りんご新わい化栽培試験成績 課題名:りんごフェザー苗木定植 1 年目の着果有無が定植1年目の樹体生育と定植2年目 の花芽着生に与える影響 調査目的 新わい化栽培では、定植時に花芽が着生している場合には必ず 1 果以上着果させて樹体 生育の抑制を図ることが指導されている。しかし、翌年の花芽着生などの点から着果させ ない方が良いのではないかという考えもある。そこで、定植 1 年目の着果有無が定植1年 目の樹体生育と定植2年目の花芽着生に与える影響について検討する。 調査方法 平成 24 年春に定植したシナノスイート/M.9 ナガノ樹のうち、花芽が着生した樹を用い、 定植 1 年目に着果させる区(着果区:5 樹)、着生した花芽をすべて摘花した区(無着果区: 6 樹)を設置した。 着果区は果実の状態を見ながら2~4果/樹を着果させた。 着果区の果実は平成 24 年 10 月 3 日に収穫し品質調査を行った。 平成 25 年 1 月 7 日に樹体調査、平成 25 年 4 月 15 日に花芽数調査を行った。 調査結果 定植 1 年目に着果させたことで、翌年の花芽数は有意に少なくなった。 着果区の果実品質は、出荷できるレベルのものは一つもなかった。 着果の有無による樹高、樹幅、枝数の差は見られなかった。 側枝の先端新梢長は、着果区が有意に短くなった。 考察 定植 1 年目に着果させることで樹の生育が抑制される傾向が見られたものの、無着果区 でも樹勢が強くなり過ぎることはなく、適正と思われる樹体生育だった。そのため、樹勢 抑制のために無理に着果させる必要性は低いと考えられた。 着果区では定植 2 年目用の花芽数が非常に少なくなり、中には花芽着生の見られない樹 もあった。着果区の果実は果実重が小さく、果柄の異常が見られるなど販売可能な果実の 生産は難しいと思われた。 総合的に考えると、着果によるわずかな樹勢抑制効果のために、翌年の果実生産量を犠 牲にする必要性は低いと考えられた。 従って、定植 1 年目は花芽が着生してもすべて摘果し、2 年目の果実生産に向けて花芽の 充実を図る方が得策であると考えられた。 表 定植1年目の着果有無が「シナノスイート」樹の翌年の花芽着生に与える影響 H24春 H25春 着果区 5.6 4.8 無着果区 6.2 20.2 数値は花そう数(えき花芽込みの数) 台木は全てM.9自根 表 定植1年目の着果有無が「シナノスイート」の樹体生育に与える影響 樹幅 樹幅 主幹延 樹高 枝数 幹周 (列) (列直) 長枝長 (㎝) (本) (㎝) (㎝) (㎝) (㎝) 先端 新梢長 (㎝) 着果区 232 64.2 54.4 33.5 14.0 16.5 2.6 無着果区 241 75.3 57.5 44.0 15.7 18.9 7.0 台木は全てM.9自根 表 定植1年目に着果させた「シナノスイート」果実品質 果実重 (g) 糖度 (%) 硬度 (ポンド) 食味 (指数) 熟度 (指数) 194.3 15.6 15.0 3.5 3.0 数値は12果(収穫した全果実)の平均値 食味:1(まずい) - 3(普通) - 5(うまい) 熟度:1(未熟) - 3(適熟) - 5(過熟)
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