原告第1準備書面(被告答弁書について)

平成 27 年( ワ) 第1 30 29 号、 第2 35 67 号
TPP 交 渉 差 止 ・ 違 憲 確 認 等 請 求 事 件
原告
原 中勝 征
被告
国
外1 58 1名
原告 第1 準備 書面
(被 告答 弁書 につ いて )
平 成2 7年 11 月6 日
東京 地方 裁判 所民 事第 17 部合 議B 係御 中
原告 ら訴 訟代 理人
弁 護士
山田
正彦
弁 護士
岩月
浩二
外
本 書面 では 、被 告答 弁書 に対 する 反論 を行 う。
第1
1
差 止め の訴 えに つい て
請求 の特 定を 欠く 、と の被 告国 の主 張に つい て
( 1) 被告 国の 主張
被告 国 は、 原 告 らが 差 止め を 求め て いる T P P( 環 太平 洋 戦略 的 経
済連 携 協定 ) に関 す る 交渉 に つい て 、そ の 概念 は 不明 確 で あり 、 特定
され てい ない など と述 べる 。
そ こ で 、以 下 の 通 り 、原 告 ら が 差 止 め を 求 め て い る 対 象 を 詳 述 す る 。
(2 )交 渉に つい て
1
原告 ら が差 止 め を求 め る交 渉 とは 、 国が 国 際 条約 の 正文 を 得る た め
に参 加 国と 接 触す る 一 切の 行 為で あ る。 す なわ ち 、今 回 の TP P 協定
(環 太 平洋 経 済協 定 ) の交 渉 にお い ては 、 この 条 約・ 協 定 の正 文 が作
成さ れ るま で 日本 国 政 府( 内 閣) が 他の 参 加1 1 カ国 ( ア メリ カ 、カ
ナダ 、 オー ス トラ リ ア 、ニ ュ ージ ー ラン ド 、チ リ 、シ ン ガ ポー ル 、ブ
ルネ イ 、ベ ト ナム 、 マ レー シ ア、 メ キシ コ 、ペ ル ー) の 閣 僚及 び 交渉
担当 官 らと 交 渉す る 一 切の 行 為で あ る。 当 然、 日 本も 含 め た1 2 か国
間で の 関係 閣 僚会 合 や 首席 交 渉会 合 、及 び TP P 協定 に 関 する 2 国間
での 交渉 も含 まれ るこ とと なる 。
なお 、 先般 、 T PP 交 渉に つ いて は 「大 筋 合 意」 に 至っ た と報 道 さ
れ て お り 、ま た 内 閣 府 の T P P 政 府 対 策 本 部 の ホ ー ム ペ ー ジ に も 、
「2
01 5 年1 0 月5 日 、 アメ リ カの ア トラ ン タで の 関係 閣 僚 会合 に おい
て 、T P P 協 定 で 大 筋 合 意 に 至 り ま し た 」と 記 載 さ れ て い る 。し か し 、
この T PP 協 定の 正 文 が完 成 した と の政 府 から の 発表 は 未 だな く 、ま
た現 実に 成文 化も なさ れて いな い。
ゆえ に 、T P P 協定 に 関す る 交渉 は いま だ 終 了し て おら ず 、差 止 め
の必 要性 は十 分に 存す る。
2
差止 請求 につ いて
(1 )被 告国 の主 張
被告 国 は、 本件 の差 止 請求 につ い ては 、必 然的 に 、内 閣の 行 政上 の
権限 の行 使 の取 り消 し変 更 また はそ の 発動 を求 める 請 求を 包含 す る以
上、 この 様 な行 政権 の行 使 に関 し、 私 人が 私法 上の 給 付請 求権 を 有す
ると 解す る こと はで きず 、 民事 上の 請 求と して その 差 止め を求 め る訴
えが 不適 法で ある とす るの は確 立さ れた 判例 が存 する など と述 べる 。
2
(2 )抗 告訴 訟
ア
法 定外 抗告 訴訟 とし ての 差止 め請 求
し かし な が ら 、以 下 に 述 べる と お り 、 本件 の 差 止 め訴 訟 に つ いて
は まず 、 行 政 訴訟 と し て の法 定 外 抗 告訴 訟 す な わち 無 名 抗告 訴 訟 に
