社会科(公民的分野)学習指導案 <川口市立仲町中学校> 平成26年10月2日(火)第2校時 3年3組 男子19名 女子19名 指導者 (3年3組教室) 1 単元名 民主政治と選挙 2 単元について (1)生徒の実態 明るく活発なクラスである。挙手、発言については、一問一答式の知識・理解に関 するものに関してはよく手があがる。自分の意見の発言、思考力を問われる問題につ いての発言は少ない。公民の学習に関しては、初めての用語の理解と暗記に追われ、 とりつきづらいと感じている生徒が多い。振り返りカードの感想を見ると、ただ暗記 のみではなく、日々学習を通して感じた思いを表現できている生徒が多い。 (2)単元について 政治のしくみについては、民主政治の大切さ、政治と政党、世論とマスメディア、 そして選挙のしくみなどを理解させ、選挙等の国民参加がとても重要であることをと らえさせたい。また、現在当面している政治課題を中立な立場で紹介し、政治の動向 の大切さとともに、自分がどう考えるかの思考力も伸ばしたい。 (3)指導観 生徒の目線で考えると、難しい用語の暗記や、しくみの表面的な理解にとどまりが ちである。自分たちの現実的課題ととらえ、政治の重要性、特に選挙を通しての政治 への参加の姿勢が育たない懸念もある。 そこで、一通り政治と選挙について学習したのち、数年後の自分が有権者になった とき、投票所に足が向くよう、模擬選挙の授業を後半に取り入れることを考えた。模 擬投票を通して、選挙が身近なもので、いかに政治の動向を左右するものであるかを 実感させたい。 投票所に足が向かう若者の育成だけではなく、現代の様々な現実的課題についても、 その一部を知り、政治への興味・関心が高まるようにしていきたい。 (4)校内研修とのかかわり 今年度のテーマは「一人一人が意欲的に学習に取り組む指導の工夫」である。政治 の学習については、政治のしくみや構造が複雑で、なかなか理解することができなか ったり、興味が持てなかったりしがちである。理解できた生徒も、それが自分の問題 として認識できず、ニュース等にも興味が持てない場合が多い。そこで、今回は模擬 投票という疑似体験をもとに、政治を身近なものとして感じさせるとともに、政治へ の関心を持たせることで、学習意欲が高まると考えた。 3 単元の目標 私たちの願いや意見がどのように政治に反映されるのかを知り、多くの意見を尊重しつ つ、よりよい社会を作りにはどうすれば良いのかを国政の面で考える。それそれの有権者 がしっかりとした意見を持ち、選挙を無駄にしない態度を持つ。 4 単元の指導計画 指導計画 ① 民主主義とは何か ② 政党と政治 ③ 世論と政治参加 ④ 選挙制度について ⑤ 選挙の課題とその改善 ⑥ 模擬選挙をしよう 1時間 1時間 1時間 1時間 1時間 1時間・・・本時 -1- 5 評価規準 ①社会的な事象への関心・意欲・態度 現実におきているニュースに関心を持ち、日本の政治が直面している様々な課題にも関 心を持つ。選挙の重さを理解し、自分も将来は投票したいという意向が持てる。 ②社会的な思考・判断・表現 より良い社会をつくるためにはどうしたらよいかを、模擬投票などを通して、政治課題 について自分なりにどう考え判断するかなどを体験を通して学ぶ。 ③資料活用の技能 新聞、テレビ、インターネット、SNSなどで様々な情報が存在し、まったく逆のこと を言っている場合もあるので、客観的に資料を分析し、活用する力をつける。 ④社会的事象についての知識・理解 民主政治とは何かを選挙や政党などを中心に学び、人々の長い歴史を経て獲得された制 度とそのしくみを理解し、政治の学習の導入とする。 6 本時の指導計画 (1)目標 ①比例代表区の選挙を通して、選挙のしくみを具体的に理解する。 ②模擬投票を体験することで、選挙を身近に感じ、投票に行く人になろうとする。 ③具体的な政治課題を掲げ、考えてみる。 (2)展開 主な学習内容と学習活動 導 ○投票率の低下の資料を読み取る。 入 特 に、 若者 の 政治離れ の深刻 な現状 を知る。 指導上の留意点 ※は主な評価の観点 資料 ・ 若 年 者 の 政 治 離 れ の 深 刻 な 現 状 を 知 グラフ り、なぜ若者が投票所に足が向かないの かを問いかける。 展 ○パネルディスカッション 開 A党からE党の党首による会談 ・各党の政策の重点課題を説明 2 (パネル等の資料を用いて) 0 ・ 他党 への 質 問や、そ れに対 すし回 分 答。それに対する反応もする。 ※ 党首 会談 に 参加して いない 人も質 問できる。 ・A~Eは架空の政党だが、各党の政策 動画1 論争は現代的な課題で行う。 動画2 ・ディスカッションの内容を深めること 動画3 は本時の目標ではなく、また、大変複雑 TV で難解なので、中学生でもわかる内容に 役柄明 咀嚼し、事前に教師が指導しておく。 示 ※資料にもとづき、政策がきちんと伝え られる。(資料)(表現) ※ そ 質問例 の 発表用 ・A党へ「景気回復へどのような手立てをとるのか」 「日本が戦争ができる国になっていいのか」 ・B党へ「地球温暖化はまだ先の課題で、緊急に解決すべき課題があるのでは?」 「原発を使わない 立 記入ボ 場 ード で、自然エネルギーだけでは電力供給はできない」 ・C党へ「社会保障のお金の出所は?