20042 Wire-rendezvous case by using wire

20042
Wire-rendezvous case by using wire-tail
両方向性アプローチを確立した後の wire-rendezvous(WR)法は、病変部への wire 通過を完成させるための優れた手
法の 1 つであるが、今回 Retrograde から wire tail を Antegrade のマイクロカテーテルへ WR させ手技を行った CLI 症
例を経験したので、報告する。
症例は 57 歳、男性、糖尿病腎症にて維持透析中。右第 1,5 足趾壊疽を主訴に近医で右大腿~後脛骨~足背動脈バイ
パス術(SVG graft)を施行されたが、改善なく当院紹介受診。血管造影では、バイパス遠位部は閉塞していたが、近位
部は分枝処理不足によるシャントの残存から開存していた。膝下動脈 3 枝は閉塞しており、前脛骨(AT)/足背(dor)およ
び腓骨動脈(PE)は順行性アプローチで、後脛骨(PT)/足底(PL)動脈は両方向性アプローチで開通させた。その後バ
イパス結紮および創部の局所処置を予定したが、個人的事由により一旦退院された。約 1 ヶ月後の再入院の際には AT
/dor および PT/PL は再狭窄~閉塞しており、上記と同様に AT/dor は順行性に、PT/PL は両方向性に開通させた。
この際、PT 高度石灰化部位近傍での WR に Retrograde から wire-tail を用いた。その後、バイパス結紮および足趾切
断などの局所処置を行ない、創部は改善傾向である。Retrograde からの wire-tail による WR は、Antegrade から普通
に wire を挿入した際と同じ状況がつくれるため、従来のような wire の入れ直しなどが必要なく簡便であるが、一方で血
管やマイクロカテーテル穿孔のリスクを伴う。ベネフィット/リスクを考慮したうえで、勘案してもよい手技と考えられ報告す
る。