わかり易い農業ビジネスアプローチ (提案型)農業ビジネス 2015 年 6 月 19 日 刈羽バイオドーム 小岩 弘之 P.ドラッカーは、名著『現代の経営』(1954 年)において、「事業とは顧客を創造することで ある」と定義しています。これを農業ビジネスにもあてはめて考えてみたいと思います。 農業ビジネスの目的は、「社会における農業経営の在り方」という側面からは、「農家(農業) の社会的価値を向上させること」であり、「事業内部における経営の在り方」という側面では、 「経営とは農家・農業の成長・発展を促し、事業価値を向上させること」にあります。そのため に様々な農業経営を図らねばならないと思います。 最近、企業によるアグリビジネスが注目されています。これは農業と流通、加工業、あるいは 観光業などが融合した新しい「農」関連ビジネスとされています。そこで気になる事が幾つか考 えられています。最近の農業生産者の多様化は家族経営の従来型の農家に加え、農家が集まった 農業法人や、企業の農業参入等の増加をもたらしており、 「儲かる農業」も新しいビジネスモデ ルとして生まれています。そこでもたらされた異業種分野からの積極的なアグリビジネスへの参 入による、失敗例や成功例も生まれています。何故失敗したのか、どうして成功しているのか等 についても具体的事例を挙げて触れたいと思います。また、最近では再び異業種である家電メー カーの植物(野菜)工場への参入が注目されています。その背景には、今日の農業における栽培 手法の多様化やマーケットの多様化があるからです。しかしながら、そこには従来と同様に農業 における技術マネジメントが存在し、農業や技術開発型農家の命運を左右するのは、やはり『農 業技術』を核にした農業経営があります。それを実現するためには、 ① 顧客が魅力を感じる商品をイメージできる力を強化することです。 ② 先進的かつ魅力ある商品を独創的な技術開発で実現することです。 ③ 顧客及び企業(農業)価値の最大化に努めることです。 ここで重要なことは、農業(生産者)技術者は顧客現場感覚を養い、顧客に接し顧客と対話を 行い「顧客の顔」の見える農業技術開発と作物栽培を行うべきであろうと思います。 そして「見える化」を「見せる化」に変え、生産者が対象とする「顧客」の顔の理解に努め、 「顧 客理解のヒント」を増やすのです。新しい価値創出のためにも、農業技術者は顧客への提案をす る役割があります。それらを行うことにより、これまでに無いような「生産物の付加価値」が生 まれる可能性があります。顧客に喜ばれる農業ビジネスにおける「生産物商品の付加価値」につ いてもお話をしたいと思います。 今の時代は農業ビジネスも広い意味では顧客にサービスを提供しています。農業とサービス業 の違いは、「そのサービスの中で形のあるモノ(作物生産物)の占める割合が多いか少ないか」 と言われますが、広い意味では、農業もサービスの一つであろうと思います。サービスとは「人 に役立つ事」の提供であり、まさに農業ビジネスは大変重要な役割を担っていると言えます。
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