充実させるためには増税が必要だが、景気悪化が心配」 「働く に 年代が減り、税金が減る問題をどうするか」 な D党は「世界の動向が不安定な中、相手国の圧力に屈してしまうのでは」 「日米安全保障条約はある り が、今やアメリカは威力と権威を失いつつあるのでは」 き E党へ「日本を美化するあまり、再び戦争への道を歩むことになるのでは?」 「日本は誇れる点は拡 り 散あるが、日本民族の優秀性を強調するのはナチスと似ていて良くないのでは?」 、 本 *各政党の政策争点は次ページ参照 音を自分の言葉で語ることが出来る。 (意 欲・表現) ※ 予想 しな い 質問にも アドリ ブで答 ・質問に答えようとできる。(思考) える。 ・パネラー以外の人も、自分がどの政党 に共感できるかを考えることができる。 (思・判) -2- ○模擬投票 2 ・比例代表制(7ドント方式 )である 0 こ とを 知り 、 政党名を 書くこ とを理 分 解する。 ・ハ ガキ と引 き 替えに投 票用紙 をもら う。 ・記 載所 で政 党 名等を記 入し、 投票箱 にいれる。(選挙管理委員立ち会い) ・投 票が 終了 し た時点で 、選挙 管理委 員による開票をする。 ・選 挙管 理委 員 会が開票 結果を 発表す る。 ○投票後の処理 ・各 政党 の得 票 数を便宜 上10 0倍す る。 ・ド ント 方式 の 表を用意 し、計 算して い く。 今回 は 上位10 名が当 選者と する。 ・事 前に 提出 し た名簿に もとず き、当 選者を発表する。 ・選挙管理委員会から投票箱や記載所を お借りして、臨場感を出す。投票用紙も 最近の参議院議員選挙で使用されたもの のを模擬用にして活用する。 ※秘密選挙、立候補者も投票できること などを理解させる。(理解) ※模擬選挙に関心を持って参加できる。 (関心・意欲) ※投票所の様子を味わうことができる。 (体験→関心・意欲) ※比例代表制は政党の得票率に応じて議 席が割り当てられることを理解する。 (知 識) ※議席数が決まったら、事前に提出した 名簿により、上位からメンバーが決まっ ていくことを理解する。 ※名簿に書かれた人は党首を始め、学年 の生徒の名前を任意に用い、親近感を持 たせる。 発 ・1 位で 当選 し た党首は 、総理 大臣に ※党首の感想を聞くなかで、国民の判断 展 なる可能性がかなりあることを知る。で大きく左右される選挙の重要性に気づ ・こ のよ うに し て、政治 が変わ ってい かせる。 くことを体感する。 ※投票所に行くべきだという思いを持た ・今 日の 感想 を 勝った側 、破れ た側の せる。(関心・意欲) 党首が語る。 ※振り返りカードに、今日の感想を3行 ・振り返りカードに各自感想等を記入。以上書かせる。(思考・判断) (3)模擬選挙のための架空の設定 政党と中心となる政策 政党名 おもな政策 A成長党 ・日本の経済成長を第1の戦略とし、景気回復をはかる。 ・格差社会をなおし、誰もが豊かに暮らせる社会をめざす。 ・日本の安全を脅かす相手に屈せず、積極的平和主義を目指す。 B地球を守る党 C福祉党 D平和の党 E日本の党 投票用 紙 投票箱 記載所 党名一 覧 ドント 方式の 記入用 模造紙 振り返 りカー ド ・異常気象や災害等を認識し、世界環境問題を最優先課題として解決し ていく。 ・環境にやさしい新エネルギーへ転換していく。 ・原子力発電の完全な廃止へ。 ・少子高齢社会の対策を優先課題として考える。 ・高齢者への生活保障など、社会保障や医療の充実をはかる。 ・少子化対策として、教育費を無料にする、保育施設の充実などの対策 を考えていく。 ・憲法9条を維持し、戦争をしない国の方針をまげずに、日本が世界平 和の手本となっていく。 ・一人一人の人権が守られてこそ、平和な世の中ができるので、人権問 題の解決に力を入れ、。 ・男女共同参画社会の実現を果たす。 ・日本古来のすばらしい文化を見直し、日本人の誇りを取り戻す。 ・日本の先端技術、精度の高い職人芸、徹底的な安全管理をさらに伸ば し、世界をリードしていく。 ・東京オリンピックでは「おもてなしの精神」を発揮し、世界に日本の すばらしさを知ってもらう。 -3- マニフェスト、公約の比較表 政策の争点 政党 多発する紛争や国家の複雑な対立に備えるため、集 ◎ 団的自衛権を認めるべきである 将来的には国防軍を充実させるしかない。 ○ 自然エネルギーに加え、原子力エネルギーも利用す ○ る必要がある 財源の確保のために、増税もやむを得ない ○ 年金制度を見直し、社会保障制度にあまり無駄な金 ○ を使わないようにしないと、国の赤字が増大する。 景気回復を図るために、「稼ぐ力」を取り戻したり、 ◎ 女性の更なる活躍、外国人の登用などを行う 日米間の安全保障は今後も必要である ○ 温室効果ガスの削減に向けて、もっとスピーディー △ に動く必要がある 災害対策と復興支援は、国がさらに重視すべきであ ○ る 反日意識が高まるアジアの国々にはもっと謙虚に対 × 応すべきである 地球 × 日本 ◎ × ○ × × ◎ △ ○ △ ○ × × × ○ ○ ○ ○ ○ △ △ ◎ ○ △ × △ × × ○ ◎ ◎ ○ × △ ◎ × 後半 -4- 平和 × × × (4)教室の配置 前半 福祉 ○
© Copyright 2024 ExpyDoc