ー 研究の目的と概要 道内で年間約6~7万トン排出されるウロなどの

ホ タテ ガ イ副産 物 の 有 効 利 用 システ ムの 開発
(H8∼ H10)
一飼 肥 料 お よ び 餌 料 と して の 資 源化 技 術 に 関す る研 究 ―
応 用技 術 部 食 品 工 学 科 清 水 英 樹 河 野慎
一
研 究 の 目的 と概 要
道 内 で年 間約 6 ∼ 7 万 トン排 出 され る ウ ロな どの ホ タテ 軟 体 部 の 有 効 利 用 を 図 る
ため 、 こ れ らの 飼肥 料 。餌 料 化 に 関す る シス テ ムの 開発 を 目的 とす る。
・
本 研 究 で は 、 脱 カ ド ミウ ム され た ホ タテ ウ ロ を肥 料 飼料 ( 家畜 用 ) 。 餌 料 ( 養
魚用 ) 用 原 料 と して の 乾 燥 粉 体 とす る ま で の 工 程 ( 資源 化 工 程 ) に 関す る検 討 を 行
う。
本 年 度 は 、 脱 脂 方 法 と して 、 ク ッカ
ー ・ス ク リュー プ レス を用 い た圧 搾 分 離 法 と
エ ク ス トル ー ダ ー を用 い た 場 合 の 比 較検 討 、 さ らに パ イ ロ ッ ト設 備 を用 い た 乾 燥 試
験 を 行 い 乾 燥 品 を 評 価 した。 ま た、圧 搾 分離 の 際 に副 生 す る ホ タテ オ イ ル の 性 状 に
つ い て 分 析 評 価 を行 った 。
試験 研 究 の 方 法
脱 脂 方 法 の 比 較 検 討 原 料 に は 平 成 9 年 1 0 月に 噴 火 湾地 区 で 漁獲 され た ホ タテ ウ
ロを 用 い 、 パ イ ロ ッ トプ ラ ン トに よ る脱 C d 。 中和 処 理 後 、本 実 験 に供 した 。圧 搾 分
ー 。ス ク リュ ー プ レス を使 用 した 。 エ ク ス ト
離 法 には パ イ ロ ッ トプ ラ ン トの ク ッカ
Cの 条件下 で
ル ー ダ ー は ( 株 ) 神 戸 製 鋼 所 製 T C V 5 0 L を使 用 し、 バ レル 温度 1 5 0 ∼2 0 0 °
ー
出 口部分 に脱水 バ レル を取 り付 け 、 固液 分離 を行 った 。 両 法 に よ り得 られ た ケ キ
の 粗 脂 肪 分 を ソ ック ス レー 抽 出法 に よ り求 め脱 脂 率 を比 較 した。
乾 燥 品 の 評 価 乾 燥 機 は ツ イ ンデ ィ ス クの 間接 加 熱 型連 続 乾 燥機 を使 用 し、 パ イ
ロ ッ トプ ラ ン トで脱 C d 。 中和 後 、 ク ッカ ー ・プ レス に よ り処 理 して得 られ た ケ ー キ
を乾 燥 原 料 と した。 ま た 、乾 燥 の 際 、抗 酸化 剤 の 添 加 を試 み そ の 効 果 を確 認 した。
得 られ た乾 燥 品 の 評 価 と して 、 酸 価 ( A V ) 。過 酸 化 物 価 ( P O V ) 。カル ボ ニ ル 価 ( C O V ) 。
ペ プ シ ン消化 率 。一 般 生 菌 数 の 測 定 を行 った 。
ホ タテ オ イ ル の評 価 圧 搾 分離 工 程 で 得 られ たオ イル に つ い て 、 A V 、 ヨ ウ素 価 ( I
V ) 、 ケ ン化 価 ( S V ) を測 定 した。 ま た、 脱 酸 。脱 色 精 製 後 の オ イル に つ い て キ ャ ピラ
リー G C に
ー
よ る脂 肪 酸 組 成 分 析 を行 った 。 な お 、 既 存 の ミ ル エ 場 か ら人 手 した魚
油 を 比 較 の た め 、 同 時 に 分 析 した。
3 実
験結果
ー ー
脱 脂方 法 の比 較 検 討 結 果 を表 1 に 示 した。 エ クス トル ダ 法 は圧 搾 分 離 法 に
ー ー
比 べ 高 い 脱 脂 効 果 が 得 られ る こ とが わ か った 。 ま た 、 エ ク ス トル ダ 法 は脱 脂 効
果 の 他 に 、 1 ) 回収 ケ ー キ お よび オ イル の 変色 が 少 な い こ と、2 ) 密閉 型 の た め臭 い の
ー ー
発 生 が 少 な い こ とが確 認 され た 。 この よ うに エ クス トル ダ 法 は 得 られ る品質 面
に お いて優 れ た 方 法 で あ るが 、装 置 が 高 価 で あ る こ とか ら、高 付加 価 値 品 の 開発 を
一-99-―
