危険物の規制に関する政令別表第一及び同令別表第二の総務省令で

<2015 年 8 月 28 日発行>
無断複写禁止
発行:㈱日本環境認証機構
<本 MONTHLY につきましては、都合により 9 月 29 日発行分をもちまして終了させて頂きます。>
労働安全衛生法規制の制改正情報
(2015年7月1日~2015年 7 月31 日)
●危険物の規制に関する政令別表第一及び同令別表第二の総務省令で定める物質及び数量を指定する省令の
一部を改正する省令
(2015/07/17 官報第 6577 号)
解説 平成 26 年度の「火災危険性を有するおそれのある物質等に関する調査検討会」
(座長:田村昌三
東京大学名誉教授)において、
「ピロカテコール及びこれを含有する製剤」を消防活動阻害物質として
新たに指定することが適当であるとされたことを受け、今回改正するものです。
施行期日:2016 年 2 月 1 日
<「ピロカテコール及びこれを含有する製剤」を貯蔵又は取り扱う事業者の方へ>
●「ピロカテコール及びこれを含有する製剤」について、200 ㎏以上を貯蔵、又は取り扱う場合には、
あらかじめその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出ることと規定されました。
⇒ 2016 年 2 月 1 日より実施する必要があります。(省令第 2 条)
<参考資料(ホームページ)のご紹介>
●総務省消防庁 報道発表資料
危険物の規制に関する政令別表第一及び同令別表第二の総務省令で定める物質及び数量を指定する
省令の一部を改正する省令(案)に対する意見募集
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h27/05/270529_houdou_1.pdf
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<2015 年 8 月 28 日発行>
●2015年 7 月1日~2015年 7 月31 日までに公布された労働安全衛生法規制 一覧
□ 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令
(2015/07/01 官報第 6565 号)
●参考資料(ホームページ):経済産業省 パブリックコメント(2015/7/1)
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令につい
て(結果公示案詳細)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595115054&Mode=2f
□ 電気事業法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(2015/07/03 官報号外第 150 号)
□ 電気事業法等の一部を改正する法律附則第九条第一項の託送供給等約款の認可の申請の期限等を定める政令
(2015/07/03 官報号外第 150 号)
□ 火薬類取締法施行規則の一部を改正する省令(2015/07/06
官報号外第 151 号)
●参考資料(ホームページ):経済産業省 パブリックコメント(2015/5/15)
火薬類取締法施行規則の一部を改正する省令案等に対する意見の募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595115038&Mode=0
□ 電気事業法第二条第一項第五号ロの経済産業省令で定める密接な関係を有する者が維持し、及び運用する非電気事
業用電気工作物等を定める省令(2015/07/15 官報号外第 159 号)
□ 電気事業法等の一部を改正する法律附則第九条第一項の規定に基づき一般電気事業者が定める託送供給等約款にお
いて定めるべき事項等に関する省令(2015/07/15 官報号外第 159 号)
□ 電気事業法等の一部を改正する法律附則第九条第一項の規定に基づき一般電気事業者が定める託送供給等約款で設
定する託送供給等約款料金の算定に関する省令(2015/07/15 官報号外第 159 号)
□ 危険物の規制に関する政令別表第一及び同令別表第二の総務省令で定める物質及び数量を指定する省令の一部を改
正する省令(2015/07/17 官報第 6577 号)
□ 食品衛生法施行規則の一部を改正する省令(2015/07/29 官報外第 170 号)
□ 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律第二条の規定による改正前の化学物質の審査
