昨今の花き業界について - 大田花き花の生活研究所

2015.10.28
昨今の花き業界について
株式会社 大田花き花の生活研究所
■花き業界概要
・ 「花き」とは観賞用の植物全般を指す。
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花きは冠婚葬祭、贈答、装飾、家庭内など、生活の多彩なシーンで使われることが特徴。また、季節指数や個人の
嗜好性が極めて高い生鮮品目である。そのため、花きの販売・振興においては、細かいニーズを感性と理論の両面
から汲み取ることが重要となってくる。また、同時に生鮮品として品質管理の面からも適切なアプローチが求められる
品目である。
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消費規模 9,800 億円(弊社推定)
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花き産出額 約 3,800 億円(平成 24 年 農林水産省)
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主な生産品目(切り花) データ元 平成 24 年農林水産省
① キク 産出額 650 億円
② ユリ 産出額 212 億円
③ バラ 産出額 181 億円
④ カーネーション 産出額 123 億円
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輸入
金額 約 450 億円 (平成 26 年 財務省)
主な品目
葉物・カーネーション・バラ・キク類・ラン類
主な輸入先 マレーシア・コロンビア・台湾・中国・タイなど
■昨今の動き:ホームユース拡大を目指し・・・
一世帯当たりの花の消費額は、1997 年の 13,000 円代をピークに本年に至るまで年々減少基調。2011 年に底
を打ち、以来 10,000 円前後で推移している。これはお盆、お彼岸などの歳時における花の利用が減少したこと、また家
庭内において花の置場、飾り場を確保していたはずの仏壇や床の間の消滅など、人口動態やライフスタイルの変化が原
因の一つと考えられる。物日消費の回復は一朝一夕には見込めず、定期的な仏花需要も現時点では大幅な増加は見
込めない。
そこで花き業界としては、現在日常の需要創出に注力している。フラワーバレンタインやウィークエンドフラワー、いい夫婦
の日、スイートピーの日、愛妻の日など、日常生活に花を取り入れてもらうこれらの物日提案が盛り上がりを見せている。
弊社アンケートによると「花を買わない理由」は「興味がない」、「機会がない」、「必要がない」、「花を買う発想がない」で
全体の 63%を占める。花を買う機会を創出するこれらの提案は、積年の活動により徐々に生活者に浸透していくものと
思われる。
また、花や緑が持つ効果・効能に着目し、国を挙げて商機を見出していることも注目に値する。他業界と共同で、身
体に及ぼす影響や脳の機能、精神の回復等の研究を進め、社会のあらゆるシーンで花の利用促進が行われている。
■花き購入場所の変化
生活者の花き購入場所は、生花専門店がおよそ 50%、スーパーが 30%、量販専門店が 3.5%、百貨店が 2%と
なっている(平成 21 年全国消費実態調査)。5 年ごとに発表される購入チャネルの変化を追うと、生花専門店が減
少傾向である一方、調査スタート時の平成6年度には 10%台であったスーパーが劇的に伸びている。単純計算では
2020 年の東京オリンピック開催前後には、生花専門店とスーパーのシェアは逆転するものと試算され、今後生花専門
店のみならず、スーパーマーケット等での花き提案の充実、鮮度保持等への取り組みがより重要となってくる。
■国産・輸入バランスと供給見込み
現在、供給はおよそ国産 8 割、輸入 2 割ほどの割合で推移している。国産は 2007 年ころから減少傾向。生産者
の高齢化、毎年言われる天候不順や災害等で今後も大きく増える見込みはないと思われる。また、輸入も円安により
2010 年ころから大きな増加は見られず、今後も円安が続く限りは増える見込みがない。(キク・バラ・カーネーションは「こ
こほれわんわん」に輸入実績を掲載)
供給の増加要因が少ない中、商品の確保にはデータベースによる専門的な分析が要。販売者としては独自の提案に
適った品種選定により、確実、且つ計画的な商品確保が重要になってくると思われる。
■TPP の影響は?
日本国における花きの輸入関税は元来 0%であるため、この度の TPP 締結によりすぐに直接的な影響があるとは考
えにくい。但し、北米やニュージーランドなどへの輸出は関税が撤廃され、他国においても関税率引き下げにより、日本か
ら花きが輸出されるケースが多くなると見込まれる。あるいは、今まで日本の関税が 0%であるために日本に輸出していた
TPP 参加国が、北米や豪州などほかの国でも関税が撤廃、軽減されていれば、選択肢としてそれらの国への輸出が増え
るということもあるかもしれない。日本で花きの輸入金額が最も多いマレーシアは TPP に参加している。
また、間接的な影響として、いくつか考えられることがある。一つは、日本へ野菜等を輸出する際、コンテナが埋まらず
空きスペースが出た場合に、何かほかのものも一緒に輸出しようと品目を検討することになるかもしれない。その時に花き
が選ばれ日本に輸入される可能性がある。
また、海外から価格的に競争力のある野菜等が日本国内に流通し始めた際、国内生産者は野菜から花きへ作付転
換する可能性も考えられる。
このように様々な角度から少しずつ長期的目線において影響が考えられる。季節指数が高く、少量多日品種が特徴
である花きは、生産の国内外如何を問わず、一朝一夕に安定的な出荷まで漕ぎ着くのは難しいかもしれないが、仕入れ
側も生産側も不透明な生産状況を前に、常に出荷品目や数量等のデータ分析がキーとなってくる。
以上