12-4 ユカㇻ 「アペサㇰスクㇷ゚ ワッカサㇰスクㇷ゚」途中切れ 火なしに育った、水なしに育った(途中切れ) 語り:平賀さだも イキアン アイネイ そうしたあげく iki=an ayne[y アコン ロルンペイ 私の戦争で a=kor_ rorunpe[y] モヨ ウタㇻポイ (多くの仲間が殺されて)少ない仲間 に moyo utarpo[y] ネ ヒ オロ タ なったところで ne hi oro ta エアシラナ それこそ easirana リクンペスンクㇽ リクンペスンクㇽの Rikunpesunkur ウ ポ ウタリ 息子たちに u po utari イトㇺマ カリ(?) 私の体から(?) i=tom _wa kari(?) アタㇺクㇽポキ 私が太刀を a=tamkurpokiオサウォサウ コㇿ 抜き放つと osawosaw kor イタッカㇻ ハウェイ (息子たちが)話したことは itakkar hawe[y] エネイ オカ ヒ こうだった。 ene[y] oka hi 「アオカ アナㇰネ 「私たちは “aoka anakne ヘル トゥナネ たった二人(なの)で heru tun a=ne イエランポキウェン マ 私たちを哀れに思って(ください) i=erampokiwen w_a アウェノナハ 私たちの悪い父 a=wenonaha ウ コㇿ ウェン ケウトゥㇺ の悪い心が u kor wen kewtum ウ アナクス あったせいで u an a kusu インネ アウタリ 多くの仲間が inne a=utari チコウェンテカㇻ いためつけられ cikowentekar アコㇿ コタヌ a=kor kotanu 私たちの村は チコウェンテカㇻ 荒らされた cikowentekar アイイェカㇻカㇻ ヤッカ けれども a=i=ekarkar yakka トゥナネ ワ ポカ 私たち二人だけでも tun a=ne wa poka イシㇰヌレ ワ 生かして i=siknure wa イコㇿパレイ ヤン」 ください」 i=korpare[y] yan” セコロカイ ペイ と sekor okay pe[y] エヤヨチャランケイ[1] 弁舌を eyayocaranke[y]ウ コッパ コㇿカ 振るったけれども u kotpa korka トゥルㇱ キンラ ネイ 狂うばかりの怒りが turus kinra ne[y] ア…… イコホプニ 私には起きて a... i=kohopuni 「ウェイ サンペ コㇿ パ ㇷ゚ 「悪い心を持った奴 “wen_ sampe kor pa p イトゥイパ ㇷ゚ ウイペ i=tuypa p uype 私を斬ろうとした奴の子供 イロンヌ ㇷ゚ ウイペ 私を殺そうとした奴の子供が i=ronnu p uype ヘル トゥㇷ゚ ネ ヤッカ たった二人だけであっても heru tup ne yakka ヤイ…… イネフイ モシㇼ どこの国で yay... inehuy mosir チェイニスッカㇻ 私を頼みに ce[y]nisukkar アイエカㇻカㇻ クニ するべく a=i=ekarkar kuni コハウコㇿ ハウェ(?) 口をきいて kohawkor hawe(?) オカ ヤ?」 セコㇿ いるのか?」と oka ya?” sekor ヤイヌアン ヒケ 思って yaynu=an hike トゥㇷ゚ ネ…… tup ne... トゥン ネ オッカイポ 二人の若者を tun ne okkaypo アエウコライェ 一緒にして a=eukoraye アエアッタㇺネレ a=eattamnere ただ一太刀で斬り ムトッネレ(?) 一刀で斬ると(?) mutotnere(?) アウサチャㇻパ (死体が)散乱したのは a=usacarpa イセㇺラㇺセコㇿ いつものとおりである。 isemramsekor イネイロㇰペクス なんとまあ ine[y]rokpekusu イルㇱカ ピト 怒った神[2]の iruska pito イノトゥ オㇿケ 魂(すなわち) inotu orke トゥ シユㇰ カムイ 二つの装束した神 tu siyuk kamuy レ シユㇰ カムイ 三つの装束した神は re siyuk kamuy ウ シチュㇷ゚ネ ヒ[3] 東には u sicupne hi ウ フㇺニウケㇱテ 音をたてられず u humniwkeste ウ シチュッポㇰ ネ ヒ 西に u sicuppok ne hi コフㇺパイェレ kohumpayere 音を立てて行った。 