及び製造等の規制に関する法律第四条第一項の規定に基づき、同項第五号に該当するものである旨の通知をした件
(2015/07/30 官報号外第 171 号)
凡例)□
:
貴組織で関係する法規制にチェックするなどにご利用ください。
太字: 解説が前方ページにありますのでご覧ください。
掲載されている労働安全衛生法令の制改正情報、及びその他情報は、十分注意して作成しておりま
すが、ご利用になられる場合は、官報等の情報をご確認ください。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
労働安全衛生ワンポイント
●今月のワンポイントは、2015 年 7 月 24 日に公表された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」
について、その根拠となる「過労死等防止対策推進法」の規定内容と合わせ解説いたします。
<「過労死等防止対策推進法」について>
1.目的
(第 1 条)
近年、我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていること及び過労死等が、本人はもと
より、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることに鑑み、過労死等に関する調
査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、
仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とす
ることとされています。
→過労死等に関する実態が必ずしも十分に把握されていない現状を踏まえ、過労死等に関する調査研究
を行うことによりその実態を明らかにし、その成果を効果的な防止のための取り組みに生かすことが
できるようにすることを基本理念としています。(第 3 条)
2.定義
(第 2 条)
「過労死等」とは、以下のいずれかに該当するものと定義しています。
(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡
(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
(3)(死亡には至らないが)これらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害
→過労死「等」と定義することで、死に至らなくとも疾患、障害に至った場合を含めています。
→その要因として、①過重労働、②メンタルヘルスの2つを挙げ、長時間労働からパワーハラスメント
まで広く心身への負荷を与える状況を含めています。
3.事業主の責務
(第 4 条)
事業主は、国及び地方公共団体が実施する過労死等の防止のための対策に協力するよう努めることとさ
れています。
→ただし、他の法令(労働安全衛生法等)で順守義務のある事項は当然順守義務が生じます。
4.過労死等の防止のための対策に対する大綱
(第 7 条)
政府は、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するため、過労死等の防止のための対策に関する
大綱を定めなければならないとされ、具体的な対策については別途公表することとされました。
→今回公表されたものとなります。
(次頁にて解説します)
5.過労死等の防止のための対策
(第 8 条~第 11 条)
国、地方公共団体が行う対策として、以下が定められました。
(1)過労死等に関する実態の調査、効果的な防止に関する研究等を行う。
(2)過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深める啓発活動を行う。
(3)過労死等のおそれのある者、及びその親族等が相談できる体制を整備すること。
(4)民間の団体が行う過労死等の防止に関する活動を支援すること。
6.施行
2014 年 11 月 1 日より施行されています。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
<「過労死等の防止のための対策に関する大綱」について>
1.趣旨
前頁で解説しました通り、2014 年 11 月 1 日施行「過労死等防止対策推進法」の具体的な対策等を定め
るものとして 2015 年 7 月 24 日に公表されました。
2.はじめに
