凍結鋳型における球状黒鉛鋳鉄の流動性に関する研究

材料分野
平成26年度経常研究
凍結鋳型における球状黒鉛鋳鉄の流動性に関する研究
担当部所
:
栃木県産業技術センター
材料技術部
背景
薄肉・複雑形状の鋳造品を実現するためには、鋳型内で
流動性がよい鋳造技術が必要である。
凍結鋳型は、砂同士を結合させる粘結剤として「水」を用
いて「凍結」させて作る新しい鋳型であり、従来の鋳型に比
べ鋳型内で溶湯の流動性に優れることが実験で確認され
ている。しかし、その要因については未だ解明されていな
い。
本研究では、凍結鋳型の流動性に影響を及ぼす因子に
ついて検討を行った。
:砂
従来の鋳型
凍結鋳型
:樹脂等
:氷(水)
鋳型内イメージ
研究目標と結果
研究目標
●凍結鋳型の鋳型温度と流動性および水分量と流動性の関係、さらに金属組織について解明する。
実施内容
① 凍結鋳型の造型
② 鋳型温度、水分量、炭素当量と流動長
砂に添加する水分量と鋳型温度を変えて凍結鋳型を造型
砂
粘結材
初期凍結温度
(℃)
『鋳型温度』
(℃)
水分量
(%)
凍結鋳型
6号けい砂
水
‐30
-10、-30、-70
5、10
CO2鋳型
6号けい砂
水ガラス
―
―
―
砂+「水」
※炭素当量=C%+1/3(Si%+P%)
混練
造型
初期凍結
-30℃12h以上
抜型・保持
CO2鋳型
保持(-10℃,-70℃)12h以上
鋳型温度-70℃ 水分量:5%
注湯
8mm
③ 階段状試験片の表面組織
C
Si
Mn
P
S
Mg
2.71
0.09
0.02
0.01
0.04
鋳型
鋳型温度
(℃)
CO2
-
凍結
-30
水分量
(%)
-
鋳型凍結の様子
10
下型
上型
下型
上型
下型
上型
6mm
4mm
2mm
(%)
3.42
5
-30℃鋳型注湯
鋳型温度-70℃ 水分量:10%
:観察箇所
8
肉厚(mm)
6
4
○
○
○
○
×
×
○
○
○
○
×
×
×
×
×
×
×
×
○:チルなし
×:チルあり
※チル:急冷されたときにできる硬くもろい金属組織
凍結鋳型
水分量10% 4mm
まとめ
●水分量5%の凍結鋳型は、鋳型温度を下げると流動長が長くなる傾向を示し、水分量10%の凍結鋳型
は、CO2鋳型とほぼ同等の流動長で、鋳型温度と流動長との相関は確認できなかった。
御来場の皆様へ
問い合わせ先:栃木県産業技術センター 材料技術部 TEL 028(670)3397
凍結鋳型鋳造法により球状黒鉛鋳鉄の薄肉化が可能です。
エネルギー効率の向上、作業環境の改善、産業廃棄物(廃砂)の削減が可能です。
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