あた る。
行 政 事件 訴訟 法3 条 1項 は、 行 政庁 の「 公権 力 の行 使に 関 する 不
服の訴訟」を抗告訴訟と包括的に定義し、同条2項以下において、
「 処 分 の 取 り 消 し の 訴 え 」、「 裁 決 の 取 り 消 し の 訴 え 」、「 無 効 等 確 認
の 訴 え 」、
「 不 作 為 の 違 憲 確 認 の 訴 え 」の 4 種 の 訴 訟( 法 定 抗 告 訴 訟 )
を定 めて お り、 平成 16 年 改正 によ っ て「 義務 付 け訴 訟」 と「 差 止
め訴 訟」 の 2種 の訴 訟が 法 定抗 告訴 訟 とし て追 加 され てい る。 そ し
て、 同条 は 、判 例・ 学説 の 展開 に応 じ 、同 法が 規 定す る6 つの 訴 訟
類 型 の ほ か に 抗 告 訴 訟 の 類 型 を 制 限 す る 趣 旨 で は な い 。し た が っ て 、
それ 以外 の 法定 外抗 告訴 訟 であ って も 、行 政庁 の 公権 力の 行使 に 関
する 不服 の 訴訟 であ って 、 訴訟 形式 に おい て適 法 であ る限 りこ れ を
許容 する 趣 旨で あっ て、 行 政事 件訴 訟 法3 8条 1 項が 適用 され る と
解 す べ き で あ る( 櫻 井 敬 子 ら「 行 政 法 」
[ 第 3 版 ]2 7 5 頁 等 、大 阪
高裁 昭和 6 0年 11 月2 9 日・ 行政 事 件裁 判例 集 36 巻1 1・ 1 2
合 併 号 1 9 1 0 号 参 照 )。
イ
人 格権 侵害 の場 合、 広い 範囲 で差 止め 訴訟 を認 める べき こと
そ して 、 本 件 のよ う に 生 命・ 健 康 等 の 人格 的 利 益 が侵 害 さ れ る可
能 性が あ る 場 合、 広 い 範 囲で 法 定 外 抗告 訴 訟 と して の 差 止め 訴 訟 を
認め るべ きで ある 。
こ の点 に 関 し 、塩 野 宏 東 京大 学 教 授 著 「行 政 法 Ⅱ 」2 5 2 頁 にお
い て 、「 第 1 3 節 法 定 外 抗 告 訴 訟 」 の 「( 2 ) 権 力 的 妨 害 排 除 訴 訟 」
3
の項 で以 下の よう に述 べる 。
「 ・・・権 力 的 妨 害 排 除 訴 訟 と は ・・・包 括 的
な 権力 的 作 用 に対 し 、 生 命・ 健 康 等 の包 括 的 人 格的 利 益 を基 礎 と し
て そ の 排 除 を 求 め る 訴 訟 で あ る 。」と し 、大 阪 高 裁 空 港 最 高 裁 判 決( 昭
和 5 6 年 1 2 月 1 6 日 )に お い て 、
「 差止 請求 は航 空 行政 権の 講師 の
変 更乃 至 そ の 発動 を 求 め る請 求 を 包 含す る も の とな る の で、 民 事 訴
訟 とし て こ れ を求 め る こ とを 得 な い とし た 」 点 につ き、 その 判 決 論
理自 体に 疑問 を呈 しつ つも 、
「 仮 に 、こ の 判 決 の よ う に 包 括 的 な 権 力
的 作用 と し て の国 営 空 港 供用 行 為 な る把 握 を 前 提と す る と、 こ れ に
対 して は 、 民 事上 の 救 済 にお け る 妨 害排 除 法 則 をモ デ ル にし た 法 定
外 抗 告 訴 訟 を 想 定 す る の が 適 切 で は な い か と 考 え ら れ る 。す な わ ち 、
原 告は 生 命 ・ 健康 等 の 人 格権 を 基 礎 とし、 端 的 に包 括 的 な公 権 力 の
行 使と し て の 国営 空 港 の 供用 行 為 の 停止 を 求 め るこ と と なる の で あ
る 。」と 述 べ ら れ て お り 、広 い 範 囲 で の 法 定 外 抗 告 訴 訟 と し て の 差 止
訴訟 が認 めら れる こと が指 摘さ れて いる 。
ウ
処分 に至 らず とも 差止 めを 認め るべ きこ と
