日本語要約

九州・沖縄母子保健研究ベースラインデータの結果
魚介類及び脂肪酸摂取と妊娠中うつ症状有症率との関連
背景:うつに対する n-3 系不飽和脂肪酸の予防的効果に関心が高まっています。
妊娠中に n-3 系不飽和脂肪酸が欠乏すると、うつになりやすいかもしれません。
妊娠中の n-3 系不飽和脂肪酸摂取とうつとの関連を調べた疫学研究は少ない。
方法:九州・沖縄母子保健研究のベースライン調査に参加した 1745 名の妊婦さ
んを対象としました。Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)
の 16 点以上をうつ症状有りと定義しました。ベースライン調査実施年及びその
前年の両年で職に就いていなかった場合、無職と定義しました。年齢、妊娠週、
居住地域、子数、家族構成、うつ既往、うつ家族歴、喫煙、受動喫煙、職業、家
計の年収、教育歴、BMI を交絡因子として補正しました。
結果:妊娠中うつ症状の有症率は 19.3%でした。妊娠中の魚介類、エイコサペン
タエン酸、ドコサヘキサエン酸摂取が多いほど、妊娠中うつ症状有症率の低下と
有意な関連を認めました。一方、総脂肪及び飽和脂肪酸摂取が多いほど、妊娠中
うつ症状有症率の上昇と有意な関連を認めました。一価不飽和脂肪酸、n-3 系不
飽和脂肪酸、α リノレン酸、n-6 系不飽和脂肪酸、リノール酸、アラキドン酸、
コレステロール摂取及び n-3/n-6 比はいずれも妊娠中うつ症状と有意な関連を
認めませんでした。
魚介類摂取と妊娠中うつ症状との関連
( P for trend = 0.01)
ドコサヘキサエン酸摂取と妊娠中うつ症状との関連
( P for trend = 0.007)
1.0
0 .8 7
0.8
0.64
0.6
0.4
0.2
3.0
1.00
1.0
0.72
0.8
0.79
0.61
0.6
0.4
0.2
0.0
0.0
最も少ない群
2番目に少ない群
3番目に少ない群
最も多い群
オッズ比(95%信頼区間)
1 .00
1 .0 6
オッズ比(95%信頼区間)
オッズ比(95%信頼区間)
1.4
1.2
飽和脂肪酸摂取と妊娠中うつ症状との 関連
( P for trend = 0.001)
1.2
1.6
2.5
2.0
1.74
1.5
1.00
1.28
1.13
1.0
0.5
0.0
最も少ない群
2番目に少ない群
3番目に少ない群
最も多い群
最も少ない群
2番目に少ない群
3番目に少ない群
結論:魚介類及び魚介類由来 n-3 系不飽和脂肪酸摂取は妊娠中うつ症状の有症率
低下と関連しているのかもしれない。総脂肪及び飽和脂肪酸摂取は妊娠中うつ
症状の有症率上昇と関連しているのかもしれない。
出典:Miyake Y, Tanaka K, Okubo H, Sasaki S, Arakawa M. Fish and fat intake and
prevalence of depressive symptoms during pregnancy in Japan: baseline data from the
Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study. J Psychiatr Res. 2013; 47: 572-578.
最も多い群