名古屋大学地球水循環研究センター 共同研究報告書

別紙様式2
名古屋大学地球水循環研究センター
共同研究報告書
平成27年 3月15日
名古屋大学地球水循環研究センター長 殿
申請者(研究代表者)
所属機関 (独)水産大学校海洋生産管理学科
職
准教授
氏名
滝川 哲太郎
e-mail
[email protected]
下記の共同研究について、別紙の通り報告します。
1 研究課題 海洋レーダ観測域における海洋観測
2 研究組織
氏名
代表者
滝川 哲太郎
所属
独立行政法人
水産大学校
海洋生産管理学科
職
分担研究課題
准教授
海洋観測とそのデータ解析
准教授
海洋レーダ観測とそのデータ解析
センター対応教員
森本 昭彦
3 研究内容 (別紙)
海洋レーダ観測域における海洋観測
水産大学校海洋生産管理学科
名古屋大学地球水循環研究センター
滝川哲太郎
森本
昭彦
研究目的
日本海の山陰沖合では,東シナ海から続く大陸棚と対馬海盆が接している.対馬
暖流は,対馬海峡に位置する対馬によって西水道通過流と東水道通過流の 2 枝に分
かれて,東シナ海から日本海南西海域へ流入する.多くの研究では,東水道通過流
が日本沿岸を北上し,西水道通過流が東韓暖流と沖合分枝流の 2 つに分かれ,対馬
暖流が日本海南西海域で 3 分枝化することを示している(Katoh, 1994).沖合分枝
流は,陸棚縁の大よそ 200 m 等深線に沿って流れ,100 m 深の水温フロントが,そ
の流軸の指標となる.2014 年 5 月から,対馬と相島に遠距離海洋レーダを設置し,
山陰沖合の対馬暖流の観測を開始した.このレーダ観測によって,沿岸分枝流と沖
合分枝流をモニターすることができる.本研究では,2014 年 6 月から 7 月の間,こ
のレーダ観測海域に,対馬暖流を横切るように 5 台の acoustic Doppler current
profiler(ADCP)を海底に設置し(図 1),海洋レーダでは観測できない流速プロフ
ァイルを観測する.
研究内容
ADCP によって観測された平均的な流速プロファイルの断面を図 2 に示す.北緯
35 度付近に強流帯を観測した.これは,対馬暖流の沿岸分枝流の流軸と考えられる.
この強流帯より沖(北)側で,流速プロファイルの強い傾圧構造を観測した.ここ
では示さないが,CTD 観測結果や ADCP の水温情報によると,底層冷水の貫入が,
流速プロファイルの傾圧構造や流速強化に影響を与えていることが示唆された.
成果発表
滝川哲太郎, 森本昭彦, 杉谷茂夫, 久島萌人, 市川香, 伊藤雅, 藤井智史, 岩井宏
徳, 雨谷純: 山陰沖遠距離海洋レーダ観測海域における海底設置型 ADCP による流
況観測. 研究集会「リモートセンシング・数値モデリングの利用と高度化によるメ
ソ・マイクロスケール大気・海洋現象に関する共同研究」, 名古屋大学 (2015.3)
図 1.2014 年 6 月 13 日から 6 月 22 日の船舶による観測点図.△は ADCP 設置位置を
示す.
図 2.ADCP 平均流速プロファイル.
引用文献
Katoh, O. (1994): Structure of the Tsushima Current in the Southwestern
Japan Sea. Journal of Oceanography, 50, 317-338.