ま た、 差 止 め 訴訟 に つ い て、 将 来 的 に 行わ れ る 行 政処 分 の 内 容が
確 定し な け れ ば差 止 め 訴 訟を 提 起 で きな い と い うの で は なく、 処 分
の 内容 が 決 ま って い な い 段階 で も 違 法性 が 現 れ てい る 段 階で 差 止 め
訴 訟が で き る 。ま た 、 今 後の 取 消 訴 訟の 提 起 を 待っ た の では 「 重 大
な 損害 」 を 生 ずる お そ れ があ る 場 合 、違 法 性 を 確実 に 認 識で き ず と
も、 差止 め訴 訟を 認め るべ きで ある 。
こ の 点 に つ い て 、芝 池 義 一 京 都 大 学 教 授 著「 行 政 救 済 法 講 義 」( 第
3 版 ) に お い て 、「 行 政 事 件 訴 訟 法 は ・・・ 一 定 の 行 政 処 分 に つ い て
差 止め 訴 訟 を 提起 で き る もの と し て いる 。 そ こ でこ の 『 一定 』 の 意
味 が問 題 に な るが 、 そ れ は固 定 し た 内容 を 持 つ もの で は なく 、 違 法
4
性 の現 れ 方 と の相 関 関 係 に立 つ も の であ る と 考 えら れ る 。例 え ば 公
務 員に 対 す る 懲戒 免 職 処 分に つ い て は、 そ の 処 分の 内 容 が確 定 し な
け れば 差 止 訴 訟を 提 起 で きな い と い うわ け で は ない。 非 行を 行 っ て
い ない 公 務 員 に対 し て 懲 戒処 分 が 行 われ よ う と して い る 場合 に は、
処 分の 内 容 が 決ま っ て い なく と も 、 その 違 法 性 の存 在 を 明ら か に し
う る段 階 で 差 止訴 訟 を 提 起で き る と 考え ら れ る(小 早 川 ・高 橋 編 ・
行 政 法 8 5 頁( 山 本 隆 司 )も 、
『 一定 の処 分と は内 容 の完 全に 特定 さ
れ た処 分 に 限 られ ず ・ ・ ・違 法 性 及 び即 時 確 定 の利 益を 一括 し て 判
断 で き る 処 分 と い う 意 味 に 解 さ れ る 』と す る )。」
( 1 53 頁~ 15 4
頁 )と 述 べ ら れて お り 、 すな わ ち 、 処分 の 内 容 が確 定 さ れず と も 、
差止 訴訟 が提 起で きる と述 べて いる 。
そ して 、 判 例 上も 、 現 実 に行 政 処 分 に 至ら ず と も その 前 段 階 の行
為に つい て、 差止 め訴 訟を 認め てい る。
最 高裁 平 成 2 0年 9 月 1 0日 判 決 で は 、市 町 村 の 施行 に 係 る 土地
区 画整 理 事 業 の事 業 計 画 の決 定 に つ いて、 そ の 決定 段 階 にお い て 、
施 行地 区 内 の 宅地 所 有 者 等の 法 的 地 位に 変 動 を もた ら す もの で あ っ
て 、抗 告 訴 訟 の対 象 と す るに 足 り る 法的 効 果 を 有し、 実 効的 な 権 利
救 済を 図 る と いう 観 点 か ら見 て も 、 これ を 対 象 とし た 抗 告訴 訟 の 提
起 を認 め る の が合 理 的 と した 。 す な わち 、 具 体 的な 行 政 処分 行 為 が
な され ず と も 、計 画 行 政 にお け る 計 画決 定 行 為 、特 に 一 連の 手 続 き
の 中間 段 階 で され る 計 画 決定 行 為 に つい て の差 止め 訴 訟 を認 め て い
る。 同判 例に つい ては 大い に参 考と なり うる 。
エ
本件 差止 め訴 訟が 認め られ るべ きこ と
( ア )生 命・健 康 等 の 人 格 的 利 益 の 侵 害( 重 大 な 損 害 を 生 ず る お そ れ )
本 件の T P P 協定 の 交 渉 結果 に よ り 条 約の 成 文 化 がな さ れ れ ば、