「過労死等防止対策推進法」の成立経緯や定義の補足等含め前提を述べています。
以下に特徴的な部分を抜粋いたします。
・過労死は、1980年代後半から社会的に大きく注目され始めた。
「過労死」という言葉は、我が国
のみでなく、国際的にも「karoshi」として知られるようになった。近年においても、過労死
等にも至る若者の「使い捨て」が疑われる企業等の問題など、劣悪な雇用管理を行う企業の存在と対
策の必要性が各方面で指摘されている。過労死等は、人権に関わる問題とも言われている。
・当初は、過重労働と脳・心臓疾患や自殺との関連性が必ずしも明らかではなかったが、現在では、長
時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられ、さらには脳・心臓疾
患との関連性が強いという医学的知見が得られている。
・また、業務における強い心理的負荷による精神障害により、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害
され、あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害され、自殺に至る場合があると考
えられている。
・このような共通の認識の下、過労死等の定義が我が国の法律上初めて以下のとおり規定された。
(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
(3)死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害
3.現状と課題
長時間労働が高止まりしている現状、年次有給休暇の取得率が 5 割以下で推移している状況、仕事や職
場に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者が半数を超えている状況、脳血管疾患・心臓
疾患、自殺の状況等を紹介しており、さらなる調査・把握と環境整備が課題と分析しています。
4.過労死等の防止のための対策の基本的考え方
当面の対策の進め方として、第一に実態解明のための調査研究を早急に行うこととし、その成果を踏ま
えて啓発、相談体制の整備等、民間団体の支援を行うとしています。
ただし、喫緊の課題として、①長時間労働を削減、②仕事と生活の調和(ワークライフバランスの確保)
、
③良好な職場環境の形成、④労働者の心理的な負荷軽減が急務とされました。
このため、具体的な目標として以下を掲げました。
(1)平成 32 年までに、週平均 60 時間以上の雇用者の割合を 5%以下、年次有給休暇取得率を 70%以上
(2)平成 29 年までに、メンタルヘルスに取り組んでいる事業所の割合を 80%以上
5.国が取り組む重点対策
「過労死等防止対策推進法」で規定された国の取り組み施策である調査、啓発、体制整備等について詳
細な内容が示されました。
以下にいくつか留意が必要と思われる部分を抜粋いたします。
・安全衛生優良企業公表制度により、過重労働対策やメンタルヘルス対策に取り組んでいる企業が社会
的に評価されるよう広く周知する。
・長時間労働の削減のためには労働時間の適正な把握が重要であることから、「労働時間の適正な把握
のために使用者が講ずべき措置に関する基準」について周知・啓発を行う。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
・時間外・休日労働時間の削減、労働者の健康管理に係る措置の徹底等、
「過重労働による健康障害を
防止するため事業者が講ずべき措置」について、行政体制を整備しつつ、事業者に広く周知・指導徹
底を図る。
・職場におけるメンタルヘルス対策を推進するため、行政体制を整備しつつ、平成27年12月1日に
施行される「ストレスチェック制度」及び「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の普及啓発・
指導徹底を図る。
・パワハラの予防から事後対応までをサポートする「パワハラ対策導入マニュアル」の周知・普及を図
ることにより、労使、企業における取組を支援する。加えて、実効ある対策の推進のため、全国47
都道府県において、人事労務担当者向けのセミナーを実施する。
・業種・業態の特性に応じて発注条件・発注内容の適正化を促進する等、取引関係者に対する啓発・働
きかけを行う。
6.事業主が取り組む重点対策
事業主について「過労死等防止対策推進法」では「国及び地方公共団体が実施する過労死等の防止のた
