始動したタイの「グリーンツーリズム」

導的役割を担っているホテルやリゾートをいくつか紹介しよう。
今年は災害年で世界中が天災や異常気象に見舞われる中、
タイでも大雨
がもたらした過去最悪の洪水被害に悩まされている。観光産業において
もツーリズムが環境に与える影響を無視することは出来なくなった今、
タ
イにおける「グリーンツーリズム」の概念について触れると共に、その先
然を体 験することや自 然を愛でることのみでは
る。
ツーリズムをビジネスとする側にいたっては、自
C O 2 排 出 問 題による 世 界 的 な グローバル
なく 、率 先して環 境 保 全 活 動に取り組む姿 勢が
タイにおける
﹁グリーンツーリズム﹂とは
ウォーミングが、
いま世界中に異常気象をもたら
てでも、宿泊客がそれを喜びと感じられるような
している。タイも例 外なく、今 年の大 雨がもたら
協 力 体 制 を 築 く 。そして立 地 するエリア内のコ
重要である。
特に宿 泊 施 設は、宿 泊 客の利 便 性を犠 牲にし
した過去最悪の洪水被害に悩まされている。
CO2大量排出の要因はもちろん経済活動に
ミュニティーとも連携して、宿泊客の自然保護意
識を高める活 動を継 続 的に行う。これらの対 応
えれば、観 光 産 業がG D Pの6%を占める観 光
により、﹁サステイナブル﹂なツーリズムを実現する
よるものである。
ツーリズムも一つの経済活動と捉
立国タイは必然的に自然環境へ与える影響も大
役割を担っているホテルやリゾートをいくつか紹介
きいと言える。
﹁エコツーリズム﹂は、
このような世
しよう。彼らはC O 2 排 出 問 題から住 環 境まで
ことが出来るのである。
ここで、
タイの﹁ グリーンツーリズム﹂の先 導 的
てきた。
TAT
︵タイ国政府観光庁︶
ではこの﹁エコツー
界的な状況下で一つのカテゴリーとして確立され
リズム﹂のことを、表 現を変えて﹁グリーンツーリ
広い範囲に及ぶ対応を行っている良い例である。
ると﹁グリーン﹂=﹁エコ﹂というイメージだけは理
光への拠点となるのがカオラックである。
カオラック周 辺のリゾート地では、自 然のまま
園 ﹂については以前 紹 介しているが、
カオソック観
タイが世界に誇れる大自然﹁カオソック国立公
復興のフラッグシップ
﹁ザ・サロジン﹂
ズム﹂と称してスポットを当てている。世界的に見
解されても、
まだそれが確立された表現にはなっ
ていないし、日 本では﹁グリーンツーリズム﹂=﹁ア
グリツーリズム
︵農村体験︶﹂を指すことの方が多
いらしい⋮
それはさておき、とにかくタイでは﹁エコツーリ
線で﹁パラソルを立てさせない﹂
﹁ 物 売りをさせな
の美しいビーチを守るために、国有地である海岸
ズム﹂
のことを﹁グリーンツーリズム﹂という表現で
統一させたのであれば、我々はそれに従うとしよう。
則 を 設 けてい
い ﹂な ど の 規
しかし、その概 念はまだ完 全には確立されてはい
ないようなので、
まずはその概念について触れてお
ケット の ビー
る の で 、プー
も 禁 止してい
る 。風 俗 営 業
きたい。
持続可能なツーリズム実現に向けて
﹃エコ
︵グリーン︶
ツーリズムでさえ自然環境を破
は 全 く 違った
静かで落ち着
チリ ゾートと
いた雰 囲 気 を
壊する ﹄と主 張する人はいるが、
これは御 尤もで
な︶
﹂をキーワードにしたツーリズムを考える。それ
ある 。そこで 人々は﹁ サステイナブル
︵持続可能
が
﹃ 人々に自然を体験させ、自然の大切さを理解
保っている。そ
的 役 割 を 担っ
るための先 導
島の環境を守
の 中 でサムイ
コミュニティー
も 行い 、地 域
どの社会活動
授業を行うな
させ、自然保護の意識を高める﹄という手法であ
ツーリズム﹂も兼ね備えたリゾートである。
環境対策の先導的役割﹁ザ・トンサイベ
イ﹂
環境問題が現在のように大きく取り上げられ
年も前に、自然
との共 生をコンセプトにしたサムイ島の﹁ザ・トン
るようになる遥か以前、今から