5
そ の後 、 国 会 での 承 認 を 経て 批 准 ・ 発効 と な る 。そ し て この 条 約 が
発 効し た 場 合 、条 約 に 適 合さ せ る た め、 各 国 の 数多 く の 国内 法 が 変
更 さ れ る こ と と な り 、当 然 、日 本 国 で も 無 数 の 法 制 度 が 変 更 さ れ る 。
そ の結 果 、 原 告ら 個 別 の 生命 ・ 健 康 等の 人 格 的 利益 が 侵 害さ れ 、 法
的地 位に 変動 が生 じる こと とな る。
(イ )交 渉段 階で の差 止の 必要 性
そ して 、 現 在 の交 渉 に よ り近 い 将 来 に 条約 が 成 文 化さ れ さ え すれ
ば 、制 度 の 構 造上 、 極 め て高 い 蓋 然 性を も っ て 国会 で の 承認 手 続 き
が なさ れ 、 そ の後 に 発 効 とな る こ と とな る 。 と いう の も 、本 T P P
交 渉の 内 容 は 秘密 交 渉 と なっ て い る ため、 わ が 国の 国 会 にお い て も
政 府が 恣 意 的 に、 原 告 ら を含 む 国 民 全体 に 不 利 益な 情 報 を明 ら か に
し ない ま ま 、 同意 ( 承 認 )が 強 行 さ れる 可 能 性 が極 め て 高い か ら で
あ る 。ま た 、現 在 は 衆 参 両 院 で 政 府 与 党 が 過 半 数 を 占 め て い る た め 、
政府 が早 期に 同意 (承 認) を強 行し てく るで あろ う。
ゆ えに 、 生 命 ・健 康 等 の 包括 的 人 格 的 利益 の 実 効 的な 救 済 の ため
に は、 T P P 協定 の 発 効 やそ の 後 の 将来 の 具 体 的な 法 律 や制 度 の 成
立 前に 、 こ の 交渉 を 対 象 とし て 差 止 の抗 告 訴 訟 の提 起を 認め る 必 要
があ る。
(ウ )小 括
した がっ て、 本差 止め 訴訟 は認 めら れる べき であ る。
今 後、 原 告 ら は被 害 を 受 ける 人 格 的 利 益や 本 交 渉 内容 の 違 憲 性を
主 張お こ な い 、法 廷 で の 審理 で は そ の問 題 の 重 要性 と 差 止の 必 要 性
と の相 関 関 係 で差 止 訴 訟 の成 否 が 検 討さ れ る こ とと な る 。そ し て、
こ の原 告 ら の 請求 に つ い て法 的 根 拠 が認 め ら れ るか、 あ るい は こ れ
6
を 基礎 づ け る 要件 事 実 の 主張 に 不 備 がな い か は、そ の 後 の当 事 者 の
認 否や 主 張 整 理、 証 拠 調 べ等 を 経 て 裁判 所 が 最 終的 に 判 断す べ き 事
項 であ り 、 当 然な が ら 、 その 検 討 も せず に 安 易 に却 下 判 断が な さ れ
るべ きで はな い。
( 3) 民事 訴訟 とし て
ま た、 本 件 差 止め 訴 訟 に つい て 民 事 訴 訟と し て も 請求 し て い る。
仮 に本 件 交 渉 内容 が 違 憲 であ る 場 合 、行 政 権 の 行使 で あ ると し て 差
止う る余 地が ない と考 える のは あま りに 乱暴 であ る。
この 点 に 関 し、 被 告 国 が指 摘 し た 判例 ( 最 判 昭和 5 6 年1 2 月 1
6 日・ 大 阪 国 際空 港 最 高 裁判 決 ) に つい て も 、 国の 行 政 権( 公 権 力
の 行使 ) の 範 囲を 拡 大 解 釈す る こ と で民 事 訴 訟 での 解 決 を否 定 し た
点 等に つ い て 、学 説 で も 批判 的 見 解 が多 い 。 例 えば 櫻 井 敬子 教 授 ら
著 「 行 政 法 」( 第 3 版 ) で は 、「 事 実 行 為 を 含 む 行 政 活 動 全 体 を 包 括
