(論文要旨)医博甲379菅野 真史

学 位 論 文 の 要 旨
な
り
が
整 理番 号
名
ふ氏
※
かんの
ま さふ み
菅野
真史
box 2 and GA‐ binding proteins regulate
the transcription ofl市 er receptor homolog‐ l in early embryo五 c cells
学位論文題 目
企糸田胞 にお い て Sex‐ determi五 ng region Y‐ box 2と GA‐ binding
(初 期 月
proteinsが Liver receptor homolog‐ 1の 転 写調節 を行 う)
Sex‐ deterHlining region Y‐
(目
的)
幹 細胞 は転 写 因子 の ネ ッ トワー クに よつて そ の未 分化 状態 を維 持 して い る。 この未 分
化 能維 持機 構 を解 明す る こ とは 多能性 幹細 胞 を 目的 の 細胞 に分化 させ利 用す る再生 医学
に とつて も非 常 に重 要 で あ る。未 分化 能維 持 に 関与す る転 写 因子 は数 多 く知 られ て い る
が 、Liver receptor homolog‐ 1(Lrh‐ 1)は そ の 内 の ひ とつ で あ り、Oct… 3/4や Nanogと い
つ た 非 常 に重 要 な転 写 囚子 を転 写調節 して い る。 Lrh‐ 1は 早期 胚や胚性 幹細胞 (ES細 胞 )
で は 、分化 細胞 とは 異 な る特異 的 なプ ロモー ター 領 域 を使 用 して い る こ とが わか ってい
る。 しか しなが ら、幹 細胞 の Lrh‐ 1の 転 写活性機 構 は解 明 され てお らず 、 この活性化 因
子 を解 明す る こ とは未 分化 能維 持機 構 を理 解 す る うえで重 要 で あ る と考 え、研 究 を行 つ
た。
(方 法)
マ ウス ES細 胞 (EBRTcH3)
細胞はマ ウス胚性腫瘍細胞 (EC細 胞)で ある F9細 胞及び、
を使用 した。遺伝子 の定量には reverse transcription polymerase chain reaction
(RT‐ PCR)及 び quantitative PCR(qPCR)法 を用 いた。蛋 白質 の検出には western blot
analysisを 用 い た。 プ ロモー ター領域 の活性化解析には、reporter assayを 用 いた。転
写因子 の結合 を electrophoretic mobility shift assays(EMSA)お よび chrOmatin
immunoprecipitation assay(ChIP)に て証明 した。F9細 胞 の遠位内胚葉へ の分化誘導
は retinoic acid(100 nM)と 8br‐ cノ 凱 IP(lmM)を 処理す ることで行 った。プ ロモー ター
領域 のメチル化解析 は bisulnte sequence法 を行 つた。
(結 果 )
Lrh…
1は 少 な く とも 3つ のア イ ノフ ォー ム が 報告 され て い るが 、早期胚 特異 的 Lrh‐ 1
ES細 胞 と同様 に F9細 胞 に も発 現 して い る こ とを RT‐ PCRに て確認 した。
ES特 異 的 Lrh‐ 1の プ ロモ ー ター 領 域 を 側 か ら会 々 に欠 失 させ て 、転写 開始 点 か らの
が
5′
距離 を調節 した プ ラ ス ミ ドを複 数 作成 し、 レポ ー ター ア ッセ イ で活性 が低 下す る領 域 を
探 した。そ の結 果 、転 写 開始 点 か ら-470塩 基姑 か ら-357塩 基対 の 間 で約 4分 の 1に 、
-310塩 基 対 か ら-152塩 基対 間 で も約 4分 の 1に 活性 が低 下す る こ とが判 明 し、 この
2か 所 を活 性化 因子 の結 合領 域 と判 断 した。
レポー ター ア ッセイで活性化因子が結合す ると考えられた 2領 域 を TF binding site
searchで 調 べ 、他 に Statや Myb等 の結合可能転写因子 を複数候補 とした うえで、 これ
らの抗体 を用 いた EMSAを 行 つた。 その結果、 -470か ら-357に Gabp αが、 -310
か ら-152に Sox2が 直接結合 してい ることを証明 した。直接結合 してい ることを ChIP
ア ッセイにおいて も証明 した。さらに Gabp αと Sox2そ れぞれ の結合配列 に変異を入れ
ることにより、プ ロモー ター活性 が低下す ることを レポー ター ア ッセ イで確認 した。特
に Sox2の 結合酉己
列に変異を入れ たほ うがより活性 が低下す ることが判明 し、この転写活
性 は Sox2優 位 に働 いてい る可能性が示唆 された。
続 いて Gabpを ドミナ ン トネ ガテ ィブで阻害す ることによリプ ロモー ター活性 が抑制
され る ことを証明 した。 さらに、Sox2を 過剰発現 させ ることにより、プ ロモー ター活性
が上がることを証明 した。
次 に、F9細 胞 を cAMPと レチノイ ン酸を用 いて遠位臓側内胚葉 に分化誘導 し、Sox2・
Lrh‐ 1・ Gabpの 変化 を観察 した。Sox2は 24時 間後 に発現低下 し、それに続 いて Lrh‐ 1
お よび Gabp αが低下す ることを RT・ PCR、 realtime PCR、 western blotで 示 した。 ま
た、レポー ター ア ッセ イを用 いて分化誘導後 のプ ロモー ター活性 も分化誘導後 24時 間で
低下 してい ることを示 し、Sox2の プ ロモー ター活性 へ の関与を裏付けた。 さらに、
quantitive ChIPア ッセ イを行 い 、分化誘導 24時 間で Sox2及 び Gabp αの結合 が低下
していることを示 した。
(結 論 )
本研 究 で は 、早期 胚 特 異 的 Lrh‐ 1が Sox2及 び Gabpに よ り、直接 活性 化 を受 けて い
る こ とを証 明 し、体 細胞 の Lrh‐ 1と はプ ロモ ー ター 領 域 も活性化 因子 も異 な る こ とを示
した。 Lrh‐ 1は
Oct‐ 3/4を 発 現調節
して い る こ とが す で に知 られ てお り、本研 究 に よ り
1を 介 し Oct・ 4の 発 現調節 に 関与 して い る こ とが示 され た 。本結果 は 、幹 細
胞 の未 分化 維 持機 構 の解 明 の み な らず 、iPS細 胞 樹 立 に 関 して も深 く関与 して い る可能
Sox2が
Lrh‐
性 が示 唆 され 、今 後 さ らに研 究 を進 め る予 定 で あ る。
備考
1
2
※ 印 の欄 は、記入 しない こ と。
学位論 文 の要 旨は、和 文 に よ り研 究 の 目的、方法、結果、考察 、結論等 の順 に記 載 し、
2,000字 程 度 で タイプ等 で 印字す るこ と。
3
図表 は、挿入 しない こ と。