めの対策に協力するよう努める」とだけされていましたが、より具体的な取り組みとして以下が示され
ました。
(1)経営幹部等の取り組み
過労死等の防止のためには、最高責任者・経営幹部が事業主として過労死等は発生させないという
決意を持って関与し、先頭に立って、働き方改革、年次有給休暇の取得促進、メンタルヘルス対策、
パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組等を推進するよう努める。
また、事業主は、働き盛りの年齢層に加え、若い年齢層にも過労死等が発生していることを踏まえ
て、取組の推進に努める。さらに、過労死等が発生した場合には、原因の究明、再発防止対策の徹
底に努める。
(2)産業保健スタッフ等の活用
事業主は、過労死等の防止のため、労働者が必要に応じて産業保健スタッフ、安全衛生スタッフ等
に相談できるようにするなど、その専門的知見の活用を図るよう努める。
これらのスタッフが常駐する事業場では、相談や職場環境の改善の助言等、適切な役割を果たすよ
う事業主が環境整備を図るとともに、これらがいない規模の事業場では、産業保健総合支援センタ
ーを活用して体制の整備を図るよう努める。
なお、産業保健スタッフ等は、過労死等に関する知見を深め、適切な相談対応等ができるようにす
ることが望まれる。
<通知及び参考資料(ホームページ)のご紹介>
●過労死等の防止のための対策に関する大綱の作成について
(平成 27 年 7 月 24 日 基発 0724 第 1 号)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150730K0050.pdf
●「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に基づく対策の推進について(平成 27 年 7 月 24 日 基
発 0724 第 2 号)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150730K0060.pdf
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<2015 年 8 月 28 日発行>
厚労省からの通知・ガイドライン
(2015年7月1日~2015年7月31日)
1.厚生労働省からの通知
● 「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」の策定について(平成 27 年 6 月 29 日 基安
安発 0629 第 2 号)
概要 土砂崩壊による労働災害は、溝掘削時の溝崩壊、斜面の切り取り工事中の斜面崩壊によるものが
ほとんどを占めている状況にありますが、このうち溝掘削時の溝崩壊については、「土止め先行工法に
関するガイドライン」によって「土止め先行工法」が普及することにより労働災害の防止に一定の効果
があらわれており、今後は斜面崩壊による労働災害防止対策の強化を図ることが必要とされております。
このため、労働安全衛生規則第 355 条(地山掘削作業時の調査)、同第 358 条(明かり掘削作業時の点
検)について、より適切な実施方法や、施工者が発注者・設計者と協力して斜面崩壊の危険性に関する
情報を共有するために実施することが望ましいと考えられる方法、それらの留意事項を「斜面崩壊によ
る労働災害の防止に関するガイドライン」としてとりまとめたものです。
内容
1.目的
主に、事業者(施工者)が発注者から請け負って行う明り掘削のうち斜面掘削を伴う工事(以下「斜面
掘削工事」という。)に関して、安衛則第 355 条の調査及び第 358 条の点検の、より適切な実施方法、
施工者が発注者及び設計者と協力して斜面崩壊の危険性に関する情報を共有するために実施すること
が望ましい方法及びそれらの留意事項を示す。
2.適用対象(適用される工事、作業)
(1)適用工事
主に中小規模の斜面掘削工事を対象とする。ただし、大規模な掘削工事に本ガイドラインを適用す
ることも差支えない。(土止め先行工法によるものを除く。)
(2)適用作業
・設計者の作業:斜面の設計
・施工者の作業:手掘り又は機械掘りによる斜面の掘削作業、擁壁工事等に伴う床掘り、型枠の組
立・解体、床均し、丁張り、ブロック積み、コンクリート打設の作業等及びその
施工管理
3.発注者、設計者及び施工者の協力等の必要性
施工者は、施工途中で新たな地盤リスクが判明した場合には、その情報を速やかに発注者及び、設計者
と情報を共有した上で、必要な対策について検討を行い、適切な措置を講じることが重要。
