発注から納品検収までのプロセスを Web購買システムで一元

関西学院大学
発注から納品検収までのプロセスを
Web購買システムで一元管理
研究費の管理体制を整備
導入の狙い
文科省のガイドラインに基づいた研
究費の管理体制を整備したい
研究者の物品購買・納品検収の利便
性を高めたい
導入システム
調達・購買業務支援サービス
『たのめーるプラス』
導入効果
人員を増やさずに研究費の購買管理
体制を整備できた
発注・納品検収の透明性が大幅に向
上した
研究者の利便性がアップし、事務局
の負担も軽減された
創立125周年を迎える関西学院大学は、新たに三つの学科を設置し、専門的な人材育成に力を入れる
関西学院大学は、11学部を有する関西屈指の総合大学。2015年4月には、理工学
部に、生命医化学科、先進エネルギーナノ工学科、環境・応用化学科の、三つの学科
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
関西学院大学
を新設し、陣容をさらに拡大する。その一方で、学内の研究費の管理体制を整備す
るため、大塚商会の調達・購買業務支援サービス『たのめーるプラス』を新たに導入。
●業種:教育
これにより、発注から納品検収までの一連のプロセスをシステム化し、人員を増やさ
●事業内容:11学部
(神、文、社会、法、経
ずに文科省のガイドラインに沿った管理体制を整備することに成功している。
済、商、理工、総合政策、人間福祉、教育、
国際)
と14研究科で構成される、関西
屈指の総合大学
●教職員数:専任教員700名、専任職員
370名(2014年11月現在)
創立125周年の伝統校
理工学部の拡充を図る
スを開設。さらに2000年に大阪梅
関西学院大学(以下、同大学)は、
キャンパス、2009年に近隣の聖和大
1889年にアメリカの宣教師、W.R.ラ
学との合併により西宮聖和キャンパス
ンバス博士によって神戸の原田の森
を順次開設し、2014年に創立125
( 現 在 の 王 子 公 園 )に創 設された 歴
『たのめーるプラス』
を導入し、文科省のガイドラインに
沿った管理体制の整備に成功した関西学院大学
2014年11月取材
その後、1995年に神戸三田キャンパ
田キャンパス、2007年に東京丸の内
周年を迎えた。
史ある伝統校だ。1929年に西宮市
現在は11学部を有する関西屈指
上ケ原に移転し、1932年に大学令に
の総合大学へ発展し、大学院には11
よって正式に大学として認可された。
研究科とロースクールやビジネスス
1
関西学院大学
クー ル など三 つ の 独 立 研 究 科 が あ
研究推進社会連携機構 事務部長の
る。創立当初は、教員5名、学生・生徒
石原 一則氏は語る。
数19名という小さな私塾だったが、
現在の学部学生数は23,000名(う
学生数は1,100名(うち女子学生数
研究費の不正使用を
抑止するシステム化を検討
は385名)。さらに教育・研究を担う
研究費の不正使用は、研究者と販
ち女子学生は11,000名)、大学院
専任教員数は700名、専任職員数は
売業者の癒着によって発生するケー
370名に上る。
スが多い。例えば、研究者と販売業者
そうした中、国の施策として1995
が結託し、架空の取引で研究機関に
年に科学技術基本法、1998年に大
代金を支払わせる。それを販売業者
学技術移転法(T L O法)が相次いで
に預け金(プール金)として不正に管
施行され、国内の産学連携体制が強
理させ、別の用途で流用する手口な
化されるようになった。これを受け、
どがある。
2002年4月に研究推進社会連携機
このような不正行為が全国の研究
構を学内に設置。研究環境の拡充を
機関で相次いで発覚したため、文科省
図りながら、その研究成果を企業や国
は全国の研究機関に「研究機関におけ
に還元していく活動を積極的に展開
る公的研究費の管理・監査のガイドラ
している。
イン
(実施基準)」に沿った研究費の適
現在は、国が経済成長戦略として
正な執行と管理を要請した。これを受
掲げている「ライフ・イノベーション」
け、同大学では、研究推進社会連携機
( 医 薬 品・医 療 機 器 の 技 術 革 新 )と