ウ パㇰノ ネイ コㇿ それから u pakno ne[y] kor エアシラナ それこそ easirana アチャㇱトゥㇱテッカ 私がじっと立ち尽くして a=castustekka ヤイヌアン フミ 考えたことは yaynu=an humi ロルンペ ネ クス 戦だから rorunpe ne kusu トゥムンチ ネ クス 戦いだから tumunci ne kusu アトゥイパ コㇿカ 私は斬ってきたが a=tuypa korka アエヤヤシスㇺコ 後悔する感じが、 a=eyayasis h_um ko イヌヌカㇱキ 気の毒にも inunukaski エネイ ポ ヘ タㇷ゚ あれほどまでにも ene[y] po he tap ウ ヤイキラレ 一目散に逃げる u yaykirare シリ オカ ロㇰ ペイ siri oka rok pe[y] 様子であったものを アトゥイパ カトゥ 斬ったことを a=tuypa katu ヤヤシㇱ ケウトゥㇺ 後悔する気持ちを yayasis kewtum アヤイコㇿパレ 私は持った a=yaykorpare アナッキコㇿカ けれども anakkikorka アチャㇱトゥㇱテッカ 私はじっと立ち尽くしていた。 a=castustekka ヘル クワンノ ただ heru kuwanno ランケペㇱウンクㇽ ランケペスンクㇽ Rankepes’unkur ウムレㇰ ウタㇻ 夫婦と umurek utar シネ マッネポ 一人の娘が sine matnepo エレンネ キ ワ 三人で erenne ki wa ウ シㇰヌ コトㇺ 生きている(助かった)ようだ u siknu kotom アネサンニヨ an=esanniyo と思った。 ウ パㇰノ ネ コㇿ それから u pakno ne kor アトゥイ ソ クㇽカ 海の上を atuy so kurka アネホプニ 飛んで an=ehopuni アトゥイ トモトゥイェ 海を横切って atuy tomotuye ウ アㇻパアン フミ 行く音は u arpa=an humi アイキサㇻストゥ[4] 耳元で a=ekisarsutuウ マウクルル 風がうなる。 u mawkururu イネフナクン (やがて)どこかへ inehunak un アㇻパヤン フミ 着いたの arpa=[y]an humi ウ ネ ナンコラ だろうか。 u ne nankor _ya ウ キ ロㇰ アワ そうすると u ki rok awa アトゥイ ソ カ タ atuy so ka ta 海の上に ポン イタオマチピ 小さい板つき舟 pon itaomacip[i] ウ ネイ ワ ネ ヤ であるのかが u ne[y] wa ne ya チシプスレイ 浮いていて cisipusure[y] ウ ポン メノコ 若い女が u pon menoko チポ シㇼ コンナ 舟に乗る様子は cipo sir konna コメウナタラ 立派である。 komewnatara イタッカㇻ ハウェイ (その女が)話すことは itakkar hawe[y] エネイ オカ ヒ こうだった。 ene[y] oka hi 「コニンカㇻ クス 「さてさて “koninkar kusu ウ ポイヤウンペ ポイヤウンペよ、 u Poyyaunpe イタカン チキ 私が話すから itak=an ciki ウ ピㇼカ ヌ ヤン。 u pirka nu yan. よく聞いてください。 エパコㇿ…… 私の…… ep a=kor... 【注】 [1] eyayocarankekotpa は e-「~について」yayocarankekote「一人で一生懸命談判す る」 (『沙流方言辞典』 )の複数形。 [2] 「怒った神」とは主人公に殺された2人(の魂)のこと。以下の「装束した神」も同 様。 [3] u sicupne hi のように聞こえるが sicupkane hi「東のほう」の意味か。yukar では死 んだのちに東に飛ぶ魂は生き返る頃ができるが、西に飛ぶ魂は生き返ることができな いという。 [4] a=ekisarsutu はエの発音が弱化して「アイキサㇻストゥ」と発音されている。
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