設計者、施工者等は、それぞれ、安衛則の規定、当該ガイドライン等に基づき、それぞれが個々の規定
事項を確実に実施するとともに、平素より相互にコミュニケーションを円滑にし、適切に情報共有でき
るよう特に留意する必要がある。
4.設計者が設計を実施するに当たっての留意事項等
(1)的確な事前調査及び点検の実施
工事の対象となる斜面の地山の地質の状況、地盤条件等を適切に把握するため、必要に応じて文献
調査、地表地質踏査、ボーリング等による地質調査等により事前調査を実施すること(調査者に実
施させることも含む)。点検実施にあたっては点検者を選任し、「設計・施工段階別点検表」によ
り斜面の状態を点検させること。
(2)適切な詳細設計の実施
事前調査及び点検の結果を踏まえ、工事数量算出要領及び各種設計基準・指針に照らして工法、掘
削勾配等の詳細設計を検討すること。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
(3)安全性検討関係者会議への参加
施工者から発注者に「異常時対応シート」が提出され、発注者から安全性検討関係者会議への参加
を要請された場合は、同会議に出席すること。
5.元方事業者が実施すべき事項
(1)統括安全衛生管理体制の確立及び適切な統括安全衛生管理の実施(労働安全衛生法第 30 条)
現場の規模に応じて統括安全衛生責任者を選任する等、安衛法に基づく統括安全衛生管理体制を確
立するとともに、次の事項に重点を置いて管理を徹底する。
①協議組織を設置し、その会議を定期的に開催して、斜面に関する情報を共有する。
②毎作業日に、関係請負人が行う作業の連絡・調整を随時行う。
③毎作業日に少なくとも1回、作業場所を巡視する。
(2)作業主任者の選任(自ら2m以上の高さの斜面を掘削する作業を行うとき)(労働安全衛生規則第 359 条)
地山の掘削作業主任者を選任し、その者の指揮により当該作業を行わなければならない。
(3)関係請負人に対する技術上の指導等(労働安全衛生法第 29 条、第 30 条)
工事を実施する関係請負人が、その場所に係る危険を防止するための措置を適正に講ずるとともに、
点検者に対して適切に知識を付与できるよう、技術上の指導、必要な資材、場所等の提供等を実施。
(4)掘削作業を行う箇所の調査(労働安全衛生規則第 355 条)
施工者は地山の掘削作業を行う箇所の調査を行わなければならない。
(5)点検の実施(自ら掘削の作業を行う場合)(労働安全衛生規則第 358 条)
点検者を指名して、作業を開始する前、大雨の後及び中震以上の地震の後に斜面の状況を点検させ
なければならない。点検に当たっては、「日常点検表」を使用すること。
(6)点検結果を踏まえた危険防止のための措置の実施(労働安全衛生規則第 361 条)
点検者による点検結果を踏まえ、地山の崩壊又は土石の落下により労働者に危険を及ぼすおそれの
ある場合は、当該危険を防止するための措置を講じなければならない。
6.元方事業者が実施することが「望ましい」事項
(1)適切な施工計画書の作成
リスクアセスメントを実施した上で、以下(2)から(5)の事項を含んだ施工計画書を作成し、発注者
に提出すること。
(2)適切な施工費等の計上
当該変更工事の一部を関係請負人に請け負わせるに当たっては、安全対策に要する経費を含む適切
な経費を計上すること。
(3)斜面の点検及び確認の適切な実施、点検結果に基づく措置等
各種点検が適切に実施されるよう、必要な知識を有する者の中から点検者を選任し「設計・施工段
階別点検表」「日常点検表」「変状時点検表」を用いて、斜面の状態を点検させるとともに、統括
安全衛生責任者又はこれに準ずる者の中から確認者を選任して点検者が行った点検内容に不備等が
ないかを確認し、斜面の状況に応じて適切な措置(関係請負人に対する必要な指示を含む。)を講
ずること。
(4)「異常時対応シート」の作成及び発注者への報告
変状時点検で変状の進行を確認した場合、「異常時対応シート」を作成し、当該斜面の異常、安全
措置の状況等を発注者に報告すること。
(5)安全性検討関係者会議の開催及びその結果を受けた工事の変更
「異常時対応シート」を作成し、発注者に報告した場合、安全性検討関係者会議を開催し、発注者
に参加を要請して、「異常時対応シート」記載事項により報告した斜面の状況に対応するためのハ
ード対策等の労働災害防止のための措置を検討すること。労働災害防止のための措置が決定された
場合には、施工計画書を変更し、当該変更された施工計画書に基づき工事を実施すること。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