条 件 と した場 合 に 、 脱 脂 方 法 と して有 効 な選 択 肢 の
一 つ と考 え られ る。
乾 燥 品 の 評 価 結 果 を 表 2 に 示 した。抗 酸 化 剤 を使 用 しな い 場 合 は 明 か な油 焼 け
色 を 呈 した褐 色 の 乾 燥 品 とな った 。 ま た 、脂 質 の 酸 化 の 指 標 とな るP O V は1 0 0 m e q / k g
越 え る高 い 数 値 を 示 し、 脂 質 の 酸化 が 進 行 して い る こ と
を越 え 、 C O V も3 0 0 m e q / k g を
が 裏 付 け られ た 。 一 方 、抗 酸化 剤 を用 い た 場 合 は 、 油 焼 け もな く、 P O V 、C O V も抗 酸
化 剤 無 添 加 に比 べ 約 1 / 3 の値 とな った 。 この よ う に抗 酸 化 剤 の 効 果 は 大 き く、 乾 燥 工
程 に お け る抗 酸化 剤 の 使 用 は不 可 欠 な もの と判 断 され た 。 ま た、 ペ プ シ ン消化 率 、
一 般 生 菌 数 に は差 が な く、 と も に 問題 の な い数 値 で あ った 。 しか し、A V は約 7 0 m g / g
と高 い 値 を 示 した 。 この 要 因 に つ い て は今 後 検 討 の 必 要 が あ る。
ホ タテ オ イ ル の 評 価 結 果 を表 3 に 示 した 。 ホ タ テ オ イル は 魚 油 に比 べ 、 I V が高
ー
い こ とか ら不 飽 和 度 が 高 い と考 え られ る。 魚 油 を そ の 主 用 途 で あ る マ ガ リン用 原
料 と して用 い る場 合 、水 素 添加 に よ り硬 化 油 と して利 用 す るが 、不 飽 和 度 が 高 い と
水 素 添 加 時 の コ ス トが か さむ 。 従 って 、 この 用 途 に は ホ タテ オ イル は不 向 き で あ る
が 、 他 の工 業 用 油 脂 原 料 と して は十 分 に利 用 可 能 と考 え られ る。 ま た、 脂 肪 酸 組 成
で は 、 E P A ( 2 0 : 5 n - 3 ) の含 有 量 が 魚油 の 約 3 倍 と高 い の が 特 徴 で あ り、 こ れ を 活 か し
た 用 途 開発 に よ る高 付加 価 値化 も期 待 で き る。
表 1 エ クス トル ー ダ ー に よ る
脱脂 試験 結 果
表3 ホ
タテ オ イ ル の 評 価
ホタテオイル
フィァシュオイル
粗 脂 肪 分 (DB%)
原料
EXT.法
圧搾分離法
製
25.2
25.2
AV(og/g)
IV(g/100g)
SV(■ g/g)
品
脂肪 酸 組成 ( % )
14:0
8.9
表 2 乾 燥 品の 評 価
抗 酸化 剤 な し 抗 酸化 剤 あ り
(ng/g)
POV (meq/kg)
COV (meq/kg)
°°
へ フ シン7肖化 ]= (%)
一 般 生 菌 数 ( 個/ g )
68.4
105.0
326
90.6
300〉
22
143
185
6.6
16:0
16:i n-7
A V
136
209
191
18:0
18:in-9
18:i n-7
18:2 n-6
6.17
11.08
14.18
10 47
14.43
1.34
2.63
4.89
1.31
4 57
0.81
4.53
0 98
2.16
1813n-3
0.99
2.02
71.0
18:4 n-3
4.20
8.41
44.7
139
20:l
20:i
20:i
20:4
20:4
20:5
21:5
22:1
90.9
N.D.
n-11
n-9
n-7
n-6
n-3
n-3
22:5 n-3
22:6 n-3
平 成 1 0 年度 計 画
0.40
0.28
1.00
0.31
0.78
31.00
0 90
N.D
0.24
6.26
5 59
1.99
0.16
0.57
2.12
11.84
0.64
515
1 86
12.43
1 ) 資源 化 工 程 の 設 備 化 に 関す る検 討
2 ) ホ タテ ミー ル の 造 粒 技 術 に 関す る検 討
( 地域 産 学 官共 同研 究 中核 技 術 開発 事 業
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共 同研 究 機 関 : 道 立 工 業 試 験 場 )