堺市耐震診断業務(二次診断)標準仕様書 1. 本仕様書は、堺市下水道部管理の管路施設を除く、土木施設・建築施設・建築設備・機械設備・電 気設備の耐震診断業務(二次診断)を対象とする。 2. 耐震診断業務(二次)は、次の基準等に基づき実施するもととする。 Ⅰ. 「官庁施設の総合耐震診断・改築基準及び同解説 Ⅱ. 「下水道施設の耐震対策指針と解説 平成 8 年版」 2014 年版」 Ⅲ. 「下水道の耐震対策マニュアル 2014 年版」 Ⅳ. 「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・耐震改修設計指針・同解説 2001 年改訂版」 Ⅴ. 「既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・耐震改修設計指針・同解説 平成 9 年改訂」 *但し、上記以外の図書を参照する場合は、本市監督員に承認を得ることとする。 3. 本業務は耐震診断(二次)であり、原則として一次診断を行った成果品に基づいて行うものとする。 4. 本業務の内容は原則として以下のとおりとする。 Ⅰ.土木編 ① 構造躯体の診断 i.調査(一次診断結果より必要に応じて劣化調査。以下の試験項目を必要に応じて選択) a)コンクリートの中性深さ試験 b)コンクリートの強度試験(テストハンマー) c)コンクリートコア採取 d)鉄筋調査 ⅱ.検討 a)レベル1 許容応力度法による部材の応力度照査(コンクリートの圧縮応力度、コンクリートのせ ん断応力度、鉄筋の引張応力度) b)レベル2 限界状態設計法による主要部材の照査(せん断耐力及び曲げ耐力の確認・破壊モード判 定) ⅲ.評価目標 a)レベル1 許容応力度法による応力度照査を行い、発生応力が許容応力度以内に収まること b)レベル2 限界状態設計法による照査を行い曲げモーメント及びせん断力が曲げ耐力及びせん断 耐力を超えないこと・破壊モード判定で曲げ破壊先行型となること ⅳ.評価 a)レベル1 全部材について発生応力度が許容応力度を超えないことを確認、満足しない部材の把握 b)レベル2 主部材について曲げモーメント及びせん断力が曲げ耐力及びせん断耐力を下回ること、 及び限界状態設計法による破壊モード判定で曲げ破壊先行型であることの確認、満足しな い部材の把握 ② 基礎構造の診断 i.杭基礎 a)調査(一次診断時の不足分調査・盛土地盤の現状の土質定数調査) b)検討 イ)耐震設計条件に関する一次診断結果の変更要否検討 ロ)全杭の発生応力検討及び必要地盤支持力検討(軸力:常時・地震時最大・地震時最少) 、 (発生応力:杭頭部・地中最大部) c)評価目標 イ)レベル1 全杭の発生応力度が許容効力度以下に収まる ロ)レベル2 全杭の発生荷重が限界状態設計法による曲げ耐力及びせん断耐力以下に収まること・限 界状態設計法による破壊モード判定により曲げ破壊先行型となること d)評価 イ)レベル1 発生応力が許容効力度以内であることの評価、満足しない部材の把握 ロ)レベル2 曲げ耐力及びせん断力の評価、破壊モード判定による曲げ先行破壊の確認、満足しない 部材の把握 ⅱ.直接基礎 a)調査(一次診断時の不足分調査・盛土地盤の現状の土質定数調査) b)検討 イ)設計条件(レベル1)に関する一次診断結果の変更要否検討 ロ)必要地盤の安定検討(地盤支持力の安定性・転倒及び滑動に関する安定性・沈下量又は 傾斜角(相対沈下)の許容値以内への収まり) c)評価目標 イ)耐震面で安全と評価されること d)評価 イ)評価目標に対する評価コメント Ⅱ.建築編 ① 図書・構造計算書等の確認(図書・施工記録の有無、使用材料・構造設計方針等の確認) ② 現地における目視確認 i.図書と現地との整合性調査(壁の配置・開口の位置及び大きさ・柱梁の部材大きさ・梁のス リーブの状態・床面の上下(短柱の確認、床の撓等の確認) ) *開口部の詳細寸法の測定を行い、保有水平耐力の確認に反映する。 ⅱ.非構造部材の目視確認(一次診断により判断がつかない場合) ⅲ.ひび割れ状況や劣化度の調査 ③ 現地における物理調査(中性深さ検査・強度試験(テストハンマー) ・コア採取及び圧縮強度 試験による破壊検査・鉄筋調査(腐食・かぶり)・鉄骨調査(腐食)・ボルト、リベット調査 (接合状況・腐食) ・シュミットハンマーによる非破壊検査) ④ 施工令第 82 条の 4 に定める保有水平耐力の確認(靭性型)図面・構造計算書・目視より算定 ⑤ 総合判定(構造耐震指標Is、地震入力指標 IE、重要度係数 I による評価) Is / IE・I ≧ 1.0以上であれば安全性が認められ、それ以外は補強工事が必要 Ⅲ.建築設備編 ① 一次診断で NG となった場合は、重要機器・防災機器・通信機器について耐震性能の点検を 全数行う。 Ⅳ.機械設備編 ① 適用範囲の決定(一次診断の結果、耐震条件に合致しない場合及び合致しても余裕率が少な いと判断した場合について、対象機器の範囲を拡大して二次診断適用) ② 地震による機器の転倒・横滑りの検討(基礎ボルトの強度確認・防振装置付機器の耐震スト ッパの確認・移動式機器の耐震ストッパの確認) ③ 耐震条件に合致しているか判断(YES なら終了、NO なら補強設計(別業務)) Ⅴ.電気設備編 ① 適用範囲の決定(一次診断の結果、耐震条件に合致しない場合及び合致しても余裕率が少な いと判断した場合について、対象機器の範囲を拡大して二次診断適用) ② 地震による機器の転倒・横滑りの検討(基礎ボルトの強度確認・防振装置付機器の耐震スト ッパの確認) ③ 耐震条件に合致しているか判断(YES なら終了、NO なら補強設計(別業務)) 5. 診断を終了する結果と判断、及び次の段階に進む結果と判断を含めて診断報告書を作成し、成果品 として提出すること。提出部数は特記仕様書に従うか、もしくは監督員と協議して決定することとす る。 6. 処理機能の維持及び人命の安全確保の観点から総合評価を行い、耐震補強工事が必要と判定された 施設については対策工事の優先順位について考察を行うこと。 7. 耐震化補強工事の概略検討と概算工事費の算出を行うこと。 8. 調査・診断の内容について類義があるときは、本市監督員と協議し決定することとする。
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