構がかじ取り役となり、具体的な対応
「グリーン・イノベ ーション」
( 資 源・
策を検討するようになった。
エネルギー分野の技術革新)への対
「ガイドラインでは、物品の発注や
応にも力を入れている。具体的には、
納品検収を研究者任せにするのでは
2015年4月に理工学部に生命医化
なく、研究機関が適正に管理すること
学 科 、先 進エネ ルギー ナノ工 学 科 、
が求められています。このうち、納品
環境・応用化学科の三つの学科を増
検収に関しては、以前から大学側で
設。専門的な人材を育成していく計
厳格に行っていましたが、発注管理は
画だ。
個々の研究者の裁量に任せていたの
総合大学としてさらなる進化を遂
で、本学では、さらに適正な管理を行
げる一方で、研究費の不正使用を事
うことができないか検討する必要があ
前に防止する体制づくりが、大学を含
りました」
と研究推進社会連携機構 課
めた全国の研究機関で共通の課題に
長の本荘 雅章氏は語る。
なっている。
当初は研究費の購買管理を行う専
「今後拡充する理工系の学科は、文
門部署を新たに設置することも検討し
系の学科に比べ研究費の金額が一段
たが、既存の体制の中で煩雑な購買
と大きくなります。そのため、学内に
管理を効率的に行えるシステムを新た
おける研究費の管理体制をいかに整
に導入し、大学側で研究費の適正な執
備するかが直近の重要な課題です」と
行と管理が行える環境を整備しようと
2
研究推進社会連携機構
部長
石原 一則氏
「大塚商会さんをはじめ、サプライヤーや配
送業者に協力していただいたおかげで、理
想的な購買システムを構築できました。事
務スタッフを増員することなく。既存の人員
で十分対応できています」
研究推進社会連携機構
課長
(研究支援・社会連携担当)
本荘 雅章氏
「便利だと思った人はシステムを使ってくだ
さいという、ソフトランディングで研究者の
利用を促したことが、結果的にスムーズに
導入できた要因の一つです。便利だと分か
れば、おのずと利用率は上がっていきます
からね」
考えた。
のうえ、各サプライヤーとの法人契約
同時に研究者の業務負担を軽減す
により、ボリュームディスカウントによ
ることも目的の一つだった。というの
るコストメリットも享受できました」と
も、研究者が物品を発注すると、納品
大野氏は語る。
書や請求書が研究者宛てに届くので、
もう一つは、どの研究費で購入する
それを事務局まで提出する手間が生
のか発注段階で管理できることだった。
じていた。さらに、受領した物品をキャ
研究推進社会連携機構 大野 健一郎氏
「当初は約半年間でシステムを構築できる
のか不安もありましたが、大塚商会さんの
誠実かつ迅速なサポートにより、無事に本
稼働できました。今後も他校の事例など有
意義な情報を積極的に提供していただきた
いです」
『たのめーるプラス』
には、商品を発注
ンパス内にある検収センターまで持参
する際に会計コードを指定できる機能
し、納品検収を受けなければならず、
が実装されている。同大学では、この
決して効率的とはいえなかった。
会計コードを研究費予算コードとして
その後、具体的なシステム選定段階
活用し、発注商品と紐付けて管理する
に入り、最終的に採用されたのが、大
ことで、研究者(発注者)
がどの研究費
塚商会の調達・購買業務支援サービス
で物品を発注したのか一目で分かるよ
『たのめーるプラス』だった。
うにしたのだ。
「システムの導入を検討していると
「研究費にはそれぞれ使用目的が
きに、ちょうどタイミングよく大塚商
あり、発注する物品はその使用目的
会さんが提案に来られたのです。他
に沿うも の でなければなりませ ん 。
社にも同様のシステムがあることを
その点、
『たのめーるプラス』の会計
知っていたので、公正を期するため
コードを活用すれば、そのチェックが
に、大塚商会さんを含めた4社のシス
発注段階で行えます。伝票処理も会
テムを比較検討しました。その中で本
計コードをもとに行えるので、事務処
学の要件に最もマッチしていたのが、
理の負担も軽減されました」と大野氏
『 たのめーるプラス 』でした」と研 究
は言う。
推進社会連携機構の大野 健一郎氏