7.関係請負人が実施すべき事項
(1)安全衛生管理体制の確立(労働安全衛生法第 32 条)
安全衛生責任者等を選任するとともに、統括安全衛生責任者と必要な連絡調整を行い、特に斜面に
関する情報を適切に把握する等、必要な措置を講じなければならない。
5-(2)、(4)、(5)項については関係請負人も実施すること。
8.関係請負人が実施することが「望ましい」事項
6 項の事項につき、元方事業者とも連携して実施することが望ましい。
9.元方事業者及び関係請負人の双方が実施すべき事項
(1)安全衛生教育の確実な実施
発注者や関係団体の協力を得て、作業に従事する労働者に対して計画的な安全衛生教育を実施する。
また、新規入場者に対する教育を確実に実施しなければならない。
(2)緊急時の退避
変状が極めて早く進行し、斜面崩壊による労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業
を中止し、労働者を安全な場所に退避させなければならない。
10.元方事業者及び関係請負人の双方が実施することが「望ましい」事項
(1)リスクアセスメントの実施
リスクアセスメントを実施した上で、施工計画書及び作業箇所の状況に応じた作業計画を作成し、
その作業計画に基づき作業を行うこと。なお、関係請負人が作業計画を作成するに当たって活用で
きるよう、元方事業者は自ら行ったリスクアセスメントの結果や、必要に応じて発注者の実施した
事前調査及び点検の結果、施工計画書において安全確保上留意した事項に関する情報等を提供する
こと。
(2)避難訓練の実施
斜面崩壊による労働災害を防止するため、工事の各作業を行うに当たり、関係請負人を含めた避難
訓練を1回以上実施すること。避難訓練においては、斜面崩壊が発生した際にすべての労働者が安
全に避難できることを確認するとともに、避難訓練の結果を検討し、必要に応じて避難の方法を改
善すること。
<通知及び参考資料(ホームページ)のご紹介>
●「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」の策定について
http://www.hyokenkyo.or.jp/bbsdata/20150703/706.pdf
2.その他
厚生労働省 労働基準局からの通知・ガイドライン一覧
□ 「斜面の点検者に対する安全教育実施要領」の策定について(平成 27 年 6 月 29 日
基案案発 0629 第 4 号)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150722K0020.pdf
□ 硬質地盤油圧式くい圧入機に係る労働安全衛生関係法令の適用について(平成 27 年 7 月 16 日
基発 0716 第 2 号)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150722K0020.pdf
掲載されている通知・ガイドライン情報は、十分注意して作成しておりますが、ご利用になられる
場合は、各省庁等から発行されている情報をご確認ください。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
労働災害ニュース
(2015年 7 月1日~2015年 7 月31 日)
労災事故事例として最近の主な報道内容をまとめました。
その中でも、特に留意が必要な事故について詳細をご紹介します。
(氏名や住所等の個人情報は、記載を控えさせていただいております)
1.山形・小学校プールで塩素ガス発生
消毒液誤処理、教諭ら 2 人入院(2015/7/2
山形新聞)
1 日午前 8 時ごろ山形市の小学校で、プールの機械室から塩素ガスが発生した。同校によると、女性教諭がプールの水
質を調整する作業をしていた際、消毒液を違う投入口に誤って入れたため、化学反応が起き、ガスが発生したという。
女性教諭と連絡を受けて処理に当たった業者の男性の計 2 人が入院した。いずれも命に別条はないという。体調不良を
訴える児童はいないという。
同校によると、女性教諭は 1 人で塩素濃度を調整する作業をしていた。水質を管理するための薬品を注ぎ入れる投入口
は二つ並んでおり、女性教諭は誤ってごみなど水の汚れを凝集する薬品を入れる投入口に消毒液を注いだという。
水の汚れを凝集する薬品は酸性で、消毒液はアルカリ性のため、混ざり合って塩素ガスが発生したとみられる。異変に