的 にと ら え て 公権 力 性 を 認め 、 こ の 概念 を 民 事 訴訟 を 否 定す る た め
の 解釈 ツ ー ル とし て 機 能 させ た わ け であ る 。 し かし、 公 権力 の 行 使
に つい て 、 明 確な 法 律 上 の根 拠 な し にそ の 外 延 もあ い ま いな ま ま 拡
大 解 釈 を す る こ と に は 、強 い 義 務 が 呈 さ れ て い る 」( 2 7 1 頁 )と 指
摘 し、 判 例 を 批判 し て い る。 ま た 、 前掲 の 塩 野 「行 政 法 Ⅱ」 2 5 2
頁で も同 様に 批判 して いる 。
原告 ら の 主 張内 容 を 前 提に 、 本 件 で民 事 訴 訟 とし て 差 止の 余 地 が
あ るか 否 か 、 今後 の 主 張 を待 っ て 裁 判所 が 最 終 的に 判 断 され る べ き
であ る。
第2
1
違 憲確 認に つい て
請求 の特 定に 関す る主 張に つい て
7
被告 国 は、 原告 らが 違 憲の 確認 を 求め るT PP 協 定に 関す る 交渉 が
特定 され て いな いな どと 述 べる が、 交 渉の 意味 内容 は 前述 した と おり
であ って 特定 され てい る。
2
確認 の利 益
被 告国 は、原 告ら が違 憲確 認を 求め る交 渉に つい て、 将来 の権 利乃
至 法 律 関 係 を 対 象 と す る も の で あ る か ら 、確 認 の 利 益 は な い な ど と 述
べる 。
し か し、 先 に 述 べ た と お り 、 本 件の 交 渉 結 果 が 成 文 化 さ れ た場 合 、
原告らの権利が侵害され乃至法律関係に変動が生じる蓋然性は極め
て高 い。ゆ えに、 仮に 将来 の権 利関 係で あっ たと して も 確認 を求 める
利益 は存 する。 また 訴状 74 頁以 下で 述 べて いる 通り、 既に 、米 国産
牛肉 の輸 入月 齢制 限の 緩和、 米国 自動 車の 安全 基準 審査 の省 略、 軽自
動車 優遇 税制 の廃 止、健康 食品 の機 能性 表示 の解 禁等 の 措置 がな され
てお り、 交渉 段階 で既 に権 利が 侵害 され る状 況に なっ てい る。
ま た 、原 告 ら が 訴 状 等 で 主 張 し てい る 知 る 権 利 の 侵 害 に つ いて は、
被 告 国 は T P P 交 渉 に 関 す る 内 容 を 秘 密 に し て い る の で あ る か ら 、既
に現 時点 で原 告ら の現 在の 権利 が侵 害さ れ続 けて いる こと にな る。
3
法律 上の 争訟 性
被告 国は 、本 件に つい ては 、法 律上 の争 訟 性 を 欠 く な ど と 述 べ る 。
しか し 、原 告ら はす で に、 本件 で 原告 らの 知る 権 利、 人格 権 、生 存
権等 々が 侵 害さ れて いる と 主張 して い る。 当然 なが ら 、具 体的 権 利義
務に 関す る 争い であ る。 そ して 、仮 に 本件 につ いて 違 憲確 認の 判 断及
び差 止が な され れば 当然 、 TP P交 渉 から の撤 退等 の 効果 が生 じ るの
であ り、 ゆえ に法 律の 適用 によ り紛 争を 解決 しう るも ので ある 。
8
した が って 、 本 件に つ いて は 法律 上 の争 訟 に 該当 す る。 な お、 こ の
具体 的な 権利 性の 内容 はお って 補充 して 述べ る。
また 、 憲法 41 条、 7 6条 違反 な どの 、国 の統 治 機構 を巡 る 争い に
つい て、 司 法府 の消 極的 な 判断 が相 次 いで いる もの の 、本 TP P 協定
は統 治機 構 の基 本構 造が 破 壊さ れる も ので あっ て、 争 訟性 を理 由 に安
易に 請求 を否 定す べき では ない 。
第3
結論
以 上の 通り 、被 告国 の主 張は 失当 であ る。
以上
9