外 部カタログ連 携オプションによ
は語る。
り、同大学は文具やオフィスサプライ
は大塚商会の『たのめーる』、書籍は
紀伊國屋書店、家電やP Cはビックカ
外部カタログ連携を有効利用
会計コードで物品購買を管理
メラのW e bサイトを通じて購買でき
『たのめーるプラス』を選定した理
ヤーの外部カタログが取り扱うアイテ
由の一つは、外部カタログ連携オプ
ム数は膨大なため、大学の研究費とし
ションによる優位性だ。
て取り扱う商品を取捨選択する作業
「大塚商会さんの『たのめーる』だ
に約1カ月を要したという。しかし、一
けでなく、他社サプライヤーのW e b
度商品を選定すれば、その後の商品
カタログと連 携できる外 部カタログ
の入れ替えなどのメンテナンスは、基
連携オプションが大きな魅力でした。
本的にサプライヤー側で対応してくれ
各 サ プ ラ イ ヤ ー へ の 発 注 を『 た の
るので、運用面で特に苦労する心配は
めーるプラス』で一括管理できるだけ
なかった。
でなく、大学側で商品カタログを毎回
また、サプライヤーや配送業者の協
メンテナンスする手間も省けます。そ
力で、納品検収を効率的に行える工
3
る環境を整えた。ただし、各サプライ
関西学院大学
夫も忘れてはいない。具体的には、ま
ず、各キャンパスにある検収センター
へ納品してもらい、納品検収が終わり
次第、研究者(発注者)が指定した最
終納品場所まで運んでもらう体制を
整えている。
物品購入時の透明性が向上
研究者や事務局の負担も軽減
同大学では、システムを本稼働する
にあたり、事前に研究者向けの説明
会を4回実施。説明会は単なる操作
『たのめーるプラス』
を導入したことで、研究費の適正な執行と管理が行える環境が整った
説明ではなく、むしろシステムを活用
は語る。
する具体的なメリットを伝えることで、
また、研究者のみならず、事務局の
研究者の理解を促すことに重点を置
負担も大きく軽減された。例えば、以
いた。
前は不特定多数の販売業者から物品
まず、第1のメリットは、発注から納
を購入していたので、それぞれ納品
品検収までの一連のプロセスをシス
書や請求書の様式が異なり、事務処
テム化し、そのデータを保存すること
理が非常に煩雑化していた。しかし今
で、物品購買における取引の透明性
回、サプライヤーが集約されて発注か
が大幅に向上すること。第2のメリッ
ら納品までの業務フローが標準化さ
トは、時間や場所に制約されずに24
れたことで、そうした問題が大幅に解
時間いつでも発注でき、納品書や請
消されたのだ。
求書の事務局への提出や、購入した
「とりわけ、人員を増やすことなく、
物品の検収センターへ持ち込む手間
文科省のガイドラインに準 拠した研
が省けること。第3のメリットは、サプ
究費の適正な執行と管理が行える環
ライヤーを3社に集約することで、法
境が整ったことが、今回の一番の導
人割引によるコストメリットがあるこ
入成果です。少なくとも当初の目的
とだ。
の一つである、発注業務の透明性は
2013年5月からシステムの運用
向 上できたと思 います」と本 荘 氏は
を順次スタートさせたが、その後、特
評価する。
に問題が生じることはなかった。
2015年に理工学部の学科が増設
「導入メリットを実感された研究者
されることから、試薬や理化学品も発
は、システムを継続的に利用するよう
注できるように、それらの分野に強い
になりました。特に『たのめーる』は安
サプライヤーとの交渉も進めている。
価なオリジナル商品が多いので、印刷
これにより、
『たのめーるプラス』で理
用紙などの消耗品やプリンターなど
工系の研究費も含めて運用できるよ
のインクカートリッジを繰り返し発注
うになり、研究者のシステム利用率が
するケースが増えています」と大野氏
一段と高まる見通しだ。
関西学院大学のホームページ
http://www.kwansei.ac.jp/
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2014年12月に作成されました。
Copyright©2014 OTSUKA CORPORATION All Rights Reserved.
4