気付いた女性教諭は教頭、校長に連絡。教室の窓を閉めてガスが流入しない対策を取った。臭いはすぐに薄れた。この
日は通常通りに授業を行った。
同校はプールの機械室を管理している業者に連絡し、原因を確認するなどの処理を依頼した。業者の男性は機械室内で
作業し、安全を確認した際は体調に異変を感じなかったが、現場を離れた午後になって不調を訴え受診し、病院側が
119 番通報。山形市消防本部が残留ガスの有無を調べ安全を確認した。
校長は「多くの人に心配と迷惑を掛け、申し訳ない。再発防止に努めたい」と述べた。
2.横浜で足場解体中に落下、作業員の男性死亡(2015/7/7
産経新聞)
7 日午前 9 時 45 分ごろ、横浜市緑区長津田町のマンションの外壁工事現場で、足場の解体作業をしていた千葉県船橋
市の作業員男性(19)が 7 階部分の足場から約 16 メートル下に落下して全身を強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認
された。
緑署によると、男性は事故当時ヘルメットと命綱を着用していたが、命綱の先端が足場に張った安全ロープに接続され
ていなかった。同署が詳しい事故状況を調べている。
3.段ボールの圧縮機に血だまり…男性挟まれ死亡 神戸市の物流会社(2015/7/9
産経新聞)
9 日午後 8 時 35 分ごろ、神戸市東灘区向洋町西の物流会社1階で、作業員が段ボールの圧縮機の血だまりに気づき、
119 番通報した。消防から連絡を受けた兵庫県警東灘署員が、圧縮された段ボールの間で、男性が死亡しているのを発
見。同署は、同センター作業員の男性(27)とみて身元を確認するとともに、詳しい経緯を調べている。
同署によると、身元を確認中の男性は事故の直前、段ボールを圧縮機に運ぶベルトコンベヤーが停止したため、3 階に
ある機械室に向かった。機械室には1階の段ボール圧縮機につながるダクトがある。男性は何らかの原因でダクトに転
落した可能性もあるという。
4.エレベーターに挟まれ死亡 故障かと思い中をのぞいた瞬間、降下 神戸(2015/7/9 産経新聞)
9 日午前 9 時半ごろ、神戸市兵庫区新開地にある菓子店で、従業員の男性(52)が、降下したエレベーターに首付近を
強く挟まれ、間もなく死亡した。
兵庫署によると、男性は別の従業員と荷物の運搬作業中で、ボタンを押しても 2 階からエレベーターが降りなかったた
め、様子を見に行った。エレベーターの中をのぞいた際に、何らかの原因で降下したエレベーターの天井と床の間に胸
から上を挟まれたとみられる。
エレベーターは荷物運搬用で横約 1.25 メートル、高さと奥行きは約 1.5 メートル。同署は降下した原因や点検の状況
を調べている。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
5.クレーン倒れ 3 人軽傷 スクールバスにも接触 埼玉・新座市の国道(2015/7/9 産経新聞)
9 日午後 8 時 15 分ごろ、埼玉県新座市大和田 3 丁目の国道 254 号で、路面工事をしていたクレーン車が倒れ、周囲に
いた作業員ら 3 人が軽傷を負った。新座署が業務上過失傷害の疑いで捜査している。
新座署によると、さいたま市桜区の男性警備員(67)のあばら骨にひびが入り、埼玉県鶴ケ島市の 47 歳と千葉県松戸
市の 30 歳の男性作業員が額を切るなどした。
クレーン車のアームが、走行中だった私立大のスクールバスにも接触したが、回送中で乗客がおらず、運転手にもけが
はなかった。
当時は工事現場に十数人がおり、クレーンがアームを伸ばし、作業用の鉄板を動かそうとした際、前のめりに倒れたと
いう。
6.工事現場で崩落、生き埋め男性が意識不明 東京・台東(2015/7/18 産経新聞)
18 日午前 10 時 5 分ごろ、東京都台東区北上野の路上で、下水道交換のため掘られた穴が崩落。40 代の男性作業員が、
崩れてきた添え木に首を挟まれるなどして意識不明の重体となった。警視庁下谷署は事故原因を調べている。
同署や東京消防庁によると、穴は深さ約 2.5 メートルで土留めの鉄板が取り付けられていたが、何らかの原因で崩落。
穴の中で作業中だった男性は崩れてきた鉄板の添え木に首を挟まれ、下半身が土砂に埋まった。
事故当時、男性を含め 2 人が穴の中で作業中で、別の 1 人にけがはなかった。
7.1.3 トンの鉄骨が直撃 下敷きの男性作業員が死亡/皆野(2015/7/20 埼玉新聞)
20 日午前 11 時 35 分ごろ、皆野町の鉱業会社で、住所不詳、同社の関連会社社員の男性(32)が落下した鉄骨の下敷
