第 6 回多文化共生フォーラム @東京学芸大学 2015 年 1 月 31 日 多文化共生と市民性教育-静岡県西部地域における実践からみえてくるもの- 池上重弘(静岡文化芸術大学) http://wwwt.suac.ac.jp/~ikegami/index.html 1 はじめに □多文化共生と市民性教育の交叉するあり方について事例をもとに考える □日本で暮らす文化的に多様な人々の様子を捉える □多文化共生と市民性教育という概念をめぐって □静岡県磐田市における実践とその評価 □第二世代の「文化をつなぐ若者たち」の活躍に注目して 2 日本で暮らす文化的に多様な人々 □日本社会を構成する人々の多様性:アイヌ、沖縄、在日コリアン。 。。 □在留外国人数はこの 25 年ほどで 100 万人から 200 万人へ □韓国・朝鮮は漸減、中国は増加、ブラジルは 2008 年以降急減、フィリピンが増加 □一般永住者が増加 □定住志向の外国人が増え、日本社会との関わり方に変化が見え始めている。 高校進学、大学進学、地域と関わる外国人 3 多文化共生、市民性教育という概念をめぐって □総務省的「多文化共生」とその地方への波及 □「多文化共生」が切り開くもの、覆い隠すもの □教育面では、とくに南米からの日系人等のニューカマー児童生徒に対する支援 日本語指導、適応指導、学力形成、不就学対策、母語・母文化維持等 マジョリティ児童生徒に対する働きかけの欠如 □市民性(シチズンシップ):市民社会で生きるための力 □市民性教育*) 公共生活に影響を与える意思、能力、素養をもった能動的な市民として、 人々が自身について考えられるようにすること 社会に積極的に参加し、責任と良識ある市民を育てるための教育 (2002 年からのシチズンシップ教育導入に向けた英国の諮問委員会最終答申書(1998)から) 4 静岡県磐田市における実践とその評価 □静岡県西部の工業都市、ブラジル人を中心に外国人が集住する団地あり □学区の小学校では早くから文科省指定を受け、センター校としてモデル事業を展開 □地域の関係者の「ハブ」としての多文化共生社会推進協議会 □行政、地域、学校の連携で支援事業が展開 2004 年、東新町子育て支援センター 2006 年 3 月、多文化交流センター「こんにちは」開設、学習支援本格化 □関係者の「ハブ」としての多文化共生社会推進協議会、実践の場としてのセンター □公民館での「通学合宿」 :2泊3日の共同生活に地域の人々のサポート 評価 +:地域での子育て、ロールモデルとの出会い 「域学連携」地域づくりの実践例 -:公立学校自体は関与せず、団地居住者の関与不足、 ブラジル人学校の子どもたちは「蚊帳の外」 5 むすびにかえて □多文化共生はマジョリティに変革を迫っているか? □多文化共生教育はマジョリティの子どもたちにどのような意味を持つか? □多文化共生と生涯学習のリンクをどう体系づけるか? □多文化共生社会における市民性教育はトランスマイグラントの子どもたちに どう向き合うか? □第 2 世代の若者たちの発信力をどう生かしてゆくか? 参考文献 池上重弘.2014a.「多様性を生かした多文化共生の地域づくり」『21 世紀ひょうご』(特集 グローカル 化と多文化共生~異文化コミュニケーションと地域づくり~)16:3-14. 池上重弘.2014b 浜松市における多文化子ども教育フォーラムとバイリンガル絵本プロジェクト」『国際 人流』27(6):4-11 ハヤシザキ カズヒコ・山ノ内裕子・山本晃輔.2013. 「トランスマイグラントとしての日系ブラジル人」 志水宏吉他編『「往還する人々」の教育戦略』明石書店、206-267. 森茂岳雄.2014.「多文化教育」山下晋司編『公共人類学』東京大学出版会、55-68. *「シティズンシップ教育とは」シティズンシップ教育推進ネット http://www.citizenship.jp/citizenshipedu/(2015 年 1 月 26 日閲覧)
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