The Joint Meeting of the 30th Annual Meeting of the Japanese Heart Rhythm Society and the 32nd Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Electrocardiology 第30回日本不整脈学会学術大会・第32回日本心電学会学術集会合同学術大会ランチョンセミナー15 Luncheon Seminar15 日時会場 2015年 7月30日（木）11：50∼12：50 第3会場国立京都国際会館 Room D 〒606-0001 京都市左京区宝ヶ池 Novel methods for evaluation of repolarization dynamics during 24-h Holter ECG ∼QT-RR relation and AF embolism∼ ホルター心電図QT情報の新しい活用法 ∼ホルターQT情報とAF embolismの関連∼ 座長髙橋尚彦先生大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座教授演者藤木明先生静岡ハートリズムクリニック院長共催：第30回日本不整脈学会学術大会・第32回日本心電学会学術集会合同学術大会／フクダ電子株式会社 The Joint Meeting of the 30th Annual Meeting of the Japanese Heart Rhythm Society and the 32nd Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Electrocardiology 第30回日本不整脈学会学術大会・第32回日本心電学会学術集会合同学術大会 Novel methods for evaluation of repolarization dynamics during 24-h Holter ECG ∼QT-RR relation and AF embolism∼ ホルター心電図QT情報の新しい活用法 ∼ホルターQT情報と AF embolism の関連∼ 藤木明静岡ハートリズムクリニック院長 QT評価の現状と問題点循環器診療における心電図QT時間の重要性は周知であるが、実際の評価にはRR補正が必要となり煩雑さが伴う。標準12誘導心電図の自動解析には、RRの変化に対してBazett補正が一般的に組み込まれている。したがって多くの実地医家はBazett補正後のQTｃ値を目安に評価を行っている。しかし、頻脈時には過大に、徐脈時には過小にQT時間を評価してしまう欠点がある。それに対してホルター心電図には、症例ごとに異なる24時間に渡るQT-RR関係の情報が含まれている。この情報を簡便に臨床応用できればQT時間の評価がより的確にできるはずである。 QT-RR関係の回帰直帰健常者の一日のRR変動は普段の生活範囲であれば、通常は一定の範囲内に落ち着く。そのRR変動に対して示すQT変動を直線回帰で求めたものが[QT] ＝A[RR] ＋Bである。フクダ電子社製のホルター心電図解析プログラムの一つに組み込まれ、相関係数も同時に表示される。これまで様々な回帰式を用いたQT-RR関係の検討がなされたが、直線回帰の傾きAとｙ軸切片Bは視覚的に理解し易く、他の回帰式と同様に高い相関が得られる。実地臨床で用いるにはQT-RRの直線回帰が最適であろう。ホルター心電図は安静時ばかりではなく、体動などによる雑音も混入する。そのためartifactによるQT測定の不正確さを軽減する必要がある。通常は15秒間ごとの加算平均心電図波形を用いてQT時間を測定する。加算平均した15秒間の平均RR間隔とQT-RR関係を検討する。理想的には24時間で5,760の測定ポイントが得られる。一方、QT-RR関係を一心拍ごと検討する場合は、RRの変化に対するQTの反応には一定の Latencyが生じ、QT-RR関係はより複雑で、ばらつきが大きくなる。健常者のQT-RR回帰直線の特徴健常成人466名（男性200名、平均年齢53.0±18.9歳、女性266名、平均年齢54.3±18.7歳）を対象に Q T - R R 関係の特長を検討した。Q T - R R の傾きは、年齢によらず女性は男性より大きい傾向を示した（0.18±0.04 vs .0.16±0.03 , p＜0.001）。一方、傾きの違いを反映して、ｙ軸切片は女性が男性より小さい傾向を示した。QT-RR回帰直線の傾きAを横軸に、ｙ軸切片Bを縦軸に全例をプロットすると、その回帰直線は男性と女性でほぼ同一となることが判明した。全体ではｙ＝−0.62ｘ＋0.34,ｒ＝−0.79で直線回帰できた。このプロットは各症例の24時間のQT-RR関係の特徴を点として表示し、傾きの大きい例では過度のQT時間延長を避けるため、ｙ軸切片が小さくなる傾向を認めた。この健常例の分布に対して、特定の症例がどこに位置するかで、その例のQT動態の特徴を定量評価できる可能性がある。