きとなり、死亡が確認された。
秩父署によると、男性は同僚 3 人と解体したベルトコンベヤーの鉄骨をクレーン車で移動中だった。何らかの理由でス
リング(ナイロン製ベルト)が切れ、重さ 1.3 トンの鉄骨が下にいた男性を直撃した。同署は事故原因を詳しく調べて
いる。
8.4 トンの「鉄管」直撃、ショベルカー作業中の男性死亡(2015/7/22 産経新聞)
22 日午後 2 時 15 分ごろ、大阪府茨木市上音羽の土木工事会社の資材置き場で、トラックに積まれた掘削用の鉄管(長
さ 12 メートル、直径 30~40 センチ、重さ 4 トン)をショベルカーで降ろす作業を行っていた大阪市の同社員男性(65)
に鉄管が直撃。男性は腹などを強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。
大阪府警茨木署によると、男性は、ショベルカーの先端に取り付けられたワイヤに鉄管をくくり、トラックの荷台から
降ろそうとしていた。いったん持ち上げたものの、バランスが崩れ、運転席の男性に当たったという。同署で詳しい事
故原因を調べる。
9.リサイクルセンター長を書類送検…無資格運転、下請け社員死亡 尼崎労働基準監督署(2015/7/24 産
経新聞)
資格を持たない男性社員に、車両の先に大きなはさみがついた解体用のつかみ機を運転させたとして、兵庫県尼崎市の
尼崎労働基準監督署は 23 日、労働安全衛生法違反の疑いで、廃棄物処理業と、同社が運営するリサイクルセンターの
センター長の男性(48)を神戸地検に書類送検した。
センター長は「資格がいるとは知らなかった」と供述しているという。
書類送検容疑は、今年 3 月 25 日、同センター内で運転資格がない男性社員(44)に、解体用つかみ機(10.9 トン)を運
転させたとしている。つかみ機が後退した際、下請け会社の男性社員=当時(63)=がひかれ、死亡した。
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<2015 年 8 月 28 日発行>
10.鉄板の下敷きに 頭強く打ち男性作業員が死亡/草加(2015/7/25 埼玉新聞)
25 日午後 0 時 40 分ごろ、
草加市旭町 4 丁目の宅地造成地で、
作業をしていたさいたま市見沼区、
建設作業員の男性
(31)
が鉄板の下敷きになり、頭を強く打つなどして間もなく死亡した。
草加署によると、男性のすぐ近くでは、別の男性作業員(68)が、ショベルカーで敷いてあった鉄板(縦 3 メートル、
横 1.5 メートル、重さ 800 キロ)をワイヤでつり上げ、トラックに積み込む作業をしていた。3 枚目の鉄板をトラック
に積み込んだ際、鉄板が滑り落ち、しゃがんで作業中の男性を直撃したらしい。
現場には 2 人のほか、7 人が地ならしなど、それぞれの作業をしていたという。同署は業務上過失致死の疑いで、関係
者から事情を聴いて調べている。
11.その他の事故報道
□ 伐採中、ヒノキの下敷きになり男性死亡
京都・福知山(2015/7/1 京都新聞)
□ 伐採中のスギ木が倒れ、60 歳の作業員死亡(2015/7/6 産経新聞)
□ 熱中症:建築作業後、59 歳男性が死亡
長崎・雲仙(2015/7/9 毎日新聞)
□ のり面工事現場で作業員滑落し死亡、上小阿仁村萩形の県道(2015/7/10 秋田魁新報)
□ 鉄工所が全焼、経営の男性やけど
京都、作業中に引火か(2015/7/11 京都新聞)
□ いわきで重機に挟まれ 78 歳男性死亡(2015/7/11 福島民報)
□ 水道工事中ガス管から火柱、作業員やけど
和歌山(2015/7/15 産経新聞)
□ 作業員男性転落し死亡 千葉市の工場(2015/7/18 千葉日報)
□ 相馬・宇多川でクレーンが横転
河川工事準備、けが人なし(2015/7/20 福島民友新聞)
□ 作業中にミニクレーン車が倒れ、女性死亡
佐野(2015/7/22 下野新聞)
□ 鉄を裁断する機械に頭挟まれ、経営者の男性死亡(2015/7/22 読売新聞)
□ 化学物質漏れ 3 人搬送
三菱ガス化学新潟工場(2015/7/23 産経新聞)
□ 成田の工事現場で爆発、作業員 1 人搬送(2015/7/25 産経新聞)
□ 養豚場で倒れ 2 人搬送
汚物ためる槽内から硫化水素検出(2015/7/29 朝日新聞)
□ ダンプカー50 メートル転落、57 歳運転手死亡
北海道・函館の林道(2015/7/30 産経新聞)
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