1,300 円(前売)
この特別展は法然上人、親鸞聖人の書物や
絵伝など、国宝・重文を含むおよそ 180 件の
法宝物を通して 2 人の生き様や教えにふれる
もの。各派所蔵の法宝物が集結する。
国宝「教行信証(坂東本)」も出品される。
稲田の草庵(西念寺山門)
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法楽 75 号
徳 円 寺 だ よ り
2011 年(平成 23 年)10 月 1 日
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11 月 19 日(土)
午前9時∼ 一斉清掃奉仕・準備
午後2時∼ 親子報恩講・讃仰の夕べ
11 月 20 日(日)
午前 9 時半∼ 報恩講
正 午 お斎(昼食)
午後 1 時半∼ 報恩講
法 話 五辻文昭先生(大垣市)
報恩講は、念仏の教えを開かれた親鸞聖人の恩徳
に感謝し、報いるためのもっとも大切な仏事です。
恩徳も感謝も感じなければ報いようがないのです
が、そういう形ばかりの真宗門徒である私たちに、
「本当の自分を見出せ、このいのちを輝かしめる教
えに出会ってほしい」と呼びかけているのが、如来
の叫びです。今一度立ち止まって、その呼び声に耳
を傾け、自らの生活を振り返る大切な機会です。
報恩講は、何百年にわたって今日まで脈々と勤め
られてきた良き伝統です。
䚷䚷䚷䚷䚷䚷䚷同朋会の案内
是非お誘い合わせてお参りください。
毎月1回同朋会を開いています。10 月は2年半
ぶりにハワイの藤森氏のお話を聞きます。
ႃଳ໲ࡥ
今回の関東ご旧跡の研修旅行は遠方ではありまし
日時:10 月 30 日(日)午後7時半∼
講師:藤森宣明先生(ハワイ、ワイメア本願寺)
会費:500 円 / 人
たが、ふだんなかなか行くことができない所であり、
またそれぞれのお寺のよさもあり、とても良かった
です。中日新聞の小説『親鸞』も情景を想像しなが
ら読んでいます。
京都から遠く離れた関東の地で新しい生活をされ
ることは、親鸞聖人にとって相当の覚悟はもちろん
のこと、妻の恵信尼様にとっても小さなお子様を連
れての生活であり不安も大きかったことでしょう。
【あとがき】
■東日本大震災の被災地はいよいよ寒さ対策の季節、復興
の進展が気がかりです。
徳円寺の前本堂は 1891 年の濃尾地震で倒壊し、その後
現本堂が再建されて 110 年。しかし 120 年前の大事件
も四代前ともなるとほとんど忘れ去られている。足元の
大震災の記録を掘り起こすことも大切でしょう。
近い将来の東海地震も高い確率で予想されている。自然
でもお念仏はそれをも包んでしまうほど大きな力に
災害は繰り返しやってくることを肝に銘じ備えたい。
なったのでしょうね。
■東本願寺の阿弥陀堂の修復工事は 2012 年 1 月∼、また
今回は関東二十四輩のうち、わずか三ヵ寺の参拝
御影堂門の修復工事は 2013 年 1 月∼着工の予定です。
でしたが、機会があれば他のお寺へも訪れてみたい
■ HP の訪問者数も少しずつ増加、内容をより充実すべく
ものです。
思案中です。ご意見・感想などお待ちしています。
■次回は来年 1 月発行の予定です。 (北條正徳)