で焼畑農業的な繰り返しを続けてきたわけだが、
ている。
タイのリ
世界的な異常事態を目の当たりにした今、
いよい
サイベイ﹂
が登場した。
先代オーナーのアコン氏がこの地の豊かな自然
発が進んでいたこの当時に、
一切の整地をせず、木
よ﹁グリーンツーリズム﹂を標榜する以上、行政も
ゾートは 今 ま
を切らずに作り上 げたという﹁ 気 ﹂のあるリゾー
環 境に一目 惚れして、周りでは急 激なリゾート開
トホテルである 。東 京ドーム2 個 分の敷 地では、
チェンライのミャンマー国境に近い山の上、
ドイ・
メーサロンの一帯は、
かつては少数民族のケシ栽培
サプライヤー側 もツーリストの理 解 を 求めつつ、
リゾート施 設はそれだけでも特 筆ものなのだが、
&スパ﹂がある。主に竹を材 料として作り上 げた
かな茶畑や農園の広がる景色へと変貌している。
その中に﹁プーチャイサイ・マウンテン・リゾート
剤、肥料などに作り変えてリゾートで再利用して
ストランから出る残飯などを分解し、芳香剤や洗
た日本 発の環 境 衛 生 技 術﹁ E M 技 術 ﹂により、
レ
と理 解して良い。有 用 微 生 物 群︵ E M ︶
を活 用し
り組みはまさに先進的であり、
タイのモデルケース
ていってもらいたいと思う。
﹁サステイナブルなグリーンツーリズム﹂を確 立し
鳥や小動物がサンクチュアリ化されていて自然観
土地の広さを存分に活かして直営のオーガニック
1952年生まれ。サンヨーインターナショナル代表。海外の
独立系ホテルの日本でのマーケティングを行っている。特に
タイとは30年以上の関わりがあり、
タイのツーリズム、
ホテル
マーケティング、
スパには強いこだわりを持っている。
出しであったが、
タイ王室プロジェクトにより緑豊
農園や茶畑を持ち、運よく茶摘みのタイミングに
サンヨーインターナショナル
http://www.hotelmarketing-jp.com/
いる。
また、地 元の子どもたちに環 境 問 題に関する
〈著書〉
最大の津波被害地カオラックにオープンした奇跡の
誕生秘話の「サロジン物語」と、海外のホテル、
主にタイのホテルと日本のホテルとを比較・論じた誰
でもわかる「外資に負けないホテルマーケティ
ング」解説本。ダイアモンド社 1995円
訪れればスタッフと一緒にお茶 摘み体 験もできる。
土橋 告(どばし つぐる)プロフィール
察を楽しむことも出来る。
現 在でも﹁ザ・トンサイベイ﹂の環 境 問 題への取
と焼畑農業により、辺り一面茶褐色の山肌がむき
オーガニックリゾート
﹁プーチャイサイ﹂
行っている。
コミュニティーとの関わりを深める様々な活 動を
にも積極的に取り組んでいて、被災直後から地域
なっている﹁ザ・サロジン﹂では、環境問題への対策
現在ではカオラックのフラッグシップ的なホテルに
る。
カオラックの津 波 被 害からの復 興 をリードし、
ために来る家 族 連れやカップルが主 流になってい
の結果、
カオラックに来る客層は自然を満喫する
プーチャイサイのお茶畑での茶摘みは約2か月毎、早朝からスタッフ総出で行われます。
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サロジンの目の前、パカラン岬に向けて緩やかにカーブしている
ビーチはのんびりと散歩をするのに最適です。
ドラゴンフルーツの大きな花。広大なフルーツ農園ではもぎたて
のフルーツをいただく事もできます。
■記事・写真提供■ 土橋 告 氏
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始動したタイの
「グリーンツーリズム」
自 給 自 足 的なリゾート運 営を行っている﹁アグリ
トンサイベイのリゾート施設から少し離れたところに自家菜園があり、そ
こでEM技術を利用して落ち葉や残飯など分解し、芳香剤や洗浄剤、自家
菜園用の栄養剤などを作っています。
SPECIAL TOUR
タイランド再 発 見! スペシャルツアー